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2015年度大阪府予算案発表 「都市インフラ重要」
松井知事 企業支援・開発本格化にアクセル/暮らしより大型開発の「大阪都構想」 府民との矛盾深める 大阪府は16日、2014年度補正予算案と2015年度当初予算案を発表しました。 同日記者会見した松井一郎知事は、「東京一極ではなく、二極の可能性が感じられる予算になってきた」とのべるなど、グローバル企業支援・大型開発路線へと本格的にアクセルを踏み込む姿勢を鮮明にしました。 一方、府民の暮らしや福祉に対しては、新規施策が少なく、子どもの医療費助成制度の対象を就学前まで拡充したものの所得制限を強化、2018年度からは私学授業料補助に新たな負担増を計画するなど厳しい姿勢です。 消費税増税にともない地方消費税の増収分は、全額社会保障の充実にあてるとされているのに、自然増分にあてるなど不十分な対応です。 うめきた2期開発で大阪市の事業に補助するなど「大阪都」も見越して府と大阪市の財源を併せて進める事業も多く盛り込まれています。 府民の暮らしよりまず大型開発、そのための「大阪都構想」推進というねらいが浮き彫りに。 維新政治と府民生活との乖離をいっそう広がります。 松井知事は予算案について、「将来に向かって第一歩を踏み出せた」「東京一極ではなく、二極の可能性が感じられる予算になってきた」とのべました。 その理由として、「日本を引っ張っていくには、都市インフラの整備は重要」、「鉄道インフラ、『うめきた2期』を動かすことが出来た」ことなどを挙げ、企業支援とそのための開発路線に本格的に踏み出したことを誇りました。 そして、なにわ筋線建設などを成長インフラと位置付け、地方債を発行して次世代に「負担をしてもらってもいい」とのべました。 予算案には、判明しているだけで事業費1.5兆円にのぼるインフラ整備などを盛り込んだ、「グランドデザイン大阪」を推進する経費も計上、カジノ誘致やなにわ筋線建設の調査費、箕面森町開発やリニア中央新幹線の大阪までの同時開業を促進する経費も盛り込んでいます。 1990年代の大阪府政が、巨額の借金を大型開発をすすめ、暮らしも地域経済も上向かず、財政悪化で暮らし福祉関連施策が縮減され続けたことの繰り返しになりかねません。 予算規模 一般会計は、3兆2885億円と過去最大。 消費税増税などで府税収入が前年度比19%増の1兆3962億円となったことなどが歳入を押し上げました。 しかし、法人税収は、地方法人特別譲与税を加えたとしても4958億円で、リーマンショック前の2007年度の5667億円に届きません。 また、予算規模は膨らんでいるように見えますが、地方消費税の都道府県間の清算金や市町村への交付金、公債費などの経費を除いた一般歳出は2兆2248億円と前年度1%減です。 府の役割は民間が活躍できるステージ整備 同時に発表された「成長戦略」(2015年2月版)は、めざすべき将来像を「日本の成長をけん引する東西二極の一極として世界で存在感を発揮する都市」だと位置付け、「民間の活動を後押しする環境を整備することによって国・府・市町村・民間企業等が取組の方向性を共有し、ともに取組を進め、成長を実現していく」とし、府民の暮らし・福祉の向上は目的から外されています。 また、「行財政改革推進プラン」(案)も示されましたが、目標は、「自律的で創造的を発揮する運営体制の確立」。 「民間が活躍できるステージを整えていくことは、公としての極めて重要な役割」として、府民の暮らしそっちのけで、行政の仕事の民間開放を進め、企業が活動できる環境整備を主要な内容にしています。 リニア、カジノ、なにわ筋線、うめきた2期…グランドデザイン推進 「国土構造の東西二極化を支える広域交通インフラ」として、リニア中央新幹線整備促進事業として2027年の大阪までの全線同時開業を働きかけるとして450万円を計上。 松井知事は、「地元負担もするという覚悟」を明らかにしています。 また関西空港へのアクセス時間を5分程度短縮するなにわ筋線の調査費として500万円、港湾管理・運営一元化のために2156万円を盛り込んでいます。カジノ誘致推進には201万円です。 このほか、「特区」の推進、外資系企業誘致に1億円、大阪駅北側の「うめきた」2期の推進に大阪市への補助金など1650万円などもあります。 