食料自給率の向上及び営農を続けられる土台の整備を求める意見書
昨年来の世界的な食料危機は、食料の6割以上を外国に依存するわが国の危うさを浮き彫りにした。異常気象による生産の不安定化、新興国の食料需要の激増、穀物の燃料向け需要の増大など、食料は都合よくいつでも輸入できる状況ではなくなっている。一方、国内の農業と農村に目を向けると、基幹的農業従事者が10年で3割も減少し、東京都を超える面積の農地が失われるなどの危機が広がっている。
このままでは、国民の命の源である食料の安定供給が根底から脅かされることは必至である。この流れを根本から転換し、農業と農村を再生し、食料自給率を向上させることは国民の生存基盤、社会の持続に関わる待ったなしの課題である。
よって政府および国会は、わが国における食料自給率の向上と食料安全保障の観点から、下記の事項について格段の措置を講じるよう要望する。
記
1.国民に安全で栄養ある食料を享受する権利を保障し、外国からの輸入に依存する政策を改め、国内生産の増大、自給率の向上に本格的に取り組むこと。
2.WTO農業協定や二国間EPA(経済連携協定)、多国間のTPP(環太平洋連携協定)などの輸入自由化路線を見直し、加工、流通、消費を含めた食料システム全体を国内産優先に転換すること。
3.価格保障や所得補償を抜本的に充実し、大多数の農業者が営農を続け農村で暮らせる土台を整えること。
4.経営規模の大小や専業・兼業の別、家族・法人などの経営形態に関わらず、農業に関わる多様な人々をすべて大事な担い手として位置づけ、数多く確保、維持すること。
5.農業の営みを生態系の物質循環の中に位置づけ、生物多様性と地域コミュニティを重視し、地産地消など地域循環型の食料システムを構築すること。
6.農林水産業の振興に必要な予算を大幅に増額すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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