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議事録


健康福祉常任委員会(2017年11月1日) 宮原たけし府議の質問

・国民健康保険制度改革について

◆(宮原威君) おはようございます。
 最初の質問なんですけど、国保の問題です。
 一人当たりの所得と医療費というのを表にしておきました。一九九七年(平成九年)ですけど、保険料と医療費の自己負担が所得に占める割合は一四・二%でした、これ、国保加入者の場合ですけど。二〇一五年度は三一・六%になっています。保険料が一六・五、医療費が一五・一ということです。この負担は極めて重いというふうに考えますが、知事の御意見を聞きたいということが一つです。
 それから、もう一つは、今回の国保制度改革は、制度の継続性ということと、当然、国も言っているように、加入者、いわゆる府民負担の軽減、この二つが目的だと思いますけど、その認識はどうでしょうか。
 その二つ、お答えください。


◎知事(松井一郎君) 国民健康保険は、他の医療保険のいずれにも加入しない方が加入をする公的医療保険のセーフティーネットの機能を果たしております。このため、国保は、無職の方が多いことなどにより、被保険者の平均所得の水準が低くなる一方で、年齢構成が高く、医療費水準も高いために、国保料の負担感が高くなるという構造上の問題を抱えております。したがって、他の保険への加入者と比較すると、相対的に厳しい状況であると認識をいたしております。
 もう一点、人口減少、超高齢化が進展をする中で、市町村単位の仕組みのままでありましたら、十年後、二十年後に保険料の水準に大きな格差が生じることから、将来も含めた府域内の格差是正のために府内統一保険料とすることを目指しております。ただし、現在、法定外一般繰り入れにより保険料負担の緩和や独自減免を行っている市町村もあることから、当該市町村が計画的に六年間の激変緩和措置を講じていただくこととしております。
◆(宮原威君) 負担感は、保険料だけでなくて、医療費の負担も含めて大きいということは、しかも二倍以上になっていますから、御確認できるかというふうにもう一度御答弁いただきたいということと、それからもう一つは、その負担を軽くするための一般会計からの繰り入れは必ずしも別に六年間に限る必要はなくて、そういうことは別に法律に書かれているわけでもない。ただ、赤字補填なんかの場合に余り好ましいことはないので、六年間という一つの制限はついていると思いますが、全部について六年間という制限はついているわけではないと思いますが、その二つについて御答弁をお願いします。
◎知事(松井一郎君) 負担感につきましては、これは、超高齢化社会に突入をしておりますので、国民全ての人がこの負担はふえているというふうに僕は認識をいたしております。
 また、一般会計からの繰り入れですが、宮原委員、国保加入者とそれ以外の加入者の方々、社会保険加入の皆さん、それから共済の加入者の皆さんを考えますと、国保加入者の方はそのうちの四分の一でありまして、四分の三は他の保険の加入者であります。その方々の保険料には税金は投入はされておりません。この方々が納税者でもあるわけでありまして、これは税の公平性からいっても、一般会計というのはまさに住民の皆さんの税であります。この税をお支払いされている方々のうち四分の一の保険加入者の皆さんだけが特典を受けるというのは、私は、税の公平性というところからいかがなものかなと、こう考えているところであります。したがいまして、六年という激変緩和期間はありますけども、この六年内で激変緩和をしていただきたいという思いを持っております。
◆(宮原威君) 一般的に負担がふえているというのは否定しませんが、ただ全体の医療費でいいますと、国民の負担率というのは一割ぐらいなんですね。そういう意味でいうと、国保の加入者の一五・一というのは一・五倍になるんです。だから、全体がふえているけど、国保加入者の場合は医療費の自己負担の割合もうんと高いと。これは残念ながら事実なので、もう答弁は求めませんが、その事実については重く受けとめていただきたいと思います。
