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議事録


教育常任委員会(2018年12月18日) 石川たえ府議の質問

・府大・大阪市大統合問題

◆(石川たえ君) 日本共産党の石川たえです。
 公立大学法人大阪に係る第一期中期目標についてお聞きをいたします。
 この間、一貫して、大学統合ありきで拙速に進めるべきではない、こう申し上げてまいりました。この第一期中期目標期間中に大学の統合が進められる、こういう方向で今進められています。第一期中期目標では、大阪の都市問題解決や産業競争力強化に貢献する方向性に向かって、「大阪の発展を牽引できる全国ナンバーワンの公立大学の実現を目指す」、こう前文に書かれています。ナンバーワンを目指すというからには、学生数は一体どうするのか、キャンパスはどうなるのか、運営交付金はどうするか、学生への支援、また地域貢献はどうするのか、教職員の数、基礎研究のあり方など具体的明記がなければ目標とはなりません。
 ところが、今回の第一期中期目標は、これまでの公立大学法人大阪府立大学第三期中期目標を業務運営等に関するもの以外は踏襲をしており、教育、研究、社会貢献への目標は書かれていますが、具体的なことというのは何ら明記されていません。
 そこでお聞きをいたします。
 まず、運営交付金についてです。
 第三期中目標では、これまでの水準を維持、こうなっていますが、今回提案の第一期目標には運営交付金の明記がありません。一方で、研究推進には外部資金の活用と繰り返し繰り返し確認がされていますが、運営交付金は大学統合後どうするつもりなのか、また外部資金に頼るのか、ナンバーワン大学にふさわしく、これまで以上の運営交付金を交付するのか、一体どうなっていくのかを教えてください。

◎府民文化総務課参事(千田豊君) 新法人に対する運営費交付金につきましては、現行法人に対する第三期中期目標の考え方と同じでございまして、現状の支援水準を維持してまいります。

◆(石川たえ君) 現状水準の維持というふうにこれまでも言われてきているんですけれども、運営交付金はこれまでずっとこの間、減ってきています。第二期中期目標で、現状の教育水準の維持、向上を図りながら収支改善に取り組んできた、昨年もこう答弁をされていましたが、年間九十億円を基本に外部資金を運営費の五〇%を目指す、こう設定して取り組んでこられた。この結果、運営交付金は約四億円減っているわけです。既に四億円減らしている、この現状水準を維持していきます、こういうお話だというふうに思います。減らしたまま維持をしていく。自己収入の確保や外部資金の活用と書いてあるけれども、一体外部資金を運営費の何%に設定するかは全く載っていない。これではやっぱりあかんのと違うかなというふうに思っています。
 私は、外部資金頼みは反対ですけれども、運営交付金は現状維持やけれども、それ以外はどうするのか、どんな運営をするのか、資金面で全く見えてきません。ナンバーワン大学を目指すというのであれば、せめてこの運営交付金、四億円減ったままの現状維持ではなくて、平成十八年の約百三十一億円の水準までしっかり復元していく、このことも提案していきたいというふうに思います。
 次に、人材育成、教育に関する目標についてです。
 「国際社会で活躍できる人材の育成をするための教育を展開する」、こう書いてあります。これも昨年も聞きましたけれども、運営交付金が減らされている中で教員の数は減っています。残った教員は多忙化で、学生指導や基礎研究そのものもできない、こういう実情があるということを去年御紹介いたしました。この現状を、今回の一期目標ではどうやって打開して、国際社会で活躍できる人材育成の教育を進めるつもりなのか、お聞かせください。

◎府民文化総務課参事(千田豊君) 委員お示しの今回の提案の中期目標案における府立大学に関する「人材育成方針及び教育内容」に関する目標につきましては、これまでも現行法人に対する第三期中期目標の「教育目標及び教育内容」として、「世界で活躍できる人材を育成するための教育を展開する」としていたところであります。また、第三期中期目標に基づく中期計画の平成二十九年度の法人における同項目の自己点検では、年度計画を上回って実施していると自己評価されております。
 今後も、国際社会において活躍できる人材育成のための教育が大学において十分果たされるよう、府として取り組んでまいります。

