2019年5月22日
大阪府知事 吉村 洋文 様
日本共産党大阪府議会議員団
石川 たえ
内海 公仁
吉村府政発足にあたっての府政運営についての申し入れ
4月の知事選挙の結果を受け、吉村府政が発足しました。
選挙戦を通じて知事は、有効求人倍率の増などを維新府政の「実績」と誇り、「大阪の成長を止めるな」などとのべました。しかし府民の暮らしの実態は、所得の落ち込みが全国より大きいなど、維新府政10年の間に改善しているとは到底言えません。
いま府民の中には、健康や介護の不安、子育てや教育への願い、人間らしい働き方や安定した営業への要求、自然災害への懸念が渦巻いています。大阪府がやるべきことは、これら切実な府民の声に応えるために全力を上げることであり、カジノ誘致やそのための巨大開発、大阪市の権限と財源を奪う「大阪都」構想などに熱中することでは断じてありません。
以上の立場から、当面の府政運営にあたり重点的に取り組まれるべき項目として、下記を申し入れるものです。
記
【消費税】
(1) 10月に予定されている消費税率10%への増税は、全国よりさらに深刻な大阪の暮らしと経済にとって取り返しがつかない打撃となる。増税見送りを国に強く求める。
【国民健康保険】
(2) 国民健康保険の保険料率と減免制度の府内一本化は、市町村独自の国保への補助を全廃し国保料の大幅値上げを招くものであり、中止する。
(3) 国保への公費負担を抜本的に引き上げ、国保料を協会けんぽ並みに引き下げるよう国に強く求める。
【子育て】
(4) 子ども医療費助成の対象年齢引き上げと小学校入学までの窓口無償化を行う。
(5) 中学校での全員給食を実施する。小中学校の給食費の段階的無償化を検討する。
(6) 子どもの貧困緊急対策補助金を抜本拡充する。
(7) 学童保育の設置基準を引き下げないよう国に求める。引き下げられた場合、現在の基準を下回らない基準を府独自につくる。
【児童虐待】
(8) 国基準より57人不足(2018年度)している大阪府の児童福祉司を早急に増員する。
(9) 社会福祉士や精神保健福祉士など専門職の体制強化や、新しい職員の研修の充実などをすすめる。
【教育】
(10) 小中学校全学年で35人以下学級を実施する。
(11) 中学生チャレンジテストは廃止する。
(12) 3年連続定員割れの公立高校を再編整備の対象とする規定は廃止する。2023年度までにさらに公立高校8校程度を廃校にする計画は撤回する。
(13) 学校教育への政治介入は行わない。
【医療・介護・保育】
(14) 重度障がい者医療費助成制度の患者負担は、院外調剤含め1回500円以内・1医療機関あたり月3回目から無料・複数医療機関受診時は月2500円以内に戻す。
(15) 老人医療費助成制度の、65歳以上の精神1級以外の精神通院医療対象者・重度以外の難病患者・結核患者への助成を、2021年4月以降も継続する。
(16) 特別養護老人ホーム建設への補助を引き上げ、必要がある高齢者全員が入所できるようにする。
(17) 介護保険制度への国の負担割合を引き上げ、保険料・利用料を引き下げるよう国に求める。
(18) 保育・介護従事者の抜本的な処遇改善を国に求めるとともに、保育士の研修や宿舎借り上げ支援など国制度に上乗せする、府独自の支援を行う。
【中小企業】
(19) 大幅に削減してきた、ものづくりや商店街への支援予算を抜本的に引き上げる。
(20) 市町村と協力し、府内の中小企業の実態調査を実施する。
【防災】
(21) 被災者生活再建支援法の抜本拡充を国に強く求めるとともに、当面府として大規模半壊以外の半壊と一部損壊も含めた恒常的な住宅被災者支援制度を設ける。
(22) 現在のテンポでは30年かかる危険河川改修をせめて10年で終えるよう、予算と体制を拡充する。
【カジノ、大型開発】
(23) 大阪へのカジノ誘致は、府民の健康や大阪経済にとってマイナスであり、中止する。地下鉄中央線、JR桜島線・京阪中之島線などの夢洲への延伸は中止する。
(24) なにわ筋線、淀川左岸線延伸部の建設は中止する。中央リニア建設は巨額のコストと環境破壊を伴うものであり、中止を国に強く求める。
【大阪都構想】
(25) 「大阪都」構想は、「二重行政」解消の名目で病院・大学など府民に必要な施策を削減するとともに、多額のコストを要する一方で「経済効果」に根拠がないものであり、中止する。
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