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議事録

商工労働常任委員会(2020年12月9日) 内海公仁府議の質問


・休業要請外支援金について

◆(内海公仁君) 日本共産党の内海公仁です。商工労働委員会初めての委員会審査になりますけれども、まだまだ不理解な点もありますので御迷惑かけるところもあるかと思いますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
 一つは、新型コロナウイルス感染拡大に関わって、この間、第一波の緊急事態宣言を受けて、休業要請を受けた事業所への市町村と共同した休業要請支援金の手続、そしてそれに加えて、これは我が党も繰り返し要求してきた休業要請対象外の事業所に対する支援金等々の取組で、商工労働部の皆さん、大変な御苦労をされ、申請及び審査決定と、膨大な事務量処理に御苦労があったことだと思います。本当にお疲れさまでした。
 とりわけ、その中で、私は休業要請外支援金、いわゆる二号支援金というふうに言われてますけれども、この問題について少しお聞きしたいと思っています。
 五月の二十七日からネット登録が開始されて、七月七日までの期間の間に約九万八千件の申請があったと聞いております。そのうち、十一月末までに約九万五千件に対して支援金の支給がなされているようですけれども、残りの三千件のうち不支給の決定となったものを除いても、まだ千件ほどが審査中と、こういう状況もお聞きしております。
 そこでまず、なぜこの支給にこれだけ長い時間を要しているのか。また、審査が遅れた理由に関して、体制の問題とか準備等に問題がなかったのか、併せてお聞きをしたいと思います。

◎国際ビジネス・企業誘致課長(前田真一君) お答えいたします。
 休業要請外支援金につきましては、当初見込みを大きく上回る申請を審査するに当たりまして、我々商工労働部職員を主力といたしまして、府庁全庁からの応援職員、それから単純な申請書類の確認など審査に判断を伴う業務以外は外部委託や派遣職員も活用しまして、最大三百名程度の要員を週七日体制で配置し、審査、支給の迅速化に努めてまいりました。
 申請に必要な書類が全て提出されている場合には、申請後おおむね一か月以内で支給していますが、一方、書類が足らない場合や事業の実態が確認できない場合などにつきましては、事務局から申請者へ書類の追加提出や再提出をお願いしています。連絡がつくのに一月以上かかるケース、連絡がついても必要な追加書類を返送いただくのに長い時間を要しているケースも多うございました。
 このように、審査の正確性を期するために職員が事業者の申請書を丁寧に読み取り、それぞれに対しまして、審査をクリアするために必要な項目を具体的に提示し、事業者と何度も調整するなどの作業をしてまいりましたため、どうしても時間がかかっているケースが多うございました。どうぞ御理解いただきますよう、お願いいたします。

