健康福祉常任委員会(2017年12月19日) 宮原たけし府議の質問
・国民健康保険制度改革について
◆(宮原威君) 幾つかお尋ねをさせていただきます。
最初に、保険料と医療費の自己負担とを足しますと、この十八年間で二・二倍になっているんですね。所得の三一%を超えています。所得の三一%を超すというような保険料や医療費の負担、これはもちろん一人平均ですけど、これは非常に苛酷だと思うんですけど、それについての認識と、もう一つは、全国より今でも二割、所得に対する割合は高いんですね。全国より二割高い国保料をさらに高い方向で一本化するというこの府の制度設計は間違いだと思いますが、負担を減らす方向で是正すべきだと思いますが、どうでしょうか。
◎福祉部副理事(中川和明君) お答えします。
国民健康保険は、他の医療保険のいずれにも加入しない方が加入する公的医療保険のセーフティーネットの機能を果たしております。このため、国保は、無職の方が多いことなどにより、被保険者の平均所得水準が低くなる一方で、年齢構成が高く、医療費水準が高いため、保険料の負担感が高くなるという構造上の問題を抱えています。したがいまして、他の医療保険への加入者と比較しますと、相対的に厳しい状況であると認識しております。
今後、人口減少、超高齢化が進展する中、市町村単位の仕組みのままであれば、現状よりも保険料水準の格差がさらに拡大するものと見込まれる中、今回の制度改革におきましては、将来の保険料の格差を是正し、持続可能な制度を目指して、大阪府内のどこに住んでいても、同じ所得、同じ世帯構成であれば、同じ保険料額となるよう保険料率を統一するものです。
ただし、被保険者への影響を考慮する必要があるため、六年間の激変緩和措置期間中に限り、市町村に計画を定めていただいた上で、その取り扱いは市町村の判断に委ねることにしています。その上で、新制度施行初年度における保険料率の設定は、都道府県分の保険者努力支援制度の活用等により、保険料の上昇をできるだけ抑えられるよう適切に対応してまいります。
◆(宮原威君) どちらにしましても、今が二割ほど高いというのは事実でして、それについては否定をなさらずに、相対的に厳しい状況であると、保険料の負担感が高いという答弁はされました。それは確認をしておきたいと思います。
さらに、法定外繰り入れを、来年、一遍になくすかどうかは別なんですけど、仮になくしたという計算をしますと、大体八千円から九千円ぐらい保険料は引き上がることになります、一人平均ね。それから、医療費の自然増もございます。したがって、全国との差はもっと開くんですよね、全国、大阪みたいな制度設計をしていませんから。
それから、同時に知事は記者会見で、二〇四〇年には二十六万円になるというようなことも発言されていますが、だからいいんだと言うんですけどね。しかし、この二十六万円というのは所得の半分なんですね。所得の半分が国保料で消えていくなんていうような制度設計をいいんだというふうに言われるのは、ちょっと気が知れないんですけど、少なくとも健康づくりをきちんとやることと、そして一般会計なんかからの繰り入れも適切に、市町村のそれぞれの議会の議論に従ってやるということでやれば、当然、二十六万円にはならないので、そういう二十六万円で平均するからいいんだというようなことを言われる。そのもとになる数字は皆さんが出されていたわけですから、所得の半分近いような国保料をいいんだという感覚というのは、大阪府の福祉部の感覚というのはどうなんでしょうか。
◎福祉部副理事(中川和明君) 知事が記者会見で申し上げた数字でありますが、あの数字は一定の仮定、前提に基づいて計算したものでございます。申し上げたかったのは、このまま何もせずに置いておくと、府内での格差が広がるということを申し上げたかったわけでございます。二十六万円という保険料、仮に算出した額でございますが、それがいいとか悪いとか、そういうことを言ったわけではございません。
◆(宮原威君) いや、だからそれは、一般会計からの繰り入れをしなかったり、健康づくりをやらないからそうなるんですよ。そういうことを前提にした議論をしてもらったら困るということだけ申し上げておきたいと思います。
