健康福祉常任委員会(2021年3月18日) 石川たえ府議の知事質問
・包括支援交付金について
◆(石川たえ君) 日本共産党の石川たえです。
包括支援交付金についてお聞きをいたします。
大阪はコロナ対策で一・五兆円の執行を行っている、こういうふうに言われていますが、その大部分は地方創生臨時交付金や包括支援交付金であり、大阪独自の財政支出は百九十億円程度となっています。その上、国から支給されている包括支援交付金ですら、まだ医療機関に届いていない、これが今の実態であります。
昨年十二月の知事への質問のときに、すぐにでも医療機関に残りの一千四百億円を余すことなく支給するべきだ、こう申し上げ、知事からも、速やかに執行していくことが重要、スピード感を持って円滑な交付を実施する、こう御答弁をいただきました。
しかし、いまだに医療機関にはお金が届いていない実態が多々あります。国からの交付決定額は約二千百六十五億円です。変更申請を行うと聞いておりますので、この変更申請で約二百五十五億円返金するとして、国からの交付額は約千九百十億円となります。大阪府の医療機関への交付実績は、二月二十八日の時点で一千四十六億円。単純に計算をして約八百四十六億円、まだ支給されずに今大阪府に残っているということです。
先日の委員会で、一部概算払いを行っている、こう御答弁をいただきましたが、この一部概算払いについては、昨年の年末年始以降、コロナの受入れを行った医療機関が対象となっており、それ以前からコロナの受入れを行い、設備整備や空床確保を行っている医療機関にはお金が届いていません。
ある協力医療機関では、約三十の申請を行い、入金済みはまだ九つです。中には、五月に申請を出して、交付決定はその二か月後の七月、その上、交付決定されてもいまだにまだ入金をされていません。この医療機関の交付決定額は約五億円です。入金されたのは約二億円です。半分もまだお金が入金されていない、これが実態となっています。
しかも、実績報告を出さないといけませんが、この実績報告も、個々の設備を入荷する、これでは実績報告が出せないという問題点もあります。
例えば設備整備補助金、これは初期設備の投資であるとか、人工呼吸器を買うであるとか、簡易陰圧器を買うなど、いろいろ設備のための物品を買いますけれども、一つでも未入荷があると補助金の実績報告書として出せないわけですよね。そうすると、未入金になります。
ある医療機関では、設備補助金申請が約一千五百万円。ところが、未入荷の機材分が百七十万円まだ残っています。この未入荷の百七十万円があるために、一千五百万円申請しているにもかかわらず、一千三百三十万円立替払いで、まだいまだに過ごしていると。病院の持ち出しになっている。これは悲鳴も上がって当たり前だなというふうに思っています。これはほんの一例にしかすぎません。
包括支援交付金要綱には、都道府県は概算払いを受けた交付金に相当する額を遅滞なく事業者に交付しなければならない、こういうふうに書かれております。そして、厚生労働省は、全ての都道府県に対し、概算払いを含めて二〇二〇年度中に交付するように指示している、こういうふうにも聞いております。
十二月以降のコロナ受入れ病院対象の一部概算払いだけではなくて、十二月以前からコロナの受入れを行っている医療機関に、二〇二〇年度に対する包括支援交付金は年度内、三月末までに全額支給するべきだと思いますが、知事の見解を求めます。
◎知事(吉村洋文君) 包括支援交付金事業の中で、可能なものにつきましては既に概算払いを行っているところであります。院内感染防止対策の強化を目的とした支援金の給付事業、それから医療従事者への慰労金給付事業については、ほぼ全額を執行済みであります。
また、病床確保の補助金についても、十二月分から一部概算交付を開始しておりまして、六割以上が支給済みの状況です。
また、設備の整備補助についてですが、医療機関に備品が納品されたということを確認した上で精算払いを行うことにしています。実態として、医療機関から事業の請負業者への支払いも、これは納品後でありますので、医療機関に対して大きな経済的な影響は生じていないとも報告を受けています。
本府としては、今後も引き続き、申請時において手戻りが生じないように丁寧に説明して審査事務の円滑化を進めるとともに、各交付金の事業の特性等を鑑みて速やかな交付を行っていきたいと思います。
◆(石川たえ君) 備品を、備品というか、設備を購入して、その一つの購入した設備に対して実績報告書を出してお金が入っているんだったら、こんな悲鳴は起こってこないんですよね。先ほども申し上げましたとおり、補助金の中に、陰圧器も、そして人工呼吸器も、初期設備の費用も全部一つの補助金申請のパックの中に入っているわけですから、一つでも未入荷があったら、あとのものは立替払いになるわけです、医療機関の。
