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消費税5%減税求めよ 大阪府議会本会議 石川氏、知事に迫る

 日本共産党の石川たえ大阪府議は、7日の府議会本会議で、消費税5%への緊急減税を政府に求めることを吉村洋文知事に迫りました。
 石川氏は、急激に進む物価高騰で「食事の回数を1回に減らした」(高齢者)、「子どもに満足に食事をさせられない」(シングルマザー)との声やコロナ融資返済の見通しが立たない業者などの例を紹介し、「府民の悲鳴が広がっている」と指摘。物価高騰対策として最も効果的で、日本維新の会も掲げている、滴費税5%への緊急減税を国に求めるべきだと迫りました。
 吉村知事は「国で判断される」と述べるにとどめました。
 石川氏はさらに、府独自に▽非正規で働く世帯へ1世帯5万円の「くらし支援緊急給付金制度」を創設し、一定期間継続すること▽減収となっている中小・小規模事業者への固定費補助を行うこと-を提案しました。
 大阪の子どもの貧困率は13.9%(府2019年調査)と高く、シングルマザーから現金給付を望む声が多く寄せられています。
 「さまざまな施策を推進している」などとして提案に背を向ける知事を、石川氏は「あまりに冷たい」と批判し、制度創設を強く求めました。

“11億円で窓口負担なくせる” 石川議員 子ども医療費完全無償化要求/大版府議会本会議

 7日開かれた大阪府議会本会議で日本共産党の石川たえ議員は、子ども医療費の完全 無償化、保健所の増設を吉村洋文知事に求めました。
 大阪府の子ども医療費助成は1医僚機関1回500円(月2500円上限)の窓口負担があり、「子どもが3人も病院に行くと厳しい」「医療費を抑えるために親が受診を控えている」といった状況が生まれています。
 石川氏は、11億円で窓口負担をなくせるとし、「子育て安心の保証」として子ども医療費の完全無償化を強く求めました。
 吉村知事は、「受益と負担の適正化の観点から困難」と背を向けました。
 大阪のコロナ死者数は人口当たり全国ワースト1、感染者数、致死率はワースト2です。
 石川氏は「明らかに大阪府の対策に問題がある」とし、その一つとして保健所の深刻なひっ迫をあげました。
 大阪の保健師数は全都道府県中、人口当たりで少ない方から2番目、保健所数は一番少ないと指摘。保健師をはじめ保健所職員を抜本的に増やし、さらに保健所の増み出すべきだと知事に迫りました。
 吉村知事が「本庁への業務集約などを行っている」などと述べたのに対し石川氏は、業務支援等では限界があると述べ、「全国一少ない保健所数で感染症対応に弱い街になってしまった大阪を立て直すために保健所増設の決断を」と主張しました。



「しんぶん赤旗」2022年10月8・9日付より

石川議員の本会議一般質問の大要を紹介します。

1.物価高騰から暮らしを守る

(1)消費税の5%への緊急減税を

 日本共産党の石川たえです。
 急激に進む物価高騰が府民に深刻な影響を与えています。
 「食事の回数を1回に減らした」という高齢者、コロナ禍と物価高騰という二重苦の中で「子どもに満足に食事させられない」というシングルマザー、コストが上がっても価格転嫁ができずコロナ融資の返済の見通しが立たない業者など、府民の悲鳴が広がっています。
 民間シンクタンク調査では、年間の物価高騰の影響は1世帯当たり98,000円に及ぶこと、政府の緊急対策は部分的であり低所得者層は政府対策を加味しても消費税3%増に相当する負担増になることが指摘されています。
 政府の対策は燃料費の一部補助や非課税世帯への給付金などごく一部への対策であり、余りにも無力です。食料品、水光熱費など生活必需品を中心に、値上げラッシュが起きているもとで、消費税減税は最も効果的な物価高騰対策となります。国に消費税5%の緊急減税に踏み出し、物価高騰から国民生活を守るよう知事から提案してはどうでしょうか。答弁を求めます。