◆(内海公仁君) 実は、十一月に入って相次いで、不支給決定の通知を受けたという府民の方から、私自身も相談を受けております。一つは、受付が終わって七月以降ですね、長期にわたって事務局とのやり取りがきちんとできないまま不支給決定。きちんとできないというか、ほとんどないままに不支給決定を受けたということで、大変な落胆というか、ショックを受けておられる方がおるんですね。
 特に、私はその具体的な幾つかの事例を聞く中で、休業要請支援金、いわゆる一号支援金と二号支援金の該当要件に対する不理解が非常に感じられるケースが幾つかあって、この問題を大変気にしているところなんです。
 実は、相談を受けた方というのは、今、私が見ると、本来、休業要請対象の事業所なわけですよ。どう見てもね。ところが、本人は、三月の終わりから四月の初めにかけて、いわゆる府が休業要請を開始したのは四月の二十何日かでしたからね。そのはるか前に、四月の初めに、もうこれは危険だということを思って、自主的に営業時間を夕方七時で閉めてしまったと。そういう方が、休業要請の対象ではないという判断を自らはしてしまってたんですね。ですから、自主的に店を早く終わったものだから要請の対象ではないと思い込んで、一号支援金の申請はしてなかったと。やがて二号支援金という制度ができて、これこそはということで申請をしたと。
 ところが、その方が申請した後、事務局から何の連絡もないまま九月に入って、営業時間の過去の状況を証明する資料を追加提出してくださいという求めがあったと。そのときに、名刺に二十二時まで営業というふうに書いてあったもので、その名刺を提出したと。ところが、それからずうっと音沙汰ないまま、十一月になって不支給決定が来たと、こういうことなんですね。
 ですから、不支給決定を受けても、いまだにその本人さんは自分が休業要請の対象の事業所だったということを全然理解されてないんですよね。この申請に当たっては、知り合いの方が間に入って事務手続もやってくれた。この方は行政書士の方なんですけれどもね。その行政書士の方も、最初からそういう理解で話をされているんですね。
 つまり、この状況を見る限り、私は休業要請というのは、何も本人のところに、あなたのところは休業してくださいよという通知が行くわけでも何でもないですから、自らの判断でしなきゃならないことだったわけですけれどもね。その辺の不理解によって大変残念な、本来受けられる給付金を、支援金を受け取ることができなかったという、こういう事態だと思うんですね。実は同じような事例が幾つかあったんです。中には、結局、一号支援金そのものも申請していないというような方もおられました。
 このことは、私は今後、今実際にこれは大阪市の事業としてやっていることですけれども、北区、中央区の時短要請の支援金も今支給が始まろうとしておりますし、今後いろんな、国の制度がさらに延長される、再給付されるというようなことも含めてあろうかと思いますのでね。やっぱり、どうしても不理解というのはあると思うんですよ。それを本当に回避するための丁寧な対応を、これはもう、ぜひ今後の教訓にしていただきたいなということを、切にこれはお願いしたいということです。
 この方は、休業外支援金ですから二十五万円ですね。実は箕面の方なんですね。箕面は、この二十五万円の外支援金を受けたことが決まったら、市独自に上乗せというのもあったようなんですね。それが、期待していたのに十一月になってどちらもアウトになったということで、本当に今、途方に暮れていると。こういう状況もありますものでね、今後ぜひ、そういう教訓を踏まえていただけたらなというふうに思っています。
 それから、委員会準備の段階でいろいろやり取りをさせていただいてる中で、実はこういう支援金等に対する税法上の扱いですね。この問題については、商工労働部としては判断しかねるし、所管が違うということもあるし、税制の問題ですから国との関係もありますから、質問ということにはなじまないということなので、あえて質問ということにはなりませんけれども、私は、ぜひこの際、こういう給付金については、税法上の非課税の扱いになるような対応をしていただきたいということは、いろんな機関に対して要望をしていきたいなと、させていただきたいなというふうに思っています。
 特に、そういう支援金等が所得としてみなされることによって、結果として非課税になるケースが多いと思うんです。ところが、逆に売上げ等が本当に少ない事業所、通常から僅かな売上げで頑張っている飲食店等にとってみればね、例えば国の百万円の給付金なんかと合わせると、結構な比率になるわけですよね。そういう点でも、やっぱり税制上の支援というのは大変重要じゃないかなと思います。
 それから、これはこれから先の話になると思いますけれども、大阪市の北区と中央区の時短要請がありましたけれども、実はこの時短要請の対象になる事業所は、支援金も給付されることにはなるんですけどもね。関連の業種の皆さん、お花屋さんとか、あるいは酒屋さんとか、それから美容院の関係とか、いろんな関連業種がダメージを受けているんですよね。こういったところへの支援策というのも、ぜひ今後検討していただきたいなということも併せて要望しておきたいなと思います。

・MOBIO事業の取組について

◆(内海公仁君) それでは、次の質問をさせていただきます。ものづくり支援に関わってです。
 全国的にも、大阪というのは、ものづくりの集積あるいは中小企業の集積ということが長く言われておるわけですけれども、特に私の地元である東大阪を中心とする八尾とか、それから大阪市東部等も含めて、東部大阪の地域は、いわゆるものづくりの集積の力そのものがネットワークを構成して、高い技術と、そして新しい製品を生み出す力になっているというふうに私は思っております。
 そういう状況の中で、東大阪では、これは独立行政法人中小企業基盤整備機構が設置しているインキュベーションと、それから常設展示場も持つクリエイション・コア東大阪というのが設置されております。私も大変すばらしい施設だというふうに思っておりますし、ここを中心にいろんな施策の展開がなされていることをいつも感心して見ております。
 特にその中で、大阪府のものづくり支援の拠点として、MOBIO大阪、ものづくりビジネスセンター大阪という、MOBIO大阪というのが窓口を構えていただいておりましてね、日常的に地元の企業の皆さんと深く関わって事業が展開されています。私は特に注目しているのは、企業の社長さんが自由に参加して、経営や技術の情報交流する、MOBIO-Cafeというのが大変好評であるということを何度も私お聞きをしております。参加するのが楽しみだと、こういう声も言われております。こういう取組も含めて、MOBIOの事業はどのように取り組まれているかの御説明をいただきたいと思います。

