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議事録


総務常任委員会(2019年10月23日) 石川たえ府議の知事質問

・一部損壊家屋に対する支援について

◆(石川たえ君) 日本共産党の石川たえです。
 初めに、台風第十九号でお亡くなりになられた皆様に心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。一日も早い復旧を願っております。
 大阪からも早速職員が派遣され、きょうまた新たな派遣をされる職員に、この後、知事が激励をされるというふうにも聞いています。ぜひ、職員の皆さんには、大阪は災害対応にも非常に強いということを示していただけるように、そして被災地の皆さんの生活が一日も早く再建できるように頑張ってきていただけたらいいなというふうに思っているところです。
 今回の台風第十九号は、大阪には大きな被害をもたらすことはありませんでした。しかし、昨年の北部地震、台風第二十一号では、府民生活を根幹から脅かすような大きな被害が起こりました。今国会で国は、災害救助法を一部損壊にまで拡大し、恒久化する運びとなりました。残念ながら、国の災害救助法は、今年度以降の災害が対象となっています。
 昨年策定した大阪府の生活再建支援制度は、北部地震と台風第二十一号だけが対象となっています。その上、一部損壊は対象となっておりません。北部地震で災害救助法適用となったのは十三市、台風第二十一号ではあれだけの被害が起こり、一部損壊世帯は六万六千件にも上りますが、災害救助法の対象外となっております。
 地震で壊れようが、台風で壊れようが、家が壊れてしまったことに変わりはありません。まだ昨年の災害から立ち直っていない世帯がたくさん残されているもとで、大阪府の生活再建支援制度も一部損壊世帯まで対象を拡大し、昨年の災害からの生活再建をさらに応援するべきだと思いますが、知事はいかがお考えでしょうか。

◎知事(吉村洋文君) 被災者に対する支援については、被災者生活再建支援法であったり、あるいは災害救助法といった国における統一的なルールによる支援というのが基本だと思っています。
 国において、台風第十五号ですね、これ千葉に来たやつですけど、その被害を受けて、災害救助法に基づく支援を一部損壊家屋まで拡大するというふうに聞いております。こうした制度を活用しながら、支援をしていきたいと思います。

◆(石川たえ君) さっきも申し上げましたけど、国の災害救助法は拡大されているんですけど、今年度の災害以降というのが一つと、一部損壊世帯が拡充されたことはいいことなんですけど、北部地震は災害救助法の適用対象なんですよね、台風第二十一号は災害救助法の適用対象外なんですよね。これから先の話になるとは言っても、災害の種類によって災害救助法が適用される地域とされない地域が生まれてきてしまうわけです。ここをカバーしてあげないと、災害の種類が違うからといって、同じ一部損壊の世帯が救われていかないというのは、私はおかしいんじゃないかなというふうに思っています。
 昨年のような災害、また今回のような大きな災害が起こったときに、府民が、自分で努力して家を直すというのは必要なことだと思いますけれども、それだけで生活再建できるとはなりません。個々人が、日ごろから災害に備える、これは非常に大事なことだと思っています。同時に、行政が、生活再建への手助けをする必要があると思います。北部地震と台風第二十一号だけが、今の大阪府の生活再建支援制度の対象です。これでは、今後の災害への備えとしては不備だというふうに私は思います。
 千葉県では、一部損壊世帯に、政府の支援に加えて独自に最大二十万円上乗せする、こういうことを決めておられます。
 大阪でも、生活再建支援制度を一部損壊まで拡充すること、同時にほかの災害にも適用できるように恒久化することで今後の災害に備えるべきだというふうに思いますが、いかがですか。

◎知事(吉村洋文君) 災害救助法の適用については、国において一定のルールのもとで決められているというふうに認識をしています。なので、だからその時々の状況に応じてというよりは、きちんとしたルールのもとで適用を国が定めるというふうにしていると思っています。だから、まさに被災者へのいわゆる支援については、まずは法に基づく国制度による支援というのがやっぱり基本になってくるんじゃないのかなと思っています。
 ただ、昨年の北部地震あるいは台風第二十一号における被災者において、被災者生活再建支援法の適用を受けたのは地震による高槻市のみで、府域内で同じ全壊、大規模半壊の被災者の間でも支援の有無に差が生じるということになったので、これは大阪府下における市町村のバランス、広域自治体として均衡を保つということで、府の独自制度を創設したと認識をしています。
 今後、府独自の支援制度については、大規模災害発生時において今のルールをもとに、昨年創設した制度なんかも踏まえながら、その状況に応じて判断をしていくべきだというふうに思います。