吉村洋文知事
 消費税のあり方につきましては、まさに国政政党間の議論を経て、国において適切に判断されるべきものだと考えます。
 知事としては、物価高騰から府民の暮らしを守るために、追加配分された国の臨時交付金を活用するなど、一層の対策を進めていきます。

 「国政政党間の議論」「国の判断」と言われますけれど、日本維新の会は消費税減税を求めておられるはずです。消費税の負担増で苦しむ府民を守る責任は知事にもあります。物価高騰から府民を守る立場にしっかり立ち切り、消費税減税を知事として強く求めるべきだと申し上げておきます。

(2)非正規労働者と中小業者への給付金を

 大阪府のこれまでの200億円を超える物価高騰対策のほとんどは国費であり、国の取り組みと併せて大阪府独自の対策を緊急に行うことが今求められています。
 2019年に大阪府が実施した子どもの貧困調査では、子どもの貧困率が13.9%と依然として高い水準になっています。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の2020年4月の調査では「すぐに現金給付がほしい」という回答が8割近くを占めています。
 シングルマザーを始め非正規で働く世帯への生活支援として、大阪府が1世帯5万円の「くらし支援緊急給付金」制度を創設し、一定期間継続して支給してはどうでしょうか。
 また、減収となっている中小・小規模事業者への事業継続支援として、固定費補助を行ってはどうでしょうか。
 知事の見解を求めます。

吉村知事
 ます、非正規で働く世帯への支援について、非正規労働者を含む物価高騰による生活にお困りの低所得世帯の方々に対してましは、経済的な自立等を図り、安定した生活が送れるように、生活福祉資金の貸付を行っているところです。
 また、生活困窮者自立支援制度の相談窓口において、様々な相談を受け付け、福祉事務所やハローワークなど関係機関と連携しながら、本人の状況に応じたきめ細かな支援を行うなど、生活の再建に向けた寄り添った対応をしています。
 今後とも、こうした取組を引き続き行い、生活困窮者を支援してまいります。
 次に、中小企業の支援につきましては、当初予算において、制度融資による資金繰り支援、事業承継や商店街への支援などの施策に加えまして、補正予算においては、新事業や事業再構築にチャレンジする中小企業への支援強化、トラック事業者等の事業活動を守る支援など、様々な施策を推進しているところです。
 支援にあたりましては、限られた財源の中で、その時々の状況を踏まえ、適切に判断をしていきます。

 いつも言われるんですけどね、生活福祉資金貸付というのは貸付ですから借金です。しかも再申請込みで、緊急小口と総合あわせて3回が限度になっています。コロナに感染した、または濃厚接触などで自宅待機となったパート・アルバイトの多くは、欠勤等の無給休業となり収入が途絶えます。政府の給付金は1回限りであり、これらの人に「お金貸してあげますよ」という、この姿勢はあまりにも冷たいと思います。
 困窮者自立支援にいくまで放置するのではなく、今の段階で生活支援をしっかり行い支えることが大事です。非正規労働者へのくらし支援緊急給付金制度を創設していただくことはできませんか。再度見解を求めます。

吉村知事
 非正規労働者に対しまして、新たな給付金制度創設をとのことですが、非正規雇用の方は大阪府内に153万1千人いらっしゃいます。物価高騰により苦しい生活を余儀なくされている方々は、ひとり親家庭の方であったり失業中の方など様々です。
 大阪府としてはこうした方々に対し、先ほど申し上げた取り組みを引き続き行いながら、自立に向けた支援を行っていきます。

 お金がなくて困っているという人に、引き続き借金、貸付をするということを中心にする取り組みは、私は間違っていると思います。
 府民の暮らしをしっかり支えなければ経済は循環しません。引き続き、しっかりと暮らしていけるだけの支援をする給付制度の創設を求めておきたいと思います。

