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くらし経済の再生急げ 府議会本会議 宮原府議が一般質問

 日本共産党の宮原たけし府議は12月19日の府議会本会議で一般質問し、女性や子どもの犯罪被害防止や子育て支援策の充実、教育環境の整備、ブラック企業対策や防災対策強化などを求めました。府民生活に多大な犠牲を強いながら破綻した大型開発路線を推進する「大阪都」構想の問題点を松井一郎知事に質しました。
 「二重行政の解消」などとする「大阪都」構想がもたらす「効果額」の多くについて宮原府議は「府民犠牲計画ではないか」と質しました。
 都構想協定書では、2017年度から33年度までの17年間に約1980億円の「効果額」があるとしています。しかしその内、少なくとも約486億円円は、大阪市のスポーツセンターなど122施設の50カ所削減、参加・小児科の拠点病院である住吉市民病院の廃止、クレオ大阪の統廃合で生み出されます。年間延べ約360万人が利用するプールを24カ所から9カ所にし、不登校やいじめ被害に遭う子どもの相談センター14カ所を9カ所へ削減する計画です。
 松井知事は「施設が減ることがサービス低下ではない」などと強弁しました。
 松井知事が、「最良の成長戦略」とする、カジノ誘致のための交通インフラ整備などの総事業費は、約1兆5千億円。宮原府議は「財源の多くは借金に頼らざるを得ない。現在の府の借金のかなりの部分は、92年から02年にかけて大量発行された地方債」「さらなる不要不急の大型開発推進は今後の財政運営を圧迫し、子や孫の代まで負担を負わすことになりかねない」と警鐘を鳴らしました。
 松井知事は事業実施が、府が示している中長期の財政収支の見通しを大きく変更する可能性について、「事業の必要性や将来の財政収支への影響を判断し、健全で規律ある財政運営を行う」と含みを持たせました。
 子育て支援について宮原府議は、子育て世代など若者の雇用と収入安定のため、ブラック企業対策も含めた条例制定などの検討を要求。35人以下学級の中学1年生への拡大や、乳幼児期の施策の再検討なども求めました。
 中学校給食は11年度に市町村への支援制度が始まりましたが、実施状況は市町村によりバラツキがあります。宮原府議は府が給食費の就学援助部分の半額程度を負担すれば、府内で全員喫食を目指す自治体が増える可能性を主張、「子どもの貧困が深刻な大阪で、せめて昼だけでも温かく栄養のある食事を出すことは政治家として最小限の仕事だ」と求めました。
 府立池田北・咲洲の2高校の募集停止・廃校について宮原府議は、同校で不登校を克服した生徒たちの中に「自己否定されたように受け止める子どももいる。2つの高校で子どもの成長がどうなっているかが原点。子どもなどの意見を教育委員が直接聞くべきだ」と指摘。また、募集停止が教育庁のパワハラ問題で府教委が揺れる最中の決定であることから、府教委が正常化された下での再検討を求めました。府教委は再検討しないと答弁しました。
 宮原府議は「府民の暮らしや子どもの現状に寄りそって、そこから暮らしや経済をどう再生するかという改革が必要。統治機構の改革という形ばかりが先行して、府民福祉や文化施策が削られてきたのがこの6年間だ。そういう政治に対して府民と共にたたかう」と決意を述べました。



「大阪民主新報」2015年1月4日付より

宮原議員の一般質問(大要)は以下の通りです。

1.いくつかの府政の重要課題

(1)女性や子どもを性犯罪から守る

 日本共産党の宮原たけしです。
 まず、女性や子どもの人権を守るうえで、一つ質問をします。
 大阪は強姦、強制わいせつともに、昨年は、全国で最も多くなっています。
 防止対策として、防犯灯や街灯の設置、犯罪の"きざし"があった地域や子どもの下校道路へのパトロールの強化、企業や大学・高校・小中学校での身を守るための啓発が重要ですが、対策はどうなっていますか。
 また、検挙率を上げることが最大の防止でもあります。
 加害者のうち3割、届出していない件数も含めると20件に1件しか検挙されていないともいえる検挙率の向上が必要です。
 さらに、不幸にも心身ともに深刻なダメージを受けた人へのケアの強化です。
 府警本部では、NPO法人と連携して体制をとっていますが、具体的な取組はどうですか。
 以上、答弁を求めます。
 なお、小学校校門の警備員の補助復活は、委員会などでも求めますのでここでは行いませんが、強く要望しておきます。

