IR住民投票実施否決は容認できない 「カジノNO」の共同をさらに大きく
-大阪府議会7月臨時会の結果について-
2022年7月29日
日本共産党大阪府議会議員団
石川 たえ
うち海 公仁
(1)本日、IR(カジノを中核とする統合型リゾート)誘致の賛否を問う住民投票の実施を審議する臨時大阪府議会が開かれました。住民投票を求める府民が提出した実施条例案に私たちは賛成しましたが、維新・公明は反対、自民は投票資格者から外国人を除外する修正案を提出して原案には反対し、否決されました。
21万人の府民が署名し求めた住民投票の実施をわずか数時間の審議で却下したことは、断じて容認できません。
(2)この間、大阪・夢洲へのIR誘致の重大な問題が次々と明るみになっています。カジノが人の不幸を食い物にする賭博であること、「経済利益」をはるかに上回るギャンブル依存症などの社会的負担が生じること、約790億円もの夢洲の「土壌改良」追加負担を始め莫大な公費負担がのしかかり膨れ上がること、「日本人だけで年間1千万人が来場」など事業計画が過大、無謀であることなど、これらの問題は何一つ解消されていません。
この間の各種世論調査では大阪へのIR誘致に賛成する府民は少数です。吉村洋文知事は本日の府議会で、「住民の理解促進に努めてき」たことを挙げ、住民投票は必要ないとしました。しかし、大阪府と大阪市が開いた「公聴会」や「住民説明会」は、内容や時間、規模のいずれも説明責任を果たしたと言うには程遠いものです。
さらに、知事は「地方自治の根幹は(首長や議会による)代表民主制」と述べ、すでに議会でIR誘致が議決されていることを反対理由としています。しかし、住民投票実施などの直接請求権は、多様な住民の利害の全てを反映することはできない代表民主制の欠陥を補うために地方自治法に定められた国民の権利です。
数々の重大問題が何一つ解消されず、府民の理解も合意もないまま誘致が強行されようとしているもとで、住民投票実施を求める声が上がるのは当然であり、否決することに一切の道理はありません。
(3)私たちは臨時議会に先立ち、少数会派を含めた全会派による質問と討論を行うよう正副議長に求めましたが、発言を認められたのはカジノ賛成派である多数会派の維新、公明、自民だけでした。21万人もの府民が求める住民投票の実施を、まともな議会審議もなしに葬ったことは、事実を隠し通さないと進められない大阪カジノ計画の反府民的な本質の表れです。
私たちはこれからも、「カジノNO」で一致する広範な団体・府民と共同を広げ、大阪カジノ計画を断念させるために力を尽くします。
(4)また、本日の議会で、「我が国における健全な民主主義と安全・安心な国民生活の堅持に向けた決議」が採択されましたが、採決に当たり私たちは退席しました。
私たちは、安倍元首相が無法な銃撃で殺害されたことに哀悼の意を表すとともに、暴挙を厳しく糾弾し、再発防止や銃器犯罪等の根絶、民主主義と安全・安心のために力を尽くす立場であり、この点では決議と一致します。
ただし、それは安倍元首相に対する政治的評価とは別問題です。私たちは安倍元首相在任時の内政・外交政策や政治姿勢に批判的立場をとってきました。決議にある大阪・関西万博誘致についても、私たちは現在の計画に反対しています。安倍元首相に対する政治的評価は府民や議会の中でも様々な意見があり、肯定的な政治的評価を府民に押しつけることにつながる文言を盛り込むことは府議会決議にそぐわないと考えるものです。
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