(3)子ども医療費助成制度の無償化、拡充を

 暮らし応援の一環として、子育て世代を支えることも重要です。大阪府の調査でも子育て世代の多くが「収入が少なくて十分な子育てができない」と回答されています。
 現在、府内34市町村が乳幼児医療費助成を18歳までに年齢拡充していますが、1医療機関1回500円、月2500円上限の窓口負担がいまだにあります。子どもが複数人いる、複数の診療科にかかるとなれば、瞬く間に金額は膨れ上がり、「3人も病院行くと厳しい」「医療費を抑えるために親は受診を控えている」と生活への支障が出ています。
 パネルをご覧下さい。

 すでに東京都は就学前まで無料、沖縄県は中学校卒業まで都県の責任で無料としています。大阪府でも窓口負担ゼロ、府として18歳まで年齢拡充すべきだと思いますが、知事の見解を求めます。

吉村知事
 乳幼児医療費助成制度につきましては、平成27年度から「新子育て支援交付金」を創設し、そして子どもの医療費助成を含む市町村の子育て支援施策の充実につながるように、市町村の支援を行っているところです。
 府としましては、引き続き乳幼児医療費に係るセーフティネットの部分を役割として果たすとともに、同交付金により市町村自身の子育て支援施策をバックアップしていきます。
 なお、窓口負担の無償化につきましては、制度の持続可能性の確保や受益と負担の適正化の観点から困難だと考えます。

 今言われました「新子育て交付金」は成果配分枠は約17億円です。この17億円が市町村の子ども医療費助成などに充てられています。2021年度、市町村の子ども医療助成制度の負担は、就学前だけで約25億円となっています。新子育て交付金の17億円では、就学前まですら今賄えていない、これが実状です。そのうえ市町村は、それぞれの努力で、18歳まで年齢を拡充しているわけです。
 群馬県では子ども医療費無料の効果について県議会で議論されました。当時の福祉部長は「虫歯治癒率が全国平均より5~10%上回って向上し、ひいては医療費の抑制につながる」「いわゆるコンビニ受診も懸念したが、時間外受診は減少傾向にある」と語っておられました。
 子ども医療費の窓口負担をなくし、完全無料化する、18歳まで年齢拡充する事は、府民の健康を維持し、医療費抑制につながる、まさに持続可能な制度となると思います。窓口負担をなくすのにかかる大阪府の負担は約11億円です。できない金額ではありません。いますぐ踏み出し、子育てを守っていくべきだと思いますが、再度知事の見解を求めます。

吉村知事
 子育て支援の充実について、これは僕自身が大阪市長時代も、乳幼児医療費助成の拡充というのは、自らの努力、改革、市町村としての役割として実施をいたしました。府としましては、引き続きこの乳幼児医療費に係るセーフティーネットの部分をしっかり果たしていきたいと思います。そして市町村の子育て支援施策をバックアップしてまいりたいと思います。
 窓口負担の無償化につきましては、制度の持続可能性の確保、また受益と負担の適正化の観点からこんなんであるというふうに思います。

 横浜市が大阪よりも行政の援助が強いんですけれど、その横浜市でツイッターに「横浜の子育ては最低だ」と書き込まれたある方のツイートに、1万件の「いいね」がついていると。結局理由は何だったかというと、子ども医療費が完全無料ではない、これは一体どうなっているのかというツイートに多くの「いいね」がついたわけです。
 子ども医療費の完全無償化は、子育て安心の保証となります。大阪府として窓口負担なし、18歳までの年齢拡充を強く求めて、次の質問に行きます。

(4)学校給食の無償化を

 9月に発表された文科省調査では、急激な物価高騰の影響を受け、全国で83%の自治体が学校給食費の保護者負担軽減を実施、または予定していることが明らかになりました。
 無償化が進む中で、支援学校の保護者から「同じ市の子なのに、支援学級に通う子は無償で、支援学校の子は有償なんておかしい」という声がありました。2022度はコロナ・物価高騰対策として大阪府も府立学校給食費は無償となっていますが、2023年度以降も無償化継続する見通しはありません。
 国の臨時交付金の如何にかかわらず、府立学校で給食費無償化を実現すべきだと思いますが、知事の見解を求めます。

