商工労働常任委員会(2021年3月12日) 内海公仁府議の質問
・民間人材サービス事業者と連携した緊急雇用対策について
◆(内海公仁君) 日本共産党の内海公仁です。新年度の幾つかの新規事業に関わってお尋ねしたいと思います。
初めに、今年度から続けて実施されてきている緊急雇用対策に関わってです。午前中の質問の中でも、民間人材サービス事業者と連携した雇用対策の取組の今の到達状況を聞かせていただいておりました。その中で、民間有料職業紹介事業者が八十四社、今既に登録されているということから見て、私は、これら事業者がある意味競い合って取組が始まっているのではないかという状況を感じております。このことは、求人を出す側の企業にとってみれば、求人広告の費用負担、あるいは結果として就業につながった場合の成功報酬など、少なくない負担になることになります。このことが私は非常に気になるところです。
もともと就職支援、あっせんというのは、ハローワークの行うこと、そして府としてはエル・おおさかに置かれているOSAKAしごとフィールドで支援をしてきたものです。
今回の緊急雇用対策としての事業そのものを決して否定するものではないですし、こういう手法を取ることは大いに結構だと思いますけれども、求人を出す企業として、お金をかけるのが負担になるのではないかという思いもあることから、これまでの通常のハローワークに求人募集をかけるということと、この事業に広告を出すという二頭立ての方法というのは、企業にとってあり得ることだと私は思うんですが、そのことによっての不利益とかそういう問題はあるのかないのか、お聞きします。
◎就業促進課長(安孫子弘君) お答えいたします。
民間人材サービス事業者と連携した緊急雇用対策において、企業が「にであう」とハローワークの両方に求人を掲載いただくことにつきましては、問題はございません。ただし、ハローワークを通じて求職者を採用した場合は、雇用促進支援金の対象とはなりません。
◆(内海公仁君) 当然、ハローワークを通じてという場合には支援金の対象にならないということは理解できますけれども。
私がもう一つ気になっているのは、この事業が、いわゆるネットというか、サイトを探してアクセスしていろんな就職先を探すということが基本になるわけですね。そうなると、中高年者を中心として、いわゆるネットとは疎遠な人、こういう仕事を探している方、働きたいと思っている方はたくさんいらっしゃると思うんですね。こういう方にとってみたら大変な苦痛になるという状況も私は懸念されると思っております。
現在の利用状況では、実績として、事前登録ベースで三千件を超えているということで、今年度の五千件をめどにという規模との点でいえば相当な規模で進んでいるかとは思うんですけれども、その中で、中高年者の利用実績というのはどんな傾向にあるのか、分かる範囲でお答えいただけたら。お願いします。
◎就業促進課長(安孫子弘君) お答えいたします。
「にであう」を通じた就職決定者約三千人でございますけれども、それについて五十五歳以上の高年齢者の割合は全体の八・五%となっております。
◆(内海公仁君) 八・五%ね。やっぱり私がちょっと危惧している問題がここに表れているんじゃないかなというふうに思っております。
そうであるならば、なおさら、私はネットでのアクセスが苦手な求職者に対して、OSAKAしごとフィールドとかハローワークも含めてですけれども、これまでのいわゆるアナログ的というんですか、マンツーマンで就職支援を行う、こういうことが非常に大事な課題にはなるかと思うんです。それが、そんなことはないと思うんですけれども、緊急雇用対策がありますからということで、そっちにぽっと振ってしまうというようなことになってしまったのでは、それこそネットに不慣れな人は大変な思いにもなります。ですから、各地域のハローワークやOSAKAしごとフィールドでの相談員を介しての丁寧な相談をこれまで以上にやっていただかなきゃならん。特に中高年者に対する対応も強化していただきたいと思うんですけども、その点ではいかがですか。
◎就業促進課長(安孫子弘君) お答えいたします。
