1.新型コロナ感染拡大を防ぐための検査と医療体制の抜本強化について
(1)地域外来・検査センターの拡充、地域診療所での検査体制整備を
日本共産党の石川たえです。コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。
コロナ第2波は、多少感染者が減少傾向にあるとはいえ、抑え込みに成功しているとはいえません。
そこでお聞きをします。
今、検査対象は原則として、症状が出た人、濃厚接触者、クラスターとなった施設等での職員に限定されていますが、なぜ限定するのでしょうか。
吉村知事
新型コロナウイルス感染症の榛査については、国の通知に基づき、医師が感染を疑う有症状者や少しでも症状がある夜の街滞在者など幅広く行うとともに、濃厚接触者については、全員に検査を実施しています。
さらに、医療機関や高齢者施設などで陽性者が発生した場合には濃厚接触者にとどめず、利用者や職員など広く検査を実施しているところです。
引き続き、感染拡大防止を図るための検査体制の整備を進めていきます。
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広く検査をしていると言われますが、「高齢者施設で感染者となった人の食事介助をしていたが、『短時間なので濃厚接触にならない』と検査を受けさせてもらえなかった」「味覚、嗅覚の異常で保健所に連絡しても37.5度が4日間続いてから連絡するようにと言われた」という事例もあります。
仕事柄どうしても受けたい、疑いがあるから受けたいという人も検査を受けられない、全く広くない、事実上限定されています。
有症者と濃厚接触者、クラスターだけの検査では、無症状者を発見できません。無症状者を含めた陽性者を明らかにし保護することが、これ以上の感染を広げない鍵です。そのためにはやはり検査数の拡大が必要です。
今、多くの自治体が検査数拡大に踏み出しています。
長崎県は、医師会と集合契約を結び、発熱やコロナを疑う呼吸器症状がなくても医師が総合的に必要と判断すれば、自己負担なしで、地域の身近な医療機関でも検査が受けられる体制を進めています。
大阪府内でも、枚方市は独自で地域外来検査センターを3か所以上設置、集合契約による地域の身近な医療機関での検査実施など、各市町村で取り組みがすすんでいます。
1日2万件に検査能力を上げるために、市町村の取り組みと連動させ、検査センターをせめて、9月末見込みの2倍、100か所程度設置する、医師会に協力をよびかけ、地域の身近な医療機関での検査体制を、府内全小学校区に複数、約2000か所整えるなど、積極的取り組みを行ってはどうでしょうか。
また、いま府内で医療施設、福祉施設で32件のクラスターが発生し669名が感染、多くの方が亡くなっています。利用者への感染、重症化、死亡を抑えるためにも医療従事者をはじめ福祉職場、エッセンシャルワーカーへの検査を直ちに行うことを求めますがいかがですか。
吉村知事
地域外来・検査センターについては、9月中に約30か所(受診調整機能付き)となる見込みであり、今後は、圏域ごとのかかりつけ医等での診療・検査体制の整備状況も踏まえつつ、さらなる設置を促進していきます。
次に、新型コロナウイルス感染症の検査体制については、昨シーズンのインフルエンザ患者等の発熱患者数をふまえると、ピーク時には少なくとも1日2万件程度の検査体制の整備が必要と考えています。インフルエンザとの同時流行に備え、診療所も含めた地域の医療機関と連携し、診療・検査体制の拡充を進めていきます。
最後に、福祉施設等に入所する高齢者や基礎疾患を持つ方は、感染時の重症化や死亡リスクが高いため、施設内で陽性者が1例でも発生した場合等には、必要に応じて、入所者や職員を全員検査するなど、対応を強化していきます。
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2万件の検査体制を確立するためには、広く検査の網の目を張らなければいけません。
厚労省の9月4日通知では、「インフルエンザ期に備えて、身近な医療機関で検査ができる体制整備をすすめる」、動線が確保できず診療所等で検査できない場合に備えて「検査センターの整備強化が欠かせない」と述べられています。2万件に向けて地域外来・検査センターを2倍にする、小学校区で検査が受けられるようにする、これは最低限の提案です。
また、死亡者の多くが医療福祉施設でのクラスターが原因です。
東京では、福祉職場職員の恒常的な検査を実施し、費用は東京都が負担します。
クラスターの多発、従事者から入所者への感染、そして重症化や死亡、これらを防ぐためには、医療機関をはじめ福祉職場、エッセンシャルワーカー全員の検査がどうしても必要です。ただちに実施すると約束してもらえませんか。