それから、次なんですが、今までのいろんな質問で、知事は、これはルールではないんだと、市町村に求めていくというふうに、一般会計からの繰り入れをなくすことについても言われました。少なくとも法律で決まっているわけじゃない。それから、福祉部長は福祉部長で、保険料減免に係る一般会計からの繰り入れの解消というのは、府のローカルルールで、国のルールではないということもおっしゃいました。それから、保険料率を決める権限は市町村にある、このことも知事は答弁をされています。この三点は確認できるでしょうか。
◎福祉部副理事(中川和明君) 新たな制度におきましても、保険料の賦課権は市町村にありますが、制度改革に係るこれまでの経緯を踏まえた上で、市町村は、法の趣旨にのっとり、国保運営方針を踏まえた事務の実施に努めていただくものと考えております。
法定外の一般会計からの繰り入れは、法に反するものではありませんが、国保に加入していない住民に対して国のルール以外の税負担を求めることになるため、保険としての持続可能性、住民の税負担の公平性の観点から、適切ではないと考えています。このため、今回の国保運営方針では、法定外繰り入れは激変緩和措置期間内に計画的に解消すべきものと位置づけており、市町村には、提出していただく計画に基づいてしっかりと対応していただきたいと考えています。
また、保険料減免に充てるための法定外の一般会計からの繰り入れの解消は、府独自のルールとして、府と市町村で協議の上、解消すべきものとしたものでございます。
◆(宮原威君) 国は、一般的に減免に対して、法定外の繰り入れを入れるということは、もちろん項目にもよりますが、認めているわけですよね。それを大阪府は全部認めないと、基本的にね、災害とかそんな以外は。そういう態度をとっているわけで、それは法に照らしてもおかしいということは指摘をしておきたいと思います。だから、知事も、法的には市町村が決めるということを繰り返しおっしゃっているわけで、求め続けていくんだという、そういう発言も、そういう趣旨からだと思います。
もともと、この法律をつくるときに市町村からは、きちっと市町村の意見も聞けということで、法定意見ということで市町村の意見も聞くことにしました。実際、市町村から厳しい意見が相次いでいます。そういう中で、一旦撤回して、制度設計をやり直すと言うべきだと思うんですが、どうでしょうか。
◎福祉部副理事(中川和明君) 国保運営方針につきましては、市長会、町村長会とともに、国保広域化調整会議を立ち上げて、足かけ三年にわたり、約九十回に及ぶ検討を重ねて取りまとめたものでございます。よって、撤回はいたしません。
国保運営方針の市町村に対する法定意見聴取では、各市町村からそれぞれの事情に応じてさまざまな意見をいただいたものと認識しており、引き続き市町村に対して丁寧な説明に努めてまいります。
◆(宮原威君) 自分たちがつくった制度はそのままやると言いながら、丁寧に意見を聞くと言っても、それは全く自己矛盾だということを指摘しておきたいと思います。
それから、次の質問です。大阪府以外に、統一保険料と独自のインセンティブの仕組みをつくっている都道府県というのはございますか。
それから、もう一つは、インセンティブの中で、市町村が従わない場合、ペナルティーを科すなどというようなことがあってはならないと思いますが、どうでしょうか。
それから、三番目、このインセンティブの中に収納率の全国平均というのがあるんですね。これは一般論として私は否定しませんけど、少なくとも保険料の所得に対する割合を全国平均に下げる努力をすることが先だと思うんです。その上で、収納率も全国平均にしたら、それはそれで理屈が合いますが、保険料そのものはうんと高くしておいて、収納率だけ全国平均に近づけろと、それは極めて庶民から見れば酷な要求だと思いますが、どうでしょうか。
◎福祉部副理事(中川和明君) 都道府県独自のインセンティブの仕組みを設ける都道府県は把握しておりませんが、保険料率を統一するのは大阪府を含め四府県と聞いております。
府独自のインセンティブの仕組みにつきましては、国保広域化調整会議などで協議した結果、市町村が国保保険者としての責務を果たす上で重要な項目を評価しようとして設定したものでございます。このような仕組みを構築することで、収納率の向上や医療費の伸びをできるだけ抑えることなどにより、被保険者の負担をできる限り抑えたいと考えています。
