府による市町村合併などの“上からの押しつけ”は許されない
住民福祉の向上に府も市町村も取り組む大阪こそ
-「大阪府基礎自治機能の充実及び強化に関する条例」について-
2024年3月22日
日本共産党大阪府議会議員団
石川 たえ
1 本日の大阪府議会閉会本会議で、「大阪府基礎自治機能の充実及び強化に関する条例」(以下「条例」)が提案されました。わが党は反対しましたが、維新、公明、自民などの賛成で可決成立しました。
条例は、「基礎自治機能の充実強化」を謳っていますが、その方策として具体的に示されているのは市町村合併と広域連携のみです。「大阪府基礎自治機能充実強化推進本部」を設置し、知事が「基礎自治機能充実強化基本方針」を策定するなど、市町村合併や広域連携を大阪府が上から市町村に押しつける仕組みづくりそのものです。
市町村合併や広域連携は、その地方で自治を行う基礎的な形をどうするのかという根本的な問題です。進めるに当たっては住民の意思と自主性が最大限尊重されなければなりません。しかし今回の条例制定は、府民の意思から生まれたものでも、市町村の意思から始まったものでもありません。府民の意見も市町村の意見も聞くことなく、パブリックコメントさえないままでの条例制定は余りに乱暴です。
2010年、「平成の大合併」での強引な合併押しつけへの批判を受け、市町村合併特例法から国と都道府県による市町村への積極的な関与などの文言が削除されました。条例はこの教訓にも逆行するものです。
また、府議会で特別委員会を設置して議論をしたといいますが、この特別委を構成するのは維新、公明、自民の府議のみで、わが党など少数会派は排除されています。
2 条例は前文で、広域連携を「効率的な人員や施設の配置等が可能となる」、市町村合併を「行財政基盤の強化などを図ることができる」と述べています。また、この間の府議会で維新の議員などが行った市町村合併に関する質問は、「効率化」「スケールメリット」をひたすら強調するものでした。これらからも明らかなように、この条例の狙いは“安上がりな自治体”づくりです。
今日の市町村の困難の大本には、国による「自治体リストラ」や地方財政抑制路線があります。国と府による経済政策の失政や社会保障や教育の負担増が、地域経済と住民生活の落ち込みを招き、少子化と人口減少につながり、府内でも周辺部ほど深刻になっています。条例は、この困難を、住民福祉を犠牲にして表面上、財政上取り繕おうとするものです。まさに道州制なども念頭に置いた維新流「統治機構改革」の一環であり、住民福祉の大後退を招く危険があります。
府はすでに、新年度予算で「市町村振興補助金(あり方議論推進分)」を新設し、「合併を選択肢に入れるなど、踏み込んだ将来のあり方に関する研究会を設置」などを行う市町村に1千万円を交付します。「交付先は未定」としていますが、河南町、太子町、千早赤阪村といわれています。合併論議へ市町村を誘導する“ニンジン”そのものであり、広域行政の姿勢としても税金の使い方としても言語道断です。
3 市町村の困難を打開するために府が今やるべきは、市町村合併などの上からの押しつけではなく、医療・福祉・教育の負担軽減と条件整備を始め、維新府政が市町村まかせにして置き去りにしてきた広域自治体としての府民生活支援や住民福祉向上、また農林水産業を含む地域経済の振興に本腰を上げて取り組むことです。万博・カジノ誘致や呼び込み型の「成長戦略」は中止・転換するべきです。交通・水道など地域の生活インフラやライフラインの維持改修なども、府民と市町村の意見をくみ上げ合意を得ながら府が十分な役割を果たすべきです。
わが党は、府による市町村合併などの“上からの押しつけ”に反対します。そして住民福祉の向上という本来の役割に府も市町村も全力で取り組む大阪をめざし奮闘します。
以上
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