吉村知事
大阪府内のエッセンシャルワーカーとして、医師や看護師などの主な医療従事者は約16万人、福祉施設の鉦事者については、障がい関連で約19万人、高齢関連で約22万人、児童関連で約9万人。その他にも、ゴミの収集に携わる方、生活必需品の生産、物流、販売に関わる方なども含め、多くの方が日常生活の維持に必要不可欠な仕事に従事されており、そのすべてを一律に検査対象とすることは事実上困難です。
ただ、高齢者施設など特定の地域や集団等において、関連性が明らかでない患者が複数発生し、かつ、クラスター連鎖が生じやすいと考えられる場合は、無症状であっても検査を行うこととしており、状況に応じて、検査の要否を判断して実施していきます。
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クラスター発生もしくは有症者に限定している限り感染拡大は抑えられません。
社会経済活動と両立させるのであれば、医療従事者、福祉施設、エッセンシャルワーカーへの検査は最低限必要な措置です。「困難」だと決めてかからずに「検査する」判断をお願いしておきます。
(2)大阪市内の感染抑え込みを
感染拡大を防ぐには感染震源地、集積地を明らかにして抑え込むことが必要です。
パネルをご覧ください。
大阪府内での感染の半分以上が人口3割の大阪市です。
次のパネルをご覧ください。
人口10万人あたりの陽性者数をみると、衛星都市の中でも大阪市の隣接市で陽性者数が多いことがわかります。
次のパネルをご覧ください。
死亡者数も54.3%、やはり半分以上は大阪市です。大阪市が感染集積地になっているのは明らかです。
次のパネルをご覧ください。
一方で大阪市の検査数は、8月下旬以降大幅に減っています。
学校で陽性患者が出た場合、濃厚接触者となった生徒や職員は在住する地域の保健所を通じて検査を受けます。同じ学校の生徒でも衛星都市在住者はその日のうちに検査が受けられますが、大阪市在住の生徒は検査の順番待ちになり、結局、休校の間に検査が受けられず、開校が遅れたという事例もあります。
大阪府として大阪市での検査強化の取り組みを行うべきと考えます。いくつかの提案をさせていただきます。
第1に、大阪市内24区すべてに地域外来検査センターをつくる、検査センター設置にかかる費用も大阪府が全額負担する。
第2に、24区の医師会と大阪府が集合契約を結び、少なくとも小学校区に複数の地域の身近な医療機関で検査をできるようにする。
第3に、市内で感染者の多い地域は全住民対象の検査をするなど、特別の手立てをとって抑え込みをはかる、以上3点をただちに実行すべきですが、いかがでしょうか。
吉村知事
受診調整機能付き地域外来・検査センターについては、目標としていた、大阪市内4か所の設置が完了しており、今後も、大阪市と連携しつつ、設置を促進していきます。
次に、保険を適用して行政検査を実施する場合には、医療機関は所在地を所管する都道府県又は保健所設置市と契約する必要があるため、現在大阪市において、関係機関と協議が進められています。
最後に、検査対象については、これまでも「夜の街」の従業員や利用者に対して、積極的に検査を行っていたが、今後も、濃厚接触者に限らず、特定の地域や集団等において、関連性が明らかでない患者が複数発生し、かつ、クラスター連鎖が生じやすいと考えられる場合には、必要に応じて、検査を実施していきます。
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大阪市内の検査センターは4か所ですが、枚方市、高槻市はすでに5か所で開設をすすめています。大阪市のコロナ対策は遅れに遅れています。
大阪市の取り組みがこれ以上遅れるようであれば、大阪府が24区の医師会と集合契約を結んででも、検査体制拡充に乗り出すべきです。
再度お聞きします。感染集積地となっている大阪市での検査体制拡充に今すぐ取り組んでもらえますか。
吉村知事
大阪市内に設置しているミナミの臨時検査場や、市東部のドライブスルー方式等の検査場については、市内の感染状況を踏まえ、大阪府が主体となって設置・運営しています。また、市内4か所の地域外来・検査センターについても、府が医療機関と調整のうえ、契約を行ったものです。
これらと併せて、帰国者・接触者外来なども含め、大阪市内の約50か所で検査が可能となっています。
今後とも、大阪市と連携しつつ、市内を含めた府城全体の検査体制の拡充に取り組みます。
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大阪市で50か所あっても検査が受けられない人が残されていることを一体どう受け止めておられるのでしょうか。
検査を受けられない人を残さない、これが大事です。