「にであう」には、高年齢者も働ける多数の求人がございますが、中でも高年齢者向けの求人を集めたシニア向け求人特集を八社の民間人材サービス事業者により設置し、計一千四百四十七件の求人を掲載しております。また、求職者向け相談窓口を設置し、電話や来所により「にであう」の使い方等の相談に丁寧に応じているところでございます。さらに、来年度につきましてはOSAKAしごとフィールドにおきまして、仕事探しや働き方など高年齢者が抱える課題へのアドバイスを行う就職相談会を新たに開催するとともに、高年齢者の採用に積極的な企業の仕事説明会を、開催回数をこれまでよりも拡充して実施いたします。
◆(内海公仁君) OSAKAしごとフィールドがこれまでも大変丁寧な対応で就職に結びつける努力をされてきているというのは、私もいろいろお聞きしております。例えば女性の方が相談に行くと、面接に行くためのスーツも貸し出してくれるとか、あるいは子どもの預かりの手配もしてくれるというような話もあります。こういう仕事を探している人に寄り添った対応というのがこれまでもあったと思います。それから、発達障がいの心配とか特定の分野が苦手な、いわゆる学習障がいかもしれないというような心配のある方が来られると、その方の検査についても支援を行って、それぞれ個別の状況に寄り添って就労支援を行ってきているということで、昨年、私も、卒業したけれども内定していたところがアウトになってということで困っていた大学生を紹介してお世話になったこともありますけれども、そういうきめ細かな対応というのは、やっぱり非常に大切なことです。とりわけ中高年の皆さんにとって、ネット環境に不慣れという点については、ぜひとも丁寧にやっていただきたいなということをお願いしておきます。
・就職氷河期世代への就職支援について
◆(内海公仁君) それから、次です。就職氷河期世代の就職支援ということで、今回、これも今年度から継続の事業として本格的な取組になるということで、これも午前中の内海委員の質問でもありましたけれども、私、ちょっと気になっていることが一つありまして、いわゆる就職氷河期世代と言われる状況の中で就職ができていない、あるいは就職に結びついていない人たちというのは、いろんなデータでも、大阪で四万人とかという数字も言われていることです。そういう世代全体に対して本当に資する事業になっているかどうかという立場でちょっとお聞きしたいなというふうに思うんですが、今回の事業は、一府営住宅を活用してと。しかも五人程度、入居枠が五人ということなんですね。しかもお聞きすると、入居期間が一年限りというのが今の話のようなんですけども、これで果たして、私は大阪府が取り組む就職氷河期世代の就職支援ということにふさわしいのかなというのを疑問に思っているところです。
例えばこれを市町村主体の事業にして、いろんな支援のためのNPO法人とか民間のそういう支援団体の力も借りるというようなことをして、地元負担分の一定の割合を大阪府が持ちますと。市町村が主体となってやってくださいと。こういうことで、各市町村主体の事業というふうに発展させるということのほうが事業的な値打ちがあるんじゃないかなと、私はそう思っているんですが、いかがでしょうか。
◎就業促進課長(安孫子弘君) お答えいたします。
この事業は、NPO法人が大阪府、四條畷市や地元企業の協力を得ながら、府営住宅の空き室を活用し、若者の就職支援を実施してきたスキームを基に、内閣府の地域就職氷河期世代支援加速化交付金の活用により就職氷河期世代を対象に実施するものでございます。
市や町が事業を実施するには、就職支援を継続的に行う団体の存在、通勤の利便性のある市や町営住宅などの条件を満たす必要がございます。府として、こうした事業の実施に意欲的な市や町には実施に当たっての課題とともにノウハウを提供してまいります。
◆(内海公仁君) ということは、この事業を皮切りにして、市町村でも実施したいというような意向があれば、そういう方向性も含めて、今後拡大の余地はあるというふうに理解しますし、それが新年度の事業になるということは難しいと思いますけれども、次の発展方向としては、ぜひそういうことも検討して、まさに就職氷河期世代をどう支援するかという大阪府の役割にふさわしい事業として発展させていただけたらなと思っております。
それから、もう一つの懸念なんですけれども、就職氷河期世代の就職を支援しようというテーマであれば、果たしてこれ、住宅付きということだけがそういう皆さんのニーズに応えることになっているのかなというのがもう一つの心配なんですね。
