都市住宅常任委員会(2022年11月18日) 内海公仁府議の決算知事質問
・府営住宅の空き家の解消について
◆(内海公仁委員) おはようございます。日本共産党の内海公仁です。
府営住宅特別会計に関わって質問をさせていただきます。
令和三年度の府営住宅管理戸数は約十一万七千戸でした。そのうち、空き家となっている住宅戸数が二万三千戸あります。約一九%です。これが、七年前、平成二十六年度における府営住宅管理戸数は十三万七千戸で、そのうちの空き家戸数は一万六千戸でした。この七年間の間に空き家戸数は七千戸増加していることになります。空き家数二万三千戸のうち、建て替え準備等の政策的空き家が約一万戸ほどあるという事実はあるものの、空き家の増加は住宅管理の財政的視点からも問題があると言わなければなりません。
平成三年度の府営住宅特別会計の決算によると、公営住宅使用料収入が二百八十二億七千百七十万余円であり、前年度と比較して約四億円減少しております。仮に空き家への入居が促進されて一千戸入居者があれば、家賃の収入は約三億円増加しているという計算もあります。二千戸の入居ができたとしたら六億円です。
なぜこの数年間、このような空き家増加になっているのか、その原因について担当課は、様々な事情で募集するまでに時間を要する住戸が増えたと言われました。その理由だけで僅かな期間にこれほど空き家が多くなっていることは甚だ問題だと思っております。
一方、令和三年度に改定された大阪府営住宅ストック総合計画では、今後十年間で管理戸数を一万二千戸削減するとしております。空き家の解消に向けた取組が十分になされていない中で、応募倍率が低下しているなどの数字だけを捉えて住宅を削減しようとしているのではないかと私には見えてきます。府営住宅に入居を希望して申込みをしても、なかなか抽せんに当たらず、応募倍率が三十倍、四十倍という住宅団地も多く存在している、何年もひたすら申込みを続けているという府民の切実な声をよく聞くところです。
そこで、公営住宅使用料の収入確保の観点から見ても、今の現状のまま推移することはあってはならないと考えております。知事にもぜひこのリアルな状況を理解いただいて、府営住宅の抜本的な入居促進によって空き家の解消を図るべきと考えますけれども、知事の認識を伺いたいと思います。
◎知事(吉村洋文) 府営住宅の空き家につきましては、少しでも多くの住戸を募集に出して、府民の方々の入居につなげていくことが重要だと思っています。
引き続き、空き家の状態把握に努め、募集可能なものについては必要な戸数の修繕を行うよう指定管理者に義務づけるなど、できる限り多くの住戸を募集に出せるように取り組んでいきます。
◆(内海公仁委員) 空き家の解消について努力していくことが重要だということが知事からも示されたことは、そのとおりだと思います。しかし、一般的な取組では個別の状況は簡単に改善できないのではないかなと私は思っております。
パネルを見ていただきたいと思います。
先ほど、府営住宅全体の状況を示させていただいたところですけれども、私の地元でもあり、東大阪市役所のすぐ近くにある、そして、道を挟んだ東側には府立中央図書館がある利便性の大変高い春宮住宅の実態です。この写真は、集合ポスト五十四戸が並んでいますけれども、その中で、空き家になって養生テープでポストを塞いでいる箇所が十一戸あります。比率にして二〇%の空き家になっています。
次のパネルを御覧ください。
これは別な棟のポストです。こちらのポストは六十戸並んでいます。そのうちオレンジ色でマークしているところが空き家になっている箇所ですけれども、これが十三戸あります。ですから、これは二二%ほどになりますね。
住宅に住んでいる皆さんは、毎日このポストを見て、なぜこんなに空き家があるのかと、若い世代にもっと入ってもらったらにぎやかになるのにという話をされておりました。さらに、入居を希望して申込みを書いた府民が、この状況を見て、なぜ募集を増やしてくれないのかと不満に思うのは、ある意味、当然ではないかと思います。
令和三年度末の春宮住宅の空き家戸数は百六十九戸でした。平成二十六年度末の空き家戸数は四十九戸だったんです。実に三・四倍に、この間、空き家が増えてしまっています。令和三年度の春宮住宅の平均応募倍率は十一・九倍でした。このように応募倍率が高い、そして、大変利便性の高い団地で空き家が多く残されている、この問題については、一般的な対策にとどまらず、個別の強化策が必要だと思っております。指定管理者に対して特別の対策に必要な費用の配分なども含めて取組を強化していただきたいと思っておりますが、知事の所見を伺いたいと思います。
◎知事(吉村洋文) 委員御指摘の東大阪にございます春宮住宅を含めて、府営住宅の空き家については、引き続き、空き家の状況・状態を把握いたしまして、できる限り多くの住戸を募集に出せるように取り組んでいきたいと思います。
◆(内海公仁委員) それぞれ団地によって事情が違う状況があることは確かだと思うんです。ただ、私は何度も言うように、入居希望者が多い状況にありながら空き家が多く残されているという状況、しかも、数年前まではそんなに空き家が多かったわけではないという事実関係からみても、やっぱり個別の対策に特別に知恵を出す、このことは大変必要だというふうに思っております。
住まいは人権と言われます。公営住宅法の第一条では次のようにうたっています。「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」、これが公営住宅法の第一条です。ここにあるように、低廉で安全で快適な住まいを保障することは政治の重要な役割だと思います。
昨今、築年数の長い集合住宅などがなくなって、民間の住宅が次々と解体される、建て替えに伴って家賃が高くなったりする中で、公営住宅の希望が高まっています。特に、若年世代では非正規雇用などの不安定な収入であったり、高齢者世帯ではバリアフリーなどの配慮された府営住宅への希望が増えているのが実態です。府民の住宅の希望に応えられる府営住宅になるように強く求めて私の質問を終わります。ありがとうございました。
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