大阪市での検査体制を一日10000件に引き上げるなど、特別の努力を大阪市まかせにせずに大阪府として行うことを求めておきます。
(3)保健所強化し病床削減中止を
コロナ禍の中で、これほど病院がひっ迫し、医療崩壊の危機が生まれた要因に、公立公的病院を減らし、保健所を削減したことが挙げられます。
パネルをご覧ください。
2007年から比較すると2018年度は74.3%にまで保健所経費は減らされています。公衆衛生、感染症対策の根幹を担う保健所の体制は弱められてきました。
2018年、母子医療の拠点となっていた住吉市民病院が廃止されました。
次のパネルをご覧ください。
府立病院を統合再編した府立病院機構の運営交付金は減る一方です。
国は2025年までに病床を33万床減らす計画を進め、大阪でも公立公的病院を統合再編する方向に進んでいます。
「公衆衛生・感染症対策は怠ってはいけない」、このコロナ禍の教訓を生かし、保健所の予算を増額し職員を早急に増員する、公立公的病院廃止統合はやめ病床削減は行わないこと求めますが、いかがですか。
吉村知事
保健所については、今回の新型コロナウイルス感染症への対応においては、必要な財政措置については、補正予算で対応するとともに、保健所の負担軽減の観点から、年度途中での応援職員の配置や、一部業務の本庁への集約化を行い、体制を強化したところです。
今後も、保健所が公衆衛生行政の要として、そめ役割を果たし、危機事象や緊急的な事象にも適切に対応できるよう、毎年精査の上で、必要な予算や人員体制の措置に努めていきます。
病院については、本府においては、地域医療構想の推進にあたり、医療機関の統廃合、病床削減を前提とせず、府独自の診療実績データを共有した上で、再検証要請対象病院を含む全ての公立・公的医療機関における今後の方向性について、関係者と合意形成を図りながら、取りまとめてきました。
公立公的医療機関には、新型コロナウイルス感染症患者の受入病床を多く確保いただいていることも踏まえ、その役割・あり方について、引き続き関係者と協議していきます。
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保健所について「必要な人員体制と措置に努める」と言われますが、この間、予算と体制は一貫して弱められてきました。これをしっかりと反省し、180度方向転換し保健所体制を強化することを強く求めておきます。
病院再編について、「関係者と合意形成を図る」と言われますが、住吉市民病院は地元医療関係者や住民の反対を押し切って廃止されました。
必要病床は公的公立病院としてしっかりと確保する、そのためにも再編統合は見直し、地域住民にとって必要な病床確保を進めるべきだと申し上げておきます。
(4)介護者が感染で不在となった在宅高齢者や障がい者の受け入れ体制を
介護者が感染した場合の在宅高齢者・障がい者の身の振りかたも整えておかなくてはいけません。大阪府は「市町村で対応している」という姿勢を全く崩していません。
神奈川県では、介護者がコロナ入院で不在となった在宅高齢者、障がい者を受け入れるために、陰性対応の短期入所協力施設を5か所、陽性対応のケア付宿泊療養施設を2か所など、専用入所施設の設置を県の責任で行っています。
高齢者への感染拡大を防ぎつつ、大阪でも在宅高齢者・障がい者の受け入れ態勢を整える事はできませんか。
吉村知事
在宅高齢者・障がい者に対する必要なサービスの確保については、支援の実施主体である市町村が、感染症対策を行いながら、それぞれの法律に基づき、適切に対応することとなっています。
引き続き、適切な役割分担のもと、市町村とともに支援を行っていきます。
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滋賀県でも、家族が感染した場合、濃厚接触となる障がい者への支援事業が開始されています。大阪府はあくまで支援という態度はあまりにも冷たい。
市町村まかせにせず府の体制強化を行うことを求めておきます。
2.コロナ禍から府民生活と子どもを守る方策について
(1)シングルマザーや非正規労働者のくらし支援を
長引くコロナ禍の中で、シングルマザーの暮らしは本当に深刻です。
パネルをご覧ください。
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査では、18%もの世帯が1回の食事量を減らしています。「お菓子やおやつを食事代わりにしている事が増えた」は20,1%。「炭水化物だけの食事が増えた」は49・9%。「子どもたちには2食でがまんしてもらっている、母親は1食があたりまえ」という事例もあります。