 それから、二つ目ですが、納税者の公平感というふうに抽象的におっしゃられずに、もともと、維新の会も知事も橋下前知事もそうですけど、ずっと、身近な自治体が身近なサービスを決めるんだと、私どもは反対しているんですけども、そのために大阪都構想をやるんだとおっしゃっていました。身近なところが決めるという意味でいうたら、市町村が首長や議会で住民の意見も聞きながら予算を決めていって、その中で、税金の使い方をどうするかというのは、税金の所得の再配分が予算ですから、特別にバランスを欠いていれば、当然、そこの議会や住民から批判を食らって、例えば次の首長選挙で落選するというようなことになる。
 しかし、国保の問題では、このことが大きな問題になりながらも、それはそれで必要だということでずっと続いてきているわけですよね。したがって、実際、議会や首長や住民が住民自治に基づいて決めている一般会計からの繰り入れを続けたからいうて、別に悪いわけじゃないんじゃないかというのが質問です。
 それから、負担が重いということを重く受けとめていただいたら、なおそういう市町村の自治は尊重するというのが当然だと思うんですが、どうでしょうか。
◎知事(松井一郎君) 今回、国におきまして、国保の責任を担うのが、広域自治体が担うという形に変わってまいりました。そんな中で、人口減少、超高齢化が進展する中、市町村単位の仕組みのままでありましたら、十年後、二十年後の保険料水準に大きな格差が生じることから、将来も含めた府域内の格差是正のために府内統一保険料とすることを目指しています。
 法定外の一般会計からの繰り入れは、法に反するものではありませんが、府としては、国保に加入していない住民に対して国のルール以外の税負担を求めることになるために、保険としての持続可能性、住民の税負担の公平性の観点から適切ではないと、こう考えているところであります。
◆(宮原威君) 知事、答えていないと思うんです。住民自治で身近なところで身近できちんと決めているわけですから、そのことについて尊重すべきだと、知事の日ごろの持論と違うんじゃないかということを私は言っているので、その点をぜひ答えてください。
◎知事(松井一郎君) 今回、府内でこの国保については責任を担うという形になりました。そして、我々もさまざまな試算をいたしました。その結果、これから十年、二十年後には、府内の各市町村の保険料、これに大きな格差が生じる。要は、宮原委員が言われるように、市町村によって、一般会計から繰り入れするにしても、体力があるところとないところで住民のミニマムとも言えるこの保険制度が大きな差となり、これに市町村財政も耐えれないというようなところが出てまいります。
 そんな中におきまして、これは府民の最低限の福祉、医療のサービスだと、こう考えていますので、そういう大きな格差にならないような仕組みの一つといたしまして、一般会計の繰り入れ、これについては、この一般会計の繰り入れもできているところと今できていない市町村があります。これについては、全ての市町村でルールとして一般会計の繰り入れをしないようにして、何とか府内四十三市町村の保険料の大きな格差、これを是正したいと、こう思っているところです。
◆(宮原威君) 今の答弁を仮に是としたとしても、大阪府が標準保険料率はどちらにしても示すわけですから、統一保険料でない場合でもね。標準保険料率を示して、一定の納付金を払ってもらうわけですから。その中で、もし大阪府の体力がなくて、本当に差ができるんでしたら、大阪府なら大阪府が一定の支援をする。今でも、言うておきますけど、一円以上の医療費を全部統一することによって、それをやっているんですよ。
 例えば、高槻市なんかはマイナス六億円のようなものになる、大阪市なんかはプラス六十何億円だったか、大きな金額になる、そういう是正をしているわけです、府内全体で。だから、今でも体力の差を埋めるということはある程度しているわけですから、医療費の出のほうでしているんですから、その調整で。
 だから、少なくとも保険料は、国が言っているように、市町村が決めるということを基本にして、一般会計の繰り入れなんかも認めながら、ただし赤字の分なんかについては計画的に解消するということで、何ら差しさわりはないと思いますが、今でもしているということを前提に答えてください。しかも、莫大な金額ですよ。
