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議事録

環境産業労働常任委員会(2024年3月12日) 石川たえ府議の質問


・賃上げ支援について

◆(石川たえ委員) 日本共産党の石川たえです。
 まず、九月にもお聞きしましたが、賃上げ支援についてお聞きをいたします。
 日本は、世界でも特異な賃金が上がらない国と今なっております。世界では実質賃金が上がっている下で、日本の年間実質賃金は増えるどころか減り続け、二〇〇七年比で全国平均は約マイナス四十万円、とりわけ大阪は深刻であり、二〇〇七年比約マイナス四十七万円と、全国よりも下がり幅が大きいです。昨年十二月の大阪の実質賃金は、その前年比でさらにマイナス〇・七%となっています。
 物価高騰は収まる兆しがなく、帝国データバンクによると、今年三月に食品値上げは七百二十八品目、原材料値上げが再燃の可能性があり、年間想定は一・五万品目と言われています。これが労働者の生活をさらに圧迫するだろうと予測をされます。
 九月の委員会でも申し上げましたが、収まる兆しのない物価高騰から府民生活を守る上で大幅賃上げは欠かせません。関経連が賃上げ通知を出し、下請も含め賃上げを呼びかけていることは承知をしておりますが、賃金を上げたくても上げられない、こういう悲鳴を上げている小規模事業者の声もあります。
 帝国データバンクによると、二〇二四年賃上げ見込み割合は、全体は昨年よりも上昇しているものの、従業員五人以下の事業所では、賃上げを実施しない割合が三一・六%と非常に高く、賃金改善がない、こう回答した企業が理由として挙げるトップは、自社の業績低迷五六・三%となっております。賃上げしたくても上げられない、この声に今応える必要があります。
 岩手県では、賃上げ支援として、一時間当たり五十円以上の賃上げを行った中小企業等を対象に、従業員一人当たり五万円、最大二十人分の支援金を支給する制度が既に始まっております。平均より実質賃金が下がっている大阪こそこういう取組が求められると思います。賃上げを行う中小・小規模事業所を対象に賃上げ支援策を創設してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

◎中小企業支援室長(馬場正俊) お答えいたします。
 エネルギーや原材料等の価格高騰が府民生活や経済の先行きに影響を与える中、中小企業、小規模事業者が賃金引上げを継続的に行えるような環境整備が重要でございます。
 そのために府では、中小企業、小規模事業者に対しまして、テイクオフ支援事業による新事業展開や、デジタル化の推進など生産性の向上に資する支援、下請取引の改善、新たな取引先の開拓などの支援を行ってございます。これらの取組を通じまして、厳しい環境の中で頑張る中小企業、小規模事業者を支援してまいりたいと考えております。

◆(石川たえ委員) いろいろ支援策をされているという話は以前も聞いているんですけど、その現行の制度だけでは賃上げできないというふうに小規模事業者は言うてるわけです。なので、この思いに応えていく、そのためには、やっぱり小規模事業者が賃上げできる支援を大阪府がやっていくというのが非常に大事だというふうに私は思っています。どうやって賃上げを行うか、この小規模事業者の思いに応えなあかん、このことが問われているときに、ちょっと今の答弁では納得いかないなと思いますので、さらなる拡充を求めておきたいと思います。
 賃上げへの直接支援だけではなくて、非正規雇用への処遇改善も賃上げの一助となるというふうに思っています。日本の非正規雇用者は、この二十年間で約一・三倍、四百九十万人も増加し、二百十一万人に達しました。大阪の非正規雇用は、二〇二二年度で見ると百五十八万人、うち女性は百八万人となっています。非正規雇用の賃金は、正規雇用者の六七%にとどまる上、ボーナスや各種手当の不支給など格差もあります。年収二百万円以下のワーキングプアをつくり出しているとも言われています。厚生労働省も、パートタイム労働者と常勤労働者の均衡待遇に努める、こう掲げている下で、非正規労働者と常勤労働者の均衡待遇は喫緊の課題というふうに思います。
 日本共産党は、今、国会で、非正規ワーカー待遇改善法案の提出を行いました。女性の多くは非正規雇用であり、男女賃金の差異を解消するためにも、非正規雇用の正規化、非正規雇用の処遇改善が欠かせない、こう思います。国の法整備待ちにならずに、大阪府として、常勤雇用と非正規雇用の待遇、処遇の差をなくすために、処遇改善補助制度を創設し、非正規雇用の改善を図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

◎労働環境課長(芝博基) お答えいたします。
 非正規雇用労働者の処遇改善につきましては、令和二年四月にパートタイム・有期雇用労働法が施行され、非正規雇用労働者のあらゆる待遇について、不合理な待遇差を禁止することが定められました。
 国は、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善に取り組んだ事業所に対して支給するキャリアアップ助成金などの処遇改善策を実施しているところでございます。
 大阪府では、キャリアアップ助成金をはじめ、国の様々な助成金制度をホームページやセミナー等で紹介するなど、あらゆる機会を捉えて周知を図るとともに、働き方改革に取り組む府内中小企業からの相談対応や個別訪問を行う中で、個々の実情に応じて非正規雇用労働者の処遇改善が図られるよう働きかけているところでございます。