◎ものづくり支援課長(竹田謙二君) MOBIOの取組につきましてお答え申し上げます。
 MOBIOでは、セミナーと交流会をセットで行いますMOBIO-Cafeを開催しているほか、ものづくり中小企業の最新技術や製品を紹介する日本最大級の常設展示場を有しておりまして、あわせて、ビジネスマッチングをはじめ、産学連携、知的財産支援活動や販路拡大への支援など、ものづくり中小企業を対象とした様々なサポートを行ってございます。
 また、府内のものづくり中小企業を対象に、優れた技術力等を有する企業を大阪のものづくり看板企業、いわゆる匠企業として認証しているほか、高い技術と斬新な発想で開発した製品は大阪製ブランドとして認定するなど、常設展示場と共に、個々の企業や製品、ひいては大阪全体の層の厚いものづくりのパワーの国内外への発信にも注力しているところでございます。

◆(内海公仁君) MOBIOがいろんな事業を展開していらっしゃるということは、大変ありがたいなと思ってお聞きさせていただきました。
 しかし、今日、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、ものづくりも大変なダメージを受けていると。ごくごく一部、部分的には売上げが伸びているという業種も中にはあります。しかし、いろんな指標を見ておりますと、もう八割を超えて九割の企業が、製造業を中心に大変な売上げの落ち込みがあるというふうな報告がされております。そういう状況の中で、府下のものづくり事業所全体に関わって、この困難な状況を乗り越えるために、いろんな発信、これがぜひ必要だというふうに思うわけです。
 それぞれの事業所が、コロナ対応で、それこそ新製品とか新技術を開発したりとか、こういうことがそれぞれ努力されておりますけれども、いかんせん中小企業というのは、販売先を確保していくということに対しては非常に弱い側面も持っていますのでね。その点で、技術や新製品などを広げていくという点での取組等がどうなされておるか、お聞きしたいと思います。

◎ものづくり支援課長(竹田謙二君) 匠企業につきましては、国内外の大規模展示会や企画展において取引先の企業を開拓するとともに、大阪製ブランド認定製品についても、百貨店の催事や図書館等の公的機関での展示を通じまして情報発信するなど、広く企業や府民の方々に知っていただく機会を提供しているところでございます。
 今回のコロナ感染症拡大を受けまして、府内のものづくり中小企業が持ち前の高い技術力を生かして新たに開発しました感染防止対策グッズにつきましては、展示会や情報誌の発行を通じて一般消費者にも広くPRするなど、頑張る中小企業の情報発信に努めているところでございます。
 企業連携につきましては、MOBIO-Cafeを年間九十回程度開催し、企業間の情報交換やつながりの場として活躍いただいているほか、常設展示場に出展されている企業向けに、展示会での効果的なディスプレーやプレゼン手法についての研修、社長向けのPR手法に関する勉強会などを開催しまして、異業種連携の場としても積極的に御活用いただいているところでございます。
 今後も、府内ものづくり中小企業がコロナ禍を乗り越えていけますよう、情報発信やつながりの場の創出をはじめ、様々な支援を実施してまいります。

◆(内海公仁君) 私は、今御答弁いただいたような取組が、果たして大阪府下全域にわたって十分に取組の支援というのが行き渡っているかどうかというのを非常に心配している部分もあります。東大阪とか八尾とか東部地域中心に、ものづくりのまちだということをまち自らが宣言するようなことも含めて、それぞれの自治体が、ものづくり企業を支援するための様々なメニューとかノウハウを持って努力されている自治体もあります。
 しかし、一方で、残念ながら府域全体で見ると、ものづくりに対する理解が十分でない。住民との関係でも、ものづくりが遠い存在であったり、あるいは行政自身も、ものづくりに対する評価あるいはその価値を十分に理解した取組、施策展開というのができてないやに思われるところもあります。
 そこで、MOBIOの事業などを中心として、これをさらに大阪府下全域に支援の底上げをしていく上で、MOBIOの支援事業をもっと広げていただく、一回り二回り広げていただく必要があるというふうに思っているんですけども、現場としてはどのような取組や努力をされているか、お聞かせください。

