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議事録

教育常任委員会(2021年11月25日) 内海公仁府議の知事質問


・高等学校における養護教諭の配置について

◆(内海公仁君) 日本共産党の内海公仁です。
 吉村知事に質問いたします。
 学校現場では、昨年度の突然の一斉休校と学校再開後の行事日程の変更や長期休暇の短縮、土曜授業の実施、常時マスク着用を求められ、会話やふれあいを制限される学校生活によって、子どもたちのストレスが高まっています。
 そうした中、二〇二〇年、全国の児童生徒の自殺は前年を百人上回る過去最多の四百九十九人となり、とりわけ高校の女子では前年の八十人から百四十人と七五%増加です。深刻な状況です。そして、教員の負担も深刻です。
 そのような状況で、府立高校では、生徒数やクラス数の減などの理由はあるものの、教職員定数は年々減少しています。とりわけ養護教諭の減少は深刻です。特に今年度は、昨年度養護教諭が複数配置されていた七十二校が五十三校へ十九校も減っています。コロナ禍の下、養護教諭は激務が続いています。現場では、養護教諭だけで対応できない部分は、職員集団で保健委員会を構成し他の教職員が保健室の業務のフォローに当たるなど、影響は学校全体に広がっています。特に保健室が閉まってしまう瞬間もあります。生徒の安全、健康と命に直結する問題です。
 教育庁としては、国の標準法の範囲内の定数を実情に即して効果的に配置しているとのことでありますが、コロナ禍の状況からしても、府独自の財政措置も行い府費負担での養護教諭の配置増を行うべきだと思いますが、知事の考えをお聞かせください。

◎知事(吉村洋文君) 府立高校の養護教諭についてですが、これは教育庁において、生徒数だけを基準として配置するのではなくて、それぞれの学校の実情、これに応じて、心身の健康課題を抱える生徒数であったり、あるいは医師や地域の関係機関と連携した継続的な支援の必要性等々の要素を踏まえて複数配置をしています。八百人かどうかということではなくて、複数配置をする、まさに実態に合わせて判断をしているというところであります。
 また、コロナの影響を踏まえまして、生徒の様々な課題に対応するために、国に対しては教職員の定数の改善を要望しているところです。
 現時点で、府単独での配置ということは考えておりません。

◆(内海公仁君) 国の標準法では、生徒数八百一人を超える学校では複数配置するのが基準です。ところが、生徒数が八百一人を超える学校でありながら、一人配置になっている学校が三十一校あります。一方、府教育庁は、課題が多く必要性を認めている学校では、国標準法の枠を超えて八百人を下回る学校の三十七校で今年も複数配置を行っています。
 養護教諭の複数配置というのは、生徒の健康管理と安全にとって極めて重要な課題であることは明らかであり、だからこそ府教育庁は、これまでも、そしてこれからも、八百人以下の生徒規模の学校でも複数配置を行っていくことだと思います。そうであるならば、せめて標準法に規定する複数配置に府として責任を果たすべきであり、その立場から、三十七校については直ちに府費で養護教諭を配置すべきだと思いますが、改めて知事の思いを聞かせてください。

◎知事(吉村洋文君) 国の標準法に基づけば、八百人を前後に、八百人以下であれば一人、八百人を超える場合は二人ということで定数配置をされているところです。その中で、委員御指摘のとおり、八百人を超えるところで複数配置してない学校も当然ありますが、ただ逆に、この国の定数配置とは異なる方向性で、八百人以下の学校であったとしても、その学校の状況、各学校によってやはり状況が違いますから、人数だけで判断できないところがあります。学校の実情に応じて、課題を抱える生徒さんが多い学校であったり、その必要性を踏まえて、八百人以下でも国の定数とは違う、それを超えて複数配置している学校も三十二校ございます。なので、学校の実情に合わせた配置をするということが、子どもの教育の観点からも適切だろうというふうに思ってます。
 八百人を超えるということをもって、さらに府独自で複数配置するということは、現時点で考えてはおりません。

◆(内海公仁君) 先ほどの私の質問の中で、複数配置ができてないところを三十七校と言いましたけど、三十一校の間違いですので、訂正しております。
 府は、必要があって複数配置をしているという現実があるわけですから、今現在八百人を超えておる学校で複数配置ができていない、そのことに対して、やっぱり府は責任を負うべきだということを改めて指摘して、その配置を強く求めて次の質問に移りたいと思います。

・府立高校の再編整備計画について

◆(内海公仁君) 府立高校の再編整備計画について質問をいたします。
 まず、今回提案されている島本、茨田、泉鳥取高校三校の募集停止については、条例でいう三年連続募集定員割れが続き改善の見込みがないという規定に加えて、さらに今後の中学校卒業生の減少を挙げております。
 しかし、これには矛盾があります。二〇一七年は二十四校で募集定員割れ、その後も毎年三十校から四十校ほどの高校が定員割れとなっています。これは、二〇一一年の私立高校授業料無償化拡大の影響で流動化が起こっている。それまで公私比率は大体七対三程度のすみ分けを行ってきた。それを廃止したことにもよります。それ以降、公私比率はおおむね六対四程度になっております。また、二〇一四年度から通学区割りの全廃など大きく影響していることは明らかです。
 こうした政策的影響が大きい下で、条例の在り方そのものを見直しをするべきだと私は思っておりますが、知事の見解を伺います。

