健康福祉常任委員会(2024年10月31日) 石川たえ府議の知事質問
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・介護保険料の引下げ、介護事業所の支援について
◆(石川たえ委員) 日本共産党の石川たえです。
まず、介護保険料についてお聞きをいたします。
介護保険料基準額、第九期全国平均は六千二百二十五円です。制度施行の二〇〇〇年は二千九百十一円、介護保険料は制度施行後、上がり続け、大阪では第九期、全国最高の七千四百八十八円。高い保険料に加え、サービス利用料が発生するこの異質の制度設計が、サービスが受けられないと苦しむ多くの高齢者を今生み出しています。前期からの値上げ幅も大阪は九・七%と全国最高であり、断トツに値上げされていることが分かります。
保険料引下げに、大阪府として財政投入をと委員会で求めましたが、受益と負担の公平性の確保との答弁でした。
そこで、知事にお聞きをしたいと思います。大阪府の介護サービス受給者一人当たりの給付費は、都道府県の真ん中ぐらいです。給付が必ずしも全国的に多いわけではありません。知事は、今年五月の記者会見で、介護保険は給付とセット、介護サービスを受けている方が多い、大都市として成長していく中で、高齢の単身者が非常に多いと言われていましたが、高齢者の中での一人暮らしは多いものの、高齢化率そのものを見ると、大阪はそれほど高いわけではありません。
人口に占める一人暮らしの高齢者が突出して高くはないのに、保険料は高く、給付費は平均、これで受益と負担は公平と本当に言えるのでしょうか。
◎知事(吉村洋文) 大阪府の介護保険料が全国に比べて高くなっている要因は、要介護の認定率が全国一高く、また、実際にサービスを受給している割合も高いため、給付費が大きいということが考えられます。
受益と負担の公平性の観点から、保険料については保険の対象となる方に御負担をいただいています。仮にこれを被保険者以外に負担を転嫁するということは、適当ではないと考えています。
◆(石川たえ委員) ちょっとお聞きをしたいんですけど、改めて。私立高校の授業料無償化が始まって、所得制限が順次撤廃されていっていますけれども、子どもさんが私立高校に通っていない方、一般財源が投入されますので、方もおられると思うんです。ですが、私立高校の授業料無償化は財源投入して、子どもたちのために行われていると。
私、これ、ええことやと思ってるんですよ。ええことやと思ってるんですけど、この私立高校授業料無償化がお金入るのに、介護保険料の負担軽減になると急に保険者じゃない人にお金出させるのは不公平やというのがちょっとよく分からないんですけれども、どうして介護保険だったら不公平になるのか教えてもらえませんか。
◎知事(吉村洋文) 高校の授業料の無償化というのはまさに教育の分野に関するものでありまして、保険ではありません。介護保険というのはあくまで保険でありまして、保険である以上、受益と負担の公平性を図るというのは当然だというふうに思っています。給付が増えれば、保険料は高くなってしまう。そして、その分、サービスも受けているということにもなります。
その保険料については、保険の対象となる方に負担をいただくのが原則だと思っています。そして、これを被保険者以外に求めていくということは、保険の原理から考えても適切ではないだろうというふうに思っています。
◆(石川たえ委員) 大阪府のホームページを見ると、介護予防は、高齢者が要介護状態等となることの予防または要介護状態等の軽減もしくは悪化の防止を目的とします、こういうふうに出てまいります。
介護サービスを受けられない高齢者が今、生み出されているわけです。受益と負担の公平性というふうにさっきおっしゃられましたけども、給付は平均で、保険料は高いわけですよ。ここに不公平が発生していると私は思いますけれども、早い段階で予防するということは、給付費を抑えていく上でも鍵を握るというふうに私は思っています。
だからこそ、早い段階でサービスを受けられるようにするということが今、大阪府に求められていると思うんですが、サービスは受けられないという人が第九期以降でも非常に多くなっているんですが、今、やっぱり大阪府として、ここをしっかり支えて、予防ということをすごく強調されていますよ、私も予防が大事だと思いますので、この予防に力を入れるという意味でもサービスを早く受けられるようにするために、保険料引下げのために大阪府として努力するべきだと思いますが、知事、どう思われますか。
◎知事(吉村洋文) まず、介護保険を考えたときに、これからさらに高齢化社会になっていきます。そのときに、やはり予防というのは非常に重要だというふうに思っています。ですので、介護のこの要支援、要介護の認定を受ける前に、受けないように予防措置を取っていく、健康であり続ける、健康のいろんな様々な施策を打つ、こういったところは既に市町村でも行われているところでもありまして、非常に重要な観点だというふうに思っています。予防というのが非常にこれから重要になってくるというふうに思っています。