◎ものづくり支援課長(竹田謙二君) 御指摘のとおり、MOBIOは府内ものづくり中小企業の総合支援拠点として、広く府内ものづくり中小企業に御活用いただくことが必要だと考えてございます。東部大阪以外の企業の活用をさらに進めるには、MOBIOの知名度を上げ、支援メニューの浸透を図ることが重要でございます。
 このため、府内の各自治体などと共同して開催するお出かけMOBIO-Cafeを、平成三十年度は計十回、令和元年度は十一回開催するなど、府内各地においてMOBIOの活用をPRするとともに、自治体の中小企業への支援力向上をサポートしているところでございます。
 今後も、府内各地での開催を働きかけてまいります。
 MOBIO-Cafeにつきましては、国等の支援機関をはじめ、中小企業診断士や庁内他部局の協力により、講師や会場を無料で提供いただくなど、事業予算ゼロで開催してございます。
 このように創意工夫を凝らしながら、国や市町村、商工会、商工会議所、大学、産業支援機関、金融機関など、いわゆる産学公民金の各種機関との連携をさらに強め、それぞれの強みを生かしながら、今後もオール大阪で中小企業の支援力向上に努めてまいります。

◆(内海公仁君) 出前のMOBIO、お出かけMOBIO-Cafeですか、これは私も大変いい取組やなというふうに思いますので、さらに広げていただきたいなというふうに思いますし、大阪全域でものづくりが本当にやっぱりもっともっと日の当たる事業体として評価を高めていく、そのための支援というか、発信というか、こういうことを一層進めていく上で、MOBIOを中心とした大阪府の取組というのは、私はもっともっと、先ほど一回り二回り言いましたけども、本音としては、それこそ予算規模も十倍ぐらいの規模にして取組を進めると、こういう発想がやっぱり必要ではないかと私は思っています。
 そういう点では、予算の増額も含めて、この事業を大いに、府域全域でものづくりが府民に認知される、そしてそのことによって販路がどんどん拡大されていく、そしてさらに新しい技術が磨きがかけられると、こういう状況をぜひつくっていただきたいなということを要望しておきます。

・商業振興事業の決算について

◆(内海公仁君) では続いて、次の質問をさせていただきます。
 決算にも関わるんですけども、商業振興に関わる質問です。
 決算概要等報告書の七十九ページを見ますと、商店街等エリア魅力向上モデル事業、それから商店街サポート創出・活動支援事業、この二つの事業が紹介されております。これらの事業は、いずれも商店街を対象にして、エリアの魅力を高める新規個店集積のモデルとか、商店街の課題解決につながるモデルを創出するというふうに理解しておりますけれども、それぞれが二か所、そして七か所という実施の状況というふうになっています。
 地域の商店街の果たすべき役割というのは、とりわけ、今、地域で高齢化が進む中にあって、住民の買物の場を保障するということだけじゃなくって、地域のにぎわいを維持するためにも、本当に大きな役割、重要な役割を持つのが商店街だと私は認識しています。
 ところが、一方で、大型ショッピングモールの進出とかネット通販の拡大などの影響を受けて、商店街自身がとにかくお客さんが来てくれないと、あるいは商店主自身や地域全体が高齢化することによって売上げそのものがどんどん弱まっていく、そして意欲も減っていくと、こういう事態が、どこと言わずに広範に広がっている実態があります。
 同時に、私が心配しているのは、その商店街のいろんな振興策を支援していく各市町村の側も、ある意味、商店街支援にどうしたらいいのか、もう頭を抱えていると。どう展開していったらいいのかということを模索しているという、こういう状況があると思うんです。
 そういう意味では、モデル事業というのは役割を果たしているかと思いますけども、まずこの事業がどのように展開されてきているのかということについて、商業・サービス産業課長にお尋ねしたいと思います。

◎商業・サービス産業課長(山下陽一君) お答えいたします。
 商店街等エリア魅力向上モデル事業は、エリア会議を立ち上げ、商店街の魅力向上プランを策定することで、新規出店促進やまちづくり活動の活性化につなげる取組であります。
 エリア会議は、地元市町村、商店街、商工会、商工会議所、NPO法人等が参画し、商店街の魅力向上に向けた議論を深める場としておりますが、この会議には市町村の職員に毎回出席いただくことを事業の要件としております。
 商店街サポーター創出・活動支援事業につきましては、商店街活性化のノウハウを有する企業等が提案した商店街の課題解決につながる優秀なプランを実証事業として実施するものでございます。プランの提案に当たりましては、地元市町村からの支援表明書を提出いただいておりまして、広報面の協力などを得ながら取組を進めております。
 このように、いずれの事業も市町村の参画を得て実施しております。また、例年秋頃には市町村を個別に訪問いたしまして、翌年度事業の趣旨説明や活用検討を促すなど、きめ細かくサポートをしております。
 今後とも、モデル事例の普及を通じまして、市町村や商店街の自主的な取組を後押ししてまいります。

