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維新政治と対決 光る党議席の値打ち

日本共産党大阪府議 石川たえ

 日本共産党が大阪府議会で初めて議席を得たのは戦後間もない1951年です。以来71年、戦後の復興や公害対策、革新府政を打ち立て守る活動、乱脈な同和行政とのたたかい、巨大開発・ゼネコン政治の転換、阪神大震災や大阪北部地震対策など、私たち党府議団は一貫して府民の命と暮らしを守りたたかい続けてきました。
 近年も、物価高とコロナ禍から府民を守り、府民犠牲と“大阪こわし”の維新府政と正面対決しているのが、うち海公仁府議(東大阪市区選出)と私の2人の党府議です。
 維新が大阪に誕生して以後、10議席あった党議席は2011年の府議選で4議席、2015年3議席、2019年2議席と残念で悔しい結果が続きました。
 来春の府議選は、前回88あった定数が79に削減されるもとでのたたかいです。党大阪府委員会は、現有2議席を絶対守り抜くために府党の力を集中するとともに、さらに議席増めざして奮闘しています。


1 コロナから命を守る



「新型コロナ第7波から命を守るための緊急要請」を
提出する(右から)うち海公仁、石川たえ両府議(8月3日)

無症状者検査を実現
 20年2月、府内在住者初のコロナ感染者発生を受けた最初の申し入れ以来、私たちの府への申し入れは20回を数えます。またあらゆる質問機会をとらえ、▼検査・医療・保健所の強化、▼暮らしと営業への緊急支援、▼子どもと教育現場へのケア、などの具体的提案をおこなってきました。
 コロナ感染を抑え込むには、無症状者を含めた大規模検査がカギです。私たちの再三の要請が実を結び、高齢者施設などの従事者への定期検査が21年2月から、希望する無症状の府民への無料検査が同12月から始まりました。

「検査不正確」論打ち破る
 吉村洋文知事は、「無症状…の方に対して一律に検査を行うということについては、国の分科会でも推奨はされていない」(府議会健康福祉常任委員会、20年12月15日)などと、厚労省を発信源とした「PCR検査は不正確」論にしがみつき、検査拡大に背を向け続けてきました。これを突破して無症状者への検査に踏み切らせたのは、多くの府民と医療関係者の声、そして科学的知見に基づいた私たちの論戦の力です。
 オミクロン株による犠牲者の多くが高齢者施設などでのクラスターによる感染と言われています。高齢者施設定期検査は継続実施されているものの、実施施設は対象の半数程度にとどまっており、抜本的に引き上げることが必要です。


図1

図2

病床削減ストップ
 府内のコロナ死者は6千名を超え全都道府県中最多、人口当たりで全国平均の2倍以上にのぼります(図1)。医療体制と保健所体制の抜本強化が急務です。
 ところが吉村知事は、国の「地域医療構想」の先陣を切って、20・21年度合わせて公的病院を含む336床もの急性期病床を削減したことが、私たちの追及で明らかになりました。22年度もさらなる削減が計画されています。全国最悪の犠牲が続く大阪で、コロナ治療の根幹を担う急性期病床のこれ以上の削減など言語道断です。ただちに中止し、医療スタッフと病床の確保に全力を挙げるべきです。

保健所強化を
 保健所のひっ迫も深刻です。感染の波が広がるたびに、「保健所の受診相談センターに電話がつながらない」「熱が高いのに検査も診察も受けられない」といった悲鳴が府内の至る所で上がります。
 吉村知事は「保健所業務の重点化」などとして、連絡する感染者の限定や一部業務を府庁の健康医療部が担うなどを進めています。しかし、肝心なのは保健所そのものの機能強化です。奈良県立医大が5月に、保健師が多い都道府県はコロナ罹患率が低いという研究結果を公表したように、保健師を始めとする専門職員、事務職員の増員が不可欠です。 1999年に61か所あった府内保健所は現在18か所に減らされています。これは人口当たりでは全都道府県中最少で、最多の島根県の5分の1しかありません(図2)。感染症から府民を守るために、保健所増設に踏み出す時です。


2 雇用と営業を守る

業者への直接給付を実現
 コロナ禍が始まった20年春以降、私たちは非正規労働者や中小業者への直接給付の実施、拡充を繰り返し求め続けました。この結果、府も重い腰を上げ、営業自粛を要請した業者に対し「休業要請支援金」が支給されました。
 また、営業自粛を要請されていない業者でも売り上げが大幅に落ち込んでいる状況から、私たちは全ての減収業者への支援制度創設を要請、「休業要請外支援金」支給につながりました。

