「働き方改革」の名による労働法制改悪を撤回するとともに、無期雇用転換権の周知徹底を求める意見書
長時間労働や過労死が社会全体にまん延しており、個々の企業の違法行為をなくすとともに、残業規制などの抜本的強化が求められている。
しかし、現在国会で議論されている「働き方改革」は、年収1075万円以上の「高度専門職」を労働時間規制や残業代支払いの対象から外すことや、あらかじめ決めた分だけ働いたとみなす「裁量労働制」の導入により、「残業代ゼロ」を制度化するものである。また、繁忙期の残業時間の上限を月100時間未満・年720時間とするなど、過労死ラインを超える残業を容認するものである。長時間労働や過労死の抑制につながらないどころかそれを助長するものと言わざるを得ない。
また、改定労働契約法にもとづき有期雇用労働者が通算5年以上同じ会社で働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に転換できるルールが4月から開始する。有期契約労働者の3割となる400万人以上が5年以上同一企業で働いており、ルールが適用されれば無期雇用への転換に道が開かれる。
しかし、6カ月の空白期間がある場合はその前に契約して働いた分を通算契約期間に算入しないという法の“抜け穴”を悪用し、再雇用までの「空白期間」(クーリング)を6カ月に変更する無期雇用逃れをはかる違法・脱法行為が、自動車・電機大手などで行われていることが明らかになった。政府所管の独立行政法人でも発覚したことは重大である。
よって国においては、早急に下記の事項に取り組むことを強く求める。
1、「働き方改革」の名による労働法制改悪を撤回し、働く人の立場に立った“働くルール”の抜本的強化を図る。
2、労働者に無期雇用転換権を周知徹底するとともに、雇い止めなど脱法行為が起こらないよう法の趣旨を事業主に徹底する。政府所管法人などによる“無期雇用逃れ”の雇い止めはただちに撤回させる。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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