◆(内海公仁君) 府の取組、市町村と一緒になってやられているということは理解させていただきます。
 ただ、私は、この事業が本来の必要とされる課題や、あるいは今日的な商店街の置かれている状況、これから見てね、施策として本当に十分なのかということが問われているというふうに思うんです。
 調べますと、大阪府下で商店街と言われるところは、だんだんもう形が見えにくくなってきているところもあるように思いますけれども、九百から千というふうに言われております。大阪府下四十三の市町村のそれぞれのところに、いろんな形で商店街というのは構成されているわけですよ。
 そういう状況の中で、事業が、この二つの事業を合わせても九か所という実態というのは、ある意味、各市町村にしてみても、今年はこの取組で大阪府と一緒にやったなあということがあっても、それからまた、ややしばらくずうっと何か忘れ去られてしまうような事業になりはしないかというふうに思うわけですよ。果たして、今の事業の件数や規模、これで必要とされる事業目的、事業効果が果たせているというふうに思われますか。

◎商業・サービス産業課長(山下陽一君) お答えいたします。
 現在の事業規模が小さいのではないかという御質問でございますけれども、商店街は地域経済の担い手として、また地域のコミュニティーを形成する場として非常に重要であるということから、商店街振興につきましては、まずは身近な住民サービスを担う基礎自治体が、地域と一体となって取り組んでいただくものと考えているところでございます。
 府といたしましては、限られた予算や人員体制の中、先導的モデルとなる事業を実施し、事例ノウハウの普及を通じて、市町村、商店街の主体的な取組を支援しているところでございます。

◆(内海公仁君) 私は、この二つの事業が合わせて金額的には二千六百万円余りという事業になっていると。それが商店街を発展させていく上で十分なものになるのかということは、本当に心配しています。その取組をこのテンポでやってたら、商店街を再生させていこうという取組の前に、やがて各商店街が消失していってしまうということにどんどんなりかねないという危機感を持った取組がなされなければならないというふうに私は思っています。
 吉村知事も商店街の活性化ということについてはそれなりの思いもお持ちだと思いますので、予算の構成上の問題というのは、ぜひ私は知事にも今の状況について認識をしっかり持ってもらって、予算の増額あるいは考え方そのものを発展させるということをお聞きしたいなというふうに思っておりますので、委員長におかれましては、また御配慮をお願いいたします。

・大阪府の産業政策について

 では続いて、大阪産業局に関わる御質問をさせていただきます。
 スタートした大阪産業局が、来年度、新年度に向けてさらに事業の移管が進められようとしておるようでありますが、私はこの事業に関わって、ある意味、産業局に裁量を持って仕事をしてもらうという意味があるから、交付金という形の支出ということが検討されているやに理解しているんですけれどもね。しかし、果たして、大阪府が考えている事業の目的や使途、これが大阪産業局の実際の運用の段階で変わってしまうというようなことになっては、具合悪いなというふうに思うわけです。
 その点で、特に今回、ものづくり支援の事業などが産業局の事業として移管されるということを聞いておりますけれども、その事業費が、例えば国際ビジネス支援事業などほかの事業に振り向けられてしまうということになったら本来の趣旨が変わってしまうわけですから、この辺については、やっぱりきちんとしたルールというか、仕組みが必要だというふうに思うんですけれども、その点はどのように考えられておりますか、お願いいたします。

◎商工労働総務課長(荒木慶太君) お答えいたします。
 大阪産業局の中小企業支援機能の強化に向けまして、府の中小企業支援事業を段階的に移管することとしておりまして、それとともに、必要な事業費を補助金交付規則に基づく要綱によります交付金として、産業局に支出することを現在検討しております。
 検討内容としましては、交付金は既に移管しております国際ビジネス支援事業に加えまして、令和三年度に移管するものづくり支援事業、スタートアップ支援事業に係る費用を内容としまして、事業ごとに区分を設定する。各事業ごとに、事業実施の目安となります活動指標とKPI--重要業績評価指標を府が設定しまして、その達成に向けて産業局が機動的、効果的に実施できるよう、事業区分の範囲内で実施方法や事業費に一定の裁量を認める。一方で、先ほどの事業区分をまたぎますような事業費の変更など、事業内容の大幅な変更に関しましては、事前に府の承認を必要とするというふうなことを現在検討しております。