2.大阪の子どもを元気に

(1)大阪府の教育行政について

 次に、教育行政と子育て支援です。
 教育長による教育委員や教育委員会職員へのパワハラの疑いなどについて、弁護士からなる第三者委員会が設置をされるという前代未聞の異常事態になっていますが、どう正していくのですか。
 また、第三者委員会による徹底した調査と府議会への報告について、答弁を求めます。
 さらに、教育長の就任後、教育委員会会議や教育委員会内で、自由にものが言えない雰囲気があったとされています。こういう中で教育委員会による咲洲と池田北の2校の来年度の募集停止が決定されました。
 教育の目的は、子どもの成長であり、この2つの高校で、生徒の成長がどうなっているのか、生徒などの意見を教育委員が直接聞くことを求めます。そのうえで、正常化された教育委員会で、2校の今後について再検討してはどうですか。

(2)子育て支援

 次に、子育て支援です。まず、若い人たちの雇用と収入の安定が大切です。京都府では、若者の雇用創出や離職防止をめざした条例を検討しています。
 大阪府でも、ブラック企業対策も含め、条例検討など対策の強化を求めます。
 教育については、乳幼児期が、子どもの成長の出発点であり、この重要性を認識したうえでの府の施策の再検討、また、35人以下学級の中1までの拡大も要望しておきます。
 ところで、全員対象であたたかい中学校給食の実施は、子どもの貧困が深刻な大阪ではより有効です。そのさい、就学援助が適用されますが、府がその費用の2分の1を補助するよう求めます。
 さらに、来年度から実施される予定の新子育て支援交付金を2倍以上にして多くの市町村で高校卒業までの医療費補助につながるようにすべきです。それぞれ答弁を求めます。

3.大阪都構想とグランドデザインについて

 大阪都構想について問います。
 平成29年から45年までの17年間の「効果額」1980億円のなかには、大阪市の122施設を50カ所削減し、それ以外にクレオ大阪の統廃合や住吉市民病院廃止によるものも含まれています。年間360万人が使っている温水プール24カ所を9カ所にすること、不登校やいじめにあっている子どもの相談センター14カ所が9カ所に減らされます。
 総務常任委員会でも指摘したように、この分だけでも486億円になります。
 また、市バスの無料パスが昨年から3000円になり、この8月には、1回50円ずつ支払うことになりましたが、今年9月の1日当たり乗客数は、3年前に比べ、1日約24,000人減っています。高齢者が気軽に外出しにくくなっているのです。
 しかも、これらの内容は府民には知らされず、知ることも困難な暗闇の状況です。
 結局、都構想の「効果額」の多くは、市民に知らせずに、市民を犠牲にする計画ではないのですか。答弁を求めます。

 また、知事が総務委員会で「最良の成長戦略」と答弁したカジノ関連の3つのインフラやなにわ筋線など、関西空港への交通アクセス、淀川左岸線延伸部などの事業費は、1兆5千億円にもなりますが、財源の多くは借金に頼らざるを得ないのではありませんか。
 現在の大阪府の借金のかなりの部分は、1992年から2002年にかけて、大量に発行された地方債です。地方債の償還は30年かけて行われるため、2022年から2032年度までの公債費が増大しています。
 「最良の成長戦略」といって、不要不急の大型開発を推進することは、今後の財政運営を大きく圧迫し、子や孫の時代にまで負担を負わせることになりかねません。答弁を求めます。

4.大阪を元気にするための提案

 次に、大阪を元気にするために、いくつか提案をします。
 まず、防災・安全、地震や異常気象に備えるためのライフラインの対策などです。
 例えば、河川改修は、30年かけて目標を達成するといいますが、せめて5年から10年で少なくとも生命と財産を守れるようにすべきです。土砂災害についても3割程度しか対策は終わっていません。防災・安心の公共事業は抜本的に強化すべきです。都市整備部長に答弁を求めます。

 次に、維新府政のもとで大幅に削減されてきた、ものづくり中小企業や商店街の振興です。
 大阪のものづくりは、日本の宝、商店街は街の顔、地域コミュニティーの中心の一つです。
 市町村や産学官のネットワークは大事ですが、大阪府がまず抜本的に対策を強化すべきです。
 介護や医療については、費用を抑えることばかりがいわれていますが、健康寿命を延ばすための具体的対策は、極めて弱くなっています。
 生活習慣病対策を2倍以上に増やすこと、認知症の早期発見と予防、がん検診、これらについて総合的な大阪府の対策をたて、予算とマンパワーの両面での抜本充実を求めます。
 さらに1万人を超す特養ホーム待機者解消のため、削られた整備補助金を段階的にでも増額、復元すべきです。そのさい府営住宅の空き地の活用も考えたらどうですか。

 救命・救急については、2次救急の医師確保に対する国の補助がなくなりましたが、府として補助をし、2次医療機関を約300程度まで増やす考えはありませんか。
 さらに3次救命・救急に対する補助を少なくとも2割以上増額し、救える命はすべて救うことを目標にすべきです。
 以上3点、知事の答弁を求めます。











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