◆(石川たえ委員) 今のは国のお話なんです。国が非正規雇用の処遇改善に今取り組み始めているというのは私も承知をしているんですが、私は、大阪府として処遇改善の補助制度をつくって、国の制度と併せて、もっと非正規雇用と常勤雇用の待遇が同じになるようにしたらどうですかというふうに今御提案をさせていただいています。
 例えば、退職金です。退職金を給付するかどうかは社内規程で定めるものになっていますので、非正規社員でも退職金をもらうことはできます。裁判所の判例でも、会社における賞与は、正職員としてその算定期間に在籍、就労したことの対価としての性質を有するから、同期間に在籍し、就労していたフルタイムのアルバイト職員に対し賞与を全く支給しないことは不合理である、契約職員には正職員の約八〇%の賞与が支給されていることなどに照らし、アルバイト職員にも正規社員の支給基準の六〇%を支払わなければならない、こういう判決が出ているわけです。非正規職員にも退職金が支給できますよと、このことをしっかり事業所に働きかけていくということと併せて、本当にその退職金を非正規、アルバイトにもそれぞれの企業や事業所が払ってあげられるようにするために、処遇改善の制度をつくっておくというのは一つ大事なことやと思っているんです。なので、国の制度だけにとどまらずに、大阪府として処遇改善制度をつくることで、非正規雇用の正規化だけではなく、非正規の処遇改善を進めてほしいと思いますので、よろしくお願いします。
 もう一点、賃金のことで、男女の賃金格差の是正をする取組が今必要だと思っています。
 日本のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百二十五位と、世界でも圧倒的に遅れた国となっています。その大きな要因の一つに男女の賃金格差があります。ILOは、ディーセントワークの革新はジェンダー平等である、こういうふうに二〇〇九年の総会で位置づけました。労働者の賃金や権利、社会保護など、あらゆる労働問題はジェンダー平等を促進する方向で解決すべきだとしています。
 女性活躍推進法に基づいて、企業による男女賃金格差の公表が始まりました。先日、厚生労働省が公表した男女賃金の差異状況を見ますと、男性賃金に対する女性賃金の割合は六九・五%です。大阪はと思って、なにわの経済データを見ました。このなにわの経済データによると、二〇二二年、産業全体での所定内給与は男性三六・三万円、女性が二七・六万円、年齢や勤続年数にばらつきはあるが、全業種で男性が女性に比べて所定内給与額が高い傾向にある、こう記されておりました。単純に見れば、大阪でも女性の賃金は男性の七六%程度だということを示していると思います。
 国税庁の調査によると、男女の賃金格差は、年収で二百四十三万円、生涯賃金で約一億円にもなります。これが年金にも連動してまいります。定年まで働いても年金で生活できない中高年女性の貧困が、この十年、社会問題にも今なっています。データの公表だけではなく、女性の多くが非正規雇用という実情の中で、非正規の正規化、女性が正規職員として働く環境の整備など、本格的に男女賃金の差異をなくすための法整備を進めるように国に強く強く求めたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

◎労働環境課長(芝博基) 大阪府では、令和六年度の国家要望におきまして、性別にかかわらず、非正規雇用を含めた中小企業等の労働者の賃上げへの波及を促すため、企業等の生産性向上、下請取引適正化に向けた取組など支援策の強化や関連予算の拡充を国に要望いたしました。
 その後、国は、年収の壁への対応に向けた支援強化パッケージを新たに打ち出すとともに、先ほど御答弁申し上げましたキャリアアップ助成金の要件緩和や支給額の増額等を行うなど、賃金引上げや非正規雇用労働者の処遇改善に向け施策が拡充されております。
 今後とも、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との均等、均衡の取れた待遇の確保が図られますよう、必要に応じて国に要望してまいります。

◆(石川たえ委員) 国への要望は引き続きお願いしておきたいなというふうに思いますが、国の制度待ちにならず、大阪独自に男女賃金の差異を解消する取組も必要だと思います。
 改訂版の副首都ビジョンの中には、大阪は女性の就業率が低く賃金も低い、女性の就労支援となると貧困対策が中心になりやすいが、生産性の高い産業への女性の就労支援を進めるなど、賃金を上げる取組を考えていく必要がある、こういうふうに副首都ビジョンでも指摘をされているんです。
 実は、山形県は、女性の賃金向上のために、女性非正規労働者の時給を一時間当たり五十円以上増額改定した事業所に対して一人五万円、上限最大百万円まで支援金支給を行っています。先ほど提案させていただきました全体の賃金底上げの制度をつくっていくことと併せて、全体上がるけど男女の差異は解消しないでは駄目なので、さらにそこに上乗せして、女性の賃金が男女の差異がなくなるところまで引き上げていく補助制度をつくったらどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。

◎労働環境課長(芝博基) 女性の賃金につきましては、同一企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差をなくす同一労働同一賃金の遵守徹底を図ることが重要であるため、労働基準監督署におきまして、一昨年の十二月から事実関係の確認を行い、昨年十一月からは、賃金等の差の根拠の説明が不十分である企業に対しまして、直接文書で指導を開始したところでございます。
 大阪府におきましても、先ほどの馬場中小企業支援室長からの答弁でもありましたが、中小企業に対して、女性を含めて賃金引上げに向けた支援策を実施するとともに、同一労働同一賃金の観点を踏まえた賃金引上げが非正規雇用労働者にも波及するよう、大阪労働局と共に府内経済団体等に対しまして働きかけているところでございます。
 引き続き、これらの取組を通じまして、女性の賃金も含め、労働者全体の賃金引上げが実現されますよう努めてまいります。

◆(石川たえ委員) 指導もしていただいているし、これから男女の賃金差異をなくすために取組もされるということなので、大いに期待はしておきたいなというふうに思いますが、やっぱり経済団体の働きかけだけで男女の賃金格差がなくなるとも思いませんし、労働者全体の賃金が上がるとも思いませんので、お願いばっかりじゃ解決しないので、大阪府の独自施策をどうするのかというのはもうちょっと真剣に検討してほしいなと思いますので、今、賃金のことを三つ聞いたんですけど、賃上げ支援について知事に聞きたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。