橋本正司教育長
 府立学校の学校給食費につきましては、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生晦時交付金を活用しまして、令和4年度に限り保護者負担の軽減を図るため、無償といたしました。
 物価高騰等への対応等、安定した国民生活を確保するための政策、これについては国において実施すべきものだと考えておりまして、国に対し、学校設置者が実施する給食費無償化等に対する財政措置を要望しているところです。
 府立学校の令和5年度以降の給食費の無償化につきましては、国による財政措置の状況を踏まえて検討してまいりたいと思います。

 国に求めていただくのは大切ですけれども、国がやらなくても大阪府がするべきだと申し上げておきます。
 給食に関わりもう一点お聞きします。
 小中学校での給食費無償化を進める、中学校給食を全員喫食にするなどに取り組む市町村に、大阪府として財源の半分を負担し子育て支援をしてはどうでしょうか。見解を求めます。

吉村知事
 市町村立小中学校の給食費の無償化については、給食の実施主体である市町村において必要性を判断し実施されるべきものだというふうに思います。
 中学校給食については、全員喫食が望ましいと考えますが、地域の実状を踏まえて、まさに市町村が判断すべきものだと考えています。
 市町村が実施する給食費の無償化や、中学校給食の全員喫食化に対して府として補助等の財政措置を行うことは考えていません。

 学校の給食は貧困にあえぐ子どもにとっては命綱となります。長い夏休みや冬休みの間、給食がないがためにご飯を食べられないという子も大阪の中にはたくさん残されています。
 市町村が実施主体だと突き放さずに、市町村と協力して子どもを貧困から救う一助として、大阪府の財政負担を強く求めておきたいと思います。


2.新型コロナから命を守る

(1)大阪府のコロナ対策の課題

 次にコロナ対策についてお聞きします。
 第7波の感染急拡大は、保健所のひっ迫に加えて、発熱外来、診療検査医療機関にも府民が殺到し、「検査キットが足りない」「通常診療ができない」という事態を生み出しました。高齢者等施設でのクラスター件数は第6波の1.6倍となり、陽性の高齢者が施設療養を余儀なくされ、「1フロア全部がコロナ患者で埋まっている。さらに施設療養しろといわれても不可能」と施設からは悲鳴が上がりました。
 パネルをご覧下さい。

 大阪のコロナ死者数は人口100万人当たりで728人、全国ワースト1です。大阪のコロナ対策のあり方がどうだったのか検証が必要です。なぜ大阪で全国の2倍以上の死者数を生み出す結果になったのか、どこに問題点があったのか、知事の見解を求めます。

吉村知事
 これまでの第7波までの間、波ごとに感染規模が大きくなるとともに、多数のクラスターが発生し、保健・医療療養体制、これがひっ迫するなどの課題が生じましたが、その都度、病床確保や保健所支援など全力を尽くしてきたところです。
 とりわけ、オミクロン株となり、第6波における死亡れの9割以上が70代以上であることを踏まえまして、第7波においては、重症化リスクの高い高齢者への支援が重要であるという認識のもと、高齢者向け医療療養体制の整備や高齢者施設対策の強化などに重点を置いて取り組んできたところです。
 第7波の死亡率は全国平均とほぼ同じです。死亡者数については、感染者数やクラスターの発生状況、重症化や死亡リスクが高い高齢の陽性者が全体に占める割合などが影響してまいります。また、直接死因がコロナ以外の死亡例が、第6波では4割、第7波では約5割を占め、死因についても様相が変化しています。
 死亡例についてはさまざまな視点から検証が必要であると考えています。高齢者を守るという観点が非常に重要であると考えています。
 今後も、第7波までの経験を踏まえ、次の感染拡大の波への準備をしっかりと進めてまいります。

