「大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進に関する条例」について
2023年2月22日
日本共産党大阪府議会議員団
政調会長 うち海 公仁
本日、大阪府議会で、「大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進に関する条例」が、維新、公明、自民などの賛成で可決しました。わが党は、この条例が府民にとって多くの問題があることから反対しました。
第一に、この条例は、もっぱら「府議会議員及び府議会議員になろうとする者」と「市町村議会議員」(以下「議員」)だけをハラスメントから保護し、府民や自治体職員は保護されず規制のみを受けるものとなっています。
条例は、制定の目的を「府内すべての地方議会に関する議員によるハラスメント又は議員若しくは議員になろうとする者に対するハラスメントを根絶」するためとしています。しかし内容をみると、ハラスメント被害を申し立てることができるのは議員だけであり、府民や自治体職員などは議員からハラスメントを受けてもこの条例上の申立人になることはできません。
市町村議会からも「議員による府民や職員等に対するハラスメントが対象となっておらず政治家によるハラスメント根絶につながらない」という意見が寄せられているように、議員による府民や自治体職員へのハラスメントに対処する内容が含まれなければ条例としての公平性、実効性は確保できません。
また、条例では、相談体制を整備するとしているものの、第三者及び第三者機関であることが担保されておらず、相談者の秘密保護などの規定も欠落しています。
首長などによるハラスメントはこの条例の対象外としていますが、ハラスメント根絶という趣旨に照らせば当然対象とすべきです。
第二に、この条例の内容は全ての府民と地方議会に関わるものであるにもかかわらず、パブリックコメントさえ実施されず、各市町村議会への「意見照会」も極めて短期間で不十分です。
同様の条例を昨年制定した福岡県ではパブリックコメントが実施され、2週間で66件の県民意見が出されています。大阪府でも、2011年の議員提案条例「大阪府がん対策推進条例」制定にあたっては1か月間のパブリックコメントを実施し、55人・団体から83件の意見が寄せられました。
今回の条例制定にあたり、大阪府議会から各市町村議会への「意見照会」が文書で送られましたが、回答期限はわずか1週間で、形だけのものと言わざるを得ません。
ハラスメントは、誰が誰に対して行うものであれ、重大な人権侵害であり許されることではありません。私たちは、議員を含むあらゆる府民へのハラスメントを根絶するために力を尽くすものです。
以上
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