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5月大阪府議会開会 3つの意見書提案 共産党府議団

 5月20日、5月大阪府議会が開会しました。会期は6月9日までの予定です。
 共産党大阪府議団は、「武力ではなく憲法9条に基づく対話外交による安全保障を求める意見書」、「最低賃金全国一律1500円の実現と中小企業支援の拡充を求める意見書」「すべてのケア労働者の大幅賃上げを求める意見書」の3つの意見書案を提出しました。


共産党府議団が提出した意見書案は以下の通りです。

武力ではなく憲法9条に基づく対話外交による安全保障を求める意見書

 大阪府議会が3月1日に採択した「ロシアによるウクライナへの侵略を強く非難する決議」が指摘したように、プーチン政権によるウクライナ侵略戦争は、他国に対する武力による現状変更を禁止した国連憲章に真っ向から違反する行為である。国際社会の抗議の声をいっそう拡げ、ロシアの軍事行為の中止を求めなければならない。
 しかるに、軍事緊張の国際情勢に乗じて「敵基地攻撃」「軍事費2倍化」「核共有」など相次いで「力の強化」を主張する動きが政府や国会の一部に強まっていることは、日本国憲法が規定する恒久平和主義に反する危険な動きと言わなければならない。
 特に、専守防衛の立場を超えて集団的自衛権行使を可能とするもとでの「敵基地攻撃」は、日本が攻撃されていなくても同盟国である米国が戦争を始めればその相手国に対し自衛隊が米軍と一体に「敵基地攻撃」を仕掛けることになる。これは相手国から見れば先制攻撃そのものであり、憲法9条とは絶対に相容れない。
 今、日本の安全と平和にとって必要なことは、「あらゆる紛争を戦争にせず話し合いで解決する」という憲法9条の精神を活かした積極的・能動的な外交を積み重ねて戦争を起こさないことである。東南アジアですでに実践されている東南アジア友好協力条約(TAC)を東アジア全体に拡げ、ASEAN10か国と日米中など8か国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、東アジア全体の規模で友好協力条約を展望する方向でこそ、日本の平和と安全の展望が広がる。
 よって政府及び国会は、武力強化、日米同盟強化一辺倒の立場ではなく、「平和の外交ビジョン」を掲げ、憲法9条の立場と精神に基づいた安全保障を築くことを強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


最低賃金全国一律1500円の実現と中小企業支援の拡充を求める意見書

 最低賃金は、労働者の生活安定、労働条件改善を図る上で大変重要な役割を担っている。最低賃金を引き上げることは、労働者の生活の質や企業の生産性を高め、消費購買力が活性化し、地域経済に好循環をもたらす。
 現在、労働者の4割近く、青年と女性に至っては半数以上が非正規労働者であり、フルタイムで働いても年収200万円以下の「ワーキングプア」という状況が広がっている。経済的自立がおぼつかない状況こそ少子化の最大要因であり、社会保障制度の根幹も揺るがしかねない。
 現在の大阪府の最低賃金は時給992円であり、フルタイムで働いても年間190万円程度である。昨今の急激な物価高や消費税の負担増もあり、国民生活水準の向上と地域経済の活性化にとって大きな効果をもたらす最低賃金の抜本的引き上げは急務である。また、都道府県ごとの最低賃金は、東京都の1,041円から高知県・沖縄県の820円まで最大221円も差があり、地方から大都市部への人口流出の要因ともなっている。
 最低賃金引き上げのためには、賃金や税・社会保険料の負担軽減など、国による中小企業への直接支援が抜本的に強化されなければならない。取引上の力関係を悪用した単価の買いたたき、一方的な発注中止などを許さない公正な取引のルール確立も求められている。そのための財源として、この間大企業に必要以上に貯め込まれている内部留保金の一部を活用することは、正当な企業間競争にとっても必要である。
 よって政府及び国会は、下記の施策を早急に実施されるよう求める。

1.最低賃金を時給1,500円以上にすること。

2.最低賃金法を見直し、全国一律最低賃金を確立すること。

3.中小企業に対する賃上げのための財政支援を抜本的に強化すること。

4.前項の財政支援の財源を大企業の内部留保金に対する適正課税で確保すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


すべてのケア労働者の大幅賃上げを求める意見書

 2年以上続くコロナ禍のもと、医療・介護・保育・福祉などの現場で働くケア労働者が社会に必要不可欠なエッセンシャルワーカーとされる一方、賃金などの処遇はその役割に見合っていない実態がある。
 政府は、2022年2月から9月まで、介護・保育などでは月額9000円、看護は月額4000円の処遇改善事業を実施している。しかし、賃上げ額が不十分であるとともに、一部の職員だけに対象が限定されている、申請期間が短く手続きが間に合わない、10月以降の制度継続の見通しが不明確などの問題点があり、ケア労働者全体の抜本的な処遇改善には程遠い内容となっている。
 政府は、10月以降の処遇改善事業について、診療報酬・介護報酬・公定価格の改定、地方交付税措置による人件費財源の改善によって対応すると予算計上した。しかし低すぎる引き上げ額や対象が限定的などの問題は残されたままであり、すべてのケア労働者の抜本的な賃上げ・処遇改善に結びつく制度への拡充が不可欠である。
 また、ケア労働の現場の多忙化は深刻であり、職員の大幅増員が切実に求められている。
 よって政府及び国会は、下記の事項を早期に実施するよう求める。

1.すべてのケア労働者を対象とし、月額4万円以上・時給250円以上の賃上げが実現するよう処遇改善事業を拡充すること。

2.医療・看護・介護・保育などのケア労働者の職員配置基準を大幅に引き上げること。

3.自治体で働くケア労働者の賃上げが確実に実施できるよう地方交付税を増額すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。




   


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