(2)「関空中心主義」の府政陣営は完全に破たん
その一方で、太田知事は「関空二期事業を強力に推進」(「太田知事『39』の主要実績」)してきました。総事業費1兆4200億円の2期工事は、自民党の中からさえ東京湾アクアライン、本四架橋とともに日本の「三大バカ事業」だという声があがるほどの、壮大なムダづかい事業です。関空の発着回数は、開港当時より少ない約10万8000回(02年度)にまで落ちこみ、年間有利子債務1兆円、累積赤字2000億円をこえ、経営が破たんしています。関空を「国際ハブ空港」「関西活性化の起爆剤」としてバラ色にえがき、一本の滑走路では年間16万回の離発着の限界をこえるから二期事業が必要だとする論拠はまったくうしなわれています。
太田知事は、通産省の近畿総務企画部長時代から、「国際化」「都市間競争」のかけ声で大阪のベイエリア開発に深くかかわり、「産業インフラとしての社会資本整備をもっと積極的に進めるべきである」「全国に比べてまだ決して高くない」(96年5月13日「第22回ベイエリア・フォーラム」)と巨大開発への府財政の投入をあおりたて、知事になってからもその道をおしすすめました。九〇年代にバブルが崩壊したあとも、関西では関空二期工事をはじめ900件、40兆円ものプロジェクトがすすめられたために、経済の落ちこみと急激な府財政の悪化をまねきました。府債残高(借金)が4兆7000億円(04年3月見込み、府民1人当たり53万円)にまでふくれ、太田知事の就任後だけで9000億円もふやしました。
りんくうタウンは、企業への分譲価格を6割値下げしても誘致がすすまず、その一方で大銀行だけは関空会社から1日1億円もの金利収入をあげています。「関西活性化の起爆剤」論は完全に破たんし、大阪経済と府民のくらしに暗い影をおとしています。
(3)太田知事の黒い人脈="食肉の帝王"とのゆ着、政治資金パ-ティ-
太田知事は、就任直後の2000年7月に特定の食肉業者社長宅で酒食の接待をうけたことを府議会で指摘され、その事実を認めました。その後、太田知事は松原食肉公社の破たん処理で巨額の財政支援に固執し、「同和利権」として大問題になりました。
この業者は、1987年に輸入牛肉の売買利権にからむ畜産振興事業団汚職事件で逮捕された人物です。歴代府議会議長に500万円を贈って問題になり、あっせん収賄容疑で逮捕された鈴木宗男衆議院議員が「私の親戚みたいな人」といい、「同和と暴力を足がかりに巨万の富を築き上げた」(溝口敦『食肉の帝王』)ともいわれています。
"黒い交友疑惑"にフタをしたままの太田知事は、府政運営の資格が問われています。食肉業界と政治家の黒い疑惑は、BSE感染牛肉大量買い上げや、その証拠隠滅の焼却処分でも浮かび上がっています。
また、太田知事の選挙母体「21世紀大阪がんぱろう会」は、これまでに3回資金集めパ-ティーを開催し、府と請負関係にある企業がパーティ−券を購入しています。公共事業請負企業からの献金は、自民党長崎県連幹部らが逮捕されるなど公職選挙法で禁止されています。太田知事は、企業・団体献金のかくれみのとなっているパーティー券購入を「寄付とはちがう」といいはり、公共事業を食いものにする「政治とカネ」のゆ着をまったく意に介していません。
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2003年7月18日付