◆(石川たえ君) 府立大学の三期目標にも書いてもあるし、これまでも取り組んでもきたし、学校の自己評価でも計画を上回っている、これからも人材育成の教育は大いに進めていくから大丈夫やでと、そういうお話じゃないかなと私は思うんですけれども、昨年、先ほども申し上げましたけれども、大学教員の実態を申し上げました。大学の先生が減っているがために、普通の労働者でいえば過労死ぎりぎりのラインまで教員の先生は働かないといけないような現状に今おられます。土日もありませんねというふうに私がお聞きしたら、そんなものは全くありませんというのがその場でのお話だったわけです。卒論の指導もできない、一人ずつの学生の指導もできない、教授がやめてしまったら、その研究は続けられないような状況もある。若い大学の教授の先生は、ここにおったんでは自分の研究がでけへんから、さっさとレポートをつくって、どんどん論文を書いて、よその大学に行っちゃおうというて出ていっちゃっているという、こんな現状もあるわけです。
 これでいいんですか、ここの解決が要るんではありませんかと、こういうふうに昨年問題提起をさせていただいたんですけれども、この部分については、今回の一期中期目標でもやっぱり変わっていないというふうに思うんです。大阪府立大学の教員一人当たりの学生数は十二・〇人です。国立大学は九・五人なわけです。国立大学と比較すると府立大学の先生のほうが受け持ちの学生数はやっぱり多いんですよね。だから、でけへんという悲鳴が上がっているわけです。
 運営交付金は減らされたままの現状維持、担当の学生数は多い、その上に人材育成やとかグローバル化やとか、国際社会に貢献できるように学生を育てていくとか、高度研究型大学としてやるとか、大きな目標は次々出るんですけど、現場は手が回れへんでぱんぱんというのが実情だというふうに思うんです。この間ずっとお聞きしてますけれども、本当にこういう先生方の声をきちんと聞いて、実情もつかんで、学生や教職員への周知、また意見聴取をこれまで以上に、昨年以上に進めてこられているのかどうかというのを教えてください。

◎府民文化総務課参事(千田豊君) 法人統合及び大学統合に関しまして、法人内におきまして、学内で設置された会議やさまざまな機会等を通じ、意見聴取並びに検討状況などの周知をしております。
 また、学生及び関係者に対しましては、法人のホームページや学長によるSNSなどを通じ情報発信しております。

◆(石川たえ君) この間ずっと同じことを聞かせていただいて、ずっと関係の会議で説明してますとか、学生のポータルサイトとかSNSでの発信もしてますよという御答弁をいただいているんですけど、通っている当の学生さんに聞きますと、昨年は、アンケートを知らない子がほとんどだったよと御紹介させていただきました。ことしは、私も知人がおりますので、実際通っている大学生の子たちに、ちょっと周りに聞いてきてよというふうに聞くと、やっぱり全然知らない、よく知らないというのが実情だと思うんです。発信する側は、発信した発信したと言いますけど、受け取る側は全然受け取ってない。ましてや、教職員に至っては、なかなか自分たちの意見そのものを伝える機会がないというふうに言われているわけです。なので、この部分は、やったやったと言ってしまわないで、心通っていかなかったら、中期目標なんて具体的に進んでいかないと思いますので、もっと心を通わせる努力はしていただきたいなというふうに思っています。
 次に、学生の支援と市町村の連携についてお聞きをいたします。
 そもそも大阪府立大学の二期中期目標から三期中期目標に変わったときに、「学生支援の目標」や「市町村の協力に基づくシンクタンク」、こう書いてあったものがごっそりなくなって、かわりに、「大阪のシンクタンクの役割」というふうに書かれていました。社会貢献、大阪への貢献については、これも記載があったものが、二期から三期に移動したときに、「産業活性化」、こういう一言でまとめられてしまったんですね。
 大学は、産業活性化のためだけの組織ではないんではないかなというふうに私は思っています。産業活性化に向けて、そこで学ぶ学生をやっぱりしっかり支援していくこと、そしてその子たちが本当に将来の大阪を担っていけるように育てていってあげること、同時に、市町村との連携がしっかりなかったら、府立大学だけが産業連携やと言うていろんな企業と提携して研究を進めたらいいということではなくて、やっぱり市町村に暮らす府民一人一人が安心して暮らせるような土台をどうやってつくっていくのかというのを含めて研究を進めていくことが大切やと思っています。昨年も聞きましたけど、本当にそういう研究を学びたいと思っている学生さんと、学ばせてやりたいと思っている大学の先生たちが力を合わせて研究を進めていくためには、学生さんの支援が欠かせないわけです。この学生の支援を具体的にどうやって進めようと思っておられるのかということと、市町村との連携が計画からごっそりなくなっているのはやっぱり問題だと私は思っていますので、市町村の連携協力は今後どのようにとられていくのか、このことについてお聞かせください。