・奨学金返還支援制度導入促進事業について

◆(石川たえ委員) 次に、奨学金返還支援制度についてお聞きをいたします。
 九月にもお聞きをいたしましたが、令和六年度も制度を継続するということで、非常にありがたいというふうに思っています。
 今年度、九月から始まって千件の登録について、瞬く間に登録が済んだというふうに聞いていますけれども、登録数のトップは従業員五人以下の事業所だったというのが特徴の一つ。職種別で見ると、一番多かったのは医療・福祉職場だったというふうに特徴を聞いています。本当に人手不足で困っている小規模事業所や福祉現場にとって、奨学金返還支援制度が人材確保の一助になっているということが、やっぱりこの千社登録で示される結果だったなというふうに思っているんですよ。なので、制度継続は物すごくうれしいなと思うんですけど、ただ、いかんせん内容は不十分だというふうにも思っておりまして、イニシャルコストとしての五十万円という現行の仕組みだけでは奨学金本体の返済になかなか届かないというのが実情です。
 大阪の登録数の多さについて、他県からも非常に評価が高いというお話は聞かせていただきました。よかったなと私も思っていますけれども、他県から非常に評価が高いからこそ、やっぱり制度の中身ももっと充実させていくことが、もっと評価も高くなるし、もっと登録もしてもらえるし、若者や事業所を支えていく力になるというふうに私は思うんですけど、どうして制度の拡充について、五十万円というイニシャルコストしか支援しないという制度設計を本体支援にまで広げなかったのかという理由が知りたいなと思っているのと、やっぱり拡充するべきだと思いますので、拡充をしたらどうかなと思いますが、見解を求めます。

◎就業促進課長(山本恭一) お答えいたします。
 本事業につきましては、現在の物価高騰の中で、奨学金を返還しながら働く若者の負担を軽減しますとともに、府内中小企業における人材の確保、定着につなげるため、企業の奨学金返還支援制度の導入促進のためのインセンティブとして、導入時に係る経費に支援金を支給するもので、今年度、緊急かつ集中的に実施したものであります。
 事業開始当初に一千社の目標を掲げていましたが、委員もお話ありましたように、昨年十一月の受付開始から約一か月の早さで予算上限に達しまして目標を達成しましたことから、本事業に対する中小企業のニーズは高いことが明らかになりました。そのため、現在、物価高騰が依然として継続していることも踏まえまして、国の経済対策を活用し、来年度は目標をさらに二千社に拡大した上で、引き続き本事業を実施したいと考え、今議会に予算を提案させていただいたものであります。

◆(石川たえ委員) 何で制度設計を広くせえへんかったのと聞いたので、ちょっとかみ合ってへんなという思いがあるんですけど、ただ、一千社を今度は目標を二千社にしたという意味では、拡充と言えんこともないのかなって仏の心で思うと感じるんですけど、チラシ欲しいねんと言うて私のところに問合せが来るケースも結構あるんです。なので、多くの方がやっぱりこの返還支援制度を使いたいと思ってはるんですよ。なので、二千社にして、さらに周知して、その人たちにも全部登録してもらうという取組と併せて、やっぱり先ほど申し上げたとおり、イニシャルコストだけではその後どうしたらええねんと言う人はいっぱいいてるので、従業員五人以下が一番多いということは、ここの経営状況から見たら、雇っている子の返還をずっとやり続けられるかどうかというのは、またハードルが出てきます。なので、やっぱり本体の支援につなげる制度設計に変えるためにも、私は、国交付金の範囲内はやめると、大阪府がちゃんと独自の財政出動をするということも求めておきたいなというふうに思います。
 田尻町は、四月から、三十歳未満の就業者で、本人が奨学金返済をしている町民を対象に毎月一万円を支給する奨学金返済支援制度を新設するということが報道されていました。これだけでも月一万円、年十二か月、十二万円が若者に届くんですよね。これは本体返済につながるわけですよ。なので、企業さんが登録して、代理返済にするのか、それを賃金に跳ね返すのか、それは企業さんによっていろいろやというふうに思いますけれども、やっぱりそういう取組をやっている市町村さんを助けてあげるというのも、私は制度の拡充の中身として大事かなというふうに思いますし、イニシャルコストだけではなくてランニングコストに至るまで支援できる方法はないのかというのを、もうちょっと知恵を絞っていただけたらいいかなというふうに思いますので、すいません、これも知事に聞きます。よろしくお願いします。

・新事業展開テイクオフ支援事業の在り方について

◆(石川たえ委員) 次に、テイクオフ支援についてお聞きをいたします。
 昨年度、採択六百者、ところが、来年度当初予算で見ると、また募集三百者になっています。昨年六百者採択しておきながら、何でまた三百者に減ったのか、その理由を教えてください。

◎中小企業支援室長(馬場正俊) お答えいたします。
 新事業展開テイクオフ支援事業につきまして、今年度は一事業当たり約六百の事業者から申請があり、約二倍の競争率の下、審査を行っております。本事業は、厳しい経営環境に対して新事業展開によって乗り越えることを支援するものでございまして、実現可能性、実効性が高い取組かどうかを重視しております。
 来年度につきましても、これまでの事業レベルを維持するため、約二倍の競争率を保ちたいと考えておりまして、これまでの状況を踏まえまして三百者の募集としているところでございます。

◆(石川たえ委員) ちょっとよく分からないんですけど、二倍の競争率を保つために三百者とおっしゃっているんですけど、テイクオフは去年も二回やっているんですよね。一回目は三百、ほんで物すごいたくさん申込みがあって、二回目はまた三百、これもたくさん申込みがあって、ほんで両方で六百ということは、六百者全部が採択されているわけではないと思うので、ふるいにかかっているんですよね。ほんで、申請された方全員を通せというふうに私も言いませんけど、去年三百でやって、多過ぎたからもう一回三百でやって六百なのに、今年二倍の競争率や言うて、また三百がスタートというのは、私はちょっと何か納得いかへんなと思うので、やっぱりスタートを六百にして、このテイクオフ支援を使いたいという事業所さんが本当に真面目にこの支援の趣旨にのっとって新規事業を展開できる、そういうサポートにつなげていくことこそが去年の六百が生きてくる力かなと思うので、これはぜひ検討してほしいなと思っているんです。
 もう一点、テイクオフのことで聞きたいのは、テイクオフ支援の対象にNPO法人はならないというふうに聞きました。ただ、非営利とはいえ、事業を行い社会的責任を果たしているNPO法人が何で対象にならへんのかなというのがちょっとよく分からないんですよね。ほんで、NPO法人は、法人として登記をすると、収益を目的とした事業を行うことができるわけですよね。こういう収益目的のNPO法人も何でテイクオフ補助金の対象にしてくれへんのかというのがちょっとよく分からないので、これの理由を教えてください。