俗に八〇五〇問題とかってよく言われますけれども、この八〇五〇とはちょっと世代的には違う世代ではありますけれども、就職氷河期世代の皆さんも実は実家で親と同居していると。親と同居していることに、ある意味、何も抵抗がなく、居心地がいいという状況がありながらもなかなか就職ができていないと。あるいは、これね、私も実際に経験している話なんですけれども、一旦はとても立派な企業に就職していると。ところが、その仕事が大変なハードワークとか、あるいはメンタルでやられてしまって、途中でリタイアして、その後なかなか再就職に結びつかなくて今に至っていると。こういう氷河期世代の人たちも随分多いんですよね。そういう点から見れば、私は、住宅は必要でないけれども仕事に就いていない方、これをどう支援していくかというところに踏み込んだ事業が本当の意味での就職氷河期世代の就職の対策支援になると思うんです。だから、その点では、この事業名そのものがちょっとふさわしくないんじゃないかなというふうに思うんですけどもね。
そういう点で、大阪府として、この事業の今後の発展方向として、そういう住宅付きという限定だけじゃない就職氷河期世代に対する考え方というのはお持ちなのかどうか、この辺も含めてお尋ねします。
◎就業促進課長(安孫子弘君) お答えいたします。
大阪府では、就職氷河期世代のうち長期にわたり無業状態にある方に対して、令和二年度よりOSAKAしごとフィールドにおきまして、内閣府の交付金を活用し、就業意欲喚起セミナーから短期研修や職場体験、マッチングまでを一体的に支援する潜在求職者活躍支援プロジェクト事業を実施しているところでございます。
就業意欲喚起セミナーでは、働くことだけでなく、人間関係に関する悩みへの対処法に関するセミナーを実施したり、短期研修においては、就職準備性を整えることに加えて、グループワークを通じてコミュニケーション能力の向上を図るなど、就職氷河期世代に合わせた内容としております。
今後もこうしたきめ細かな支援を行い、一人でも多くの就職氷河期世代の方の就職につなげてまいります。
◆(内海公仁君) そういう方向性ということは理解できるんですけれども、そういう点でいえば、ますます今回の事業が、住宅付きで、府営住宅のコミュニティにも参加してもらうというようなことも含めてあるようですけれども、本当に一年でコミュニティに参加していくという中身が期待するものになるかどうかというのも、やっぱり私は不安に思っておりますので、ぜひ、この事業の今後の在り方については、いろいろ実践を通じて改善を図っていただけたらなというふうに思っておりますので、そのことは要望しておきます。
それから、この質問を準備する中で、私、改めて知った話なんですけども、厚生労働省の事業として、地域若者サポートステーションという事業が、今、大阪府下で九か所あるんですね。このサポステ事業がこれまで支援対象にしていた年齢が、若者ということで十五歳から三十九歳となっていたんですね。ところが、これが去年の四月から四十九歳まで拡大されたということを、恥ずかしながら、今回初めて私、知ったんですね。
この若者サポステ事業というのは、東大阪にもステーションがありますので、私もこれまでも本当にいろんな相談をさせてもらっていて、そこでとかくぶつかるのがこの年齢の壁だったんですね。これが十歳拡大されることは非常にありがたいことなので、この年齢が拡大されて、サポートステーションが大変大きな役割を果たしているということを大いに周知も図っていただくと同時に、ここで積み重ねられた実施主体のいろんな法人、この事業者の皆さんの持っているノウハウをぜひ就職氷河期世代の就職支援事業に、逆に生かしていただいて、今回もこのサポステの事業者が中心になってやっていただいているということであると思うんですけども、大阪府下、九の今のサポステは、それぞれがそれぞれのNPOであったり社会福祉法人であったり一般社団であったりということでやっていただいておりますので、これはぜひ、そういう社会的な役割を果たしていただいている事業者の力を大いに引き出していただきたいなということをお願いしておきたいと思います。
・商店街振興事業について
◆(内海公仁君) では、続いての質問です。商店街の支援に関わって伺います。