◆(石川たえ君) 委員会でも申し上げたんですけど、今知事が言われたみたいに、国の制度は高槻だけだったので、それ以外ちょっとほかの市にとっては余りにもひどいんじゃないかということで大阪府が制度をちゃんとつくったと。私は、これすごい大事な取り組みだったなと思っていて、国の災害救助法も生活再建支援法も、実は物すごく厳しいんですよね、なかなか適用の対象にならないと。なので、災害救助法は、今回恒久化で一部損壊が入りましたけど、それまででも全国でこれだけ災害が起こっていても、一割程度しか対象になってないということも明らかになってきているんですよね。
 それではあかんということで、せっかく大阪府が頑張ってつくったこの制度、もっと拡充せえへんかったら、地震の人はいけるけど台風の人はあかんみたいな、これやったら、せっかく高槻市だけやったら余りにもひどいからいうてカバーしてあげたのに、地震の人はカバーしたげるけど台風の人はカバーしたげへんて、またカバーしてあげられへん人が生まれてくるやないですか。
 なので、これから先、今からまたお考えになるというふうに言われてますんで、ぜひ前向きに考えてほしいなと思ってるんですけど、やっぱり災害が起こってからどうするか考えるんじゃなくて、災害に備えてこの生活再建支援制度をどう拡充し、恒久化するかということを私は考えていかないといけないというふうに思っています。
 大阪府の防災計画を見ていますと、住民の基本的責務というのが出てくるんですよね。この住民の基本的責務として、みずからの命はみずからで守ることが基本と書かれているんですね。みずからで守らなあかんので、みんな一生懸命、今避難袋を家に用意したりとかしているわけですよ。住民は、その自覚を持って、平常時より災害に対する備えを心がけるように呼びかけられているわけです、大阪府の防災計画の中で。
 住民の命と安全を守っていく大阪府としても、災害が起こってから考えますじゃなくて、住民に日ごろから備えてねと言ってるんですから、やっぱり災害が来ないことを私も祈りますけれども、もし来てしまったらという、そのことを想定して、制度も最初からきちっと拡充しておくことが大事じゃないかなと思いますけど、生活再建支援制度を拡充すること、恒久化することというのは、前向きに考えていただけるんでしょうか。