◎中小企業支援室長(馬場正俊) お答えいたします。
 中小企業支援策におきまして、NPO法人等を対象とするか否かにつきましては、その事業の目的などを踏まえまして個別に判断をしているところでございます。
 NPO法人は、株式会社などの営利法人とは異なりまして、継続的、自発的に社会貢献活動を行う営利を目的としない団体と位置づけられておりますことから、本事業の対象であります中小企業、小規模事業者と一律に取り扱うことは困難と考えてございます。また、収益の上げ方、雇用の仕組みなど、様々な運営形態を踏まえまして支援すべきか否かの判断をしていく必要がございます。
 本事業は、緊急対策といたしまして、原油価格・物価高騰、人材不足などの厳しい経営環境にある事業者を一者でも多く迅速に支援し、事業継続につなげていくことを目的としておりますことから、NPO法人につきましては対象外としてございます。

◆(石川たえ委員) 個別に判断するという答弁と、NPOは対象じゃないという答弁と両方あったんですけど、個別に判断するというのは、NPO法人でも収益目的のところなんかは個別に判断してくれるということですか。それとも、NPOは全部駄目ということですか。

◎中小企業支援室長(馬場正俊) お答えいたします。
 先ほども答弁いたしましたけれども、NPO法人は、収益の上げ方、それから雇用の仕組みなど様々な運営形態がございますので、支援すべきか否かという判断は別途しなければいけません。今回の緊急対策といいますのは、基本的に迅速に中小企業、小規模事業者を支援していきたいという目的でやっている事業でございますので、今回におきましてはNPO法人は対象外という形にしてございます。

◆(石川たえ委員) 検討してもらえるのかどうかちょっとよく分からないんですけど、先ほど申し上げましたとおり、NPOの団体が法人として登記すると、収益目的の事業ができるんですよ。収益を目的としていいんですよ。その上、雇用保険を適用していれば、厚生労働省が用意している、先ほど御答弁にありましたキャリアアップ助成金の対象にNPO法人はなるわけですよ。ほんなら、国はちゃんと対象になるのに、何で大阪のテイクオフは対象にならへんのかなと思うんですけど、それはどうなんでしょう、部長。

◎商工労働部長(馬場広由己) お答えいたします。
 室長が先ほど御答弁させていただきましたけど、このテイクオフにつきましては、やはり原油価格・物価高騰、人材不足という緊急対策で、迅速に取りあえず早く新事業展開をしていただいてという気持ちが我々にあって行ってきた事業でございます。そういう部分では、委員御指摘のように、NPO法人というのはそういう事業をできることは間違いございません。ただ、全てのNPO法人がそういう事業をされるかどうかというのは話は別でございますし、また、その中身についても、しっかり雇用を生み出しているとか、有償ボランティアでやっているとか、いろんなことを聞いてございます。実際、NPO法人の中でそれを見ていこうと思うと、やっぱり中身を細かく見ていくという話で、迅速性の問題というのもいろいろございました。我々もいろいろ検討した結果でございますけど、今回、しっかりと中身を見させていただくというよりも、やっぱり迅速性というのを考えた場合、緊急対策ということを考えたときに、NPO法人につきましてはテイクオフの対象外にしたということでございます。

◆(石川たえ委員) じゃあ、ぜひ今後の検討課題にしてください。迅速性という意味では、NPO法人は、それこそ中小企業さんのようにいろんな物価高騰やコロナに対する支援金の助成を受けられる制度がないんですよね。だけど、収益を上げることによって、自分とこの法人がやっているいろんな目的の事業ができるという、そういう側面もあるわけです。全然助成もない中で、もう潰れかけているところも潰れたところもいっぱいあるんですよ。このNPO法人がやっている事業そのものがやっぱり地域に物すごく還元されているという意味でも、事業所法人登録もして、雇用保険も入って、ちゃんと事業として収益を上げていっているというNPO法人さんについては、迅速性という意味では精査するのに時間かかるからすぐにいかへんという思いも分かりますけど、今後、今回の教訓を生かして、対象にするかどうかぜひ御検討いただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

・PFOA問題について

◆(石川たえ委員) では、環境農林水産部さんに移ります。
 まず、PFOAについてお聞きをいたします。
 公表されている二〇二三年度(令和五年度)の摂津市内の水路及び地下水についてのPFOA水質調査の結果を見ると、PFOA、PFOSの合計値は、全ての地点で水環境に係る暫定指針値一リットル当たり五十ナノグラムを超過していました、こう書かれております。二〇〇七年度以降、継続的に調査を実施している地下水のPFOA濃度は、長期的には減少傾向にあるものの、二〇一九年度以降は横ばいで推移をしています。摂津市内の地下水については、飲用利用がないこと、水道原水については水道の暫定目標値を下回っていることが摂津市により確認されているというふうに聞いていますけれども、相変わらず地下水から高濃度のPFOAが検出されている下で、飲料水利用がないからと放置しておいていいというふうには私は思いません。
 ダイキン工業に恒久的な流出防止対策を早期に実施することを求めている、これは聞いているんですけれども、汚染対策はダイキン工業任せでいいんでしょうか、大阪府として独自の対策は行っていないんですか、教えてください。