◆(内海公仁君) 一定の使途がきちっと枠が決められて、その範囲で仕事をしてもらうと。府として活動指標というのが示されて、それに対して事業評価も行うというようなことであれば、それはそれでその流れというのをよく注視しておきたいなというふうに思います。
 いずれにしても、後ほどちょっとお話しさせていただきますけれども、大阪の産業政策の軸足をどこに置いて、どういう取組をするかというのが問われているというふうに思います。その点で、実は、ある商工会議所の役員の方とお話しさせていただいたときに、ちょっと心配しているんやということを聞いたんですね。
 それは何でかというと、今後、大阪産業局が仕事をしていくということになった場合に、商工会議所がこれまで大阪府に対して、いろんな施策要望とか要求をさせてもらっていたと。それを今後はどうしたらいいんやと、大阪府に言うだけでいいのかと、産業局にもう要望出さんといかんのかと、こういうことが心配されてたわけですよ。その点では、今の御答弁いただく限りでは、大阪府が、この商工労働部が政策立案も含めて責任を負うということは間違いないというふうに、私、理解させていただいておりますのでね。
 その質問のあったところに対しては、これはもう、大阪府にこれまでどおり要望してちょうだいよということを言わせてもらったらいいかというふうに、そういう理解をさせていただきたいと思いますので、その辺はまたこれからもよろしくお願いしたいなというふうに思っております。

・中小企業の日(七月二十日)及び中小企業魅力創出発信月間について

◆(内海公仁君) そしたら、次の質問をさせていただきます。
 二〇一九年の六月に国において制定された中小企業の日七月二十日及び中小企業魅力発信月間、七月一か月ですね、こういうことが提起されております。この提起に対して、中小企業庁では、中小企業、小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広く醸成する機会を国民運動として提供していくため、定められた期間において、官民で集中的に中小企業、小規模事業者に関する関連イベント等を開催する取組をすると、こう定義されておるわけです。
 そこで、大阪府としては、この間どんな取組を行っているのか、事例も含めて御紹介いただけたらと思います。

◎商工労働総務課長(荒木慶太君) お答えいたします。
 委員お示しのとおり、国におきまして昨年六月に、中小企業、小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広く醸成するために、七月二十日を中小企業の日、七月を中小企業魅力発信月間としまして、中小企業などの魅力発信に関連するイベントを官民で集中的に開催する期間とされました。
 商工労働部では、先ほどの中小企業の日や月間の意義につきまして、部施策の紹介のリーフレットやメールマガジンなどで周知啓発に努めておるところでございます。
 また、中小企業等の存在意義や魅力などに関します正しい理解を広く醸成するということは、月間に限らず継続的な取組が重要であるというふうな認識の下、優れた技術力を有します府内ものづくり企業を匠企業として、冊子やウェブを活用しまして情報発信するなど、機会を捉えまして、府内の優れた中小企業のPR等に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、中小企業等の存在意義や魅力等に関する正しい理解の醸成に努めてまいりたいと考えております。

◆(内海公仁君) この中小企業の日の制定との関係では、国機関、関係省庁、それから関係団体、日本商工会議所や全国商工会連合会、それから全国中小企業団体中央会、全国商店振興組合連合会、あるいは中小企業家同友会全国協議会という民間の組織と協力して、そして地域の中小企業、小規模事業者に関わるイベントとかシンポジウム、セミナー、商工まつりなんかを開催すると、こういうような例示もあります。
 この間、中小企業庁でまとめた今年の月間の関連事業を見ますと、各県単位の商工会連合会とか中小企業家同友会などが主体となって、ウェブを使った会議とかセミナーが各地でやられております。それから、中小企業の魅力の交流会なども開かれております。それから、面白いのは、地方の弁護士会が関わって、中小企業のための、コロナ対応の問題もあるかと思いますけれども、いろんな相談会なんかも多彩に行われているようです。
 ぜひ、こういうこれまで実施されている他府県や他の団体なんかの事業も参考にして、特にこの取組というのは特段予算を使わなくても、あるいは民間の団体さんの取組を後押しするというような形でも十分できるものだと思いますので、ぜひそういう意味で、さらにね。
 これ、七月ですから、年度初めとの関係でいうと意外と忙しいんですよね。ですから、もう年度がないから、来年度の七月二十日に向けて、あるいは七月一か月の月間に向けて、ぜひいろんな団体にアピールして、事業やってちょうだいよというような働きかけをぜひやっていただきたいなというふうに思いますけども、そういう努力というのは可能ですかね。いかがですか。

◎商工労働総務課長(荒木慶太君) お答えいたします。
 今、委員お示しのように、いろいろな民間団体あるいはそういった支援機関と協力しながら、工夫を凝らして展開してまいりたいというふうに考えてございます。

