都市住宅常任委員会(2022年11月14日) 内海公仁府議の決算質問
・街路樹の適正な更新について
◆(内海公仁委員) おはようございます。共産党の内海公仁です。
まず初めに、都市整備部決算概要書三十七ページの府道緑化事業について質問いたします。
この事業は、府が管理している道路百三十九路線に整備された街路樹の維持管理及び計画的更新を実施したものと記載されております。言うまでもなく、街路樹は、都市緑化、都市景観の向上、防災、環境保全、交通安全など、様々な効用を持っておりますが、重要な役割を果たしているものであり、同時にその適正な管理・剪定・除草など、植物という生き物の維持管理は人間の事情を超えて必要なものであり、御苦労されていることに敬意を表したいと思います。
ところが、二〇二一年十二月、東大阪市内の地域の方から、府道に植えられている街路樹を連続して数本伐採撤去すると知らせが入ったわけです。なぜみどりを減らすのかと問合せがありました。八尾土木事務所と地元住民との話合いを行い、歩道の幅員確保のために植樹桝を一部縮小、撤去する必要があるためという説明を聞いて、部分的に植樹桝を縮小して、低木に替えてもらうこともできましたけれども、それでも数本の樹木が撤去されることになりました。
そこで、令和三年度における街路樹の管理・撤去・更新について、どのような考え方に基づいて実施されてきたのか、公園課長に伺います。
◎公園課長(酒井良和) 街路樹の更新については、令和二年三月に策定した都市樹木再生指針に基づき、道路交通や歩行者の安全を確保するため、支障となる樹木の植え替えを進めています。
令和三年度には、府道緑化事業費を活用し、樹木の根が歩道の舗装面を持ち上げたことで通行の支障となっている路線などにおいて、樹木の植え替えを行いました。そのうち、お示しの高木から低木への植え替えについては、幅の狭い歩道での通行に必要な幅員を確保するため、高木を撤去し、新たに低木を植栽しました。
引き続き、安全安心で快適な街路空間の形成を目指し、適正な街路樹更新を実施してまいります。
◆(内海公仁委員) この質問を準備する上で担当課から資料をいただいております。それによると、令和三年度、様々な事情で入替え植樹した高木は二百十本、低木、地被類は八千五百五十本という更新状況でした。ところが、撤去した高木は六百五十本という実態もあります。つまり、高木を中心に植樹数の三倍を超えて撤去されている実態があります。
次年度以降に補植する予定との説明はありましたけれども、このような状況が繰り返されることによって、街路樹がどんどん減っていくことになってしまいます。道路の幅員確保や安全上の理由で高木を撤去し、低木などに変更する必要があることは理解するところですけれども、全体として高木が減ってしまうということは憂慮する問題だと思っております。
街路樹によるみどりの保全について、改めて公園課長の認識を問いたいと思います。
◎公園課長(酒井良和) 委員お示しのとおり、安全で快適な街路空間の形成を目指し、適正な街路樹更新を実施してまいります。
◆(内海公仁委員) 全体として街路樹が減っていくというようなことのないように、全体をよく精査して対応していただきたいというふうに思っております。
同時に、公園の樹木の保全管理にも同じことが言えると思っております。公園の樹木については、近年、PMO型とかP-PFI手法などによる手法によってにぎわいづくりなどが優先されて、結果としてみどりと樹木の保全が後退するような事態になってはならないということを要望して指摘をしておきたいと思います。
・東大阪市における密集市街地整備事業の決算額及び取組状況、解消目標について
◆(内海公仁委員) 次に、密集市街地整備事業について質問をいたします。
決算概要報告書百六十九ページでは、密集市街地整備促進事業として、市に対して補助を行い、地区の整備を促進してきたと記載されております。地震等による住宅倒壊や火災の延焼の危険などから地域住民の安全安心を確保する事業として、長年にわたって取り組んでいる事業でありますが、東大阪市の若江・岩田・瓜生堂地区では、令和三年度末で三十八ヘクタールがいまだに解消に至っていません。
現在の計画では、令和七年度末までに解消を目標にしていると聞いております。そこで、まず、東大阪市における令和三年度の決算額及び取組の状況について、都市防災課長に伺います。
◎都市防災課長(宮本佳典) 東大阪市におけます令和三年度の密集市街地対策につきましては、防災性の向上や住環境の改善に向けて、老朽建築物に対する除却補助八棟四十四戸をはじめ、道路拡幅に伴う用地買収や整備等を実施し、決算額一千四百七十三万七千円を執行しました。