物価高騰が暮らしに追い討ち
 この原稿がみなさんの目に触れる頃、生活必需品を始めとする“値上げラッシュ”が加速していることを心配しています。
 賃金に物価を反映させた実質賃金は、05年から21年にかけて全国では平均年39万円の減少でしたが、大阪府では実に47万円もの減少でした。大阪は全国に輪をかけた“賃金が上がらない街”なのです。そこにコロナ禍が襲いかかり、さらに追い討ちをかけているのが異常円安による物価高騰です。
 今年に入ってからも、府内労働者の現金給与総額は4月以降3か月連続で前年同月を上回っているのに、実質賃金は下回ったままです。非正規雇用率は4割を超え全国より高く、生活苦に拍車がかかっています。
 中小業者も深刻です。「包装資材が倍になるなど過去にない異常な値上がり。価格転嫁はできず、これではやっていけない(クリーニング)」「家賃やカラオケリース料など固定費は変わらないのに仕入れ値は上がる一方。3人いた従業員を1人にした(飲食)」など、私の地元でも悲鳴が渦巻いています。

貧弱な府の物価高騰対策
 これに対し、吉村知事の物価高騰対策は極めて貧弱です。子どもへの1万円ギフト券など「支援メニュー」を並べるものの、中身は岸田政権の「総合緊急対策」の枠内で、財源もほぼ全額国費です。雇用対策も、この間新たに実施しているのは民間の“就活”サイトと提携したマッチング支援ぐらいです。
 繰り返すコロナ感染拡大に伴い、「休業要請支援金」は「営業時間短縮協力金」と形を変えて11期まで実施されています。しかし対象は飲食店など営業自粛を要請した事業所のみ、支給件数は最大でも7万件で府内全事業所の6分の1程度に過ぎません。

非正規労働者と中小業者に継続的な給付を
 私たちが求めてきた、非正規労働者や中小業者への直接給付の実施、拡充はいよいよ重要です。それも一定期間継続した給付が必要です。中小業者には、家賃、水光熱費、人件費など固定費の補助制度を創設することが急務です。また、国民健康保険料をはじめ、社会保障の負担軽減へ府が独自の責任を果たすべきです。
 「物価高の負担増は低所得者にとっては消費税率4%引き上げ以上の大きさ」という報告(みずほリサーチ&テクノロジーズ、8月2日)からも、暮らしを守る特効薬は消費税5%への減税です。政府に対し強く求めたいと思います。


3 子どもを守る

子どもの貧困対策、支援学校新設を実現
 子どもの貧困問題がすでに社会問題となっていた16年、私は府議会で初めてこの問題を全面的に取り上げた質問を行い、松井一郎知事(当時)に対策を求めました。これが契機となり、府の「子どもの貧困緊急対策補助金」(年3億円)が設けられました。また、保護者らと連携して支援学校新設を要求し続け、2024年春には西淀川区で新校が開校することになりました。
 大阪では、知的障がい支援学校の過密、過大が深刻です。学校ではやむを得ず、1つの教室を2つに間仕切りして使う、音楽室や理科室を普通教室に転用するなどの対応に追われています。さらなる新設が急がれます。


図3

“高校つぶし”中止を
 維新政治のもと、子ども不在の「合理化」と行き過ぎた競争至上主義の持ち込みが進められてきました。その最も乱暴な例が公立高校の統廃合です。維新の会は、「3年連続定員割れ」の高校を「再編整備」の対象とする条例を12年に強行、以後14校を廃校に追い込み、今年度も3校を廃校にする案を示しています(図3)。吉村知事はさらなる統廃合も計画するとしていますが、「通える高校が近くにない」子どもさらに増やす高校つぶしは中止するべきです。

競争あおる独自学テやめよ
 一方で、府独自に中学生学力テストを実施、結果を内申書に反映させることまで行っています。子どもと学校、教師をランク付けし過激な競争に追い込むとして、現職校長などからも強い批判がありますが、吉村知事は耳を貸さないばかりか、小学生にも独自学力テストを実施しています。他県にも類を見ない“テスト漬け”政策は、学力向上にもつながらず、ただちにやめるべきです。

全小中学校で35人学級を
 「市町村が(加配を活用して)実施していくべき」-府として少人数学級を実施するよう求めた、うち海府議の質問に対する吉村知事の答弁です。全国43都道府県が独自に少人数学級を実施する中、大阪は実施に背を向け続けている数少ない県です。コロナ禍を経て、教育現場の課題や少人数学級の効果が浮き彫りになり、国もようやく段階的に少人数学級化に踏み出しています。全国15道県では、昨年度から国に先行して少人数学級を拡大しています。
 少子化が進む中、大阪府は正規教員の採用を抑え、「雇用の調整弁」として1年限りの定数内講師を雇用しています。結果、市町村で講師登録が少なかった場合に教師の欠員=「教育に穴が開く」事態が頻発しています。府内公立小中学校全学年の35人学級化に必要な予算は7年前の6割程度に減っています。子どもの数が減った学校を統廃合したり正規教員を減らしたりするのではなく、手厚い教育を保障する少人数学級化に、高校も含め今こそ踏み出す時です。