◎知事(吉村洋文君) 広域的自治体の役割として、まずは僕は現状として、国で定められている全国的なルール、これは非常に重要だと思っています。もし、これを広げていくんであれば、大阪府だけではなくて、全国的に拡大すべきだというふうな認識なので、だからこれは大阪府として国に要望していくべきだと思っています。
 その全国的に定められたルールの中で、もしいわゆる広域自治体、大阪府、去年の高槻のことがあって、他の自治体にとって余りにも不均衡だということであれば、これは広域自治体として市町村間の均衡というのは図っていく必要があると思っていますが、府において国とは違う特別な一部損壊のルールを一般化するというのは、僕は反対です。
 まず、事情に応じてさっきの均衡を図るというのは僕は必要だと思いますが、一部損壊が起きたときにどこまで支援すべきなのか、ここはかなり詳細な制度設計が僕は必要になってくると思います。これは、国がやることになると思います。
 今回、千葉でああやって総理が恒久化すると言ったのでそうなりましたが、今回、その後にまた新たに今回の台風第十九号で大きな被害が発生した。もっと言えば、もっともっとすごく大きな被害が発生する地震だって将来起きるかもわからない。それが恒久的に適用されていくわけですから、大規模損壊とか半壊を超えて、一部損壊全てに適用していくということになれば、これは詳細な制度設計というのが僕は必要になってくるだろうと。総理は、一歩踏み出されたので、僕はそれ要求していた事項だからよかったなとは思うんですけども、非常に詳細なルール、もちろん財源も含めて必要になってくると思います。
 再建を支援するために、確かに大規模損壊であったり、あるいは半壊で非常に大きな被害を受けた、これは地震やそういった台風、その人に責任はないわけですから、被災者には。それをやっぱりみんなの税で支えていこうというのは、僕は基本的には賛成です。ただ、一部損壊したときに物すごく数が多いと。それは損壊してない人の分も含めて、皆さんの税金でどこまで支えていくのかというのを意識的に決めたら、かなり僕は詳細な制度設計が必要になるだろうと思っています。
 だから、それを大阪府が率先してやる、固定ルールをつくるというのは、ちょっと違うと思うし、まずは国で大きなルールをつくってもらいたいなという思いでそういう発信も要望したわけですけど。
 だから、一部損壊の人だって、もちろん被災を受けているわけですから、行政として支えていけることはどんどん支えていきたいと思いますが、一般化したルールをつくっていくと、大阪府だけ独自のをつくるというのは、僕はちょっと否定的な考え方を持っています。それは、被災者をないがしろにするという意味じゃなくて、その一部生じた皆さんをどう支えていくか、それはほかの皆さんの税でもって支えていくわけですから、そこは一定程度厳密な制度設計が必要になるし、国でやるべきじゃないのかなというふうには思っています。
 だから、国に対して要望はしっかり働きかけていきたいと思いますが、大阪府として独自の制度というのは、現時点では考えてはないです。

◆(石川たえ君) 一部損壊に、制度化するのに物すごくルールが必要やというのは、財源も含めて検討が必要やというのは、私もそのとおりやと思いますし、じゃ一部損壊、壁一枚剥がれた人まで入れるのかというのも含めて考えていかなあかんことだと思いますし、財源が湯水のようにあるわけではないので、そこを精査せなあかんし、一定の線を引かなあかんというのはもう重々わかってるんですけど、だからやらないということと、どうやってじゃそのルール確立するのかというふうに進んでいくのかとでは、私は違うというふうに思っています。
 国の防災・安全交付金を活用して、防災の対策としてそういう耐震にするという条件をつけて、山形県なんかは支援の制度つくってますやん。それを災害が起きたときに、もともとは防災の対策のものやけど、災害起きた世帯にも適用しましょうというふうに変えたりとかもしてますやん。なので、最初からやらないと言ってしまわないで、何らかの方法で救えることはないのかとか、どんなルールにすればいいのかとか、前向きに検討しなかったら、これだけ災害が続いている中で、本当に府民の命と暮らしと安全は守っていけないんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひ国に要望していただくと同時に、大阪府での積極的な検討もお願いしておきたいなというふうに思います。

・副首都ビジョンの取り組みについて

◆(石川たえ君) 続いて、副首都ビジョンについてお聞きをいたします。
 このビジョンを見ていると、IRの経済効果については述べられておりますが、IRにカジノを含むことによる社会的損失については述べられておりません。世界最高水準を標榜し、巨大な施設となれば、それを建設し運営するためには、巨額のカジノ収益が必要になります。巨大なカジノ収益を上げるには、それだけ多くの人がお金をかけてくれなければいけません。
 カジノの社会的損失について他国の試算を見てみると、アメリカではギャンブル依存症者一人当たり社会的損失は一万ドル、メルボルンで最大のIRカジノを抱えるオーストラリア・ビクトリア州では、社会的損失はカジノ収益の四から五倍というふうに試算をされています。
 副首都大阪を進めるために、万博とIRをインパクトとして活用すると言われていますけれども、インパクトのマイナスに働くようなこれらの社会的損失についての推計は出ているんでしょうか、またその懸念を今後どのように払拭していこうとお考えですか。

