府民施策切り捨て負担増 府「行財政改革プログラム」 大型開発継続
大阪府は4日、現行の「府行財政改革」案の期間(2011年度まで)に追加して取り組む「大阪府行財政改革プログラム」(素案)を発表しました。私立高校授業料助成の削減や全国一高い府立高校授業料のさらなる引き上げなど、いっそう府民負担を増やし、公的サービスを切り捨てるものとなっています。
府は1996年度以降、「赤字再建団体転落」の回避を最大の理由に府民施策の切り捨てや人件費の削減などを行うとともに、財源不足を減債基金からの借り入れで補ってきました。
素案では、「再建団体転落」の危機は回避したが、現計画の最終年度の「2011年度には減債基金からの借入額が8013億円に及ぶとし、負債残高(借金)も約5兆円(府民1人あたり約57万円)にのぼり、今後も増加する見込みだとしています。今後、金利の上昇によるコスト増が財政を圧迫するおそれがあるとしています。
こうした点から、現計画案の最終年度より1年早い2010年度に赤字構造からの脱却と単年度黒字を達成するとし、2010年度で400億円の歳出を抑制(一般財源ベース)します。具体的には施策の再構築で180億円、組織の再構築で200億円、歳入の確保で15億円となっています。これらの取り組みを2007年度から段階的に行い、2010年度までの4年間では1100億円の歳出を削減するとしています。
これによる府債残高と減債基金からの借り入れは2009年度をピークに減少し、減債基金からの借り入れの累計は2011年度で6400億円に抑制できるとしています。
素案は一方、関西空港2期事業や安威川ダムなどにはまったくふれず、国際文化公園都市や水と緑の健康都市、りんくうタウンなど財政危機の最大の原因となっている大型開発を継続しています。
自治体の責務放棄 共産党府議団が見解
日本共産党大阪府議団は4日、「大阪府行財政プログラム(素案)」について見解を発表しました。
「素案」は、私立高校授業料助成の削減や全国一高額な府立高校授業料のさらなる値上げ、府立高等職業技術専門校の有料化など新たな府民負担増、市町村補助金をはじめ各方面への補助金削減、制度融資など府民密着した事業の縮小、養護学校の通学バスの民間委託の徹底、金剛コロニーを地域に分散させて民営化をはかるなど、府の役割をいっそう放棄しようとしていると指摘。河川や道路整備、防災対策など生活関連建設事業費は10%削減する一方、大型開発公共事業は推進しているとしています。
生活保護率は2.48%(6月現在)、国民健康保険料は43万8千人(4人に1人)が滞納している大阪で、「素案」は今でも大変な府民の暮らしにさらに追い打ちをかけ、「住民福祉の増進」という地方自治体の責務を放棄するものだと批判しています。
財政悪化の最大の要因である関西空港2期工事などの大型開発の見直しや無駄の典型である同和事業の廃止こそ真っ先に行うべきだと指摘。国に対し、大企業への特別減税を改めるよう求めるとともに、府独自の法人事業税の超過課税を資本金10億円以上の企業を対象に10%(現行5%)に引き上げ(約90億円の増収)、自主財源の強化をはかるよう主張。「府民福祉の向上と大阪経済の振興と財政再建は両立できる」とし、「素案」の撤回と真の改革をめざして奮闘するとしています。
府議団の見解(全文)はこちら
2006年9月5日付
「しんぶん赤旗」より