悪質商法による消費者被害をなくすために、預託法等の改正及び執行強化を求める意見書
近年、商品やサービスの内容等を十分に理解できていない消費者の脆弱性につけ込む悪質商法による被害が増加している。通信販売において、お試しのつもりで購入した商品が定期購入とされていた、解約はいつでもできるとしながらも連絡が付かないなどの事例が激増している。また、新型コロナウイルス感染症拡大による消費者の不安につけ込む、マスクなどの送り付け商法も社会問題となっている。
こうした状況を踏まえ、2020年8月19日に消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下、検討委員会)において、今後の対応に関する報告書が取りまとめられた。特に、多くの消費者に財産被害を及ぼし大きな社会問題となった悪質な販売預託商法については、「本質的に反社会的な性質を有し、行為自体が無価値」と捉え、「販売を伴う預託等取引契約の原則禁止等」と明記された。また、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には断固とした対応が必要として、法執行の強化や実効性ある制度改革が答申された。これらを踏まえた実効的な法制度の整備が求められている。
よって政府および国会は、以下の事項を実施するよう求める。
記
1 検討委員会報告書の内容に沿い、2021年の通常国会を目途に、販売預託商法を原則禁止とする預託法改正に向けた検討を早急に進めること。
2 詐欺的な定期購入商法をなくすために、2021年の通常国会を目途に、特定商取引法に係る指針の改正及び法執行強化を図ること。
3 送り付け商法については、現在の法規制の内容の周知を図ることに加え、諸外国の法制も参考に制度改正を検討すること。
4 国及び地方自治体が厳正かつ適切な法執行を行えるよう、体制確保に向けた措置や両者の連携強化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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