廃業危機 資材高騰も「価格転嫁できない」/モノづくりの街悲鳴 大阪・東大阪
NHK連続ドラマ「舞い上がれ!」の舞台でもある大阪府東大阪市の業者は、物価高騰や「異次元金融緩和」に悲鳴を上げています。(島田勇登)
「資材の値上がりで言うと、おやじが経験したオイルショック以来ちゃうかな」と話すのは、東大阪市でリフォーム業を営む馬先薫さん(69)です。「今年の4月から、ベニヤ板、コンクリートパネルが3回も値上がりしてるわ。どっちも2倍以上値上げ。ベニヤ類やと780円が、1500円に。コンクリートパネルは1000円から2500円くらいになってるわ」と馬先さん。物価高臆と円安、ウッドショックの三重苦ですが、価格に転嫁することは難しく、さらに「お客さんからは『消費税まけて』と言われるんや。その分も負担しやなあかん」と肩を落とします。
馬先さんは「日給が2万円あれば生活できる水準やけど、1万7000円くらいしかない。そこから駐車場代なんか引くと、もっと減る」と言います。
増税で追い打ち
東大阪東部民商の丸谷賢司葛務局長は、製造業、建築業者の現状について「30年前から、賃金の水準と同様に、加工賃の水準が変わっていません。それどころか、加工賃は変わっていないのに消費税は10%になり、中小零細業者に大打撃を与えています」と指摘。「景気が悪いと、子どもに後を継がせることもできません。なり手不足で、業者は廃業せざるを得なくなっています」と言います。
物価高騰から業者を守るため、東大阪市の布施、東大阪東部の各民主商工会は21日、東大阪市の市役所内で市と懇談し、物価高騰などから中小業者を守るために「原油価格・物価高騰等から中小業者の営業と生活を守るための緊急要請書」を市に提出しました。日本共産党の浅野耕世東大阪市議が同席しました。
市に要請書提出
懇談では、同市でペットショップ経営をしているブリーダーの女性が「電気代の高騰は深刻です。今までに見たこともないような金額が請求されました。命を扱う仕事です。市はぜひ支援を」と述べたほか、事業者らが「観光業や飲食業だけでなく、全業種に使える施策を」と訴えました。
廃業危機 資材高騰も「価格転嫁できない」/モノづくりの街悲鳴 大阪・東大阪 要請書では、国や大阪府に対して新型コロナ感染拡大による売り上げ減少や原油価格・物価高騰支援に対応した給付金・支援金や家賃などの固定費補助のための新たな直接支援策を要望すること-など、7項目を要請しています。
市の担当者は「物価高騰等で事業者の方々が影響を被られているのは承知していますが、(財源の都合上)直接支援というのは難しい。事業者の生活改善ができるような効果的な支援を検討しています」と回答しました。
消費税減税・インボイス中止を
日本共産党・うち海公仁大阪府議(東大阪市区選出)の話
モノづくりの街、東大阪の事業者の生活を守るため、今もっとも向き合うべき課題は、消費税の減税とインボイス(適格者請求制度)の中止・撤回です。9月15日、党府委員会を代表し、出席した「第64回中小企業団体大阪大会」では、大阪の中小企業4団体がまとめた重点要望事項の一つに、消費税減税が求められていました。まさしく、中小・零細業者の総意であり、喫緊の課題と言えます。
具体的な政策では、事業者への直接支援、家賃、電気代等の補助も欠かせません。
そういった中、維新の会が推し進めようとしているのが、カジノ誘致や無駄な大規模事業、公立学校の統廃合です。これ以上、維新の会には大阪府政を任せられません。「荒廃した大阪でなく、「住み、働き、学び、楽しむことができる大阪の街づくり」が必要です。
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