◎事業所指導課長(萩野貴世子) PFOAは、水質汚濁防止法等の規制対象物質ではなく、府に事業者に対する法的な指導権限はないことから、事業者が自主的に対策を行うべきものと考えております。
 そのため、府、摂津市、ダイキン工業は三者協議を重ね、府は摂津市と共にダイキン工業に対し自主的かつ適切な対策を求めてきました。その結果、恒久的な流出防止対策として、ダイキン工業は専門家の助言を受けながら昨年十一月に遮水壁の設置工事に着手したところです。

◆(石川たえ委員) 法的権限がないから独自対策は要らんというふうには私は思いませんので、府民の健康をどう守るのか、この視点が重要やというふうに思います。遮水壁を設置したというのは私も聞いているんですけど、ただ、ダイキン工業はこの間一貫して工業敷地内での調査結果を全く公表していませんし、敷地外の調査についてはダイキン工業としてはやらないという、この態度を全く変えてもいません。これは九月にも申し上げました、法的権限がないからとダイキンにお願いするだけの姿勢ではあかんと思いますので、大阪府が独自対策できないのか、もっと真剣に検討を進めていただきたいと思います。
 摂津市では、汚染された地下水を利用して農作物を作っていた市民の血中から百ナノグラム近いPFOAが検出された、こういう事例もあります。水道水以外の摂取経路として農家の野菜を分析し、PFOA濃度が高いことも明らかになり、PFOAで高い汚染がある土壌では農作物にPFOAが入り込んでしまう、こういうことも今明らかになってきています。
 日本では、これまで土壌汚染の状態が不明となったままでしたけれども、農林水産省もやっと重い腰を上げて、昨年(二〇二三年)から農産物へのPFAS汚染について調査研究に着手をし始めた、こう聞きました。国の調査研究任せにせず、大阪府として高濃度のPFOA、PFASが検出された地域の農作物をはじめ、土壌汚染への調査を行うべきだと思いますが、見解はいかがでしょうか。

◎推進課長(溝淵直樹) 令和四年度から農林水産省では、農地土壌や農作物における分析方法や農作物へのPFOA及びPFASがどのように移行するかについて基礎研究が行われているところです。
 現在、農作物についての基準値や分析方法、評価方法等が確立されていない状況でありますことから、府は昨年七月、国に対しまして、農作物の汚染に係る指針値を示すことと要望しております。今後も引き続き要望を行ってまいりたいと存じます。

◆(石川たえ委員) ぜひ要望は行ってください。
 経済産業省の化学物質審議会に提出された資料では、PFASの半減期は九十二年、こういうふうに書かれておりました。過去に使用され、環境中に残留しているPFASが半永久的に分解しないからこそ、PFASは永遠の化学物質とも呼ばれています。水質・土壌汚染調査をはじめとする積極的な取組を行っていくことが府民の命を守ることにつながってまいります。地下水汚染の対策だけではなく、国の指針が出るのを待つ必要はあるかもしれませんが、土壌汚染や農作物の対策も併せて持っていただけたらいいのかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 PFOA、PFOSは、世界でも今、規制の動きが強まっております。アメリカは、二〇二三年、法的義務が伴う基準として、従来の一リットル当たり七十ナノグラムから格段に規制を強化して、PFOA、PFOSそれぞれ四ナノグラムとなりました。EUでは、二〇二三年、水道水指令が改正をされ、PFAS二十種類全ての合計で百ナノグラムという規制の動きとなっています。
 日本の水道水環境基準値は、先ほども申し上げましたが、PFOA、PFOS二種類合算で一リットル当たり五十ナノグラム、あまりにも緩いのが日本の基準値だと思います。アメリカの一日当たりの摂取量基準はPFOA〇・〇三ナノグラム、日本の食品安全委員会評価書の一日当たりのPFOA摂取量は二十ナノグラム、日本は驚くことにアメリカの六百六十六倍の許容量となっているわけです。専門家会議の議事録や昨年発表されたQ&Aでも、健康被害への影響は報告されていない、こう繰り返されておりますけれども、PFOAは、昨年、WHOのがん専門機関である国際がん研究機関で最も発がん性のあるランクグループ一に指定をされました。ヒトでの疫学研究で、PFOA・PFOS製造使用施設労働者に前立腺がん、膀胱がんの可能性は既に示唆されておりますし、アメリカ十万人規模での研究では、腎臓がんと血液中のPFOA濃度が関係している、こういう報告もされております。日本も国際がん研究機関の評価をしっかりと取り入れて、もっと規制を厳しくするべきだと政府に迫るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

◎事業所指導課長(萩野貴世子) 国に対しましては、府は昨年七月に、PFOA等の曝露による人の健康への影響について明らかにし、その結果を踏まえ、水質、土壌及び農作物等の汚染に係る指針値を示すことと要望しております。まだ指針値が示されていないため、引き続き要望を行ってまいります。

◆(石川たえ委員) 指針値を示して言うて要望するのはいいんですけど、五十ナノグラムではあまりにも緩いでいうのをぜひ書いてほしいなと思いますし、アメリカ並みの規制をというナノグラム数も書いてもらったらいいかなと思いますので、よろしくお願いします。
 人への影響という意味では、環境省が曝露状況の経年劣化把握のために、PFOS等血中濃度調査、いわゆるパイロット調査を行っております。この調査結果では、二〇二二年度八十九人、平均値三・四、ほとんどの日本人から検出されている、こういう報告が出ています。この血中濃度調査、いわゆるパイロット調査に大阪府は協力をしていますか。
 また、地下水を利用し農地耕作を行っていた近隣住民の血中から高濃度のPFOA検出がされていることは先ほども申し上げました。地下水モニタリングを続けることと併せて、生体検査、血液検査を行っていくことが国の知見を確立させていく力にもなってまいります。大阪府として、健康医療部としっかり連携をして、希望する全ての府民対象に生体検査、血液検査に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

