教育常任委員会(2022年3月18日) 内海公仁府議の知事質問
・少人数学級の推進のための府独自の措置について
◆(内海公仁君) おはようございます。日本共産党の内海公仁です。
知事に質問します。
少人数学級の推進のために府独自の措置を行うことをぜひ決断していただきたいと思っております。府下十二の市町で独自の努力もされています。さらに、全国県別に見ると、二〇二一年度、国の措置として小学校二年生まで三十五人学級が実施されたこともあって、広域自治体としての役割を発揮して推進しているのは四十三都道府県になっています。大阪府の遅れが目立ち過ぎています。ぜひ財政措置を含めて府として手だてを取ってほしいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
◎知事(吉村洋文君) 小学校におきましては、教員が子どもと向き合う時間を確保して、そして一人一人に応じたきめ細かな指導を行うことが重要だと思っています。各校の状況に応じてどのように教育体制を構築していくかについては、義務教育の主体である市町村が考え、そして実施していくべきものであるとも考えています。
国が配置する教員を効果的に活用できるように、府としては、市町村が学校の実情等に応じて、少人数習熟度別指導または三十五人学級編制を選択できるようにしております。
◆(内海公仁君) 知事の答弁は、前年度の対応と何ら変わりません。
文科省の学校基本調査によると、中学校の学級数全体の中で三十人以上の学級が占める割合に大きな差があります。比率が二〇%台の県が、秋田、福井、高知、山形、鳥取などです。一方、埼玉、神奈川、東京などは七〇%以上と、都道府県によって差が出ています。大阪は六四%で、高いほうから十位です。
東京大学大学院の教育社会学の本田由紀教授は、これに全国学力・学習状況調査で示されている自己効力感のスコアを並べると、多人数の学級の割合が多いほど自己効力感が低くなっていることを指摘しています。たくさんの生徒の中で自分が埋もれてしまい、自分の意見や個性を発揮することが難しくて、教員からもきちんと見てもらえないというのが自己効力感の低さにつながっていると分析しています。だからこそ、学級規模を小さくしていくことが学びの改善のために必要であり、そのために各県は努力をしております。
加えて、教員不足が問題になり、非常勤講師も不足する事態があり、コロナ禍での新たな業務の増加やICT化の急速な推進、事務的業務や課外活動の多さなど、教職員には多大な負担がかかっています。国は、三十五人学級を制度化した一方で、これまで様々なテーマで加配していた分を担任に振り替えるというやり方です。結果として、学校では、クラスが増えても教員は増えないという矛盾が出ているのです。行政が教育環境改善のために真っ先に行うべきことは、これら現場の教員不足に応えることだと思います。そのために措置を取る、その立場に立てませんでしょうか。改めて知事に伺いたいと思います。
◎知事(吉村洋文君) 大阪府において、それぞれやはり市町村で実情が異なる部分もあります。少人数習熟度別の指導ができる、あるいは三十五人学級編制を選択できるようにしています。この国加配を活用しまして、大阪府においても、これは一・二年生は当然やっておりますけれども、三年生以上でも三十五人編制ということを採用しているところもございます。
今後、段階的に三十五人学級を増やしていくことになりますが、現時点において、市町村が実情に応じて選択できるように、国加配を活用して進めてまいりたいと思います。
◆(内海公仁君) 国の法改正があっても、そして市町村が努力をして頑張っていても、大阪府だけは、やるのは国と自治体という無責任ぶりです。大阪の子どもたちが、政治の在り方によって遅れた環境に置き去りにされることは大変残念でなりません。
・府立高校での司書教諭の発令と学校司書の配置について
◆(内海公仁君) もう一つお伺いします。府立高校での司書教諭の発令と学校司書の配置についてです。
知事が設置者であり、そして府教育庁が運営に全責任を持つ府立高校について、昨年十一月、私は知事に対して、養護教諭の複数配置を求めました。これに対して、知事は、国の定数配置の中で運用しているということで、ここでも府の独自の財政措置を拒否しました。
私は、今議会の中で、学校図書館の司書配置について求めました。これに対して担当課長と教育長の答弁は、司書教諭を任命して教職員集団で対応しているという答弁でした。
しかし、かつて大阪府は、ほとんどの高等学校に図書司書の役割を持つ職員を専任配置していました。今から十五年ほど前です。ところが、二〇〇八年、橋下知事就任後、財政難を理由にした財政再建プログラムによって廃止方針が示され、二〇〇九年二月五日、一般事務助手配置基準についてという通知によって図書館への専任配置は廃止されました。しかし、その後、二〇一四年六月、学校図書館法が改正されました。学校司書の規定が正式に法制化され、図書館司書配置の努力義務が課せられたわけであります。
