健康福祉常任委員会(2022年10月20日) 石川たえ府議の知事質問
・保健所職員の増員について
◆(石川たえ委員) 日本共産党の石川たえです。
保健所職員の増員についてお聞きをいたします。
一般質問でも委員会質問でも、保健所職員の定数増、応援職員の配置、外部委託など、様々な方法で体制を整えた、こういうふうに言われました。
しかし、府所管保健所で保健師各一名、職員一名、技師が三保健所で各一名、合計三十九名の増では全く足りていなかったことが明らかになっています。保健所は、逼迫対応だけではなく、日常から保健所の体制強化は急務です。
奈良県立医大の調査で、人口当たりの保健師数が多い都道府県でコロナの罹患率が低いことを、一般質問でも私は申し上げましたが、この調査では、主に保健師が行う積極的疫学調査が感染クラスターの早期発見、早期対応を可能にし、感染拡大の防止に寄与したということ、保健師活動の活発な地域は、平時からの保健事業により保健師を通じた健康情報を得る機会が多く、住民がマスク着用、予防接種、外出自粛などコロナ感染予防行動を実践する傾向があり、感染拡大が予防されたと考えられるということなどを明らかにし、本結果は、保健師の数を増やすことは、日本におけるコロナの感染拡大を封じ込めるのに役立つ可能性を示唆した、こう結ばれております。
大阪の保健所職員配置はコロナの前から適正配置とはほど遠く、コロナ前から保健師は食事の時間すら取れない、こういうふうに悲鳴が上がっておりました。コロナ感染の有無にかかわらず、日常的に保健所体制を強化しておくことが大切だと思っています。
科学的知見に基づき、感染症等によるパンデミックが起こっても対応できる保健師職員の配置を日常から整備し、体制強化することを強く求めますが、知事の見解をお願いします。
◎知事(吉村洋文) 保健所の人員体制につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生以降、二年間で保健師と保健所の定数を増員してまいりました。感染急拡大時等については一時的に保健所業務が逼迫いたしますので、ここについては広域的ないわゆる保健所業務等を本庁に集約させる、あるいは全庁職員による派遣を行う、応援を行う、また、外部派遣職員等の配置により適正な体制を確保してまいりました。
今後も、業務支援や適正な人員体制の確保に努めていきたいと思います。
◆(石川たえ委員) 今、一時的に逼迫することもあると、こういうふうに言われましたし、業務集約や応援で対応されているということはこの間ずっと言われているんですけれども、実際対応できていないから保健所は逼迫しているんだと思いますし、職員の体も心も、そして、家族関係をも今ぼろぼろになっているというのが保健所職員の実情だと思っています。平時から保健所の体制を強化しておく、これがパンデミックに対応していくためには非常に大事だというふうに思っています。
適正配置するというふうに言われるんでしたら、これまで適正配置になっていなかったことを十分反省していただいて、一日も早く、平時でも保健所が強化できるように体制を整えていただきたいと思います。
・地域医療構想について
◆(石川たえ委員) 次に、病床削減についてお聞きをいたします。
委員会では、急性期病床は不足していない、こういうふうに部長答弁がありました。
知事も同じ認識でしょうか。
◎知事(吉村洋文) 令和三年度までの五年間で回復期患者は約三割増加しているのに対しまして、急性期患者は同約二割減少していたこと、また、コロナ禍前後における急性期の病床稼働率を踏まえましても、急性期病床が不足している状況ではないと認識をしています。
こういった状況も踏まえまして、引き続き、地域医療構想を推進していきます。
◆(石川たえ委員) 急性期患者は二割減少、こういうふうに今言われましたし、委員会では、急性期病床稼働率は、急性期は回復期・慢性期稼働率より低い。平成三十年八割、令和三年七割と、あたかもコロナ禍でも急性期病床の稼働率は低いかのように答弁がされました。
しかし、私はこれはおかしいというふうに思っています。そもそも急性期病床の稼働率は、回復期、慢性期などより低くなるものです。
厚労省の地域医療構想策定のガイドラインでは、病床必要量を推計する場合、稼働率のハードルを高度急性期七五%、急性期七八%、回復期九〇%、慢性期九二%で計算する、こうされており、そもそも高度急性期、急性期病床は稼働率が低く設定をされています。医師会や病院協会は設定のハードルが高過ぎる、こういうふうに言われてもいました。それでも、コロナ前の急性期病床の稼働率は大阪七八%前後とガイドラインよりも高く、急性期病床の使用が多かったわけです。