あわせて、地理情報システム、いわゆるGISを用いて実際の建物配置や構造を踏まえた評価を行い、特定した箇所における老朽建築物の除却などを進めるべく、建物所有者等に対し支援制度を紹介するダイレクトメールの送付や個別訪問による建物除却の働きかけを実施いたしました。
◆(内海公仁委員) ありがとうございます。
今、御答弁いただいた令和三年度の到達状況、これでは、まだ相当の対象地域の解消に至っていないという状況があるかと思います。平成八年度に事業がスタートしたその時点の対象地域は五十九ヘクタールあったところですから、これまでの取組で解消できたのは三五%程度。これから六五%近くを残り四年で目標達成できるのか、大変不安を感じているところです。
様々な手法によって解消を図ることになるのだとは思いますが、解消目標の達成について、都市防災課長の所見を伺いたいと思います。
◎都市防災課長(宮本佳典) 密集市街地の解消に向けましては、市街地の改善状況について市と共に毎年度検証することとしており、建物所有者の意向や民間によります建物更新の状況も踏まえ、令和三年度も事業計画を柔軟に見直し、より効果的な箇所での老朽建築物の除却などを進めているところです。
加えまして、東大阪市では、お示しの地区を対象として、一定の防災性能を備えた建物となるよう、令和三年度から防災街区整備地区計画の都市計画決定に向けた手続を進めており、自然更新などによります当該地区の防災性のさらなる向上が期待できます。
引き続き、東大阪市と密接な連携の下、目標時期までの解消を目指してまいります。
◆(内海公仁委員) 東大阪市の新たな地区計画の都市計画決定と併せて、府として一層の地元市への助言、支援も含めて事業の計画的な達成を望みたいと思っております。よろしくお願いいたします。
・土地貸付事業の概要と貸付料算定方法について
◆(内海公仁委員) 続いて、大阪都市計画局の決算に関わって質問をさせていただきます。
大阪府まちづくり促進事業会計決算概要書六十八ページの(一)、収益的収入及び支出のアにあります収入において土地貸付収益の決算額が十六億九百万余円とあります。りんくうタウンや阪南スカイタウンなどの造成地を民間などへ定期借地として貸し付けている事業だと思いますが、この貸付事業の概要と、貸付賃料の算定方法、賃料更新の考え方などについて、大阪都市計画局タウン推進課長に伺います。
◎タウン推進課長(高山博史) 令和三年度まちづくり促進事業会計におきましては、店舗や工場、住宅などの定期借地として、りんくうタウンで二十六者、阪南スカイタウンで三十二者、貝塚の二色の浜で二者、合計六十者に対して土地を貸し付けております。
貸付料につきましては、貸付け開始時は不動産鑑定による価格としており、契約に基づき、以降三年ごとに消費者物価指数と固定資産税相当である市町村交付金を反映して改定しております。その具体的な計算は、鑑定の貸付料には市町村交付金が含まれているため、まず、従前の貸付料から市町村交付金を差し引き、その金額に三年間の消費者物価指数の変動率を乗じて、貸付料改定時の市町村交付金を加えて算出しております。
◆(内海公仁委員) ありがとうございます。
ちなみに、りんくうタウン整備事業などは、関西空港建設に関連して大規模な土地造成を行い、そして、その造成地の分譲によって事業費をペイしようとしたものでありましたが、うまくいかず、分譲価格を引き下げるなどしてもなかなか分譲が進まない中、平成十五年にまちづくり促進事業会計を設置し、定期借地事業を中心に取り組んできたものであります。
その後、平成二十四年には定期借地期間を大幅に見直し、五十年未満の長期にわたる設定を行う対象用地を設定するなど、ハードルを下げてきた経過もあります。その影響も含めて、全体としては契約済み用地が拡大されて今日に至ってるという状況だと思っております。
契約から一定の期間が経過してきている中で、賃料の在り方の見直しも含めて、今日の社会経済情勢にふさわしい適切な価格設定になっているかどうかの検証も含めて、公正な事業執行に努める必要があると思っております。この点について、今後ともチェックをしていきたいということを申し添えておきたいと思います。よろしくお願いします。
・土砂災害対策事業の実施方針等について
◆(内海公仁委員) 次に、土砂災害の対策事業に関して質問を行います。
近年、各地で多発する地震被害、線状降水帯の発生による長時間の集中豪雨など、急傾斜地に隣接した地域に生活する府民や山間地の道路や河川の安全対策にとって、土砂災害対策は緊急課題になっております。