新年度で商店街等モデル創出普及事業ということで二千八百八十万円の予算が計上されております。十二月議会の委員会でも商工施策、商店街支援の予算があまりにも少ないのではないかということを知事にも求めたわけですけれども、事実上、これ、また予算が減ってしまっているというのは非常に残念に思っております。しかも新年度の事業というのは、今年度、感染防止対策とか需要喚起の支援を実施してきたモデル商店街百七ですか、この百七の中からさらにモデルを抽出して十か所程度の事業をやって、そのモデルを基に市町村の商業支援に普及していくという仕組みのようなんですね。それがね、大阪府が実施する大阪府下一千の商店街に対する支援ということで、今現実に各商店街が抱えている実情や、あるいはずっとこれまでも知事もおっしゃっていますし、皆さんもそういう立場で頑張っておられる、商店街支援というのは市町村、地元基礎自治体が中心になって行うものであって、大阪府はそれに対するモデル的な支援をやっているんだということを繰り返しおっしゃっているわけですけれども、これが、逆に各市町村の取り組んでいる実態や市町村が抱えている商店街支援の現状や悩みから見ても、私は、果たしてこの二千八百八十万円の今回の事業の在り方で大阪府の役割を果たしているということになるんだろうかというふうに思っているんですね。
そこで、商店街支援の主役は市町村だというのであれば、新年度に向けて、府は市町村の事業にどのように支援を講じていこうとしているのか、これは商業・サービス産業課長にお伺いしたいと思います。
◎商業・サービス産業課長(山下陽一君) お答えいたします。
府が商店街振興事業を実施する上で、市町村は重要な存在であると認識しておりまして、来年度はモデル普及に関する取組の一環として、市町村を対象とした事業を実施する予定にしております。
具体的には、各市町村向けセミナーを開催するとともに、先進モデル事例の収集や特設ホームページを通じた情報発信に取り組むなど、商店街のみならず、四町村におけるモデルの普及に配慮しながら事業を実施する予定です。また、今後さらに市町村をきめ細かくサポートしていくため、リモートによるヒアリング手法なども組み合わせながら、個々の市町村とのコミュニケーションを円滑に図っていきます。こうした取組を通じまして、市町村の自主的な取組を後押ししてまいります。
◆(内海公仁君) 課長の答弁はそのとおり、努力をされるということはよく分かるんですけれども、これ、市町村の側から見ると、あまり私も多くの市町村の実例というのはまだまだ不勉強で申し訳ないんですけれども、東大阪の商店街支援のこれまでやってきた事業なんかから見ると、やっぱり事業をやっていくための規模が小さいので、なかなか毎年毎年、満遍なく押しなべて商店街支援を広げていくというのは難しいと。昔よくやっていたのは、例えば商店街の電気代の補助を一定の比率で市が支援するとか、あるいはアーケード設置に対するかなり規模の大きな支援をするとか、こういうこともやられていたんですね。ところが、今はそういう取組も随分縮小されてきてしまっているのが、実は東大阪の商店街支援の実態なんですね。やっている中身というのは、幾つかの先進的なところをピックアップして、そこを応援しましょうというようなことでやるんですけれども、これもやっぱり残念ながら、トータルの予算が不十分な中で継続的な支援になかなかならないということで、私が市議会議員時代には、そしたら、この事業は三年間継続する事業にしましょうかと。そうすると、三年たてば何とかその商店街も自立して頑張れるようになるんじゃないかと。こういうことで、三年越しの事業として企画したこともありました。
そういう点から見ても、各市町村の支援策で今求められているのは、やっぱり大阪府の財政的な支援、いろんなメニューだけじゃなくて財政的な支援が必要だというのが言われているんですね。
市町村の事業の規模をどうやって拡充していくか、そのために国とか、あるいは大阪府のいろんな財政支援を膨らませていくということが課題になっているんじゃないかなというふうに思うんですね。その点で、実際、何か策はないのかという点で課長にお伺いしたいと思います。
◎商業・サービス産業課長(山下陽一君) お答えいたします。
委員のほうから、やはり府の予算規模も小さ過ぎるのではないかというふうな形で御質問いただいたと理解しておるんですけれども、商店街振興の事業につきましては、商店街が地域経済の担い手として、また地域のコミュニティを形成する場としての役割を担っておりますことから、身近な住民サービスを担う基礎自治体、市町村が地域の実情に応じて支援いただくことが基本と考えております。