しかも、稼働していない病床にはコロナによる空床確保病床が含まれています。そもそもコロナで空床確保しなくてよかったときは、患者さんが入っていた病床を閉鎖して、コロナを受け入れるために空床としてきたわけです。これもコロナ禍で稼働率が下がる一因となっていると思います。
その上、令和三年度というのは、第四波、第五波、第六波とパンデミックが起こり、病床が足りずに、入院年齢の引上げや中等症以上の入院など入院制限をかけました。本来、感染症で入院すべき患者の多くが締め出されたわけです。必要な患者を入院させずに締め出せば、当然稼働率は下がります。
もともと低くされている稼働率、患者を入れていない病床も稼働率の算定に入れていること、そして患者を締め出している、これらの点から見ても、稼働率七〇%とコロナ前より低い、急性期患者数が減っているから急性期病床は不足しているというのは、私はごまかしだと思います。
直ちに計画を見直し、病床削減は中止すべきだと思いますが、見解を求めます。
◎知事(吉村洋文) 人口構造を見ましても、これからさらに高齢者の方が多く増えてくるという人口構造になります。過去五年間を見ましても、やはり回復期患者は増えていると、また、急性期患者は減っているという状況でもあります。
そういった背景も踏まえまして、やはり地域医療構想のこの背景、まさに人口減少、高齢化に伴う医療ニーズが変化するわけですから、その見通しは変わっていませんので、引き続き、地域医療構想の基本的な枠組みを維持しつつ、病床転換等の取組を進めていきたいと思います。
◆(石川たえ委員) 将来、高齢化社会になるからという動向を見て推計を出されるのはいいんですけど、だからといって目の前の高齢者を捨ててええという話には全くならないというふうに私は思います。
政府のコロナ後の地域医療構想に関するワーキンググループの資料では、局地的な病床数不足の発生、医師、看護師不足などが課題として挙げられていました。医療部会の意見では、平時からの備えとして計画を立てることが欠かせない。コロナに関する診療機能等の実態をもう一度調査し、それを医療構想のデータとして示してほしいなど意見が挙げられています。明らかにコロナ前と事態が変わっていることを、この地域医療構想に関する問題でも専門家が指摘をしているんだと思います。
以前にも申し上げましたが、今年二月の国会で大臣が、地域医療構想について、地域の将来ニーズに合わせて自主的な判断で地域医療構想をつくっていくが、今はコロナの事態もあり、それらの作業は事実上進めていない状況。こうした事態のときに無理に進める必要はない、こういうふうに答弁もされているわけです。
全国最多の死者数を出している大阪が、急性期病床の稼働率が低いなどといって、病床削減の先陣を切るべきではないと私は思います。一般質問でも示しましたが、今年度の病床削減・転換の基金規模は大阪が全国で一番多いです。
少なくとも今年度の九百三十四床は凍結する、そして、病床削減はストップするということを再度求めたいと思いますが、いかがですか。
◎知事(吉村洋文) コロナの議論と重ねておっしゃいますけれども、府内の高度急性期を含む急性期病床というのは約五万床ありますが、コロナの受入れ病床は約四千七百床であります。
コロナの受入れ病床については、やはりこれは感染症に指定されているということもあり、また、府の要請を受けて、そして受入れ病床として、この間、医療機関に協力を得て確保してまいりました。ここが直結するもんではないだろうと思っています。
高齢者が増えてきている中で、医療のニーズというのを考えたときに、やはり今の大阪府の実際に入院されている方を踏まえて考えますと、この地域医療計画を進めていくということが大阪の人口構成にも合った、また、地域の医療ニーズに合った方向だと思っていますので、これを維持しつつ進めていきたいと思います。
◆(石川たえ委員) 将来の人口動向に合った医療ニーズに応えていくものというふうに言われることを私は別に全く否定もしていませんし、超高齢化社会に向かって回復期、慢性期の病床が必要になってくるということも十分理解はしていますけれども、ただ、今の時点でそれを推し進める必要があるのかと、一旦凍結するべきじゃないのかというふうに申し上げていますので、急性期病床の稼働率が低いなどといってごまかすというのは、私はやめるべきではないかなと思いますし、病床は全く余っていません。入院できていない高齢者がたくさんいてますので、知事答弁は納得できないということを申し上げて、次に進みたいと思います。