そこで、都市整備部決算概要等報告書の四十九ページに記載されております通常砂防費及び急傾斜地崩壊対策費について、令和三年度決算額として、通常砂防費で十五億七千四百六十二万余円、急傾斜地崩壊対策費は四億七千八百八十二万余円の執行となっております。
国からの補正予算なども含めて努力されていることとは思いますけれども、今年も新潟県や静岡県などで、土石流や崖崩れによる甚大な被害が発生していることから見ても、この事業の役割は大変大きいと思っております。決算年度に行った事業の考え方や事業の促進の考え方について、河川環境課長にお伺いしたいと思います。
◎河川環境課長(藤野昭生) 砂防事業及び急傾斜地崩壊対策事業につきましては、災害発生の危険度と災害発生時の影響度から優先度を定め、砂防堰堤、崩落土砂を受け止める待受け擁壁などの対策施設の整備を推進しております。
令和三年度にはこれまでの通常予算に加えまして、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用しまして、砂防事業を三十渓流で実施し、うち一渓流で概成、急傾斜地崩壊対策事業を十一か所で実施し、うち一か所で概成いたしました。
また、速やかに現地着手ができるよう、地籍などが混乱している箇所につきまして、地元市へ地図訂正業務を委託する取組などを実施いたしました。
引き続き、関係市町村との情報共有を基に、連携を図りながら事業進捗に努めてまいります。
◆(内海公仁委員) 地理的な状況からしても、対策事業の困難性もある中で御苦労されてることは理解しました。しかし、令和三年度の実際の事業着手状況は、土石流対策事業で六か所、急傾斜地崩壊対策事業費では着手二か所で、過去からの継続事業箇所ではそれぞれ三十か所、十一か所と聞いております。決算年度で事業が完成した箇所は、両事業合わせて二か所というのが実績です。
大阪府下で土石流対策の必要な対象渓流は一千九か所あると伺っております。急傾斜地崩壊対策対象箇所は、さらに六百八十三か所となっております。そのうち対策工事が完了しているところは、土石流対策で三百六十四か所、約三六%程度、急傾斜地対策では、完了箇所百九十六か所、二九%という状況です。
この数字からして、現在、国の加速化対策の五か年、令和六年度までの予算措置は、さらにその後も事業促進にとって恒常化されるべきものであるというふうに思いますし、増額こそすべきものと考えております。
このままのテンポで仮に毎年八か所事業着手していくことになれば、全ての箇所の対策を行うのには、単純に考えると百四十一年かかります。一・五倍の十二か所着手できると計算しても九十四年かかるという状況になります。その間に南海トラフ地震が発生するかもしれない。集中豪雨は何回発生するか分からない。この府民の不安を解消すべく、事業の在り方を抜本的に考える必要があると思っております。国の引き続く予算確保も含めて、さらに一層努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
・府営住宅の空き家戸数増加の原因及び空き家解消のための取組について
◆(内海公仁委員) 次に、府営住宅の空き家問題に関して、御質問させていただきます。
都市整備部決算概要等報告書百四十ページに、公営住宅特別会計の公営住宅使用料収入が二百八十二億七千百七十万余円となっております。これが前年度と比較して約四億円減少しているという状況です。
さきの委員会のときにも私が指摘させていただいたところですが、使用料収入が減少した原因が入居戸数の減少にあるのではないかと考えております。
東大阪市内の府営住宅は、令和三年度末で、管理戸数五千五百三十四戸に対して、空き家戸数は七百四十六戸もあります。七年前の平成二十六年--二〇一四年当時は、管理戸数五千三百十戸に対して、空き家戸数は二百六戸でした。実に空き家戸数は三・六倍になっています。比較的好立地の東大阪の住宅でもあります。令和三年度末時点での空き家戸数の現状について、なぜこのような状況になっているのか、経営管理課長に伺いたいと思います。
◎経営管理課長(田丸浩一郎) 令和三年度末時点の空き家戸数につきましては、入居者の高齢化が進行する中、平成二十六年度と比べ退去世帯数が増加しており、その空き家も、単身で亡くなった方の家財道具の撤去のため相続人調査を要するものや、汚損、臭いの付着などで状態が悪く、募集に出すまでに時間を要するものなど、公募までに期間を要する住戸が増えたことで平成二十六年度末と比べ増加したものと考えております。