18歳まで医療費無料に
 子どもの医療費への府の補助制度は、通院の対象が就学前まで、1回500円の自己負担ありと、全国最低レベルです。中3まで自己負担ゼロの沖縄県、来年度から18歳まで拡大する東京都などと比べあまりに貧困です。
 「無料化するとコンビニ受診(時間外受診)が増える」という意見もありますが、医療費補助の拡大で重症化が防止されコンビニ受診も減ったという調査結果もあります。子どもの貧困が広がる大阪でこそ、府の責任でただちに医療費を18歳まで無料にするべきです。


4 “大阪こわし”許さず

 私たち党府議団は、カジノ誘致や「大阪都」構想など、維新政治の“大阪こわし”と対決してきました。

カジノ誘致断念を
 維新の会が今年3月に「区域整備計画」を府・大阪市議会で強行し、カジノ誘致へ暴走するもと、誘致の賛否を問う住民投票を求める21万人の直接請求署名が6月に大阪府に提出されました。
 住民投票の賛否を決める臨時議会を前に、私たちは全会派の発言を正副議長に求めました。しかし発言を認められたのはカジノ賛成派である多数会派の維新、公明、自民だけで、わずか数時間の審議で住民投票実施は否決されました。
 カジノは賭博でありギャンブル依存症など多大な社会的負担が生じること、約790億円もの夢洲の「土壌改良」追加負担をはじめ莫大な公費負担がのしかかり膨れ上がること、収支見通しが過大、無謀であることなど、大阪カジノ計画の問題点は枚挙にいとまがありません。府民の多数が反対するカジノ誘致はただちに断念すべきです。

「都」構想を否決
 20年9月の府議会本会議質問で、私は吉村知事に対し、財政を浪費しコロナ対策の足かせとなる「大阪都」構想=大阪市廃止構想を断念するよう迫りました。直後の20年10月、コロナ「第2波」がくすぶる中で維新の会が強行した2度目の「大阪都」住民投票で、大阪市民は再び「都」構想ノーの審判を下しました。党府議団としての大阪市内向けビラを発行するとともに、広範な市民や各団体、地元党組織とともに連日大阪市内の街頭に立ち、否決に向け奮闘しました。
 ところが、維新の会は「都」構想路線を諦めず、大阪市の都市計画などの権限と財源を大阪府に移譲する「広域行政一元化条例」を21年3月に制定し、「都」構想の事実上の具体化を図っています。これを足掛かりに万博開催やカジノ誘致、そのための道路・鉄道などインフラ整備を進めるために府市が共同で設置する部局が次々作られています。これらに割いている人員と財源は、暮らしや中小企業支援のためにこそ使うべきです。


5 暮らし守る、ジェンダー平等へ

 議会のなかでは少数派でも、私たちは府民と固く手をつなぎ、諦めずに運動し論戦することで、暮らしの願いを一歩ずつ実現してきました。


資料1
資料2

“住み続けられる”府営住宅へ
 府は、府営住宅の入居者が死亡した場合などの“地位承継”の制度を08年に改悪、対象を配偶者や高齢者などだけに限定しました。このため、「親が亡くなったら病気で働けない息子まで追い出された」などの例が後を絶ちませんでした。
 私たちは、生活と健康を守る会などと連携して10年以上にわたり改善を求め続け、20年10月に子や孫への対象拡大をかちとりました(資料1参照)。

精神病床入院補助を復活
 黒田革新府政(1971年~79年)が全国に先駆け始めた福祉医療費助成制度を、自民党府政や維新府政は削減・縮小し続けてきました。18年には重度の精神障がい者や難病患者を補助対象にする一方で、精神病床入院を対象外とし、患者の窓口負担も増やしました。
 これに対し、多くの障がい者や難病患者が継続・復活を求める声を上げ、私たちも何度も議会で追及し、昨年4月から精神病床入院補助を再開させることができました。

ジェンダー平等の大阪へ
 府は、性暴力被害者の初回受診料を補助する国制度を活用せず、被害者への医療費補助を行っていませんでした。私たちの議会質問や当局との直談判を通じて、20年度から初回受診料補助が始まりました。再診料などさらなる補助拡充を求めています。
 私が19年に府議会で提案した「パートナーシップ宣誓証明制度」が、翌20年1月から始まりました。性的マイノリティの方々が互いを人生のパートナーとすることを宣誓した事実を証明する「宣誓受領証」(資料2)を府が発行するものです。
 今年8月末までで、すでに143組が宣誓し、府営住宅入居申し込みや、病院で家族として医師の説明を受けることができるようになったと喜ばれています。


府民の声を届け府政を動かす

 「子どもたちに行き届いた教育を」「介護士、保育士の大幅増員を」など、この3年間で府議会に寄せられた府民の請願は136万人分にのぼります。私とうち海議員はそのすべての紹介議員となり、採択を呼び掛けました。しかもそのうち127万人分は私たちだけが紹介議員です。
 府民の声を府政に届け、府民とともに府政を動かす―かつてない暮らしの危機が大阪を覆う今、私たち党府議団の役割をさらに発揮し、頑張る決意です。




「議会と自治体」2022年11月号より



   


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