◎事業所指導課長(萩野貴世子) 環境省が行っているPFOA等の血中濃度調査の詳細については把握しておりません。
 血液検査に関しては、環境省が専門家会議の監修の下、昨年七月に取りまとめたQ&Aで、PFOAが人体に影響を与えるメカニズムが解明されておらず、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかについては明らかになっていない。このため、血中濃度に関する基準を定めることも、血液検査の結果のみをもって健康影響を把握することも困難なのが現状であるとされております。

◆(石川たえ委員) 私もQ&Aを読んだんですけど、この間一貫して、メカニズムが分からへんから研究中やというのが国の対応かなというふうに私は思っています。だからこそ、やっぱり地下水のモニタリングだけではなくて、人体への影響がどの程度出ているのかという生体検査をやらへんかったら指針値は出ないわけですよ。それは大阪だけの取組ではなくて全国でやらなあかんことなんですけど、やっぱり大阪の摂津市が地下水から基準値よりもはるかに高いPFOAの検出がされているというこの大阪府が、その指針値を確立していくために、人体への影響はどうなのかという人体影響調査、血液検査を行うべきだというふうに私は思いますので、すいません、これも知事に聞きたいと思います。よろしくお願いします。

・都市農業について

◆(石川たえ委員) 次に、都市農業についてお聞きをいたします。
 令和四年策定の農政アクションプランでは、大阪農業の現状として、耕地面積は平成二十七年から令和二年度で五%減少、農林業センサス対象となる一定規模以上の農家が経営する耕地面積は一五%減少、農業者数と農業販売額はともに減少と、減少、減少、減少と続くんですが、ただ、もう一方で、販売農家一戸当たりの経営耕地面積は微増、経営面積一ヘクタール当たりの農業産出額は増加、全国四位、全国と比較して小規模でありながら高収益な農業が営まれているのが大阪である、こういうふうに評価をされておりました。成長し持続する農業へつなげていく上で、耕地面積を増やすなどの取組が必要なんですが、これと併せて、評価されているとおり、小規模農家への支援が欠かせないというふうに私は思っています。なので、大阪府として現在、こういう小規模農家にどのような支援策に取り組んでいるのか教えてください。

◎推進課長(溝淵直樹) 小規模であっても地産地消に貢献する農業者等は、大阪版認定農業者として認定、支援させていただいております。
 具体的な支援としては、まず、国の経営所得安定対策事業の交付金の加算対象としております。また、府単独事業の大阪版認定農業者支援事業により、共同で利用するトラクターなどの農業機械の購入や直売所や保冷庫などの施設整備に対して補助し、農業経営の効率化、規模拡大を支援しております。

◆(石川たえ委員) 国の認定農業はやっぱり割と大規模化に進む方向かなと思っているんですけど、大阪版の認定は非常に小規模農家を支えていく取組だなというふうに、実は大変評価をしているんです。なので、引き続き小規模農家の支援強化を進めていってもらうことがやっぱり農地や新規就農を増やしていく力になるかなと思いますので、ぜひとも引き続きの取組をよろしくお願いいたします。
 農政アクションプランに掲げた目標を達成していくためにも、市町村における振興計画の策定と取組の推進が欠かせないというふうに私は思います。現在、府内で幾つの市町村で振興計画が策定されているのか教えてください。

◎推進課長(溝淵直樹) 大阪府では、平成二十九年策定の新たなおおさか農政アクションプランを府都市農業振興基本計画として位置づけしたところです。これを参考に市町村に計画を策定するよう促しております。
 令和四年度末の時点の都市農業振興地方計画の策定状況調査では、大阪市のほか七市で策定が完了しているほか、岸和田市ほか八市で策定を検討中とされています。

◆(石川たえ委員) 市町村は地域農業の最も身近にある基礎自治体だというふうに思っています。農業者や地域住民の声を直接聞くこともできますし、地域農業の実態把握ができるのも市町村だと思っています。この市町村の強みを生かして生きた計画を立てることが大阪全体の農業の発展にもつながっていくというふうに思っています。
 豊中の社会福祉協議会が取り組む豊中あぐりプロジェクトは、宅地を農地に転用して、定年後の高齢男性の社会参加、地域の担い手として活躍してもらう取組として、共同で作物を育て、収穫した農作物は住民に直売、子ども食堂に提供、収穫野菜を活用したコロッケなんかをひきこもりの子どもたちを支援するお店で売る、こういう取組をされています。
 この豊中は振興計画があるんですけど、この豊中の計画の中に農や食を通じた市民の豊かな暮らしの実現に向けた取組というのが出てまいります。まさに振興計画に掲げた幾つもの中身がこのあぐりプロジェクトの中で生かされているなと思うんです。なので、現在七市が策定、八市が策定検討ということですから、もともと振興計画がなくてもビジョンはそれぞれの市町村がお持ちだというふうに聞いていますので、このビジョンをさらに豊かなものにして、おおさか農政アクションプランのように振興計画にしていく支援をぜひ市町村に対してしていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 農地を増やす取組について、東京の取組に着目をしています。東京では、都が二〇一八年から農家が所有する住宅や賃貸アパートを農地にする際の経費の補助というのを開始しました。二〇二二年度までに転換された農地は一・五ヘクタール、市民向け農園として利用するケースもあるというふうに聞いています。この制度を活用し、農地に転換し、区の老人クラブに無償貸出しされた方は、クラブ会員が生き生きと農作業に励む姿を見て、本当に農地を残してよかった、こういうふうに語られています。
 大阪も東京のように補助制度を創設して農地を増やす取組を進めてはどうでしょうか。

◎推進課長(溝淵直樹) 市街化区域では、計画的な土地利用を促す都市計画法により、既に市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされています。このような区域で宅地等を農地に復元するということに対しまして、財政的な支援を行うというのは、本府にとっては非常に困難と考えております。
 一方、生産緑地は、都市計画法において保全すべき農地として位置づけられておりまして、貸借も可能となりました。府としましては、生産緑地を活用して営農が継続できるよう支援を実施してまいります。

