東大阪のものづくりは/苦しい中小企業一維新が追い打ち
日本で有数の中小ものづくり企業の集積地として存在感を放ってきた大阪府東大阪市の中小企業は今、景気の冷え込みが続く中、海外との価格競争や経営者の高齢化など厳しい経営環境にさらされています。そこに、追い打ちをかけているのが、維新府政です。
「売り上げは半分に落ち込み、今も回復していない」と、東大阪市で金属瓢品の加工業を営む本山高博ざん(48)はいいます。2008年のリーマン・ショックに加え、11年の東日本大震災の影響で、売り上げは以前の半分にまで落ち込みました。さらに今年、トランプ政権への配慮から取引先が米国の国内企業などに発注先を変更したことなどの影響で7、8、9月ど受注が減少。「身辺整理することも考えた」といいます。
1人で切り盛り
父親の代から続けてきた仕事は、かつては7人の従業員を抱えていました。しかし現在は本山さん1人で切り盛りしています。新たな取引先を模索するなどの努力を続けていますが、電気代やオイル代、原材料が値上がりする中、「消費税や国民健康保険料の負担増はきびしい」とつぶやきます。
中小企業や商店街は大阪経済を動かし支え、雇用やまちづくり、地域コミュニティーを形成する重要な役割を担っています。ところが、そうした中小企業に冷たい政治をしているのが維新府政です。08年に維新府政が誕生して以降、ものづくり中小企業支援予算や商店街振興予算は大幅に削減されてきました。
ものづくり支援関連予算は、維新府政発足前は9.16億円だったものが、16年度では2.37億円と4分の1にまで減額されました(図)。07年度には2.08億円だった商店街振興の小売業関連予算も、16年度には2900万円と7分の1へと激減しています。
経産省の工業統計調査によると、大阪府では07年から14年までの8年間で約6000を超える製造業者が減少。東大阪市の減少は822です。
住民投票を狙う
中小企業対策は急務ですが、維新府政はまったく逆の方向へかじを切っています。大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)へのカジノ誘致とそのための鉄道や道路建設といった大型開発、府市合わせて32億円もの巨額の税金を使った「大阪都」構想の住民投票を再び押し進めようとしています。
19日投票の大阪府議補選(東大阪市区、定数2)は、中小業者に冷たい維新府政から温かい府政への転換をはかるかどうかも、大きな争点です。日本共産党の、うち海公仁候補は維新公認候補と元維新府議と対決。「カジノよりくらしのために仕事をしてほしい。中小企業や商売人、働く人が豊かになって大阪の経済が活性化していく。これが府民の願いです」と訴えています。
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