 高齢者は守られていないので、どう検証しはるのかなと疑問を持ちます。
 全国の2倍以上の死者数を出してしまったことに、本当に反省もないのかと耳を疑っているところです。感染者数も全国ワースト2,致死率も全国ワースト2、明らかに大阪府の対策に問題があります。

(2)病床削減の中止

 その問題点の1つとして病床の削減があると考えます。
 大阪府は、感染急拡大のたびに療養体制を見直し、高齢者も軽症では入院できず、自宅療養や施設内療養を余儀なくされてきました。症状に応じて必要な医療が提供されるべきであるにも関わらず、入院できない一因に病床削減があると思っています。
 第3波で医療崩壊の危機と言われ、病床はすでに足りなくなっていたにもかかわらず、大阪府は国の地域医療構想の先陣を切って、2020年326床、2021年218床もの病床削減・転換をすすめています。
 パネルをご覧下さい。

 今年度削減・転換対象として予算計上されている病床は934床です。厚労省によると、2022年度、病床削減・転換事業費の基金規模は大阪は削減分で7.9億円、転換分で19.4億円、全国でも断トツで病床削減・転換に大阪が突き進んでいることがわかります。この削減・転換の対象にコロナを診ることのできる急性期病床が含まれています。
 「高齢化社会を見据えて必要病床の転換がいる」とこの間、ずっと私は言われてきましたけれども、コロナで亡くなられている多くは高齢者です。目の前の高齢者も守れずに将来を見据えてとは、いったいどういうことか?と、憤りも感じています。
 今すぐ病床削減は中止するべきだと思います。知事の見解を求めます。

吉村知事
 大阪は超高齢社会に突入しており、高齢者施設でいうと、東京が3100に対して大阪が3700と、人口は東京が1.4倍ですが、高齢者施設でみると、全国一高齢者施設が多いというのが大阪の現状であります。
 超高齢社会において、やはり回復期医療のニーズが高まっていますので、その中、急性期病床から回復期病床への機能転換を進めているところです。
 今後も引き続き、コロナ受け入れ病床の着実な確保・運用とともに、地域医療構想の基本的な枠組みを維持しつつ、病床転換等の取り組みに努めてまいりたいと思います。

 「回復期医療のニーズが高まっている」と、こういうふうに言われますけれども、いま急性期病床を必要とされている高齢者が入院できないわけです。
 消費税を財源にして、コロナで必要な病床を減らす、高齢者に重点を置くといいながら入院制限をかけ、入院すらできない高齢者があふれる、この大阪府の対策こそが、多くの死者数を生み出した一つの原因であり、抜本的見直しを行う事を強く求めておきたいと思います。

(3)保健所の強化

 病床削減中止と併せて、保健所の体制強化は急務となっています。
 深刻な保健所ひっ迫の中で、フォローアップセンターの設置、本庁への業務集約、本庁からの応援、また事務委託、届け出項目の簡素化などを繰り返していますが、「届け出項目の簡略化が負担軽減になった」と回答した保健所はたった22%です。もう小手先の取り組みでは限界であることが如実に示されていると思います。
 大阪も国の方針に則り、患者発生届の対象を「全数」から「4類型」に限定することを決めましたが、「4類」に当てはまらない人は、セルフチェックで陽性者登録センターに登録し、自宅療養となります。これは、事務作業の効率化にとどまらず、府民に医療を受けなくていいとする仕組みとなり非常に危険だと懸念しています。
 症状悪化への対応、積極的疫学調査など、本来の役割を担う保健師をはじめとする職員増は喫緊の課題です。また、保健所はコロナ対応以外に、精神保健、母子保健など通常業務もあり、コロナによりこれまで以上に対応が必要なケースも増えていると聞いています。
 パネルをご覧下さい。