◎府民文化総務課参事(千田豊君) 学生支援につきましては、法人におきまして、これまで多様な学生への経済的支援として、減免制度や奨学金制度による支援を行ってきたところでございます。今回の中期目標案では、第二期及び第三期中期目標の内容を継承いたしまして「学生支援の充実等」として掲げております。なお、現在、国におきまして入学金や授業料の無償化の検討がなされていることから、今後、その動きも踏まえまして、新法人において検討を進めていくこととなります。
 また、市町村との連携につきましては、第二期及び第三期の中期目標と同様に、今回の中期目標においても府内市町村との連携を強化するとしております。
 法人におきまして、これまでも、府内の自治体との共同研究や共同事業の実施を初め、教員が自治体の審議会委員として政策課題等への助言を行うなど連携に取り組まれており、今後もこうした取り組みにより、地域社会の課題解決に貢献していただくこととしております。

◆(石川たえ君) 府立大学の学生さんの自治会のホームページを拝見していますと、学校にどんな要望書を提出して、どんな回答が返ってきたかというのが時折載せられているんです。その中に、授業料の減免について、成績基準をなくしてほしいという要望が学生さんから出された。それに対する大学側からの回答は、要は府立大学というのは大阪府が設置もしているんだから、大学としてどうこうできるものではないよと書いてあったんですよ。ざくっと言ってしまっていますけど、もうちょっと丁寧には書いてあるんですけど、大学の回答がどうこうと言うつもりはないんですけど、学生さんの要望としては、減免基準の中の成績基準がかなりきついというふうに言われているのが大事なところだなと私は思っていて、これも去年申し上げましたけど、減免の制度をつくったよとか、基準をちょっとよくしたよというふうにおっしゃるんですけど、成績基準があるがために減免を受けられへん子がやっぱりいっぱいいてるんです。勉強したらええやんっていうふうに言われるかもしれませんけど、本当に勉強したいと思っているのに、今、大学の学費が高過ぎて、アルバイトしながら学費と生活費を稼いでいるという学生が少なくないわけです。そういうことを学生にさせずに、しっかり学び、研究し、大きく羽ばたいていってもらえるようにするために減免というのはあるわけで、ここの基準緩和はもっと考えないといけないかなというふうに思っています。
 今、全国的には私立大学は学費値上げが相次いでいます。国の運営交付金が削減されて学費値上げに踏み切る国立大学まで今出てきています。東京工業大学が、文部科学省の定めた標準額を十万円近く上回る授業料の値上げを発表もいたしました。もともと大阪府立大学の獣医学部は、公立大学であるにもかかわらず、初年度納付金が百十万円にも上り、東京工大の値上げ額よりも既に高いわけです。私立大学並みに高いというのが実情です。先ほども申し上げました。学費と生活のために一日八時間、週五日バイトしている、こういう学生もいます。高学費のために大学進学はもう諦めた、こういうふうに言う高校生も少なくないというふうに聞いています。大学が安定的に将来を見通せるように措置するのが本来の交付金のあり方だというふうに私は思います。経済的理由から進学を断念することがないように学生の支援を強めるとともに、運営交付金を増額し、大学の発展に大いに寄与するべきではないかと思います。
 ノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑特別教授は、基礎研究を組織的・長期的展望でサポートし、若い研究者が人生をかけてよかったと思える国になることが重要だ、こういうふうに述べられていました。基礎研究したいのに、運営交付金がなくて学生がたくさんやから、もう悪いけど府大から出ていくわ、これは全く真逆なので、こんな先生を生み出さないためにも、運営交付金はしっかりふやしていくということ、同時に、自民の原田委員も先ほど言われてましたけど、統合ありきで話を進めたらやっぱりだめなんですよ。まず統合ありきで、それだけを目標に年度を書くけど、運営交付金はわかれへん、どうやって運営するかわかれへん、高い目標はいっぱいあるけど、キャンパスはどうするんかもわかれへん、こんなままこの計画の間に大学の統合の日程だけが決められているのはやっぱりおかしいなというふうに思いますので、学びがい、研究しがいのある大学へと発展させる計画の見直しを引き続き求めておきたいというふうに思います。

・教育の自主性の尊重について

 次の質問に移ります。
 次に、慰安婦問題に関する新聞報道の件についてお聞きをいたします。
 慰安婦問題に関する新聞報道に基づき、この間さまざまな議論が行われています。先ほどから繰り返し答弁もされていますが、改めて私のほうでも確認をさせていただきます。
 文科省のホームページを見ていると、「全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を決めています。これを『学習指導要領』といいます」と書いてあります。
 そこで確認をいたします。そもそも学校の教育課程--カリキュラムの編成を行うのは、ここに書かれているとおり各学校であり、学校長の職務である、このことに間違いはないですか。

