第5回 経済の再生や中小企業対策は(下) 大阪の商工施策の特徴と問題点  

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中小企業の倒産と失業率の増大、府民所得の低下、大阪企業の海外進出と本所・本社・本店の府外への移転による「二重の空洞化」が進むなど大阪経済全体が深刻な危機に直面しています。
 この事態に、大阪府の産業政策はどのように対応してきたのか、その内容が厳しく問われています。
 
1.「産業空洞化」を促進


 府は、94年3月『大阪産業振興戦略』を策定、「アジア太平洋ビジネス拠点を形成」するとし、大企業の生産拠点海外移転に続けとばかりに「中小企業の海外移転の円滑化」のため、金融はじめ各種支援策を打ち出しました。
 その結果、「製造業を中心にいわゆる産業の空洞化現象がみられ、東大阪市では、工場数がピーク時から一割減少するなど大きな影響が及んでいる」(『大阪経済白書』96年版)と懸念し、97年版『白書』では、「円高傾向が修正されても、製造業を中心に海外展開が加速し、産業空洞化の懸念が一層深刻化」と指摘しています。
 大阪企業の海外進出を促進してきた府の責任は重大です。

2.大規模開発、「呼び込み方式」の失敗


 府はまた、『産業振興戦略』で「先端技術を活用し、新しい産業を創出」するとして@りんくうタウン、A3つのコスモポリス計画、B国際文化公園都市など、「呼び込み方式」
の大規模開発による企業誘致を強行しましたが大失敗となりました。
 そして2000年9月、太田知事は『大阪産業再生プログラム(案)』を策定します。
 これは、『振興戦略』を基本的に継承するもので、「活力ある中小企業が主体となる産業構造への転換」「新たな産業分野の創出」を打ち出しました。
 しかし、『プログラム(案)』策定から3年目になりますが、企業倒産も失業率もいっこうに好転の兆しが見えません。『プログラム(案)』の代表的な施策指標の「事業所開業件数」は01年10月現在で1万7725件で、依然として廃業が上回っています。
 結局、一部の優良中堅企業とわずかなベンチャー企業への支援策中心の施策展開になっています。
 またりんくうタウンやテクノステージ和泉などへ企業を呼び込むため、破格の補助金、賃料の免除・減税などの優遇策に莫大な予算を組んでいます。
 さらに、関西空港2期事業、安威川ダム、阪神高速新環状道路、堺・泉北港などゼネコン優先で雇用や中小企業対策の効果も少ないムダな大型公共事業をすすめています。
3.貧困な中小企業・商業振興予算


 府の03年度当初予算の商工予算総額は4024億円。内訳は金融対策費91・79%、商工業総務費6・53%、中小企業振興費0.2%(98年度0.54%)、商業振興費1・08%(同6・03%)となっています。
 もともと少ない中小企業支援の予算がさらに削減されています。
 商工業総務費も産業立地促進事業関連予算が50%も占めており、中小企業支援のための予算はわずか約20%と逆立ちした予算になっています。寂しい限りです。
 大阪経済の再生には既存の中小企業への支援を抜本的に強化することこそ必要です。
4.雇用対策の遅れ深刻


  大阪府は、福祉、教育など、公的分野での雇用拡大に背を向けてきました。
 府民的要求の強い30人学級など少人数学級実施をかたくなに拒否、特養ホームの建設補助金を廃止、4千人を超える保育所待機児解消のための具体的な保育所建設計画も不十分です。
 『12万人雇用創出プラン(案)』を策定しましたが、今年度の「ワークシェアリング」による100人の青年雇用、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を活用しての4581人の雇用創出計画以外にみるべき実績は見あたりません。38万人を超える失業者からみて焼け石に水にもなりません。
 大企業のリストラ、中小企業倒産に歯止めがかからない限り、失業者は増大するばかりです。
 府は、大企業に対してリストラ抑制の要請すらしません。これでは雇用確保は望めません。
(この項おわり)





2003年9月7日付
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日本共産党大阪府議会議員団