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木造住宅耐震改修補助制度の「一部損壊」補修への適用を

日本共産党大阪府議団事務局長 大西 哲

 6月18日の大阪北部地震は、茨木市や高槻市、枚方市をはじめ都市近郊の住宅密集地域を直撃し、住まいに甚大な被害が生じています。ほとんどは「一部損壊」で、被災者生活再建支援法の対象から外れ、十分な支援がありません。被災者の生活再建のためには「一部損壊」への支援が急がれます。
 松井一郎知事は、「一部損壊」へも義援金を支給すると公表しましたが、金額は5万円、対象者もきわめて限定的で、報道によると数十世帯です。その後知事は、対象を広げるなどとも発言していますが、募金を集まり具合に応じて配るというだけで、行政の長として住民生活を守る責任を果たすという姿勢はありません。

京都府は補助制度要件を緩和

 京都府は、「一部損壊」への支援制度を独自に設けていますが、今回の地震では京都府内が被災者生活再建支援法の適用外であるため、この支援制度が活用できません。そこで党京都府議団などが要求し、木造住宅耐震改修工事補助制度の要件を緩和し、罹災証明があれば耐震化して復旧する場合に限り補助が受けられるようにしました。
 「1981年以前に建築された住宅」というこれまでの要件をなくし、屋根の軽量化や壁補強など耐震改修と合わせて復旧を行う場合に限り、費用の5分の4(上限30万~40万円)を補助します。京都府内では2千棟近い住宅で「一部損壊」が起きていますが、京都府は予備費などを充当し、当面240戸余りの補助制度活用を見込んでいます。

都道府県、市町村が独自に上乗せ

 大阪でも、高槻市は木造住宅耐震改修工事補助制度を「一部損壊」補修に活用し予算も拡充する方向を示しています。しかし被災市町全体ではまだこれからです。
 府の木造住宅耐震改修工事補助制度は、40万円の定額補助(低所得者は60万円)で、対象は1981年以前に建築された住宅です。この制度は国の補助事業で、費用負担は国2分の1、大阪府と市町村が4分の1ずつです。都道府県や市町村が独自に上乗せしている場合もあります。大阪市は対象を2000年以前建築の住宅とし、補助額は費用の2分の1(上限100万円・加算あり)としています。
 「1981年以前」という基準が緩和され、今回の地震での「一部損壊」だけでも補修に活用できるようにすれば、多くの被災者の生活再建につながります。この基準は、大阪府をはじめ多くの都道府県が採用していますが、国はもともとそういう要件を設定していません。国土交通省はわが党の問い合わせに「地方公共団体が独自に要件を設定しない限り、新耐震基準(1981年)以降のものであっても支援対象とすることが可能」と回答しています。実際、和歌山県や鳥取県は2000年以前、熊本県は熊本地震で罹災していれば対象にしています。

大阪も知事の決断で制度拡大が可能

 大阪でも松井知事が決断すれば今すぐ基準緩和し制度を広げることが可能です。ところが府当局は、「あくまで1981年以前建築の住宅が対象」「今年度予算の枠内での執行」という態度を変えていません。
 木造住宅耐震改修工事補助制度を「一部損壊」の補修に活用できるように、大阪府に「1981年以前」要件の緩和と予算枠の拡大、被災市町への「一部損壊」補修への適用徹底を強く要求することが必要です。府の同制度の今年度予算は505戸分6440万円ですが、仮に5千戸に拡大するとしても約6億4千万円です。財政調整基金を1千億円以上貯めている府にできないはずはありません。
 あわせて、「一部損壊」補修への独自補助制度創設を求めることも重要です。鳥取県は、「一部損壊」補修に最高30万円まで補助する独自制度を設けています。
 国に対しても、被災者生活再建支援法の「一部損壊」への適用とあわせ、木造住宅耐震改修補助の拡充を要求することが必要です。
 各被災市町に対しても、被災市町として国と大阪府に強く求めるよう働きかけるとともに、独自に同制度の要件緩和と「一部損壊」補修への適用を求めることが大事です。ひとつの被災市町でわずかでも具体化すれば、他の被災市町や国・大阪府を動かす突破口になります。




「大阪民主新報」2018年7月15日付より



   


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