市町村は、法の趣旨にのっとり、国保運営方針を踏まえた事務の実施に努めていただくものと考えております。府としては、市町村にペナルティーを科すことは考えていませんが、運営方針に従う市町村を積極的に評価する予定にしております。
◆(宮原威君) 庶民は、府民は爪に火をともすような生活をしているんですよ。この前、私の知り合いもお風呂で亡くなりました。お風呂も十分前にでもふたをあけておけば、ヒートショックはなかったでしょう。しかし、生活が大変だというので、毎日はもちろん風呂に入らない。二日に一回か三日に一回しか入らないんですが、そういうことをやりながら、国保料が高い高いと言って暮らしておられるわけです。
それは所得の三割以上医療費とで消えているわけですからね。そういう人たちがもっとふえるだろうというようなことを想定しませんか。そんな爪に火をともすような生活をしている人たちに追い打ちをかけるようなことをやってどうするんだと。本当にその罪の意識はございませんか。
◎福祉部副理事(中川和明君) 私どもは、国保制度が持続可能な制度となるよう、最善の方策として、大阪府の場合、保険料率を統一しようということで市町村と議論してここまで取りまとめてきました。個々の府民の方々の生活が厳しいという方もおられるとは存じますが、今、議論しているのは、国保制度がどのようにあるべきかということで議論し、今回の制度改革を提案しているところでございます。
◆(宮原威君) 庶民にとって持続可能でなかったら、意味ないじゃないですか。何のために、そしたら社会保障というのはあるんですか。国保の一条に、健康を守るための社会保障と書いてあるじゃないですか。だから、税金も入れているんですよ。国が最初から税金も入れているんです。それを大阪府が急に、一般会計からの持ち出しは相ならんと、税金を入れるのはおかしいと。そんなのは国保と全く反していますよ。そう思いませんか。皆さんこそ、法律違反ですよ。
◎福祉部副理事(中川和明君) 国保の制度内で一定の軽減措置が既になされております。一般会計の繰り入れにつきましては、やはり他の市民、国保以外の方との税負担の公平性の観点から適切ではないと考えております。
◆(宮原威君) 府民は何のために税金を納めているんですか、そしたら。何のために税金を納めているんだ。そんなことを言い出したら、税金は要らないよ。そういうことになりますよ。それだけ指摘しておくわ。
それから、保健事業をと言うんですけど、僕は、このことは橋下前知事の時代から、がん検診に高槻なんかは無料化しているんですけど、がんドックの無料化に援助せえとか、あるいは人間ドックの三万円の補助なんかについても大阪府も支援すべきだとか、ずっと言ってきました。しかし、いまだに健康寿命だったら、女性は四十七位、男性は四十三位じゃないですか。ほんで、特定健診もがん検診も皆最下位に近いようなレベルですよね。
そういうことをしておいて、今になって、何か保健事業とか言うというのは、本当に今までの反省の上に立ってでなかったら、全く我々は信頼できないと思うんですが、今までの大阪府が取り組んできた保健事業について、少なくとも国保課が答えられる範囲で反省というのはあるんでしょうか。
◎福祉部副理事(中川和明君) 現在の国保制度では、保健事業は市町村が役割を担うこととされており、府においては、現在の府特別調整交付金を活用し、特定健康診査の受診率や特定保健指導の実施状況などを評価した上で、市町村の取り組みを支援しているところでございます。
今回の制度改正におきましては、都道府県単位に広域化されることを契機として、府において、これまでの評価の仕組みを踏まえつつ、都道府県繰入金を活用した府独自のインセンティブの仕組みを構築し、事業費納付金への医療費水準の反映にかわるインセンティブとして、さらに強化することが必要との認識のもと、保健事業、すなわち健康づくり、医療費適正化の取り組みに重点的に配分する予定にしております。
◆(宮原威君) もう時間が来ているので意見だけ申し上げておきますが、ただでさえ、今、高くて、本当に皆さんが、個々の例とおっしゃいましたが、ほとんどの府民が本当に爪に火をともすような生活をしているそういう中で、それに追い打ちをかけるような国保料の広域化という名前での値上げですよ、事実上ね。これについて、本当に厳しく抗議をしておきたいと思います。
質問を終わります。
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