・高齢者、障がい者職場でコロナ陽性者ケアを行う職員の特別手当について
◆(石川たえ委員) 高齢者・障がい者職場でのコロナ陽性者ケアを職員の特別手当の支給についてお聞きをいたします。
事例を一つ紹介いたします。高齢者のグループホームで陽性者が二名出ました。当然この二名は、大阪府の要請で入院ができずに施設内療養となりました。ケアに当たった職員がまた感染をいたします。陽性者のケアと自宅療養となった職員の穴埋めで、朝九時から夕方六時まで陽性者のケアに入り、六時からは自分のフロアの夜勤に入り、二十四時間以上仮眠も取れずに仕事をこなしてきた職員がまた次々と感染して倒れていく、こういう施設内療養は想像を絶する事態と今なっているわけです。
陽性者ケアをすれば、当然感染リスクは高まって当たり前です。この感染リスクが高まって当たり前の現場で施設内療養をやれと言うんであれば、この従事者に手当をするのは、私は必要なことだと思っています。
委員会では国に働きかけるというふうに御答弁いただきましたけれども、国に働きかけるだけでは不十分です。大阪府として、こういう職員さんへの特別手当の支給をしたらどうかと思いますが、知事の見解を求めます。
◎知事(吉村洋文) 高齢者施設及び障がい者施設に対しましては、国制度を基本にしつつ、従業者への割増し賃金等を含むかかり増し経費を支援しています。
高齢者施設に対しましては、施設内療養の際に生じる様々な負担増がございます。ですので、ここは国制度に加えまして、府独自の制度としても追加の支援、補助を実施してきたところです。
今後も、国の責任で支援策を講じていただけるように国に対しては当然働きかけをいたしますが、府としても、この府独自制度を行いながらしっかりと支援をしていきたいと思います。
◆(石川たえ委員) 施設内療養されている事業所さんに府独自の制度をつくっておられるというのは、もちろん承知をしています。
ただ、今言われたかかり増し経費も、そして、その府独自の補助制度も事業所さんに入るものであって、コロナの陽性患者をケアした職員さんに直接入るかどうかというのはまた別の話になってまいります。
全体の底上げするためにその補助制度は大事なものやと思っているんですけど、陽性患者のケアをしている人に、医療従事者のように特別手当を支給したらどうかというふうに私は申し上げていますので、大阪府の補助制度があると言われるんだったら、それをさらに拡充していただいて、施設内で陽性者ケアに当たられた職員にも医療従事者と同じように特別手当が支給できるように、補助制度の拡大を求めておきたいなというふうに思います。
最後に、福祉職場の賃金引上げについてお聞きをいたします。
大阪府は以前、大分以前ですけど、保育士の公私間格差をなくすために大阪府独自の賃金上乗せ制度を実施していました。これが実は物すごく喜ばれていて、公私間の格差がかなりありましたので、私立でお勤めになっている保育士さんが本当に生活できるようになったというふうに喜んでおられたわけです。
残念ながらこの制度は廃止されまして、今、保育士がどんな現状になっているかというと、奨学金返済に充てるお金がない、男性保育士は結婚したくても収入が低過ぎて結婚できないというふうに悲鳴が上がっているわけです。
今、保育士をはじめ福祉職場は、全産業平均よりも八万円低い賃金の中で苦しい生活を余儀なくされています。保育も介護も障がいも命を預かる専門職であり、このコロナ禍でも随分な御苦労をかけているところだと思います。国の取組は焼け石に水になっているからこそ、大阪府で制度の創設をしてほしいというふうに私はお願いをしているわけで、福祉職場で働く職員を支えることは、現役世代を支えることに必ずつながってまいります。
みんなが安心して働く土台を支える福祉職場職員の賃金引上げ制度をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
◎知事(吉村洋文) 処遇の改善につきまして、本来、国において、これは公定価格がありますから、公定価格等の見直しによって一律の持続的な対策を行うことが望ましいと考えています。
限られた財源の中で、民間事業者の給与について府独自の支援を行うというのは困難であると考えますが、府としては、公定価格等の見直しについて引き続き国に要望してまいります。
◆(石川たえ委員) 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
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