しかも、十二月から一部概算払いをやったからといって、コロナの受入れを第一波のとき、それ以前からやっている医療機関には、結局申請しても申請してもお金が届いていない。先ほど申し上げたとおり、協力医療機関でも半分もお金が入っていないという実態があるわけですから、一部払ってるからええやんかとかそういうことではなくて、六割支給しているといっても残り四割残っているわけです。この四割は、大体金額にすると四百億円ぐらいです。この四百億円ぐらいはすぐに支給しないと駄目だというふうに思うんですよね。
変異株も今増えてきている。大阪でもお亡くなりになった方もおられる。こうやって変異株が今増えてきているときに、医療機関がまた医療逼迫しないようにしていくためには、やっぱり医療機関の経営をしっかり支えておくということは本当に必要なことだなというふうに私は思っています。
なので、実績払いをやめて、厚労省が言うとおり、概算払いででもきちんと年度内に支給するというふうに、知事、約束をしていただくことはできませんか。
◎知事(吉村洋文君) まず、この包括支援交付金ですけれども、これは手続が当然ございますので、一月、二月中の分については手続中ということで、決定額と実績額が乖離している部分もありますが、交付実績としても六三%を執行しているというところであります。
それから、これについてはやはり全てを、全ての事業について、できる限りのところは概算払いを当然やっていっているわけですが、全ての事業について全額概算払いによる支給をしたという場合、これは事業の性質や実績によったら当然、医療機関に多額の返金を求めるということも生じてきます。これは、府の実務だけではなくて医療機関にとっても負担が生じるということにもなります。
医療機関の現場からは、可能な限り事務手続の簡素化を求める声、これが多数上がっているというふうには聞いていますので、こうした事務負担の軽減、それはしっかり図ってまいりたいと思いますけれども、それと交付金の支給の迅速性、これは当然税ですから、その公正性も含めて、最善の交付方法に努めていきたいと思います。
◆(石川たえ君) 医療機関から事務の煩雑化を何とかしてほしいと、簡素化してほしいというのは私もたくさん聞いています。一つの申請をするのに、おんなじ基本情報を五回も六回も書かなあかんというような申請の仕方というのは医療機関にとって負担になるのは当然のことですから、簡素化することは重要だなというふうに思っていますが、せめて納品されているものについては、もう納品されているわけですから、直ちに払うということもやっていかないといけないんじゃないかなというふうに申し上げておきたいと思います。
・医療機関への支援について
◆(石川たえ君) 次に、医療機関への支援についてお聞きをいたします。
コロナによる緊急事態宣言や自粛に伴い、コロナを受け入れる、受け入れないにかかわらず、医療機関では減収が続いております。この減収補填を行い、医療機関を支えることが今急務となっています。
報道等でも取り上げられておりますが、経営悪化により看護師等の賃金を下げる、一時金をカットする、こういう医療機関も生まれております。病院の赤字は人件費に跳ね返ってまいります。
コロナ受入れ病院だけではなくて、開業医も検体採取の協力や電話による相談など後方支援を続けています。
ワクチンの接種も始まり、これまで以上に医療機関に負担をお願いするときに、せめて減収補填してほしいというこの医療機関の声に応えるべきだというふうに思っています。
補助金等は申請して交付までに時間がかかりますので、最もシンプルにお金が届く方法として、国が減収補填を行わないのであれば、葛飾区のように大阪府が一時的な支援金を支給するなど、減収補填の一助となるような緊急対策を取ってはどうでしょうか。
◎知事(吉村洋文君) 本府として、この新型コロナの感染症を行う医療機関をはじめとして、全ての医療機関に対して、国の包括支援交付金、それから府独自の支援策なんかを活用して、限られた予算の中でありますが、それぞれの医療機関の役割に応じた最大限の支援を行っているというところでもありますし、これからも行ってまいりたいというふうに思います。
医療機関の減収補填についてですが、これは医療全体に与える影響というのは考えなきゃいけないと思いますし、診療報酬制度がありますから、診療報酬制度の在り方を踏まえて、全国的な制度として国において議論されるべきものだというふうに考えています。
◆(石川たえ君) 医療機関の減収補填を国がやるべきやというのは、私もそのとおりだと思っているんですけど、なかなか国がやると言いませんので、国がやると言うまでの間、じゃ、医療機関はほったらかしではなくて、大阪府として何らかの対策を取ってもらえないかなということも申し上げたいと思います。
