関西空港二期工事
改めて見直し求める
―推進の根拠は崩れた(上)
大阪市議 稲森豊
開港10年―航空機の離発着予測が大きく下回った関西空港
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見通しない乗客増
世間をあざむく行政
関西国際空港の第二期工事の可否が来年度予算編成に向けて、大詰めを迎えています。二期工事の無駄遣いを追及してきた日本共産党の稲森豊市議に見解を寄せてもらいました。
大阪市も第二期工事に300億円近い公金を投入することもあり、私は第二期工事推進について一貫して見直しを主張してきた一人です。
関空を脅かす中部国際空港
このまま看過すれば大きな禍根を残すという思いから、改めて関空第二期工事の致命的ともいえる問題点について率直な意見を述べたいと思います。
関空会社は第二期工事の必要性の主要な根拠として航空需要と国際ハブ空港としての最低の機能として二本の滑走路の必要性を主張してきました。9月2日、私は大阪市議会財政総務委員会委員として、中部国際空港建設現場を行政視察した折、衝撃的な事実を知らされたのです。
中部国際空港株式会社の建設事務所で企画グループの責任者から「関空さんからいろいろ学ばせていただきました」といわれました。中部国際空港建設に当たり空港へのアクセスや地盤沈下など海上空港建設の技術上の問題や今後の需要予測、経営の問題、地元地域との共存などあらゆる面で関空の失敗の教訓を生かしたとの説明を受け、中部国際空港が完成すれば確実に関空は打撃を受けると実感させられました。
次の視察先の静岡で現地の地方紙9月3日付で共同通信社が国内外旅客便37社と貨物便5社の関空乗り入れ航空会社42社に書面でアンケートをした結果、39社から回答があったが「関空をハブ空港と位置付ける」と回答した会社がゼロで、「関空はほかの基幹空港との競争に負けつつあるといえそうだ」と論評した記事を目にしました。(グラフ)
関空をハブ空港と位置付けるか
位置付ける 0社 | 位置付けない ■■■■■■■■■■ 28社 | わからない 無回答 11社 |
ハブの位置を否定された
いま関空は航空需要の低迷と同時に、国際ハブ空港としての位置付けも航空会社から否定されています。この重大な事態を目の前にして、なお二期工事を求める関空会社や国交省、大阪府、大阪市の態度は、無責任で世間を欺くものといわざるを得ません。
航空需要については、関空会社は将来航空需要が伸びると強弁し、大阪府や、大阪市もこれに同調し「USJが開業すれば需要は伸びる」「東南アジアから乗客が増える」「2007年度には離発着数が16万回に達し滑走路の処理能力はパンクする」など場当たり的な説明でごまかしてきました。
しかし実態は、航空機離発着回数は03年度は約10万回と低迷し、国交省も当初予測年間16万回を13万回に正式に修正せざるを得なかったように大きく下回っています。しかも、将来にわたって関空の航空需要が増える見通しはなく、むしろ減少する可能性の方が濃厚です。来年2月に開港する中部国際空港は、次のような需要見通しをたてています。(表)
中部国際空港の航空旅客の需要予測
(万人)
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年度
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国際
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■■■■
国内
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2005
■■■■ |
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500
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■■■■
170
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2025
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830
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1220■■■■
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いま以上に経営が困難に
関空の二分の一のコストで空港島が建設されているわけですから、成田や関空よりも着陸料が安く設定されることは確実視されています。関空の国際線の需要を脅かすことは必至です。国内線も中部空港は開港初年の05年は710万人(現在稼動中の名古屋空港は約650万人)を見込んでいます。アクセスも名古屋駅から電車で28分で、関空よりも有利な立地となっています。
同時に開港予定の神戸空港が開港初年度に国内線319万人を見込んでいます。旅客だけでなく当然貨物便も影響を受けることになります。新規開港の二空港の需要見込みがある程度下回ったとしても関空に否定的な影響を与えることは確実で、関空は今以上経営困難に陥ることは必至です。
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