 大阪は全国平均と比べても極端に保健師数が少ないことが分かります。人口当たりで少ない方から2番目、1番多い長野県の3分の1の保健師数です。
 「人口当たりの保健師数が多い都道府県は、コロナの罹患率が低い」、こういう奈良県立医大の調査もあります。
 大阪も保健師をはじめ職員数を抜本的に増やすべきだと思いますが、知事の見解を求めます。

吉村知事
 保健師をはじめとする保健所の人員体制につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、その時々の行政需要に応じた体制を整えてきました。
 とりわけ、新型コロナウイルス感染症への業務対応としては、2年間で保健所の定数を増員するとともに、負担軽減を図るため、広域的な業務等の本庁への集約や、全庁職員による応援、外部派遣職員等の配置によりまして、保健所を支援してまいりました。
 今後も業務支援や適正な人員体制の確保に努めてまいります。
 また、人口1万人当たりの保健師数ですけれども、大阪府2.1とありましたが、東京都1.8、神奈川は1.7と、人口が多いところでこういう傾向にありますが、適正な人員配置の確保に努めていきたいと思います。

 この間職員を増やされているというお話ですけれども、保健所のひっ迫は一向に改善されていません。職員の増員は、今やはり本当に必要だと感じています。
 職員の増員と併せて、保健所の増設に、今もう踏み出す時だと思っています。
 パネルをご覧下さい。


 大阪は保健所の数が人口当たりで全国一少ないです。これでは保健所がひっ迫するのも当たり前です。山口県ではコロナ禍で支所を本所にするなど、保健所そのものの強化が図られています。
 人口当たりのコロナ感染者数が全国で多い大阪こそ、保健所を増設し、コロナを始め今後の感染症対策と公衆衛生強化に踏み出すべきだと思いますが、見解を求めます。

吉村知事
 保健所の設置につきましては、地域保健法及び国の指針に基づき、2次医療圏の人口や面積、保健サービスの提供体制を踏まえて、府内には、府設置の保健所が9力所、政令・中核市設置の保健所が9カ所の計18カ所が設置されています。
 引続き、必要な保健所体制の確保に努めていきます。

 地域保健法や国の指針は「二次医療圏の人口を著しく超える場合は複数の保健所を設置できる」と記されています。保健所を増やしたらあかんというふうには書かれていないわけです。
 全国1少ない保健所数で、感染症対応に弱い街になってしまったこの大阪を立て直していくために、保健所の増設を今するべきだと思いますが、知事の決断、再度見解を求めます。

吉村知事
 保健所の設置につきましてですけれども、地域の人口や面積、人口密度等の中で、大阪府は非常に狭い面積の中で人口が集中しているということから、人口当たりの比較をもって保健サービスの水準が低いということは言えないというふうに考えています。
 今後も適正な保健所や人員体制の確保に努めてまいります。もちろん政令市においては政令市の判断で保健所を設置するということになると思いますが、適正な保健所、人員体制の確保に努めていきたいと思います。

 政令市のことは政令市にと突き放してしまわないで、275万人口の大阪市に保健所が1か所という、異常な事態が広がっているわけです。
 大阪府全体の保健所を増やしていくことが大阪に求められているというふうに思います。政令市、中核市と協力して保健所増設は急務だと申し上げておきます。

(4)検査体制の拡充

 続いて検査についてお聞きをいたします。
 コロナの感染制御をする上で、収束時を含めた検査の大幅拡大が必要です。
 高齢者等施設での頻回検査の到達は、対象施設の約5割となっています。全中学校区設置目標の無料検査場は未だにゼロの自治体もあります。
 感染収束期の無料検査は、人口当たりで大阪は東京の半分、「感染収束期は検査需要が減る」、こういうふうによく言われますが、感染収束期にこそ検査を行い、感染者を早期発見・保護し感染を広げない体制が大阪は非常に弱いといえます。
 全世帯に検査キットを一定期間分配布し、感染制御に努めるべきです。知事の見解を求めます。