現実にその認定を受けられている方も、認定が増えていくというよりは、認定を前に巻き戻していくというか、できるだけ健康であっていただくというようなことに努力をするべきだというふうに思っています。
そのことと、現実に、じゃ、介護保険をどうするのかということを考えたときには、もちろんこれは、保険料については所得に応じて階段があるわけですけれども、所得に応じて、そして、その被保険者の中で、原則で、もちろん税も投入されています、投入されているんですけれども、一般財源を投入してやるというものではないというふうに思っています。保険という中で負担を転嫁するというよりは、予防をしっかりと進めていくということが重要だと思います。
◆(石川たえ委員) 今おっしゃられているように、介護保険制度の前の段階で予防しとくというのは非常に大事やと私も思っているんです。私の住む吹田市でも百歳体操とかみんなやってはって、それですごく元気になっていかれるという方もたくさんおられます。
要支援の段階で、要支援という早い段階でやっぱりきちんとサービスを受けられることで、介護度がどんどん上がっていかないというふうになるというのも聞いていますし、実際、自分の親を見ててもそういうふうに私も感じているところなので、予防は予防でもちろん力を入れるけれども、介護サービスを受けられるようになったときに、早い段階で日常生活をそのまま継続できる支援をするという意味では、介護保険料が高過ぎてサービスを受けられへんという事態をつくってしまうと、後々、結局給付費が多くなってしまうので、早い段階でという意味では保険料をしっかり下げるべきだと、大阪府はそのために財政投入するべきだと申し上げておきます。
次に、訪問介護事業所のことについてお聞きをいたします。
訪問介護事業所は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるようにするために、自宅での介護を行う訪問介護員--ホームヘルパーをはじめとする介護職員が在籍している事業所のことを指します。
この一番身近と言われる訪問介護事業所が、国の報酬改定で今、廃業に追い込まれております。全国的に見ると赤字の訪問介護事業所が約四割、東京商工リサーチによると、今年上半期の介護事業者の倒産は、介護保険制度が始まってからの最多の八十一件です。都道府県別で、大阪は十一件の最多となっています。
頑張って事業継続を今まだされている事業所でも、報酬が下げられ、雑務が増えたため、ヘルパーさんの離職率が多くなり困っている、人手不足で新規の利用者受入れが難しくなっているなど、閉鎖直前、また、利用者の受入れすら困難という事態まで今引き起こされています。
このまま介護事業所が潰れるような事態を大阪府として放置しておいていいと思われますか、見解を求めます。
◎知事(吉村洋文) まず、介護保険の制度は基本的には国のルールが決まっています。その中で、介護報酬についてもそうなんですが、令和六年度の改定で、訪問介護の基本報酬というのはマイナス改定になっていますが、一方で、別途、処遇改善加算というのも講じられているというところでもあります。これが国の見解でもあります。
今後、物価高騰対策等々、様々あると思います。介護事業者施設に対する支援について、国の予算措置を踏まえて、引き続き取り組んでいきます。
◆(石川たえ委員) このまま潰れていくかもしれへんという事業所が大阪にいっぱいあるわけで、この状態を知事としてどう思われますかというふうに私はお聞きをしたので、大阪は最多で今、廃業されていっているわけですから、この状況を見て知事としてどう思われますかということについて、もう一回お答えいただけますか。
◎知事(吉村洋文) まず、事実として、もちろん経営困難等の理由によって訪問介護事業が一定数廃業しているというものはありますが、これを上回る開業も、つまり、新しく新規で開業されるというところもございます。訪問介護事業所数は、大阪は増加傾向にあります。令和三年度、これは廃止も含めてですけども、五千百あった指定事業所は、令和五年度で五千六百の指定事業所に増えています。
ですので、まず前提として、もちろん廃止になる事業所もあるんですけれども、増えているというのがまず前提の中で、そして、介護報酬の仕組みはある意味、法律で決まっているわけですけれども、処遇改善加算等が今されているというのが国の見解でもあります。
◆(石川たえ委員) 介護事業所が全国のように次々潰れていっていない、大阪は増えているとおっしゃっていましたけども、微増ですけど、その状況を、このままいけば全国と同じように廃業せざるを得ないところがどんどん増えてくるというのも可能性としてあるわけで、介護事業所をしっかり守っていくというのは、私は都道府県の責任としてやらないといけないんじゃないかなというふうに思っています。
介護事業所を支えていくということは、現役世代を支えることにもつながってまいります。現役の方、介護離職がすごく多いと言われる中で、介護事業所がちゃんと存在するということは働き続けられるということにつながってまいります。