◆(内海公仁委員) 今のお答えは、公募までの時間を要する住戸が増えていると、こういうことが空き家増加の要因だという、そういうお答えだったと思います。しかし、私は、果たしてその程度の理由だけで、七年間ほどの間に空き家が三・六倍にも増えていることの裏づけになってるのかなというのをほんとに疑問に思っております。東大阪以外でも、実はそのような傾向があるんですね。隣の八尾市の実態も見てみますと、令和三年度末の空き家戸数は五百五十二戸、同じく八尾の七年前は、空き家戸数は二百六十一戸でした。二・一倍に増えています。
特別会計としての歳入の重要な柱でもあり、住宅のオーナーとして府の立場からしても、家賃収入の減少は、これは放置しておけない問題だと思っております。府域全体の空き家戸数は二万三千戸程度と聞いております。そのうち、いわゆる建て替え対象など政策的空き家が約一万戸ほどあると聞いておりますけれども、仮に、残りの一万数千戸のうち一千戸の住宅が令和三年度に入居されていたと仮定すると、この年の家賃収入二百八十三億円を入居戸数の約九万戸から割り戻して計算すると、約三億円の収入が増えたことになります。二千戸で六億円です。仮に五千戸入居されておれば、十五億円の収入が確保できたことになります。
こうして歳入を確保することは、府営住宅の特別会計の立場からも大変必要なことだと思います。この立場に立って、令和三年度の空き家解消のための取組がどうだったのか、改めて経営管理課長にお伺いしたいと思います。
◎経営管理課長(田丸浩一郎) 空き家解消に向けた取組につきましては、令和元年度以降、少しでも多くの住戸を募集につなげていくため、臭いの付着等で直ちに募集できない住戸の状況を改めて調査、把握し、修繕により募集を行うことが可能と思われるものを公募しております。
東大阪市内では、令和元年度以降、前年度と比較した空き家戸数の増加幅は縮小傾向にあり、令和三年度の空き家戸数は、令和二年度より八戸減となっております。
また、空き家解消のためには、しっかりと修繕をして募集に回していく必要があることから、応募倍率がおおむね二倍以上の人気のある団地での募集住戸の拡大に向け、指定管理者が年間に修繕すべき空き家戸数を設定して修繕を促しており、東大阪市を管轄する管理センターでは、令和三年度の修繕戸数を二百四十戸に設定し、目標を達成いたしました。
引き続き、空き家の調査、状況把握をしっかり行い、できる限り多くの空き家を募集に出せるよう、指定管理者と連携しながら取り組んでいきます。
◆(内海公仁委員) いろんな努力を進めて空き家募集を増やしてるというお答えですけれども、その結果で三・六倍の空き家になってるという状況を考えたときに、私は、例えば、改修のための対応ですね、この取組をもっと検討し直さなきゃならんのじゃないかなというふうに思うんですよ、手法も含めてね。
例えば、臭いの付着などで時間を要するというケースがあるんだったら、それこそ通常の空き家保守とは別な対策を取って、一刻も早くその臭い等の除去も含めた手だてを取って、入居を公募できるような状況に持っていくと、こういうことがやっぱり求められているというふうに思うんですよね。
府民の側から見た場合に、空き家がいっぱい残ってる、放置している。なのに、入居したくて何度申込みをしても抽せんから落ちてしまうと。もうまるで宝くじを当てるような思いで毎回申込書を送ってるんだと、こういう府民の声があります。ですから、そういう府民の皆さんの声にやっぱりしっかりと応える。結果が僕は出てないと思うんですよ、この三・六倍もの空き家が増えてるという状況はね。ですから、そこにどう向き合うかという取組がこれから必要になってくると思います。
しかも、令和三年十二月に改定したストック総合活用計画がありますよね。この下で今後一万二千戸もの住宅を減らそうとしてるのが大阪府の考え方なんですよね。府としてやるべきことをやらずして、空き家が増えているとか、応募倍率が低下しているなどの数字だけをつまんで住宅を減らす計画そのものを改めていくことが必要だと私は思っています。
希望する府民がすぐに入居できる、そういう府営住宅にしていくのが大阪府としてのやるべき立場だと思っております。その立場から、私は改めて、令和三年度の空き家の実態、そして同時に、この年度に策定されたストック総合活用計画そのものの認識についても、これはぜひ知事に対しても見解を伺いたいというふうに思っておりますので、知事質問も要求したいと思っております。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。
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