◆(石川たえ委員) 国の方向が以前より随分農業に向かって前向きになってきているなと思いますので、ぜひ生産緑地を活用した営農を積極的に進めてほしいということと、東京のようにお金がないから大阪は無理と言わずに、大阪にできることはないかなというのはまた考えてほしいなと思います。

・農福連携について

◆(石川たえ委員) 次に、農福連携についてお聞きをいたします。
 農福連携は、農業サイドと福祉サイドが連携して、近年、取組や対象が広がっています。今や、単に障がい者の働く場、居場所づくりではなく、農業の担い手、経営を支える大事な機能を果たしている、こう指摘される大学教授もおられます。農業経営基盤強化促進法に基づく地域計画を今立てている最中かと思いますが、この地域計画の中に大阪府として農福連携を位置づけてはどうでしょうか。
 また、農福連携を促進するために、障がい者福祉サービス事業所への耕作等のセミナーを開催してあげるとか、あとは、こういう障がい者福祉サービス事業所が農地を借りたり買ったりとかする場合に、その一部の補助をしてあげたらどうかなと。あと、そこで働く利用者さんの賃金や工賃をやっぱり支えてあげる、こういう支援策を大阪府独自に講じることで、農福連携でさらに広く営農にまでつなげる努力をしたらどうかなと思いますが、いかがですか。

◎推進課長(溝淵直樹) 地域計画は、地元農業者等の関係者が地域農業の将来像を議論し、その結果を市町村が取りまとめるもので、府は、地域計画に取り組む市町村に支援を行う立場でございます。将来像を議論する中で、それぞれの市町村や地域の実情に応じて農福連携も位置づけがなされるものと考えております。
 こうした中、農福連携、いわゆるハートフルアグリの推進に当たりましては、府では、大阪農業つなぐセンターというのを設けまして、取り組みたい福祉事業所や農業者からの相談にワンストップで応じております。
 また、障がい者の方に作業させたい農業者と就労先の拡大を希望する福祉事業所の方をマッチングし、農作業のインターンシップを通じて双方が農業への適性を見極め、作業請負契約の締結を支援しておりまして、この取組は大阪府工賃向上計画にも位置づけられているところです。
 こうした支援を通じましてハートフルアグリの促進に努めてまいります。

◆(石川たえ委員) いろいろ取り組んでいただいているというふうには思うんですけれども、自主事業として農業に取り組んでいる障がい者福祉サービス事業所が認定農業者になる、こういうケースも全国には増えていますし、後継者のいない農業者のリタイアを受けて、農作業をそれまでお手伝いとして農福連携でお手伝いに行っていた障がい者福祉サービス事業所が、もうその農地を預かって、自分たちで農地を経営するステップに移っている、こういうところもありますし、本格的に農業に参入しているよという、こういう事業所もあるわけです。農家が施設外就労という形で農作業を障がい福祉サービス事業所に請け負ってもらうケースというのもあるわけです。なので、農福連携というのは、単に園芸療法とか園芸福祉とかいうところにとどまらずに、全国展開として、本当に事業として、営農としての可能性が広がっているというふうに思いますので、今やっている取組がさらに促進できるようにどうサポートしていくのか、私は賃金、工賃をぐっと上げてほしいなと思いますけど、そこまでつなげる支援をしてほしいなということをお願いしておきたいと思います。

・地産地消について

 次に、地産地消についてお聞きをいたします。
 農政アクションプランの中に学校給食への大阪産(もん)の提供が位置づけられていますが、令和四年度の学校給食における地場産物及び国産食材の使用割合を見ると、大阪は地場産物は六・九%、全国平均は五六・五%、全国ワーストワンとなっています。なぜ学校給食で地場産物使用がこんなに低いのか教えてください。

◎推進課長(溝淵直樹) 文部科学省で、年二回の一定期間を対象に金額ベースでの使用調査を行っておられまして、大阪府ではその結果で六・九%となっております。
 一方、大阪府独自に、府内四十三市町村の小中学校を対象に、年間府内産農産物の重量ベースでの使用を調査しております。令和三年度の調査では、お米で約二四%、野菜で約四%であり、給食全体では総使用量一万八千トンに対する使用量は約一千八百トンと、おおむね一〇%を占めております。
 小中学校に対して行ったアンケートで、地場産農産物の利用する上での課題につきましては、数量の確保が困難であることや、生産が天候に左右されていることが指摘されておりまして、大阪は小規模な生産者が多いことが要因の一つになっていると考えております。

◆(石川たえ委員) 農業を主軸にしている都道府県との比較を単純にするものではないなというふうに思っているんですけど、ただ、小規模生産者が多くて数量確保が困難という、これも分からないではないんですが、例えば静岡県袋井市は、主要十品目を対象に、市場に出荷していない小規模農家から全量買取りをして、それを給食に提供しているわけです。
 大阪と同じように供給量の少ない東京でも取組が進められています。東京の小平市では、市の目標である地場産農産物導入率五%を三〇%にしようと決めはったわけです。三〇%達成のために、農業振興予算を活用して小学校への補助金交付を始めました。地場産農産物利用実績に応じて小学校に需要喚起を目的とした補助金を渡したわけです。地元JAによるコーディネーターの機能、JA、学校長、栄養士との連携、共通する認識、目標の醸成などにより、実は目標の三〇%を達成したというふうに聞いてもいます。
 農林水産省も地産地消の取組を今推進していっている中で、やっぱりおおさか農政アクションプランに掲げた大阪産(もん)の学校給食への活用、これを具体的にどう進めるのか教えてください。