◎知事(松井一郎君) 宮原委員の考え方でいきますと、今の市町村が国保については責任を担うという、その立場に立った御質問だと思います。我々は、国の制度において、これ、都道府県が担う限り、府域全体で保険料は統一したいと、こういう思いです。
 そして、国からの財政支援もありますから、この財政支援の財源も活用しながら、府域全体で保険料をできる限り抑えていくという取り組みをしたいと、こう思っています。
◆(宮原威君) それは僕の質問に対する誤解です。別に市町村で担えというふうに私は言うてません。大阪府と市町村が担うというのが今度の新しい国保の精神ですから、大阪府と市町村がともに担うという立場に立って私は質問しています。
 その前提に立った上で、今でも、医療費の出の部分というのは半分ということですよ、半分は既に府内統一しているんです。ほんで、全部、拠出金をいただいて、さらにそれに見合うお金を出すということで、出した金と来る金が大阪市なんかでは何十億とプラスになってはね返ってきております。国保財政を助けているんですよ。
 それを今度はやるんだから、国と市町村でやるという前提に立って、市町村のやっている独自減免なんかも認めつつ、標準保険料率に合わせて決めていただいたら、大阪府と市町村が担うという新しい法律やガイドラインの精神からいっても、それで十分じゃないかということを言っているんです。
◎知事(松井一郎君) 今、宮原委員の御質問でちょっと確認だけさせていただきたいんですが、宮原委員は、市町村の保険財政の厳しいところに大阪府として特別に財源を投入して保険料を統一すればいいということですか。要は……。
◆(宮原威君) 標準保険料率と僕は言うてる。
◎知事(松井一郎君) だから、標準保険料率より高くなるところに直接大阪府は支援する、安いところには支援しなくていいと、こういう話ですか。
◆(宮原威君) そんな単純なものではありません。
◎知事(松井一郎君) 宮原委員が言われたのは、僕が理解すると、結局、大阪府が標準保険料率を決めて、それの何十%、もっと言えば、二〇〇%ぐらいの保険料になる、そういうところができてきたときに、そこだけに大阪府が支援するというのは、これは他のエリアの府民から見ても不公平だと、こういう話になると思います。
 だから、考え方として、宮原委員は、市町村ごとでそれの料金に格差は認めようという、そういう考え方だと思うんです。我々はそうではなくて、大阪府域はやはり統一した保険料で--それは上がるところもあります、下がるところもありますが、そこは丁寧な説明で理解を得て、統一の保険料というものを府域ではそういう形をつくり上げたいと、こう考えております。
◆(宮原威君) 標準保険料率をつくる以上、保険料は心配しなくても今よりもうんと接近をします。それは当然、標準保険料率を出して、納付金を常設するわけですから、その納付金に合わそうと思えば、当然、接近をします。だから、その知事の心配は全く当たらないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、同時に、一般会計からの繰り入れを認めないとすると、例えばシングルマザーで子ども一人の場合に、東大阪だと年五万円ぐらい上がるケースがあるんですね、低所得の場合ね。それから、年金の所得の場合でも年五万円ぐらい上がる。シングルマザーとか年金のひとり暮らしで月に五千円とか三千円とか国保料が上がるという残酷さを知事は考えたことがありますか。そういう残酷な事態をなくすために、当面、少なくとも一般会計からの繰り入れは認めるべきじゃないかと。赤字補填なんかについては、計画的にもちろん解消せなあかんと思いますけど、そのことを言うてるんです。
◎知事(松井一郎君) 今、宮原委員が言われたシングルマザーで国保料が減免されている方、それから高齢者で国保料の減免を受けられている方、これは福祉政策ですよね、福祉政策。我々は保険医療制度の話をしています。福祉政策においては、これは、一般会計というのでいうならば、同じ財布ですから、各市町村でまた新たな福祉政策にその部分は回していただいたら、その方々を助けることはできると、こう思っています。
 だから、今、保険料の話と福祉政策の話を全て合致されて話をされるとちょっと困ります。保険料の話は、これは一つの大きな考え方として、これから十年、二十年先に、我々は、大阪府域では統一した保険料で、府内どこに住んでも負担感の格差がない、そういうものを目指しております。