◎知事(吉村洋文君) 公私比率が変わってきているのは、まさに中学から高校に上がるに当たって自分の行きたい学校に行けるようになっているということなのではないかというふうに思っています。まさに選択する側は生徒のほうであるというふうに僕自身は思っています。
 その中で、全体の母数なんですが、やはりこれは大きく減少してきています。府内の公立中学校の卒業者の数ですけども、昭和六十二年には十四万八千人いましたが、これがどんどん減少して、平成二十九年にはその半分の七万四千人になってます。さらに令和十二年には六万人に減少していきます。今後ますます少子化は進んでいくという状況です。
 その中で、府立高校が多様な学習の活動であったり、あるいは活力のある教育活動を展開していくため、また教育上の効果を上げていくためにも、適正な規模を維持する必要がこれは教育的観点からあると思っています。教育委員会においては、府立高校の適正な配置を進めてもらいたいと思います。
 また、こういった現状を踏まえた上で、府立学校条例の二条二項については見直す考えはありません。

◆(内海公仁君) そもそも高校で学びたいと願う子どもたちの学ぶ権利を保障するために設置されている公立高校の定員には、ゆとりがあって当たり前であります。志願者が定員に満たないことは、募集停止の理由には本来なりません。府教育庁は、毎年、進学のセーフティーネットと称して、公立、私立の募集数の合計が進学予定者数を上回ることを基本にしております。先に入試を行う私学の一部で定員をはるかに上回る合格者を出している状況もあります。公立高校の一部で志願者が定員に満たない状況が生じるのは、これはある意味、制度上の必然でもあるわけです。学びたいのに行き場がない子を出さない、そのための制度を理由にして学校を潰すというのは、全く道理がないと思います。
 また、通学区が撤廃され、進学指導などの特色ある学校が設置されるなど、府の施策によって府域全体で偏差値による競争と学校の序列化が進められ、いわゆる二極化現象と言われる状況の下で、府の周辺部に位置する学校や高校進学を願う子どもたちの最後のとりでと言われる学校が志願者が定員に満たないという状況となるのは明らかです。
 府域の周辺部の学校は、学ぶ権利を保障するだけでなく、地域の学校として重要な役割を果たしております。なくしてしまえば、地域のまちづくりの上でも、地域の風格、いわゆる都市格の点からも重大な損失となります。阪南市長からの要望書にも、府内で私立を含めて高等学校のない市は存在しない中、同校は重要な社会資源であると強調されているわけであります。加えて通学区割りの撤廃は、一方で生徒と保護者には通学にかかる時間的負担と金銭的負担が重くのしかかっています。その負担を考えると、負担の少ない地元の学校に通いたいというのは当然の要求です。地域の高校の廃止は、その選択肢を奪うことにもなります。
 また、第三に、府教委は、普通科高校の募集学級数を六クラス以上としていますけれども、全国的には一学年二学級から四学級の学校も少なくありません。また、一学級の定員を四十人として募集を行っていますが、多くの都道府県では少人数での募集が行われており、OECD加盟国の多くは二十人余りとなっているのが実際です。少子化を理由に学校を潰すのではなくて、少子化をチャンスとして捉え、少人数学級の実施あるいは学校規模の縮小など、一人一人に行き届いた教育のための条件整備、改善こそを行うべきだと私は考えております。
 地域や学校関係者と十分な協議を行うべきです。一学年のクラス編制の柔軟な対応、少人数制のクラス編制なども含めてあらゆる手法を検討すべきであり、そのための時間を確保するために、三校募集停止は一旦撤回し、関係者と協議をしっかりと行うべきです。そして、そのことが担保される条例にすべきではないかと思っております。それでも知事はこの条例でよしとするんでしょうか、いかがですか。

◎知事(吉村洋文君) この条例の中にも、その学校が所在する地域の特性その他の事情を総合的に勘案するというふうにも規定もされています。そして、何より子どもの教育の環境ということを中心に考えていく必要があると思っています。教育の効果を上げていくには適正な規模の維持が高校教育においては必要だと考えています。
 先ほど申し上げたとおり、子どもの数はもう半分以下になっているという状況です。学校の数だけがそのまま残るということも、やはりこれは子どもの教育的観点からすれば違うんだろうというふうに僕は思っています。大阪府というのは日本で二番目に小さい都道府県で、交通インフラも発達もしてますが、この大阪というエリアの中で、子どもの数も半分以下になっているという現状で、そして子どもたちが行きたい学校に行けるようにする。私学の無償化なんか、まさにその趣旨ですけども、行きたい学校に行けるようにする。そして、府立高校において教育上の効果を上げていくというためにも、やはり適正な規模を維持する必要があるというふうに思っています。

◆(内海公仁君) 学校が多ければいいとか少なければいいとかそういう問題じゃなくて、本当に地域にとって必要な学校の在り方、これを地域としっかりと議論をする、そういう内容が含まれていない条例が問題だと私は言っているわけであります。そして、今回の三校の問題にしても、結局、将来にわたって子どもの数が減っていくということをあたかも当然視していることが、もう一つの問題です。地域にとってみれば、その地域で子どもの数をどれだけ増やしていくか、そこに真剣に取り組んでいるときに、学校を潰すようなやり方はやっぱり府としてやるべきではないし、そしてそれを助長するような条例は改めるべきだということを強く要求して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。



   


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