◎推進課長(溝淵直樹) 学校給食は本当にいろんな機能を据えておりますので、地場農産物は、国では今、国産国消ということをやっておりますけども、大阪府の場合は地産地消で、地域の農業としての理解、それから多面的機能の取れたものを小学生の方にやっていただく。ただ、学校給食のサイドもいろいろな要件がございまして、給食会のほうに出向いていって、地場産がこのようなものがあるとか、うちのほうから情報提供させていただいたり、今年は岸和田市のほうでいろいろやらせていただいています。
 おおさか農政アクションプランでは、農を知る機会の充実を図るため、学校給食への大阪産(もん)の利用を掲げているんですが、アンケート結果を踏まえて、学校給食における地場農産物の使用割合を高めるため、利用を促すとともに、その需要に対応していくことが必要と考えています。
 具体的には、今年度、岸和田市の教育委員会と連携して、小中学校の栄養教諭らを対象に、地元産シュンギクに対する講習会の開催で啓発を行ったり、その結果、小中学校の給食で地元産シュンギクを活用したメニューが増えたということがございます。また、ブドウやシュンギクなどの主要産品の栽培技術の向上や、新規就農の確保の取組につきまして、生産量の増大を図っているところです。
 引き続き、大阪産(もん)の学校給食への利用に向け、PRと生産強化に取り組んでまいりたいと存じます。

◆(石川たえ委員) シュンギクがいい例やというお話で、これは非常に喜ばしいなと思っています。
 子どもたちは、嫌いなものであったとしても、例えば自分とこの地域で作られている畑に行って、それをもいで食べたときは、おいしいと言って食べる子が多いんですよね。なので、本当に大阪の農産物で子どもの心と体を育てていってあげるという意味では、学校給食への活用というのは欠かせないというふうに思っています。箕面市のように農業公社を立ち上げるような例もありますし、そうじゃなくてなかなか取り組めないという市町村もあるかなと思いますが、せめて大阪産の農産物が全ての学校給食に活用される方法はどこにあるのかということをもう少し市町村と連携して考えてもらったらいいかなと思いますし、学校給食なので、これは教育庁よというふうに手を離してしまったら絶対駄目だと思うので、環境農林水産部さんとして学校給食に使いますと掲げたからには、それを達成するための取組をぜひ強化してほしいと思います。

・地域猫対策について

◆(石川たえ委員) 最後に、地域猫対策についてお聞きをいたします。
 特定の飼い主はいないものの、住民合意でボランティアさんや地域の人々にお世話をされながら屋外で暮らしている、いわゆる地域猫の繁殖を防ぐためには、不妊去勢手術は欠かせません。しかし、不妊手術の相場は約二万円から四万円、去勢手術は一万円から二万円と高く、ボランティアさん負担になっている、こういうケースもあると聞いています。
 近年は不妊去勢手術のための補助を行っている自治体も多くなってきていますが、都道府県レベルで見ると、全国十四県が今、不妊去勢手術の補助制度を行っています。吹田市では、より多くの地域猫が不妊去勢手術を受けられるようにと、予算拡充が今議会で提案もされておりますし、府の動物愛護管理基金パンフレットには、野良猫の不妊去勢手術をするための必要物品を貸与、不妊去勢手術に基金活用というふうに出てくるんですけど、実績は実は令和三年までしか載ってない上に、令和三年実績は一地域なんですよね。要は一地域しか対象になっていないというのでは、猫って年四回出産しますので、一回につき八匹産んで、そのうちの半分が雌やったらどんどん増えるんですよ。なので、一年間で一匹の猫が産んだ子も出産していくことを計算すると、二百四十匹ぐらい猫は増えるというのが普通やというふうに言われているわけです。
 なので、不妊去勢手術というのは欠かせないんですが、今の大阪府の取組は間尺に合ってないというふうに思います。なので、殺処分ゼロを目指す大阪府が、不妊去勢手術を行う市町村への補助を行うなど、補助制度を今以上に拡大すべきと思いますが、いかがですか。

◎動物愛護畜産課長(朝倉一郎) 動物愛護管理基金を活用いたしました所有者のいない猫対策事業につきましては、所有者のいない猫を減らすとともに、ふん尿等の生活環境被害を低減するため、地域猫活動に取り組む地域団体等に対しまして、猫の習性や飼養管理に詳しいアドバイザーの派遣に加え、最大二十頭までの不妊去勢手術の実施などにかかる費用を市町村からの申請に応じて支援しております。
 これまでは、事業の実施主体を自治会単位としていましたが、今年度より、成人三名以上のグループに緩和するとともに、地域猫活動の中でボランティアが猫を保護して、人なれするまで世話を行った後、新たな飼い主に譲渡した場合についても支援対象とするなど、より活動しやすい制度となるよう拡充したところでございます。
 なお、本事業につきましては、毎年、市町村会議等で周知し、申請の受付を行っているところでございます。

◆(石川たえ委員) すいません、時間がそろそろ来そうなので、マイクロチップのことだけ少し聞かせていただきます。
 動物愛護法が改正をされて、ブリーダーやペットショップはマイクロチップを義務づけられていますけれども、飼い主は努力義務となっています。現在、都道府県としてマイクロチップ補助を行っている県は十六県です。大阪府も他県のように一部補助を行ってはどうかと思いますが、いかがですか。

◎動物愛護畜産課長(朝倉一郎) 令和元年の動物愛護管理法改正によりまして、令和四年六月一日から、ペットショップ等で販売される犬や猫へのマイクロチップの装着が義務化されたため、現在、ペットショップ等で購入した犬や猫にはマイクロチップが装着されており、購入者は自身の情報を登録する仕組みとなっております。
 ペットを家庭で受け入れる場合、飼い主は、マイクロチップの装着や医療等にかかる費用を負担するなど、終生飼養や適正飼養に努める必要があります。
 なお、動物愛護管理センターで収容した犬や猫につきまして、府民の方々に譲渡する際には、マイクロチップを装着した上で譲渡しているところでございます。

◆(石川たえ委員) 時間が参りましたので終わりますが、知事質問は、賃上げ支援について、奨学金返還支援について、PFOAについての三点で、委員長、よろしくお願いします。
 以上で終わります。ありがとうございました。



   


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