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住吉市民病院来年3月廃止 府・大阪市の責任で対処を/維新府・市政「二重行政解消」の行きつく先 “医療の後退でなく機能の確保・充実を

市民病院近くの民間保育所で聞き取りをする宮原府議(左)、石川府議

 小児科や産科が少ない大阪市南部地域で、年間600〜700件の通常分娩を扱ってきた同市立住吉市民病院(大阪市住之江区)が、来年3月で廃止されようとしています。維新の会が「大阪都」構想を先取りし「二重行政の解消」の対象にした同病院。跡地への民間病院誘致も3度失敗し、「親と子の命に関わる。医療の後退は許されない」という声が住民や医療関係者の間で高まっています。

 市民病院は住之江区が住吉区から分区(1974年)する以前の50年に建てられました。老朽化した建物を現地で建て替える予定でした。ところが、橋下徹前市長が約7万人分の反対署名を無視し、廃止を決めました。

新規の妊婦の受付停止

 市民病院が位置する大阪市南部医療圏(住之江区、西成区、住吉区、東住吉区、、阿倍野区、平野区)は出生率が市内で最も低く、乳児や新生児、周産期の死亡率は府平均と比べても最も高い地域です。出産できる医療機関は少なく、日本共産党府議団の調査では2011年の16カ所から現在は13カ所に、ベッド数も87%に減っでいます。
 住之江区には民間病院1カ所(7床)があるのみで、隣接する西成区には施設がありません。市民病院は、すでに新規の妊婦の受付を停止しています。

小児救急も圏外に搬送

 圏内には、小児科病床が市内平均のおよそ半分しかありません。インフルンザなど感染症の流行す時期には数少ない急病診療所に多くの小児患者が来所します。
 小児救急も不足し、多くの子どもたちが圏外に搬送されています。圏内での受け入れは、市民病院が救急を実施していた2010年でも33%にとどまります。市民病院は閉院を前に14年、小児救急を休止しました。
 もともと小児・周産期医療が不足する地域ですが、維新府政と大阪市政が「高度な医療ができる」として、住吉区の府立急性期・総合医療センター敷地内に府市共同住吉母子医療センター(仮称)を建設し、直線距離で約2キロメートル離れた住吉市民病院の廃止を決めました。

府医療審で維新以外反対

 維新市政は、市民病院の跡地へ民間病院を誘致する方針を打ち出しましたが、この方針に基づく再編計画を審議した府医療審議会では、市属病院の役割の重大さや医師確保の見通しの甘さなどから「応援したいが、この計画はありえない」などの意見が相次ぎました。異例の採決が行われ、12人が反対し、賛成した委員は維新府議1人だけでした。

民間の辞退で見直しへ

 市が公募で失敗を繰り返した後、非公募の随意契約で跡地に誘致しようとしいたのが南港病院(住之江区)。市民病院閉院に合わせ、l8年4月から診療を始める予定でしたが、新病棟が建築基準法の日影規制に触れることを隠し、市もそれを知りながら市議会に虚偽答弁をしていました。
 市は同病院に指導するどころか、4億8千万円の補助金を与え、7億円を30年間無利子貸し付けするという破格の条件を提案していました。ところがその南港病院が辞退したことで、府は病院再編計画の見直しを迫られています。


産むところなくて驚いた なぜ建替えしないのか なくなると不安しかない

 日本共産党府議団は、市民病院近くの民間保育所で、親たちに聞き取り調査をしました。「結婚して他市から引っ越してきたが、産むところがなくて驚いた」「どうして当初の計画通りに建て替えてくれないのか。若い人は確実にここに住まなくなる」など親たちは口々に話し始めました。
 娘2人を育てる母は「3人目も考えてはいるけど」と顔を曇らせました。別の母親は「医療センターは坂の上で、妊婦が通えるとは思えない」と話しました。「3人目の出産で大量出血。4人目を40歳で産んだが万全の体制をとってくれた」。「医師も看護師も親切で検査結果もすぐに分かる。1人目は生まれてすぐNICU(新生児特定集中治療室)に入ったが、助産師さんが手厚い」など、地域に根ざした病院への信頼も多く語られました。
 生まれつき重度の心身障害がある長男(10)を育てる母は、「よく体調を崩すが息子を市民病院はすぐ入院させてくれるから、重症に至らずに済む」と話します。長男はインフルエンザや胃腸炎などの感染症にかかると自力での水分補給ができず、点滴が必要になります。市民病院は完全看護で親の付き添いも必要なく、「(長男の入院時に)長女(5)の預け先もないのでとてもありがたい。医療センターは付き添いが必要と聞いていて、市民病院がなくなるのは不安しかない」と訴えていました。




「大阪民主新報」2017年7月2日付より




   


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