 今、宮原委員が言われたシングルマザーの方々、そして高齢者の方々を助けていく、これは減免制度というものだけで考えることではなくて、福祉政策ですから、その部分で、市町村で他の福祉政策にその財源を回していただければ、これは十分対応可能なことだと、こう思っています。
◆(宮原威君) そこまで知事がおっしゃるんでしたら、その制度を大阪府が主導してつくってからやってくださいよ。現実にもう来年から毎月四千円、五千円、取られるんですよ、余計に。その制度をつくりもせんと、そっちは福祉政策と、そんな抽象的なことを論議してない。そういった制度を大阪府がつくって、その上で二年後なら二年後、五年後なら五年後に統一したらいいじゃないですか。
◎知事(松井一郎君) 宮原委員、事実誤認があります。これ、来年から何千円か負担ということを今お話しされましたけど、これは激変緩和期間がありますから、即、来年からということにはなりません。その激変緩和の間に、市町村とどういう形で激変緩和をされるのかということを六年の間にやってくださいということで話し合いしていますから。だから、今の一般会計の話と同じです。一般会計も六年間の猶予期間の中で段階的に繰り入れをやめてもらいたいということを我々は申し上げているわけで、今、宮原委員が言われる来年四月からということにはなりません。
◆(宮原威君) 激変緩和で来る予算は、大体、一般会計からの繰り入れの十分の一です。したがって、全く本当の意味の激変緩和にはなりません。その認識はありますか。
◎知事(松井一郎君) ですから、宮原委員、一般会計の繰り入れを即、来年四月からやめてくれと言っているんじゃありません。六年間の間にこの……。
◆(宮原威君) 激変緩和は十分の一しか来ないと言うてる。
◎知事(松井一郎君) いや、だから、一般会計もまだ続くわけです、宮原委員が言われるように。即、四月からやめなさいということを言っているわけじゃありません。そして、これ、今、市町村と話をしているのは、努力目標として六年ということを話しています。ルールとして六年できちっと定められているものではない。だから、一般会計からの繰り入れは、やはりこれは違法ではありませんが、税の公平性ということからいうと問題があるというのが我々の考えで、六年間の間にこれを見直していただきたいという、これはお願いをしているわけです、市町村に対して。ですから、来年四月から、まさに宮原委員が言われるように、そういう低所得の皆さん、シングルマザーの皆さんがいきなりそういう大きな負担になるというのは、まさに印象操作ですから、これは違いますということははっきり申し上げておきます。
◆(宮原威君) 印象操作じゃないよ。だって、十分の一しか来ないんですから。しかも、その金はどんどん減っていくんですから、激変緩和で来る予算というのは。したがって、少なくとも、努力目標だと言われました、ほんでお願いだと言われました、ということは、当然、市町村の自主的に決める権利は担保されていると、今の答弁で考えていいですね。
◎知事(松井一郎君) 権限は市町村にあります、市町村の予算ですから。ただ、我々は市町村に対して、一般会計からの繰り入れというのは税の公平性を考えたときに問題だと、こう思っておりますから、できるだけこの六年の間に一般会計の繰り入れについては、これは見直していただきたいということを申し上げ続けます。
○委員長(山下浩昭君) 宮原委員に申し上げます。申し合わせの時間が経過しておりますので、質問は簡潔にお願いをいたします。
◆(宮原威君) 質問はいたしません。
 六年間で解消するというふうにおっしゃいましたが、そんな簡単な制度でないということと、負担が今でも非常に重い中で、当然、身近な暮らしに寄り添うという立場からいえば、バランスをとりながらも、一般会計からの繰り入れというのは続けながら、なおかつ保健事業などで医療費の伸びを抑制しながらやるという市町村の努力をぜひ尊重していただきたいと、それは一応、約束をしていただきましたので、それで質問を終わります。ありがとうございました。




   


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