◎小中学校課長(桝田千佳君) 学校の教育課程の編成は、学校長の職務でございます。

◆(石川たえ君) 各学校では、この学習指導要領や年間の標準授業時間数等を踏まえて、地域や学校の実態に応じてカリキュラム--教育課程の編成がされ、教員は、この指導要領とカリキュラムに基づいて各学校で授業が行われている、こういうふうに私は認識をしています。この学習指導要領によると、中学生の歴史的分野の目標では、「様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる」、こう出てまいります。個々の教員が、この学習指導要領に基づいて、教科書以外にもさまざまな資料を準備をしても構わない、こういうふうに書かれているというふうに私は読み取っていますが、こういう教員の自主性というのは学校現場で尊重をされるんでしょうか。

◎小中学校課長(桝田千佳君) 小中学校におきまして、主たる教材としては教科書を使用しなければなりませんが、教科書以外の教材で有益適切なものは、校長の責任のもと各教員が使用することができます。
 その際、児童生徒の心身の発達の段階に即していること、多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取り扱いにならないことに留意する必要がございます。

◆(石川たえ君) 特定の見方や考え方に偏った取り扱いになってはいけない、こういう留意点があると。こういう留意点はあるけれども、指導要領に基づいて子どもの理解を深めていくための教員の自主性は尊重される、これは間違いないですね。--間違いないということなので、今回、慰安婦問題に関する新聞記事報道の件についての報告を聞きました。当該市教委の調査では、記事取材日の授業では慰安婦は取り扱っていないこと、記事そのものも過去の授業や著書のつなぎ合わせであったことなどが報告されていたと思います。 発達段階に即していない特定の見方や偏った指導があったかどうかについても、平成二十六年度以降、不適切な指導がなかったことが確認されていると思います。
 今回の当該校だけではなく、それぞれの学校現場で学習指導要領に基づき、学校での指導もきちんと行き届いているからこそ、全ての市町村に対する調査結果で、不適切指導はない、こういう回答が出そろったのではないでしょうか。新聞報道記事等の事実確認、このことは必要であると思いますが、全校調査を一斉に行うような学校現場への過度な介入はやはりするべきではないというふうに私は考えますが、見解はいかがですか。

◎小中学校課長(桝田千佳君) 今回、新聞記事によりまして、一面的な偏った指導が府内の中学校で行われたという懸念が生じましたので、当該市教育委員会が調査を行いました。また、他の市町村においても、同様の懸念がないかについて、国の「学校における補助教材の適切な取扱いについて」の通知に即して、不適切な指導がないか指導助言として調査をしたところでございます。

◆(石川たえ君) 文部科学省は、教育委員会のあり方というのを定めているかと思います。教育委員会のあり方として、「学校の自主性・自律性を高めるために、教育委員会は、校長を信頼し、学校の主体性を尊重することこそ重要である」、このように書かれています。「そのためには、学校に大幅な権限を与えること」と一番初めに位置づけているわけです。
 先ほども確認をさせていただきましたが、教育課程の編成、カリキュラムの編成は校長の職務であること、学習指導要領に基づき教員の自主性は尊重されること、これも先ほど確認させていただきました。ですから、やはり教育委員会のありようとして、この主体性を大事にせなあかんから、学校現場に一番権限を与えないといけないということも文科省がはっきり言っているわけですから、学校現場の自主性をしっかり尊重して、教育委員会が過度な教育介入をするべきではないということを私は申し上げたいなというふうに思います。授業の内容や補助教材の活用の有無などを一々点検されてしまうと、学校でその地域に応じて、子どもに応じてどんな教材が必要なのかを、子どもたちに接している先生と学校長が、どんな教材がいいのかと研究しながら教材を決めていくわけですから、そういう人たちが子どもに合わせて自由に授業内容を組み立てていくことができないんじゃないかなというふうに思います。
 また、学校の外でそれぞれの教員が個々に取り組んでいるいろんな取り組みは、憲法で保障されています思想信条の自由というのがありますから、それが学校の中に持ち込まれたのであれば、それは考えなあかんかもしれませんけど、外で書いているもの、外でやっていることについてまで監視の目を届かせるような調査や介入はするべきではないというふうに思います。
 文科省が言うように、学校現場、また教員の自主性、自律性を尊重し、主体的な学校運営を地域の実情に応じてできるような学校づくりにぜひとも大阪府教育委員会としても力を入れていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。



   


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