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維新府政の実態と日本共産党

 内海公仁府議が7月28日に行ったオンライン府政学習会の大要を以下に紹介します。


日本共産党大阪府議会議員
内海公仁
大阪のコロナ感染状況

 大阪の「第5波」とも言える新型コロナウイルス感染は、7月1日頃を底に拡大しています。
 新規陽性者の実数は東京都より少ないですが、拡大カーブは府も大阪市も東京都より上回っています。

 人口10万人当たりの新規陽性者が25人を超えると、感染状況を示す指標の「ステージ4」となりますが、首都圏と大阪府、石川県はその段階です。
 「第5波」の深刻な状況が分かります。

 大阪府の療養者の状況は、「第4波」以降で一番低いのは7月1日頃でした。
 以降4週間ほどで入院はほぼ2倍、宿泊・自宅・調整中は3~4倍です。

 大阪の死亡者数は7月25日で2718人と、全国一になってしまいました。

特に、第3波と第4波の病逼(ひっ)迫で、医療にアクセスできないまま命を落とした方も多くおられたことは大問題です。
 政治の責任が問われています。

府のコロナ対策の問題点

 背景にあるのは吉村知事の明らかな失政です。
 根本に、「行革」の名の下に専門職を含めて体制を縮小させてきたことが問題です。
 一部で体制強化したと言っていますが、一時しのぎでしかありません。

 病床削減と公的病院の役割を低下させてきたことへの反省もなく、さらに削減しようとしているのは、国も、維新府政も同罪です。

 全国で2025年までに20万床近く急性期病床を減らす計画です。
 大阪府も国の方針に従い、急性期病床を中心に削減をしようとしています。

 大阪のコロナ対策には、検査の拡大で感染を最小限に食い止める姿勢は初めからありません。
 高齢者施設、福祉施設などでの定期的、頻回の検査も、国の方針の範囲だけです。
 ここも検査に対し消極的です。
 変異株の検査も、国の水準の範囲しかやらない。
 しかも大阪独自でゲノム解析もしない。
 人流対策とワクチンに頼るだけでは、無症状者を野放しにし、いつまでも感染拡大の“無限ループ”に陥るだけです。

 特に大阪市内は、陽性者が特別に多く、行政区ごとに状況をつかんで集積地の対策が必要です。
 しかし、大阪市内のどの地域で感染が広がっているか、科学的に明らかになっていません。
 これでは対策の立てようがありません。

知事と大阪市長のパフォーマンス

 吉村知事と松井市長のパフォーマンスにマスコミも踊らされています。

 感染拡大状況を示す大阪府の独自基準「大阪モデル」も、住民投票まで赤信号のつかない仕組みに変えてしまったことは忘れてはなりません。
 感染抑え込みはなおざりにしたまま「出口戦略」づくりには前のめりです。
 全国で最も多くの命を失った事実には反省の姿もありません。

 浜岡豊・慶応大教授のデータによるコロナ対策の都道府県比較と分析が話題になりました。
 大阪府については「感染症対策の基本に転換すべき」と厳しく指摘されたのも当然です。

全国一遅い協力金支給、ペナルティと強制

 飲食店への時短要請協力金は全国一支給が遅れています。
 その理由は、(株)パソナに丸投げ委託したことが原因だったことを、知事も認めざるを得ませんでした。
 ここでも、お友達優先の政治手法が露呈しています。

 基本的に「性悪説」の立場で、飲食店の申請のハードルを上げるばかりです。
 しかも、「見回り隊」に莫大な労力とお金を投じています。
 いま取り組んでいる「ゴールドステッカー」申請も、ハードルを高くしていることを自慢している始末です。

 医療機関へは、減収補填(ほてん)もしないまま、病床確保に上からの押し付けと強制と公表など、脅しまでかけています。
 国に対しては、法改正や憲法改正まで求めています。

府政を動かす日本共産党

 これに対して、日本共産党は府民の命と暮らしを守る立場で、現場の実態を繰り返し示し、コロナ対策の根本に関わって府政を動かしてきました。
 その一つは一貫した検査体制の拡大です。

 福祉施設へのマスク・消毒液など感染防止対策のための補助も実現しました。
 また、飲食店等への支援金は、昨年2月当初は知事も否定的でした。
 さらに、その時点で「休業要請外」事業所への支援を求めたのは、日本共産党だけでした。
 これが実現したのは重要です。

 教育分野でも、子どもの不安に寄り添い、授業の詰め込みだけにならないように常に要求し続けました。
 スクールカウンセラー拡充が実現しました。

カジノと開発熱中する維新政治

 しかし、吉村府政は、コロナ禍でも開発優先の政治姿勢を変えようとしていません。
 そのための仕組みづくりが、府市一体の「大阪都市計画局」です。
 広域行政の役割と任務が歪められてしまいます。
 一方で、府民の暮らしへの施策は、切り捨て・縮小を「改革」の名でどんどん進めます。

 大阪府の「グランドデザイン・大阪」を見ても、維新政治がやろうとしているのは、大阪都心部開発への投資です。

 今年度予算では、それを具体化した事業に次々と手を伸ばしています。
 現段階では、予算規模は少ないものでも、将来的には大きな無駄につながる恐れがあります。

 一方で、実体経済と大阪の産業・雇用を支えている既存の中小企業に対する施策はどんどん後退しています。

くらし切り捨ての維新政治

 くらし切り捨てで挙げると、一つは国民健康保険の府域一元化です。
 府民生活に直接大きく影響を及ぼします。
 今年度は、約半分の自治体で国保料が値上げされます。
 水道事業の府域一水道計画も、にわかに進んでいます。
 住民生活の根本に関わる重大な問題です。

 子どもの貧困対策でも、まともに予算も使わず、大阪府の責任を果たしていません。

 府営住宅もどんどん縮小しています。
 維新の議員は、「民間空き家を活用すれば公営住宅を管理するよりも安上がりだ」と、公営住宅不要論の立場です。そんな中、府民運動と共産党の粘り強い努力で、昨年から入居者の地位承継の範囲が拡大され、子や孫でも承継できるように改善できました。

 大阪の教育は深刻です。
 「競争することが教育」という、橋下流教育論が貫かれています。
 公教育の縮小、民間の力を使えという立場です。
 大阪市の無茶な小学校統廃合計画も、根底にはその立場があります。

 府民の要求実現と暮らし応援のための財源がないのではありません。
 財政難を宣伝しますが、コロナ禍でもほとんど財政は悪化していません。
 むしろ、大型開発のためにお金を蓄えておきたい、というのが本音ではないでしょうか。

地方自治破壊強める維新府政

 そもそも、地方自治の原点である、住民自治と団体自治の重要性を自覚していないのが、維新政治です。
 だから、現場の職員の声も聞かない、コロナ禍でも専門家の意見も受け入れない、府民の実態を見ないなどという立場に陥るのです。

 最近の問題でも、コロナ陽性者のホテル療養を迅速化するという計画も、まさに思いつき、現場の意見を聞かない、成果だけひけらかす典型です。

 府議会は維新が過半数を占め、知事の応援団となっています。
 本来の二元代表制は、首長の施策をチェックし、政策を提案する立場です。
 しかし政策は“マッチポンプ”、知事と議会の緊張関係はない。

 だから、平気で定数削減を言い出せるのです。
 多数で何でも決められると思っているのです。
 維新の定数削減の狙いは共産党の排除です。

かけがえのない共産党議席

 府議会での日本共産党の議席の値打ちは光っています。
 この議席を守るために、力を合わせて頑張りましょう。

 


「大阪民主新報」2021年8月8日・15日付より



   


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