吉村知事
 発熱外来のひっ迫を受けまして、10歳~64歳で重症化リスクが低い方については、医療機関を受診せず検査キットでセルフチェックをしていただくよう呼びかけていまして、9月28日に検査キット配布センターも新たに設置をいたしました。
 センターでは、希望者からwebで申し込みを受け付けまして、1日最大3万人に対し、翌日、遅くとも翌々日には配送可能な体制を確保しています。
 なお、65歳以上の方や重症化リスクが高い方等については、これまで通り診療・検査医療機関等を受診していただくこととしています。

 検査キット配布センターは有症状者が条件だったかと思います。私が申し上げているのは、症状の有無に関わらず、全世帯配布することで早期発見保護しようという話ですから、少しかみ合っていません。
 早期発見、保護の体制が弱い大阪こそ、足を踏み出し感染制御を行う事を強く求めておきたいと思います。

 オミクロン株以降、急速に増えている子どもたちへの感染を防がなければなりません。
 政府のアドバイザリーボードに提出された調査結果によると、「小児においては痙攣、意識障害など神経症状や嘔吐、経口摂取不良など呼吸器以外の全身症状の出現にも注意を払う必要がある」こと、「基礎疾患のない者においても症状の経過を注意深く観察することが必要である」ことなどが報告されています。
 東京ではすでに実施されていますが、大阪も、子どもたちの通う、保育園、幼稚園、学校などの施設も、高齢者等施設と同じように定期頻回検査を行い、子どもへの感染を抑えるべきではないでしょうか。知事の見解を求めます。

吉村知事
 施設職員に対する定期的な検査につきましては、感染した場合に重症化や死亡リスクの高い集団において、職員等を起点とした感染拡大を防ぐため、高齢者施設等を対象に実施しています。
 とりわけ、入所系の施設につきましては、本年4月に、2週間に1回であった頻度を、大阪府独自の施策として3日に1回に高め、そしてその対策を強化しています。これまでに約350万件の検査を行いました。
 20歳未満の重症化リスクが低いことから、保育所や幼稚園、学校の職員に対する定期検査については、現時点では実施の必要性は低いと考えています。

 生後11カ月の乳児が感染して亡くなったケースもあります。この子は重症化しても入院すらできなかったというふうに聞いています。「重症化リスクが低い」と、子どもに感染を広げない努力に背をむけていいのかと思います。
 20歳未満児での感染の広がりが、家庭内感染、高齢者への感染と広がっていくことはこれまでの波で分かっていることです。子どもに感染を広げないことを位置づけ、子どもの通う施設での定期頻回検査の実施を強く求めておきたいと思います。


3.支援学校の過密過大の解消

 次に、支援学校についてお聞きをいたします。
 私の地元にある吹田支援学校は、吹田市内の南側半分の地域から児童生徒が通学し、現在の生徒数は271人です。児童生徒の増加で、来年度教室不足となる見通しです。学校では受け入れのために必死の取り組みが進められています。
 パネルをご覧下さい。

 現在、府立支援学校は、400人越えの学校が3校、300人越えの学校が10校となり、いずれも2013年の倍以上に増えています。約4割の学校で国基準よりも児童生徒数が多く、大阪の教室不足は528クラスとなり、障がいの程度に応じた授業が困難という事態が広がっています。支援学校新校建設は待ったなしです。
 教育現場からは、「適正規模にてらせば13校足りない。教室転用等の解消も含めて教育環境を整えるにはもっと多くの新しい学校が必要」と声が上がっています。
 必要な子どもが通える数の学校、十分な教育を受けられる環境をつくることは行政の責任です。新校建設には時間もかかります。西淀川に続き、大幅に新校建設にただちに着手するべきだと思いますが、見解を求めます。