◆(内海公仁君) 私、ずっと一貫して、ものづくりの魅力を府民に、あるいは行政機関も含めて、しっかりと知るということが大変重要なことだなというふうに思っております。その点で、この中小企業の日あるいは月間というのは大変大きなインパクトを持つ取組だというふうに思いますので、ぜひそういう点で活用していただけたらなというふうに思っております。
 同時に、やっぱりものづくりというのは、工場の中で一生懸命作ってるけども、作ってる本人は、やっぱり新しいもの、付加価値のついたもの、そしてほかと差別化されたもの、こういうことに毎日神経をとがらせて知恵を出しているわけですよね。ところが、ややもすると情報発信がなかなかできていないということがありますので、その情報の発信を大いに支援するということが大変重要だと思います。
 東大阪で、もうかなり前になりますけれども、各事業所の技術力あるいはその会社の売りをネット上で広げていくという取組をやって、これが新しい取引を全国から呼び込む大きな力になったという経験もありますので、ぜひそういうのを発信していただきたいなというふうに思います。

・中小企業支援策について

◆(内海公仁君) ちょっと、この事業あの事業ということだけじゃなくって、大阪府の商工労働部としての産業政策の在り方がどうあるべきかということについても、ちょっとお尋ねをしたいなというふうに思っております。
 コロナ禍の影響を踏まえて、今まさに、これまで大変魅力でもあり当てにしてきたインバウンドや、あるいは外需頼みの大阪経済の在り方が、根本から見直される瞬間になってるかと思います。同時に、このことは、単にコロナが収束したらそれで終わりということにはとどまらない影響力を持つものだと私は思っています。
 つまり、それはなぜかというと、結局、地域がどれだけそれぞれの地域で自前でしっかりと経済が自立していけるか、このことが改めて問われていると思うんですね。私はそのキーワードとして、地域内再投資力ですね、そして地域内の経済循環を構築する、こういうことではないかなというふうに思っています。
 そういう新しい課題、発想の転換ということから考えて、商工労働部として、地域密着あるいは内需拡大型の経済支援策について、どんな取組をしていったらいいのか。また、その施策展開の転換として、商工労働部として、どのように施策展開を考えているのか、お聞きをしたいと思います。

◎商工労働総務課長(荒木慶太君) お答えいたします。
 経済を拡大していくための取組ということで御質問でございますので、国内での取引を増やすというふうな観点からお答えをさせていただけたらと思っております。
 確かに委員お示しのとおり、国内のところというのは、現在厳しい環境にあります中小企業に対しまして、商工労働部では、技術支援や販路開拓などをサポートすることで、幅広く売上げの拡大を支援していくことが重要というふうに考えてございます。
 具体的には、大阪産業技術研究所におきます研究所の利用料の減免によります研究開発等の支援や、蓄電池や水素などスマートエネルギー分野の大企業と中小企業のビジネスマッチングをコーディネートすることによりましたビジネス拡大を図っております。
 また、府内ものづくり企業の販路拡大につきましては、これまでもMOBIOにおきまして、匠認証企業や大阪製ブランド認定製品のプロモーション、ものづくりBtoBネットワークの運営等によりまして、ブランド化やマッチング等の販路開拓支援を進めてまいりました。
 今年度は、フェースシールドやパーティション、医療用ガウンなどの感染防止対策グッズなどのPRにも取り組んできたところでございます。
 コロナ禍でデジタル化などが進展するなど社会環境が急速に変容する中で、引き続き企業の技術支援や販路開拓などの支援施策に取り組んでまいります。