それから既に八年が経過しております。二〇一四年(平成二十六年)監査で、法改正の趣旨を踏まえて、学校が抱える課題や実情を十分に把握し、学校図書館の利用を一層促進されたいと指摘がありました。それに対する改善措置は運営組織の立ち上げであり、そして昼休みと放課後の開館状況の点検というものでしかありませんでした。
この間、税収増加、そして公債費の減少などで財政は改善されると言っております。だったら、ここで法の精神に従って、図書司書の配置に踏み切るべきではないでしょうか。何でも切り捨てたらそれでおしまい、それでは本当の改革とは言えないはずであります。知事、どうでしょうか。
◎知事(吉村洋文君) 府立高校におきましては、司書教諭を中心として全教職員で体制を構築することで、学校図書館の運営が適切に行われていると認識をしています。
学校司書については、法律上努力義務が課せられる一方で、国からは配置に必要な財政措置すらされていない状況であり、府教委から国に対しても、必要な支援策を講じるようまさに要望しているところでもあります。
◆(内海公仁君) 知事ね、学校図書館が今、教育庁の報告でも、昼休みとか放課後は基本的に開館してますと、こういう報告は確かにあります。しかし、問題は、開館していたらそれで学校図書館の役割を果たせたかどうか、ここが問題だと私は思っているんです。図書司書が専任で配置されていることがどれだけ図書館の活用に大きな力になるか。そして、図書の整理、このことと、それから子どもたちの希望に添った図書の提供、これに責任を持つ司書の配置というのは本当に必要だと思います。政治の責任が今問われていると思っております。
橋下知事は財政難を理由にして廃止したわけですから、吉村知事は、財政は好転しても、法律が変わっても対応を変えない、こういう姿勢に立つのでしょうか。それが大阪維新の会の代表を務める吉村知事の態度であるなら、それは納得いかないと私は思います。せっかくここまでいろいろ吉村知事としても努力して、財政の好転に役割を果たしてきたわけですから、必要な図書司書について、それこそかつては国の措置に先んじて大阪府は取組をやってきたことですから、やっぱりここは学校現場に温かく手を差し伸べる、そういう姿勢が私は必要だと思いますが、いかがですか。
◎知事(吉村洋文君) 財政が非常に厳しい、その中で財政再建をしていく中で、実習助手をどうするかということで、たしか三人だったのを二人にするという中で、学校の中でも議論をしてもらい、例えば理科の実験とかそういったところはしっかりやっていこう、そして学校の図書については、司書教諭がいますので、司書教諭を中心にして再構築していこう。そして、現在は司書教諭を中心としまして、昼休みあるいは放課後も図書館を運営をしている、運営が適切に行われているという現状でもあります。司書教諭を中心として学校図書の運営を図っていく、そちらが適切だと思っています。
もちろん、法律上努力義務を課すということで国がやっているわけですから、これは努力義務でありますけども、その法整備をするのであれば、きちんとこれは財政措置もするべきだと思っていますので、その財政措置については要請をしてまいります。
◆(内海公仁君) 結局ね、財政措置がなかったら大阪府は何もしないということを繰り返したにほかならないと私は思っています。
今質問した二つのテーマは、どちらも、国民と学校現場の声に押されて行われた国の法改正について、大阪府がどういう態度を取っているかということについて、私は指摘をしました。まさにこの法改正の趣旨にも逆行しているということが私は問題だと思っています。
一方で、吉村知事は、大阪府に巨大なカジノをつくるIR整備計画そのものをいよいよ国に申請しようとしています。今から十年先にカジノがオープンされて、大阪の若者たちがギャンブルのお客さんとして狙われている。ギャンブル依存症で苦しみ、人生も家庭も狂わせてしまう府民と若者をつくり出すことになってしまいます。しかも、今止めなければ、十年先からさらに三十五年間、つまり四十五年間も止めることができないという、こんな状況になってしまうわけです。人の不幸を食い物にして利益を生み出すカジノです。こんな理不尽なカジノ計画に突き進むことは、大阪の子どもたちにとっても不幸な事態であり、断じて許されないことだということを私は改めてはっきりと表明して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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