・病床再編計画について
◆(石川たえ君) 最後に、病床の再編整備についてお聞きをいたします。
国から名指しで挙げられた公立・公的十一病院の再編整備は、昨年三月に一病院を除いて合意となっておりますが、急性期病床四十四床を回復期に転換、急性期病床四十床を削減予定など、急性期病床が減ることが明らかになっております。
また、大阪府が進めております地域医療構想に基づき、回復期病床への転換で急性期病床は既に減らされているという実情もあります。
国は来年度、さらに病床削減を進めていくために、病床を削減した病院等に財政支援をするという恐ろしい方向性を打ち出しました。
公立・公的病院の再編整備について、知事は令和元年の十二月に、徹底して議論し、前向きに進めていきたい、このようにマスコミに語っておられましたが、この一年のコロナ禍は公立・公的病院と急性期病床の必要性を明らかにされたというふうに思っております。
国会審議の中でも、知事会も参加する社会保障審議会医療部会で、知事会の代表が、病床を確保しようとしている相手方の病院の皆様に再編整備の話を持ちかける、あるいは調整するなどということは全くナンセンスである、こう言われております。
市長会の代表は、医療構想を進めること自体が地域医療崩壊を加速させるおそれがある、こう懸念を表明しておられることが、我が党の田村智子参議院議員の質問でも明らかになりました。
感染症病床を減らすことは、医師や看護師を減らすことにもつながってまいります。民間病院が急性期病床を通常確保し続けることが経営的に困難なのであれば、公立・公的病院がこれを担っていかなければ、また同じ過ちが繰り返されてしまいます。
公立・公的病院の再編整備をはじめ、病床削減を進める地域医療構想を見直すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
◎知事(吉村洋文君) これから大阪も、全国的にもそうです、大阪も特にそうですけど、高齢化というのがどんどん進行してまいります。高齢化に伴う医療需要の変化に対応しなければなりません。将来の不足が明らかに見込まれる回復期の病床の確保というのは不可欠だと思っています。
新型コロナの対応におきましても円滑な入院調整が求められて、これは今実施しているところでありますが、ここは新規の陽性者が入院する急性期の病床だけじゃなくて、高齢者を中心とした退院基準を満たした患者を受け入れる回復期の病床、これを有する後方支援病院の確保、これも非常に重要だと認識しているところです。
新型コロナの感染症を踏まえた地域医療構想の進め方については、今、国の検討会においても、地域医療構想の背景となる中長期的な見通しは変わっていないという見解が示されているところでもあります。
府としても、引き続き、将来のあるべき医療提供体制に向けた取組を進めていきます。
◆(石川たえ君) 地域医療構想で、国の方向性は変わってないというふうに今言われていましたけれども、先日の国会答弁の中で、やはり厚労大臣が、コロナ禍がありましたので、このコロナのことも含めて、それぞれの二次医療機関単位で今審議していただいているんですけれども、ここで、もう一度コロナを受け止めて再検討するべきじゃないかというような趣旨の御答弁をされていますので、国の方向性が変わっていないからといって大阪府が同じように進むというのは、私はどうかというふうに思いますし、回復期の病床が必要ないというふうに私は申し上げていないわけで、回復期の病床は必要なんですよ。これから高齢化社会に向かうわけですから。
ですが、それがイコール急性期の病床を減らしていいということにはならないということがこのコロナ禍で明らかになったんですから、基準病床数をもっと引き上げていくということも含めて、国にしっかり求めてもらわないと駄目だなというふうに思いますし、大阪府が急性期病床を減らさない努力というのをどのようにしてやるのかというのは検討していただきたいなというふうに思っております。
昨日の大阪の感染者は百四十七名です。変異株で一名お亡くなりになっています。感染再拡大を防ぐために、様々な努力をされていることは理解しておりますが、今のままでは、また感染拡大が起こる危険性を私は払拭できません。
府民の命を最優先に、ワクチンによる集団免疫の獲得ができるまで、高齢者施設等全員の定期検査や随時検査を行う、一人一日約二万件ぐらいのモニタリング検査を行い、早期発見、早期保護を行うなど、大量検査をしながら医療機関をしっかり支えて、感染再拡大しないように取り組んでいただくことを求めて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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