◆(内海公仁君) 商工労働部としての取組の努力というのは、お示しのとおりかなというふうに思っております。
 一つ、資料を紹介させていただきたいと思います。ちょっとスクリーンをお願いします。
 白黒で大変見にくいグラフなので、傾向でしか分からないんですけれども、これは、実は京都大学の名誉教授の岡田知弘先生が日本銀行の統計情報を基に作成したもので、二〇〇〇年の三月末から二〇一九年の三月末までの国内の銀行の貸出残高の都道府県別推移を表したものなんです。
 この二十年の間に、実は全国の銀行の貸出残高というのは四十二・四兆円増加をしました。しかし、その増加が、どの府県が増加をしたのか、減少したのかを表した数字なんですね。東京が六四%増加寄与率になっています。これに対して、最も落ち込みが大きいのは、大阪府のマイナス三五%でした。貸出残高が絶対的に減少している府県数は、実は東海銀行の本店がなくなった愛知県も含めて、愛知県ちょっと微妙な数字なんですけども、若干マイナスになっています。合わせて十三府県になっております。
 貸出残高の減少というのは、当該地域における地域内の再投資力の弱体化を表しているというふうに言われます。この現状を無視して、大阪の成長とか、それこそ国際金融都市などと言ってみても、大阪経済の構造的弱点を解決することにはならないと私はそう思っています。
 大阪の地域経済の再生の課題を考えるに当たって、このように大阪経済の落ち込んできた要因が何なのか、これをしっかりと検証して、その原因に対処する立場に立った、独自の地域産業政策を展開する必要があると私は思っています。
 実は、この資料は、今年六月に増補改訂版として発行された岡田知弘先生の「地域づくりの経済学入門 地域内再投資力論」という本の中で紹介されたグラフなんですね。もう終わっておきましょうか。はい、ありがとうございます。
 この状況に至った要因として挙げられている問題を幾つか紹介したいと思います。五つ要因があるというふうに言われています。
 一つは、一九八〇年代中頃以降のグローバル化の負の影響を実は大阪は最も受けやすい、ものづくりを中心とした産業が中心の地域であったこと。そのことが、実はその以前から繊維産業などを中心としていた大阪が、高度成長期に重化学工業や電気機械、輸送機械工業がリーディング産業に変わっていった。ところが、グローバル化の中で、これらの産業が海外に生産拠点が移って、いわゆる空洞化が始まるんですね。逆に繊維産業などは海外から輸入されて、そして流通も合理化されて、中抜き状態になって流通も崩壊すると、こういう要因が一つある。
 要因の二つ目は、規制緩和の負の影響を最も受けやすいと言われる中小企業や零細企業が集積した地域が大阪であったこと。これはもうそのとおりだと思います。加えて、大店法の規制緩和以降、個人の商店とか、あるいは京阪神を拠点としていた大手のスーパー資本なども破綻をする経過があって、そしてそれらとの取引関係や地域商店街にも影響が出てきた。これが要因の二つ目です。
 要因の三つ目は、バブル崩壊の影響を大きく受けている。というのは、東京のバブルマネーが時期が遅れて大阪に入ってくることによって、大阪の土地のバブルというのは少し遅れた状態で進んでいったんですね。その結果、大阪では、不良債権をたくさん抱えた地域金融が相次いで経営破綻をすると。そのことによって、貸し渋りなんかで中小企業が資金難に陥った時期があったと。
 それから、要因の四つ目は、大型プロジェクト偏重で、関西の地盤沈下を何とかこれで食い止めようと図ったけれども、しかしそれはりんくうタウンの建設とか学研都市の建設などが、結局、企業誘致が成功せずに、行政としての不良債権をつくってしまう要因になった。これが地域経済の疲弊につながる。
 要因の五つ目は、政府が進める国際化政策、そして規制緩和政策の影響も大阪は大きく受ける地域でありながら、そのことに対して、大阪府や自治体が、産業政策として地域の個性に合った独自展開をすることをしてこなかったと。結果として、大規模公共事業中心の取組が矛盾をさらに拡大していったと。こういう五つの要因というのを分析しているんです。
 こういう視点を深く掘り下げた上で、大阪の成長というのは、大阪の経済の発展ということを考えたときに、やっぱり軸足をどこに置かなければならないのかというのが、私は今問われているときだというふうに思っています。
 大阪でそれこそ長年培ってきた中小企業あるいは商店の取組を、今のままじわじわと衰退している状況を見過ごしてしまったら、五年先、十年先の大阪は大変な深刻な事態になる。そういうときに、大阪の成長の起爆剤と言って、万博の開催あるいは大きな投資事業が、これがその回答になるのではないかと考えるのは、私は大変な間違いをまた繰り返すことになるのではないかというふうに思っています。この点については、ここで御答弁をいただくというつもりはありません。
 ただ、この問題については、やっぱり吉村知事の大阪再生の考え方そのものにも大きく関わる問題だと私は思っておりますので、その点で、吉村知事にもこの点での問題提起をさせていただいて、知事の見解を伺いたいなというふうに思っておりますので、ここでは、商工労働部長はじめ商工労働部の皆さんには、こういう視点をぜひ持っていただきたいなという思いだけ聞いていただけたら、あとは知事質問でお話をさせていただけたらなと思いますので、委員長、ひとつよろしくお願いいたします。
 以上で私の質問を終わります。



   


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