こうした事業は本格着工前ですが、府市で推進する「グランドデザイン」には、カジノを誘致を進める大阪湾の人工島(夢洲)までの京阪やJR、地下鉄の延伸、新大阪駅から関西空港までのリニア線の建設、高速道路淀川左岸線建設、新大阪駅と高速道路の直結など鉄道・高速道路の計画がずらりと並んでおり、事業費が判明しているものだけで1.5兆円規模です。 大阪都構想の主要な目的の一つがこうしたインフラ整備を府市で集めた税金をつぎ込み、巨額の借金も重ねて行おうというものです。 ゼネコンや銀行、国際競争力を持つわずかな企業は儲かっても、地域経済や府民の暮らしには役立たないどころか、財政悪化で暮らし福祉関連の施策が切り縮められてきたことは、これまでの経験からも明らかです。 府債の償還期間は原則30年。大型開発への本格的名乗り出しは今後30年間の府財政の悪化につながります。 「大阪都構想」へ5億円 住吉市民病院統廃合、近現代史学ぶ施設も さらに「大阪都構想」についての住民投票も見越して、「新たな大都市制度の検討」として5億4294万円、大阪市立住吉市民病院の廃止・府立急性期病院への統合、府立大と市立大の統合へ向けた予算も組まれています。 咲洲庁舎の経年劣化による消防設備改修工事などで5億4580万円が必要になります。 これまで咲洲庁舎につぎ込んだ費用は計132億円で、地震など災害時の参集拠点から外され、職員の移動時間等含めれば、二重庁舎のムダと浪費は膨らむ一方です。早期に大手前に集約する計画を検討すべきです。 9条を含めた改憲を掲げる松井知事、橋下市長が、「覚書」まで交わして進めようとしている「近現代史を学ぶ施設」設置への具体的動きも始まります。 子ども医療費、対象年齢拡大も所得制限厳しく 予算は1億円増 日本共産党が、長年の府民の声と運動と力を合わせて取り組んできた子ども医療費助成の対象年齢が全国最低の3歳未満児から小学校就学前まで引き上げられました。 松井知事が一昨年12月3日、宮原議員の質問に新年度の引き上げを検討していると最初に答えたものです。 しかし、対象年齢の引き上げと同時に所得制限が厳しくされたため(4人世帯年間収入約860万円→約514万円)、現行所得基準のまま小学校入学前まで拡充した場合対象者は46万人になる見込でしたが、所得制限の強化で約16万人減の30万人にとどまります。 予算も前年度の38億円から39億円へと約1億円増にとどまっています。 併せて、市町村が医療費助成はじめ子育て支援に使える「新子育て支援交付金」17億円(+モデルメニュー事業枠5億円)が市町村に交付されることになっていますが、所得制限の緩和やさらなる対象年齢の引き上げが求められます。 少人数学級、学校警備員配置見送り 防犯カメラ設置に市町村補助 また、子どもの安全を守るために通学路への防犯カメラを設置する市町村に半額補助する制度をつくります。 子どもの通学や学校生活の安全のために、市長会では橋下知事(当時)が廃止した学校警備員配置への補助金復活を要求しており、子どもの安全確保への取組強化が必要です。 中学校給食を実施するための施設整備を行う市町村への補助金として約33億円が盛り込まれています。 この補助制度は、2015年度末で終了しますが、完全給食実施率は75.4%になる見込です。 学校給食をめぐっては、冷たいなどの問題とともに、市町村の運営コスト、全員対象になっていないため、修学援助の対象に成っていない問題もあります。 多くの府民が求め、学力向上にも役立つ少人数学級の拡充(現在小1、2年生)は見送られました。 私立高校生への授業料支援は、2011年度の開始時「原則5年間継続する」とされ最終年にあたっていましたが、松井知事が継続を表明。 しかし、2018年度から、これまで保護者負担が生徒1人あたり10万円だった年収590万円〜800万円の世帯について、生徒が2人以下の世帯について1人あたり負担が20万円に倍増します。 590万円〜610万円の世帯については無償から20万円への負担増です。 新入生からの適用で、在学生については現行の制度が適用されます。 府の負担は1学年あたり約5億円減となります。 また、私立高校生か大学生が3人以上の年収800〜910万円の世帯については、現行46万1200円の負担が20万円に軽減されます。 子ども・子育て支援新制度も始まります。 保育の質の低下につながらないよう、監視と運動が必要です。 