橋本教育長
 児童生徒の増加に伴って教室不足等が生じている知的障がい支援学校の教育環境を改善する上で、新たな支援学校の整備もその手法の一つであると考えております。
 現在、地域ごとに知的障がい支援学校在籍者の将来推計を行いますとともに、教育環境を改善するための手法について、新たな学校整備による対応のほか、既存教室の改修等、様々な手法を検討いたしております。
 支援学板の教育環境の改善に向け、できるだけ早く計画的に整備が進められますように、作業を急いでまいります。

 新校建設をすすめることと併せて、緊急に障がい児の教育環境を整えることも重要です。
 この間、取り組まれてきた教室転用は、特別教室だけではなく、食堂、更衣室、検査室などもなくなる結果となり、「グループ学習が困難」「クールダウンを廊下でしている」「倉庫転用のため荷物を置く場所がなく災害時の避難路を確保できない」など、子どもの学習環境破壊となっています。
 教室の転用や数合わせで通学域を変更するのではなく、市町村教育委員会としっかり連携して、仮設校舎を建てる、分校を設置するなどを行ってはどうかと思いますが、見解を求めます。

橋本教育長
 新たな支援学校の整備には、設計・工事等に6年程度の期間を要することから、地域ごとの知的障がい支援学校在籍者の将来推計を見極めながら、新たな学校整備以外の手法も含め、必要となる対応を検討してまいります。

 「できるだけ早く整備がすすめられるように」と言われているので、ぜひお願いしておきたいなと思いますが、この間ずっと知的障がい児童生徒の増が推計されているかと思うんですけれど、大阪府がとってきた手段というのが、教室転用であったり通学域の変更であったり、知肢併置であったり分教室の設置であったり、こういう取り組みだったと思います。その最後が新校建設だったというふうに思っています。
 新しい学校をつくるのに一定の時間がかかるというのは私も当然分かってるんですけども、その間の子どもたちは放っといてええという話には絶対ならんので、そこで今、市町村教育委員会としっかり連携をとって、分校作られへんのかということも含めて、ぜひ検討していただきたいなということをお願いしておきます。


4.困難な問題を抱える女性への支援

 最後に、困難な問題を抱える女性への支援強化についてお聞きをいたします。
 DV防止法によって、女性の駆け込み先があることが知られるようになっていますが、困難な問題を抱える女性、婦人保護事業の対象となる女性は、DV被害者だけではなく、ストーカー、性暴力、人身取引被害者、いわゆる援助交際や性売買などが含まれます。これらの人へ、みんな駆け込み先があることを広く知らせ、支援強化することが大阪府に求められます。
 今年5月、国会で全会一致で可決した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」は、都道府県に基本計画の策定と相談所、一時保護施設設置を義務づけています。計画策定にあたって2つ提案します。
 現在、大阪で、困難な女性の相談所は1か所です。一時保護施設も直営は1か所です。これを1か所で終わらせずに、「忙しそうでなかなか親身に相談に乗ってもらえなかった」という元利用者の声をしっかりと受け止めて、計画の中に、複数設置し、正規職員を配置すること。
 もう一つは、市町村との共通認識を広げていくために、市町村の窓口を大阪府が責任を持って設置し、支援員を配置すること。
 以上2つを提案しますが、見解を求めます。

吉村知事
 本府では、女性相談センターにおいて支援を必要とする女性の相談を受理し、一時保護を行っています。一時保護先については、個々の女性の状況に応じて、社会福祉施設や民間シェルター等とも連携を図って行っているところです。
 また、市町村における専門性の強化に向け、婦人相談員の配置や配偶者暴力相談支援センターの設置などについて働きかけを行うとともに、市町村職員向けの研修を実施しています。
 今後とも、法施行を見据え、適切に対応してまいりたいと思います。

 生活のため、学費のためと性産業に身を投じる女性もいます。
 困難な問題に直面した女性をしっかり支えることと併せて、本気のコロナ対策と物価高騰対策を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。



   


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