府といたしましては、限られた予算や人員体制の中ではありますが、先導的モデルとなる事業を実施して、その事例やノウハウの普及を通じて市町村、商店街の主体的な取組を支援してまいります。
◆(内海公仁君) 結局、商店街支援というのは、この問題にぶつかってしまうんですね。ところが、今年度、ついに三千万円のラインを下回ってしまう事業費になってしまっているというのは、本当に私は残念に思っているところです。
午前中の徳永委員の質問でもありましたし、私、本会議の冨田委員長の質問というのは本当に感動的に聞かせていただいていたところです。これは、私が言うてるだけの話じゃないというのを改めて、私も皆さん、各委員や委員長のお話を聞いていて思うんですね。ですから、新年度、結果としてこういうことになってしまうということは、私はもう認めません。しかし、とはいっても、全体の予算の中で決定された状況で進んでいくことにはなりますけれども、ぜひともこれは、新年度以降の商工労働部の事業の在り方として、ぜひ考え直していただきたいということを重ねて要求しておきたいと思っております。
・ものづくり支援、大阪産業局移管後のMOBIO事業について
◆(内海公仁君) 続いて、ものづくり支援に関わってです。
いよいよ新年度から、いわゆるものづくり支援の事業が大阪産業局に移管されるということになりました。今年度までは大阪産業局は成長分野とかそういうあたりをまずやってきたと思うんですけども。
去年十二月の当委員会で私はMOBIOの事業の内容などについても質問させていただきましたし、東大阪にあるクリエーション・コアでの中小企業の技術、製品の紹介とか、常設展示場をはじめとして、あるいは取引交流の場を提供するとか、産学連携とか知的財産の活用の問題とか販路拡大の支援とか、各方面の取組をMOBIOが中心となってやってきているわけです。それから、これは十二月のときに教えていただいた話ですが、中小企業がコロナ感染拡大の影響を受けている中で、感染対策グッズの新製品を開発したのを紹介するパンフレットも作っていただいて、これを活用するというようなことも紹介いただいたところです。
私はそういう上に立って、MOBIOの取組が大阪府下全域のものづくり事業に波及していく、影響していくということも要望させていただいたところですけれども、このMOBIO大阪の事業のかなりの部分を産業局に移管するということなんですけれども、産業局に移管する事業と、府が直接、引き続き行っていく事業とはそれぞれどう分かれていくのかについて、まず、ものづくり支援課長にお伺いしたいと思います。
◎ものづくり支援課長(竹田謙二君) お答え申し上げます。
現在、MOBIOは、ビジネスマッチングを中心に担います大阪産業局と、常設展示場の運営や情報発信等を担う民間事業者と、それから大阪府の三者で運営してございます。大阪産業局には、府が実施いたします事業のうち産学連携ネットワーク、知財活動支援、IoT導入、消費財プロモーションなど大阪産業局が有するノウハウやネットワークと一元化することで効果的、効率的な展開が見込まれます事業を移管いたします。また、府が認定します大阪製ブランドや大阪ものづくり優良企業賞「匠」、ものづくりイノベーションや大規模展示会出展に関します中小企業への助成事業などは、引き続きMOBIOにおきまして府が直接実施することといたしております。
◆(内海公仁君) 府が直接担う仕事もあるということを確認させていただきましたけれども、これまでものづくり企業の社長さんなり、それぞれの皆さんが、クリエーション・コアにあるMOBIOには、それこそ作業着のまま飛び込んでいって、いろいろ相談を持ちかけたりとか仕事のマッチング情報を得たりというようなことで、本当に身近な機関として活用されてきたわけです。そういう皆さんにとっては、今回の産業局への移管によってMOBIOの事業それ自身が遠い存在になるんじゃないかという不安が大変多いんですけれども、産業局に移管されることによって、MOBIOの事業そのものが、それこそ俗に言う効率化という名前で縮小されたり、あるいは予算が減らされるとかいうようなことがあってはならんと私は思っているんですが、その点についてはどんな状況になるのか教えていただけますか。
◎ものづくり支援課長(竹田謙二君) 移管事業の具体的な実施手法等につきましては、大阪産業局が一定の裁量を持つこととなりますが、達成目標や目標達成に向けた活動量の目安でございます活動指標は、これまでの事業実績を基礎として府が設定いたします。