大阪シンママ応援団には、「お米がほしい」「定額給付金10万円は、一回だけ支給されても、来月死ぬか、再来月死ぬかの違いでしかない」と、悲痛な叫びが寄せられています。ここにこそ、救いの手を差し伸べなければいけません。
大阪府として、児童扶養手当に、子ども1人につき1万円の上乗せを、せめて半年間は継続するなどの支援をしてはいかがでしょうか。
また、DV等で離婚が成立していないなど、児童扶養手当の対象にならないひとり親世帯も給付対象とし、申請による給付もあわせて行ってはどうでしょうか。
暮らしが困窮しているのはひとり親世帯だけではありません。せめて非正規雇用の方に1人5万円のくらし応援金を支給する新しい給付制度を創設することも合わせて求めたいと思いますが、いかがですか。
吉村知事
コロナ禍における低所得のひとり親世帯への支援については、「ひとり親世帯臨時特別給付金」による基本給付5万円を8月よリ支給しています。さらに現在、家計急変のひとり親世帯を対象として、基本給付に加えて5方円を追加支給しているところです。
今後とも、新型コロナウイルスの影響を注視しながら、必要に応じて、国に対し追加の支援策を要望していきます。
また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、非正規労働者を含む収入が減少した方々に対しては、これまでも、緊急小口資金や総合支援資金の貸付け、住まいを失う恐れのある方への住居確保給付金の支給などを行っています。
また、生活困窮者自立支援制度の相談窓口においては、様々な相談を受け付け、福祉事務所など関連機関と連携しながら、総合的に対応しています。
今後とも、市町村とも連携しつつ、こうした取組を引き続き丁寧に行うとともに、貸付給付の制度や相談窓口のさらなる周知を図ることにより、生活を支捜していきます。
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ひとり親世帯臨時特別給付金、追加給付金、これらは国の事業であり、大阪府が行っているのは支給の精査だけです。しかもこれらの給付金は1回限りです。
生きるか死ぬかの生活をしているひとり親世帯に大阪府が支援の手を差し伸べることもしない、本当に冷たいとしか言いようがない。
非正規労働者への支援も同じです。貸付や制度周知だけでいいはずはありません。
国に要望するだけでなく、府として給付支援を行うべきだと強く求めておきます。
(2)国慰労金の対象とならない保育、学童保育従事者に慰労金を
保育所や学童保育などの施設は、リスクと不安に怯えながらも、感染予防対策に取り組み、細心の注意を払い開設しています。
長引くコロナ禍の中で、「少ない人員の中でいつまでこの状況が続くのか。もう限界」という声が上がっています。
国の補正予算で、介護職場、障がい者施設で働く職員への慰労金支給が開始されましたが、保育士と学童保育指導員は対象になっていません。
これらの職員にも、大阪府としてせめて1人2万円の慰労金を支給してはいかがでしょうか。
吉村知事 保育所、放課後児童クラブ等の職員は、慰労金の支給対象ではないが、これらの職員も日々感染防止に細心の注意を払いながら勤務していることから、同交付金事業の対象とするよう国に要望しています。
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国の支援を大阪は待っているだけですか。
保育所等の施設はコロナ対策に懸命に取り組む医療関係者をはじめとする人々の子どもたちを預かる施設です。ここの職員に大阪府が慰労金を支給することもしない態度でいいのでしょうか。
国待ちにならずに、大阪府が慰労金支給すべきだと求めておきます。
(3)教育への抜本支援を
コロナ第2波では学校は感染者が出ない限り休校しませんでした。コロナ禍から子どもを守るために、密にならない環境づくりが必要です。
プレハブ等の仮設校舎を建てるなど、様々な方法で、子どもたちの学習環境を整えるための整備を行う市町村に、補助制度をつくってはどうでしょうか。
また、心と体のケアも必要です。
「友だちとしゃべるな、遊ぶな、給食は黙って食べろと言われて、学校が楽しくない」と登校渋りが起こり、不登校も生まれています。保健室に来る子どもも少なくありません。
日常から子どもの健康状態を掌握し、心と体のケアを行っていく上で、養護教諭の複数配置は欠かせません。
400人を超える児童生徒が在籍する学校には、大阪府が養護教諭を複数配置し、対応に当たるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
酒井教育長
市町村立学校の施設整備については、学校設置者である市町村に進めていただくべきものであり、府として補助制度の創設は考えておりません。
今後、市町村から新型コロナウイルス感染防止策としての学校施設整備について、そのような強い要望があれば、国への働きかけを行ってまいります。
