ハラスメント禁止条約を批准するとともに、ハラスメント禁止規定を明確にした法整備を求める意見書
ILOは今年6月21日に「労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する条約」を採択した。
現在、セクハラを禁止する法規定がない国は、OECD加盟36カ国の中で日本を含む3か国しかない。政府は、セクハラ・パワハラ対策を盛り込んだとする女性活躍推進法等改定案を国会に提出し成立させたが、ここにはハラスメント禁止規定はない。これは法の不備であり、被害者が救済されない実態は変わらない。
男女雇用機会均等法でセクハラ防止措置義務が事業主に課せられて13年が経過したが、被害は今も多発し被害者はほとんど救済されていない。被害者の尊厳と権利を守る立場に立つなら、ハラスメントの禁止規定を盛り込み、違法であることを明文化し、法の実効性を高める必要がある。
よって政府および国会は、下記の事項を行うよう強く求める。
記
1.「労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する条約」を批准すること。
2.以下の内容で、ハラスメント規定を明確にした法整備を行うこと。
(1)ハラスメントの加害者の範囲を、使用者や上司、職場の労働者にとどめず、顧客、取引先、患者など第三者も含めるとともに、被害者の範囲も就活生やフリーランスを含め国際水準並みに広く定義すること。
(2)被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関を設置すること。
(3)学校やスポーツ団体、大学・研究所など、社会のあらゆる分野でハラスメントをなくすために、国としての実態調査とそれぞれの分野に対応した相談・支援体制をつくること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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