地震津波対策 防潮堤液状化対策に207億円 住宅耐震補助増額、私学耐震化最終年度 地震津波対策では、防潮堤の液状化対策に207億円などで、整備が急がれます。 住宅耐震改修への補助金の増額措置(40万円→70万円)、私立学校への耐震化補助金が最終年度を迎えます。 制度を充実し延長することが求められます。 集中豪雨による流木による被害対策、治山ダムの整備や、流木の恐れがある危険木の伐採・搬出、森林危険情報マップの作成などに約2億円が計上されています。 災害警戒区域指定へ基礎調査来年9月までに 集中豪雨対策には、土砂災害警戒区域を2016年9月までの指定に必要な基礎調査を実施するとともに、2015年度から土砂災害特別警戒区域内の住宅の移転・補強に必要な費用の一部を助成するために2億2777万円を計上しています。 雇用・中小企業対策 求められる正規雇用促進、ブラック企業対策 中小企業支援では、利用者の多い、セーフティーネット融資の融資枠を3000億円から2500億円に縮小、利子率を下げるための金融機関への預託金を減らすなど、制度融資予算が470億円減っています。 利用者が少なく、融資枠を減らしても十分確保できるとしていますが、より借りやすい制度をつくることが求められます。 なお、急激な円安の影響を受けている中小企業の資金繰りのために今年2月から「円安対策資金」が創設されています。 雇用については、OSAKAしごとフィールドに女性の専門相談コーナーや保育機能が付け加えられます(2585万円)。 正規雇用の促進や若者を使いつぶすブラック企業をなくすための取り組みや仕組みづくりが求められます。 医療・介護、社会保障 国の悪政の防波堤に 医療や介護を必要としている人を地域や自宅においやるなど、サービス削減と負担増を進める「地域医療介護総合確保基金」が計70億円(要確認)積まれ、「医療戦略プラン」の策定費用が盛り込まれています。 全体として医療・社会保障費抑制のための国の方向の中でのものですが、府民の医療や介護、健康に役立つものにすることが必要です。 国保の都道府県広域化等、医療・介護、社会保障への国の責任放棄と費用抑制、自己責任の流れの中で、都道府県単位化するうごきが強まり、医療費すべての府管理が始まりますが、府民への影響がどうなるかという立場から、改善を求めていく必要があります。 社会保障・税番号制度のシステム整備が進められます(5億3468万円)。 自然エネルギー 住宅太陽光 促進への補助制度は創設せず 住宅太陽光発電装置を設置した場合の融資制度が継続されますが、利用者が少なく、大阪で普及していない原因の一つになっています。 他の自治体が取り組んでいるように、太陽光発電はじめ、新エネルギー普及のための補助制度を求めています。 国の経済対策の反映はこれから 今年度の政府補正予算で、地方自治体に地方創生などとして予算が交付されます。 16日発表された予算案には反映されていませんが、今後大阪府分として、交付される交付金の府民の暮らしや中小企業の振興に役立つ有効活用が求められます。 財政調整基金 新年度予算の財源対策として、行革推進債90億円、財政調整基金の取り崩し598億円の計約688億円が計上されています。 財政が厳しいことは間違いありませんが、財政調整基金は毎年度取り崩しながら増加しているのが現状です。 府民生活関連施策を縮減しながら“余った”予算を積み立てているためで、この分を真に府民の暮らし向上に使うことが求められます。 大企業支援・開発型から暮らし優先に府政のあり方をきり変えることで、ムダをなくし財源を生み出すことも必要です。 消費税増税 地方消費税増収分 昨年4月の消費税増税に伴い、地方消費税が増収となります。政府は、地方自治体に対し、増収分を全額社会保障の充実にあてるよう各自治体宛に文書を出し、使い道をわかりやすく、明確にするよう求めています。 しかし府は、2年間の増収分を約740億円と見込みながら、一般財源で605億円にとどまっています。 財政課の説明によると、残りの増収分は、このほか社会保障関係経費に充当したとしています。 しかも、充実分605億円のなかには、自然増分213億円も含まれています。 自然増は、消費税増税がなくても生じた費用経費で、利用者にとって充実したといえるものではありません。 消費税増税にともなう増収分を、社会保障充実以外に充当したと指摘されても仕方がありません。 |
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