養護教諭の配置については、いわゆる標準法による定数を基礎として、各学校が抱える課題とその具体的な取組みに対して、効果的・重点的な配置に努めており、今般、コロナ対策として措置された国加配については少しでも多く確保できるよう努めたところです。
今後とも、国に対し、さらなる定数の改善を求めてまいります。
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いつも標準法の話をされますが、法に基づき定められた定数以上に教諭を配置してはいけないということはありません。
400人以上の学校への複数配置を大阪府が行うべきだと申し上げておきます。
三密を避け、一人ひとり顔が見え、様子がきちんとつかめる学級編成が今ほど求められている時はありません。
「大阪モデル」は黄信号でも、1クラスの編成人数は40人のままです。「この人数で密にならないのは不可能」と学校からも悲鳴が上がっています。
大阪府市長会からも府に対し、少人数学級編成のために「財政措置を」と要望が上がっています。
コロナとの共存の中で、子どもたちが安心して通い学習できる20人学級編制に今すぐに踏み出すべきです。見解を求めます。
吉村知事 少人数学級の実現については、中教審等の会議でも推進の方向で検討されている中、文部科学大臣が前向きに発言され、新内閣にも引き継がれるとのことで、注視していきたいと思います。
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日本共産党は、長年に渡り少人数学級編制を求めてきました。
全国的にみても都道府県として少人数学級編制を行っていない数少ない県の1つが大阪府です。密にならない環境、学習権の保障、学力の向上を進めていくために、国の動向待ちにならず、ただちに教員を増やし20人学級編制を行うことを強く求めます。
3.新型コロナ対策と「大阪都」構想について
(1)「大阪モデル」と「大阪都」構想
最後の質問に移ります。
「『大阪モデル』による感染拡大防止推進」といいながら、7月3日に「大阪モデル」基準は緩和されました。松井大阪市長はその前に、住民投票実施の可否を「大阪モデル」で判断すると言及しています。
大阪モデルの基準を緩和したのは、住民投票を中止しないためではありませんか。
吉村知事
7月の「大阪モデル」の修正については、4月5月の第一波の検証と、検査・医療提供の体制や取組みの充実などを踏まえ、専門家の意見も聞いたうえで、最も適切であると考える基準に見直したものです。
住民投票の実施の可否とは無関係です。
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基準緩和の際、「病床ひっ迫率70%ではなくせめて50%」という専門家会議座長をはじめとする専門家の指摘がありました。「注意喚起のために黄信号を早く点灯させるよう進言したが、知事は逆に基準緩和を主張した」という新聞報道もあります。
これらの意見を取り入れず、政治判断だとモデル基準を緩和した、住民投票を中止しないためだと思われてもおかしくないのではないでしょうか。
(2)コロナ対策の足かせとなる「都」構想は中止を
特別区設置における財政シミュレーションでは、コロナ禍による減収は見込みすら出さず、感染症対策に要する経費は「国補正予算による措置でカバー」できていると書かれており、国補正の範囲内でしかコロナ対策を行っていないことは明白です。
「都」構想がなければ、コロナ対策がもっとできます。「都」構想がコロナ対策の足かせになっていることは、大阪市と他市を比べるとありありと分かります。
府民のいのちとくらしを優先するためにも、今すぐ「都」構想は中止するべきです。見解を求めます。
吉村知事
新型コロナ対策については、これまでも全力を尽くしてきましたが、これからも全力を尽くしてまいります。それと「大阪都」構想の住民投票、これをするからコロナ対策が不十分だということは当たりません。
今般、府市両議会で承認された特別区設置協定書ですが、大阪市選挙管理委員会において11月1日の住民投票の実施が決定されたところです。コロナ対策もしっかりやっていきながら、その先の大阪府市のあり方である「大阪都」構想の住民投票のご判断、これは市民の皆さんにお願いしたいと思いますし、住民の皆さんに理解いただけるよう丁寧に説明を尽くして、最後ご判断いただきたいと思っています。
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特別区設置に伴う大阪府の負担はイニシャルコストで38億円、ランニングコストで16億円。その上、10年間は毎年20億円大阪市に投入します。これだけの財源をコロナ対策に回せば、府内の高齢者施設、障がい者施設や保育所等の従事者を今すぐ検査することも可能です。