引き続き、産業局と緊密に連携しながら、企業ニーズに応じた支援サービスが確実に提供できますよう、より効果的、効率的な事業実施に努めてまいります。
◆(内海公仁君) 府が活動指標を示して、それに基づいてちゃんとできているかどうかを検証することになるということですので、それはぜひ、しっかりと機能させていただきたいし、MOBIOの取組ももちろんなんですけれども、ものづくりの現場というのは、特に小規模なところというのは情報が届きにくいというのが一番の課題になっているんですね。それを届かせる意味でも、やっぱり私はMOBIOの役割をさらに発展させていただきたいなと。
ものづくりというのは、大阪の産業の基盤を支えている大きな役割を果たしている分野ですから、この足元の企業をしっかりと支援するし、そしてそこの状況がよく分かる、こういう観点をこれからも貫いていただきたいなということを強く求めておきたいと思います。
・大阪・関西経済の現状、中小企業の実態について
◆(内海公仁君) 続いて、次の質問ですけれども、パネルを用意しましたので見てください。
紹介しておりますこの資料は、中小企業団体中央会が先日発表した第二回新型コロナウイルス感染症に関する中小企業の実態調査の結果報告なんですね。実施したのが昨年十月十九日から十一月二日までの調査期間でありますので、昨年の最終の時期というふうに見れるかと思います。
この実態調査によりますと、四月から九月の売上高が対前年比で減少と答えたのが、黄色で示しているんですけども、これを全部合わせると七二・三%になります。売上げ減少幅で見ても三三・五%が前年比五〇%以上減少している、青い部分とオレンジ色を足すと三三・五%になるんですね。これが、実は五月に第一回の調査をやった、そのときに五〇%以上減少と答えたのは一九・五%だったそうです。ですから、影響はより深刻さを増しているということになるかと思います。
次、同じような円グラフですけども、これは、質問当時ですから今期、いわゆる去年の十月から十二月期の売上高の見込みについて聞いた質問なんですが、青からオレンジからねずみ色のところまで、いわゆる減少と答えたところが合わせて七二・一%に上っています。特に前年同期比八〇%程度というのが四五%になります。前年比五〇%以下とした回答も一〇・三%もあります。全業種で前年比五〇から八〇%にとどまるという回答が一番多くて三四・七%、オレンジの部分ですね。こういう状況にあります。
そういう状況の下で、次の質問で支援金や助成金の活用状況についてのアンケートがありました。これを見ると、持続化給付金の活用が四一・三%、雇用調整助成金の活用というのが三三・六%。これらは、制度上、活用しやすく、また比較的申請が簡単にできるために利用率が高いと考えられるというふうにアンケートをまとめた文章で示されております。
しかし、問題なのは、上から三段目の棒グラフ、利用なしというのが二四・四%なんですね。この利用なしの二四・四%の内訳を聞きました。そうすると、利用しなかったけれども売上げ減少があったと。売上前年同月比で八〇%以上減少したというところでこの制度を利用しなかったというのが二六・六%、あるいは七九%から五〇%の売上げ減少だったというところでも一二・三%の利用しないという回答もあったんですね。五〇%未満減少でも一五・九%の方が利用しなかったということなんです。
このいろんな制度の活用の中には制度融資とか、あるいは様々な制度の補助金とか働き方改革の支援の助成金とか、そういったものもありますから、単に売上げが減ったところだけが利用できるということではなくて、幅広くいろんな制度を活用しているわけですけれども、問題は、本来受けられたはずの制度を受けられていない、減少の激しい事業所も結構な数があると。このアンケートを取りまとめした中央会の皆さんも、これはやっぱり深刻やというふうに見ていたそうです。どういう状況で利用できなかったのかということにちゃんと着目したいろんな支援が必要だということが、今問われているというふうに思っております。
しかも、これは最後ですけども、文字が小さくて大変申し訳ないんですけども、このアンケートの一番終わりのところに、まとめというふうに書いてありました。