国が処遇改善加算するというふうに言われていますが、この間、国がやっている処遇改善加算は結局、介護事業所に私もヒアリングしましたけど、焼け石に水だというふうに言われるぐらい微々たるものなわけです。この微々たるものの中で物価高騰が襲いかかって、コロナの補助金も切られて、でも、コロナの人はいっぱい受け入れないといけないような状況も残されていて、介護事業所が非常に経営困難になっているという実情は、私、しっかり踏まえた上で、物価高騰対策を含め、処遇改善も含めて、大阪府にできることはたくさんあるというふうに思いますので、世代間格差の是正などといって高齢者の医療、介護の負担をさらに増やすのではなくて、高い保険料引下げと事業所の事業継続のために大阪府の独自施策を求めておきたいと思います。
・ギャンブル依存症対策について
◆(石川たえ委員) 次に、ギャンブル依存症についてお聞きをいたします。
委員会でも質問いたしました依存症計画に基づく評価について、知事の認識を聞きたいと思います。
評価を見ていますと、ギャンブル依存症の疑いリスクは横ばいと記されておりました。単純計算で三万八千人増加というふうになっています。ギャンブル依存症疑いリスクの方が今も増えている状況を、知事は一体どう捉えておられるのでしょうか。
また、令和五年度は個別目標の目標値をおおむね達成した、こういうふうに記されておりますが、委員会でも申し上げましたが、教員向けの研修に参加したのは二百五十七人です。高校の保健の授業で予防啓発は、ほかの依存症の授業も併せて一回やっただけでも実施カウント一とし、一〇〇%の評価となっています。医療機関の受診数も、単純に計算してギャンブル依存症疑いの人約三百人に一人しか受診していません。これでも支援体制が充実というふうに評価がされています。
私はこの評価は甘いというふうに思っていますが、知事はこの評価、どう捉えておられますか。
◎知事(吉村洋文) 令和五年度のギャンブル等依存が疑われる人等の割合については、統計的に確認をして、令和四年度から横ばいであると認識をしています。第二期の計画最終年度の令和七年度に向けて低減を目指すものでありまして、継続的に実態の把握を行い、推移を注視していきます。
また、令和五年度は、ポータルサイトやSNS相談など新たな取組を着実に実施し、目標値をおおむね達成したことを確認しています。
引き続き、普及啓発をはじめ、相談、医療、回復支援体制のさらなる強化対策を推進していきます。
◆(石川たえ委員) 横ばい横ばいと言われるんですけど、単純計算で三万八千人も増えているのに横ばいという認識で、ほんまに依存症対策を進めようと思ってはるんかなというふうに私は感じます。
担当課の方とお話をしていると、依存症センターについて、今年から約五年間で万全の体制を整えるというふうにお聞きをしました。私は、依存症センターができることは非常にいいことだと思っていますし、その体制を万全に整えるというのも非常に大事なことだというふうに思っています。ただ、そもそも大阪にカジノができてしまえば二%新たな依存症が生まれるということは、事業者がはっきり言っているわけです。
カジノが今まだできていないのに、ギャンブル依存症は増えている傾向に今あります。ギャンブル依存が犯行の動機、原因となる刑法犯、大阪府内、窃盗だけを見ても、令和四年、百二十九件、令和五年は五百六十七件、断トツに増えています。オンラインカジノによる被害も広がっている中で、さらに依存症を増やすIRをつくって、本当にギャンブル依存症が減るというふうに思っておられるのかなあというふうに私は感じます。ギャンブル依存症対策の強化というのであれば、カジノはつくらないことだと私は思います。
ギャンブル依存症を減らすという目標と依存症を生み出すカジノは共存できないというふうに思いますが、知事の見解を求めます。
◎知事(吉村洋文) 現在、既にギャンブル依存症が疑われる方がおられるという中で、また、市中にもギャンブル依存があるという中で、その割合の低減を目指す取組を進めていくということは必要だと思っています。
府において、第二期計画に基づいて、重点支援策を確実に進めていきます。そして、ギャンブル等依存症などの支援拠点である、仮称ですけれども大阪依存症センター、これを整備して、その機能を充実していきます。機能を検討しているところです。
実効性のある対策を総合的かつ計画的に実施し、そして、総体としてギャンブル依存症を減らしていきたいと思います。
◆(石川たえ委員) 私は共存できないというふうに思っていますので、万博やIRで経済対策をというふうに進む、その姿勢そのものがやっぱりちょっとばくちっぽいなというふうに感じますので、やはり暮らしを守ったり社会保障を充実させたり、そういうところにしっかり力を入れていただいて、目標値より依存症を減らしていくというこの目標は絶対大事なので、本当にギャンブル依存症をこれ以上増やさないというのであれば、カジノは要らないということを申し上げて質問は終わります。ありがとうございました。
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