◎知事(吉村洋文君) IRについては、二〇二五年大阪・関西万博とともに、世界中から新たに大阪に人、物、投資を呼び込むことで副首都の発展を加速させるインパクトになると考えています。
 お示しのギャンブル等依存症などの懸念事項についてあるのも、これは事実であると思っています。だからこそ、いわゆる課題面については、大阪IR基本構想案に基づいて、世界の先進事例に加えて大阪独自の対策をミックスさせた万全の対策を講じて、この課題事項、懸念事項については、最小化をしていきたいというふうに思っています。
 こうした対策も含めて、引き続き府民の皆さんの理解の促進に努めて、大阪の世界最高基準のIRの早期実現をやりたいと思います。

◆(石川たえ君) 社会的損失についての推計というのは、知事、御報告とか聞いておられますか。

◎知事(吉村洋文君) 社会的推計の金額とかいう報告は、受けていません。

◆(石川たえ君) やっぱり、ええことはいっぱい聞こえてくるんですよね。経済効果これだけあるんだとか、来場者これだけいてるんだとか、本当に大きなインパクトになるんだとか、エンターテインメント施設なんだとか、大きなことはいっぱい聞こえてくるんですけど、ギャンブル依存症も頑張るというお話は、この間ずっとお聞きもしていますし、頑張ってもらわなあかんと思ってるとこなんですけど、ギャンブル依存症の患者、少なく見積もった人数、大阪で昨年一年間のギャンブル等依存症だろうというふうに報告されている数、少なく見積もっているなと思いますけど、この四万八千人に例えばさっきのアメリカの試算を当てはめると、カジノのない今もう既に四百八十億円の社会的損失が生まれていると--これ単純計算なので、そんな単純にはいかないと思いますけど、もう既に生まれているわけですよ。なのに、これから本当に万博に合わせて大きなIRつくるんだと言ってはるときに、副首都としてマイナス面をきっちり議論しないまま、本当にインパクトにそれはなるんですか。

◎知事(吉村洋文君) まず、社会的損失の推計、僕は聞いてないですけど、大阪市長のときに、先生の会派の方とカジノ反対の議論をしょっちゅうやりとりはしていまして、多分大阪市会議員からこんだけ社会推計があると我々は考えていますという話をしたのは、うろ覚えでの記憶はあります。
 なので、別にいわゆる社会的推計が、それは先生の会派の考え方ということなんだろうというふうにも思います、もちろんそれは学者が出されてるんかもしれませんけど。ただ、ギャンブル依存症に関しては、いわゆるその数値について厚労省が捉えている数値というのは、把握をしています。
 この数値において、今その多くがパチンコ、パチスロによるものだということも認識をしています。なので、もう既にギャンブルがある中でパチンコ、パチスロの影響は非常に大きい。これこそが大きな問題じゃないかなと。そういうのがあるにもかかわらず、これまでいわゆるギャンブル依存症対策について積極的にとってこなかったこと自体が問題じゃないかなと思います。
 今回、IRを誘致するに当たって、まさにこれまで国や自治体もそんなに積極的にやってこなかったギャンブル依存症対策をちょうど考えるよいきっかけになるというふうに思っていまして、この対策をとることで、いわゆるギャンブル依存症については、IRが来る前よりもより少なくしていきたいと思いますし、影響を今のままパチンコ、パチスロでギャンブル依存症があるという状況よりも、さらに僕は少なくしていきたいというふうに思っています。
 そういった意味で、どういうやり方があるのかということで、ギャンブル依存症の懸案事項についてさまざまなギャンブル依存症の家族会の方にも入ってもらったやり方というのは大阪府でもとっていますし、そしてその対策というのは、大阪でも先進モデルをやっていこうということで、ここで僕は一つ一つは言わないですけども、そういった政策をとっていこうということで今進めているというふうに認識をしています。

◆(石川たえ君) もう時間がありませんので、ギャンブル依存症を生まないためには、これ以上のギャンブルをつくらない、賭博場をつくらないことが最も確かな力であるというふうに思いますので、アジアの中での中心地になるとか、本当に万博、IRをインパクトにして日本経済の牽引車の役割を果たすとかいって副首都ビジョンの中でも書かれていますけれども、副首都そのものだって私は検討する必要があるんじゃないかなというふうに思いますし、やっぱりIRをつくってカジノを呼ぶことで府民生活や大阪経済はよくなるとは思いませんので、ぜひ御検討いただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。



   


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