調査の結果は、コロナウイルス感染症の影響は甚大であり、市場の縮小、需要の減少が著しいことを示すものであった。さらに、調査終了後には国内での感染が拡大、第三波に直面する事態となっており、状況はさらに悪化していると考えられる。収束の見通しが立たない中、当分の間、市場の回復は絶望的であると言える。収束までの間、企業の自助努力による対策が求められることは当然であるが、影響の長期化により限界を迎える企業が増加することは明らかである。給付金、助成金のさらなる充実等、多方面にわたる支援の拡大が求められるというふうに結んでいるんですね。
私は、去年の年末の状況がこんな状況ですから、それから緊急事態宣言が発せられて、この一月、二月、三月という状況を踏まえて、中小企業の切実さは一層増しているというふうに思うんですが、これをどう受け止めるか、ぜひ感想をお聞きしたいんです。
◎商工労働総務課長(荒木慶太君) お答えいたします。
まず、大阪、関西の現状でございますけれども、昨年十月から十二月期のデータや民間シンクタンクのレポートなどからお答えしたいと思います。
まず、消費についてでございますけれども、関西の十月から十二月期の消費支出というのは、二〇一八年、二〇一九年の平均水準近くまで回復しております。ただ、品目別の支出では、感染再拡大への警戒などによりまして、消費の支出の中での宿泊料が前年の同じ時期と比べましてマイナス四八・四%、外食についてもマイナス一一・九%など、低水準で推移しております。
また、大阪の雇用の情勢につきましてですが、雇用維持施策の下で雇用者数は底堅く推移していると。また、完全失業率や有効求人倍率は直近では改善しておりますけれども、コロナ前と比べますと、依然厳しい水準にございます。
また、生産のほうを関西の輸出のほうで見てみますと、中国向けの伸びが支えとなりまして、十二月の輸出の伸び率は前年同月と比べまして五・二%のプラス、一月は一三・三%のプラスとなっております。また、生産のほうの、関西の鉱工業の生産、十から十二月期でございますが、前年同期と比べますとマイナス一・九%と、コロナ前の水準には達しておりませんが、直近の動向を業種別に見てみますと、内外の設備投資の再開の動き、あるいはデジタル化の需要の拡大を背景に、汎用の生産品、業務用の機械工業が前期比、前の期に比べまして一二・四%の増、電子部品、デバイス工業がプラス一六・九%と回復の傾向がございます。
全体で見ますと、大阪経済、今、依然として厳しい状況にはあるものの、一部では持ち直しの動きがあるというふうに見ております。
◆(内海公仁君) この調査時点から事態はさらに深刻になっているということを私はしっかりと受け止める必要があるというふうに思っております。特に今大事なのは、例えば国のいろんな財政的な対応なんかも含めて、公共事業とかこういったものの持ち直しというのは確かにあるんですよ。しかし一方で、需要がなかなか伸びない部分というのは、やっぱり個人消費の落ち込みとか、それに派生する外食産業なんかも含めて大変な影響を受けていることは間違いないわけです。
このときだからこそ、私は、大阪府だけがその責任を取らなあかんということは決してありませんから、国に対しても新たな支援金の枠組みとか、あるいは去年実施した持続化給付金の再支給とか、こういったことも含めた対策をこれはぜひ国に求めていかなきゃならん課題だと思います。
昨日ですか、吉村知事がコロナワクチンの接種の在り方について国に要望するという文書も回ってきておりましたけれども、この点では、今、深刻な事業所をどう支援するかということに軸足を置いた取組を、もちろん大阪府の政策としての努力も必要ですし、あわせて、国に対して物を申すということも含めて、今、真剣にやるべきときだと思います。国の新年度予算を見ても、去年やったそれぞれの売上げ減少などに対する、あるいは深刻な状況に陥っているところに対する具体的な支援金のメニューとかが見えてきていませんから、今ここで頑張らないかん。
この点でいえば、私は、ぜひ知事にもこの視点をどう持つのかということをお尋ねしたいなというふうに思っております。知事質問でこの点をお聞きしたいなというふうに思っておりますので、ぜひ委員長に御配慮いただきたいと思います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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