「感染症対策は国の交付金の範囲内で」「今後の財政的影響も国の地方財政措置でカバーできる」こんなことを言っている限り、コロナ対策の更なる強化は進みません。
まさに都構想がコロナ対策の足かせになっています。
もう一度お聞きします。「都」構想は中止し、コロナ対策を強化し、府民のいのちとくらしを守る方向に舵を切り替えますか。
吉村知事
これまでも、新型コロナウイルスの対策についてはできる限りの対策をとってまいりました。今は少し小康状態になっていますが、これから冬に向けて、インフルエンザとのダブル流行があり得ることも想定して、2万件の検査体制に向けて今進めているところでもありますし、それ以外のコロナ対策についても万全を尽くしてまいりたいと思います。
そのことと「都」構想のことを議員は絡められるわけですが、「都」構想をするからコロナの足かせになっているということは一切ありません。
コロナ後のことも見据えた大阪の成長、そして積年の大阪府市の二重行政の解消、そしてかつての二重行政の中で大阪市の中でもさまざまな投資等がされてきましたが、そういったことこそ市民にとってのデメリットだったと僕は思っています。
「都」構想について、コロナの足かせになっているということもありませんし、ここは市民の皆さんにご判断いただくべく取り組んでまいりたいと思います。
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できる限りコロナ対策に取り組んできた、というお話ですが、検査を受けたいのに受けられない福祉施設の職員がたくさん残されています。シングルマザーや非正規労働者の人たちも、いつ自分が死んでしまうのかという不安の中で毎日暮らしているにもかかわらず、ここに対する支援も国まかせになっています。商売人の方は、首の皮一枚で「ポイント還元で経済活動ささえるよりも給付で支えてほしい」と言われています。
「できる限り取り組んでいる」割にはたくさんの人が取り残されているのが今の実状だと思います。
(3)検査と医療の大幅拡充、くらしと子ども支援を内容としたさらなる補正予算を
今回の補正予算第10号は総額約3173億円です。「最大の感染症対策」はそのうち82億円しかありません。
全国各地で検査体制拡充へと補正予算が組まれています。
ただちに補正11号を組み、「誰一人取り残さない」立場で、検査と医療体制の大幅拡充に取り組むべきと思いますが、いかがですか。
吉村知事
新型コロナウイルスに対し、これまで、感染状況や経済・雇用への打撃、子どもたちへの影響などを踏まえ、今議会に提案している補正予算案を含め、時機を逸することなく、総額1兆2,000億円を超えるかつてない規模の緊急対策を講じてきたところです。
コロナとの闘いが長期化する中、今後も、感染拡大の抑制と社会経済活動の維持、この難しい舵取りの両立を図り、府民の命と暮らしを守るために必要な対策を適切に講じていきます。
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総額1兆2,000億円を超える緊急対策と言われますが、国や市町村の負担、制度融資の預託金などを省くと大阪府の支出は約832億円です。そのうち、444億円は地方創生交付金が返ってきます。包括支援交付金もあります。結局のところ、大阪府も国の交付金の枠内でしかコロナ対策を行っていないことがはっきりとしています。
「事務事業見直し」の効果額は一般財源で見れば約31億円です。見直しの大部分はコロナ禍により実施できなかった事業の寄せ集めです。
「大阪の再生と成長を見据える」方向は都構想、万博、カジノであり、今年見送りになった事業は、この方向性が変わらない限り、また出てくるものばかりです。カジノは今、世界で破綻をしています。この方向に再生と成長はありません。
「大阪都」構想の初期費用は約240億円です。このお金があれば、120万人分の検査ができます。少なくとも医療関係者、福祉労働者の検査は十分にできます。「都」構想がコロナ対策の足かせになっていると言わなければなりません。
先日コロナで亡くなられた方のご家族とお話をする機会がありました。「見舞いにも行けず、たった8人で見送った。この悲しみを二度と繰り返さないでほしい」、こう言われていました。
大阪の未来を見つめるからこそ、いつでも誰でも何度でも検査のできる体制を整え、府民の命と安全を守り、くらしと営業を支える事が必要です。
「大阪都」構想はきっぱりと断念し、コロナ対策に最大限の力を注ぐ事を強くもとめて質問を終わります。
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