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韓国のカジノを視察して 堀田文一議員のレポート/韓国カジノ実態見学ツアー体験記

 維新、自民などが提案した、カジノを核とする統合型リゾート推進法案、いわゆるカジノ解禁法案は、通常国会が終わり、継続審議となった。
 国民の反対は強いが、秋の臨時国会で成立する可能性は高い。

 この4月、5月に、世界の6つのカジノ運営会社の役員が大阪に来て、松井一郎知事や橋下徹知事に面会した。
 あるカジノ会社役員は大阪に5千億円、あるいは1兆円を投資するといって松井知事を喜ばせた。



松井知事を訪問したカジノ事業者



 しかしカジノは、統合型リゾートという厚化粧で、庶民を家族ぐるみで呼び寄せ、庶民からお金を巻き上げる反社会的事業。
 しかもカジノに通う一部の人をギャンブル依存症に追い込み、家庭に貧困と解体をもたらす。
 大阪へのカジノ誘致は、絶対に許せない。
 その思いで、私は5月府議会で松井知事と対決した。

 しかし松井知事は、統合型リソートは国内外から多くの観光客に来ていただける魅力ある施設と真相をごまかし、カジノの最大の弊害であるギャンブル依存症は公営競技やパチンコによるものと言い切り、統合型リゾートとの関係には答えなかった。
 その上、私に統合型リソートを見に行けと言った。

 カジノは世界各地にあるが、ラスベガスはカジノのトップの座をマカオに奪われ、マカオは旧ポルトガル植民地で中国の特別行政区、シンガポールは人口540万人の島国。
 参考にはなりにくい。

 お隣の韓国にカジノは17カ所あるが、16カ所は外国人専用、残る一カ所江原(カンウォン)ランドは外国人・内国人がともに利用できる。
 その結果、2009年の16カ所の合計入場客数は168万人だが、江原ランドは309万人、その96%が韓国民という。
 カジノに通うのは、外国人より内国人の方がはるかに多い。

 しかも韓国民のうち60%は、ソウルから片道3時間かけて通う。
 カジノは大都会との結びつきが深い。
 大阪に来た外国カジノ業者も、関西に2200万人もの人口基盤があるからと、大阪に期待を寄せている。

 そこで私は、大阪へのカジノ誘致に反対している仲間とともに、6月22日と23日、韓国江原ランドカジノを視察した。

 江原ランドは韓国江原道旌善郡のスキーリゾートの中にある。

 江原ランドの入り口周辺は、質屋が建ち並ぶ。貴金属から自動車、不動産まで、なんでも質にとって、金を貸してくれるそうだ。




質屋が建ち並ぶ江原ランド周辺



 ゲートを入ると、そこは別天地。
 広大なスキー場やゴルフ場といくつかの大型ホテルがあり、その一つ江原ランドホテルに泊まる。
 このホテルは客室477、カジノとともに、プール、劇場、スパ、サウナなどが完備し、「家族型総合リゾート」と称している。

 夜8時頃、カジノに入った。
 中はカメラ持ち込み禁止。
 そこで入り口で写す。




江原ランドカジノ入口




 すでに3500人の客があり、座る席がないかもしれないという。
 しかし、入ってみると、静かだった。
 日本のパチンコ店のような喧噪さはどこにもない。
 体育館のような大きなホールに、スロットマシーン、ルーレット、バカラ、ブラックジャックなどのゲーム機、ゲームテーブルが、所狭しと並べられていた。
 客は、誰もが一心不乱にゲーム機に向き合っていた。

 私は、スロットマシーンをじっくり観察した。
 韓国の通貨はウォン、1万ウォンは約1000円。
 以下、日本円で表示する。
 まず機械にお金を入れると投入資金がディスプレイに表示される。
 1回の掛け金は、10円、30円、50円、100円、500円、1000円・・・とあり、どれかを選択する。
 次にスタートボタンを押すとドラムは回転をはじめるが、勝手に止まる。
 何が当たりかは理解できなかったが、当たれば、投入資金残高が増え、外れたら残高は減る。
 ゲームを打ち切るボタンを押せば、残高を印字したチケットが出てくる。
 それは交換所で現金にすぐに換えられる。

 1000円を投入し、1回10円で賭ければ、延々と遊ぶことができる。
 投入資金と、1回の賭け金を大きくすれば、文字通り賭博になる。
 この機械は日本製だった。

 賭博には資金がいる。
 持参した資金が底をつくと、カジノ場内の各所に設置されているATMから現金が出せる。
 ここのATMにはどんな制限がかけられているのか、確かめられなかったが、貯金をどんどん取り崩して、賭博に打ち込んで下さいということだ。




カジノ内のATM




 江原ランドには、深刻な社会問題がある。
 ランドに通ううちに、ギャンブル依存症にかかり、自分と家族の資産を食いつぶし、破産や自殺にいたるケースが絶えないことだ。

 そこで韓国政府は、1回500円の入場料、月に15回までの入場制限、2月続けて15回カジノに入ると、賭博中毒センターで指導を受けさせるなどのギャンブル依存症対策を講じている。

 賭博中毒センターは政府が作り、カジノの収益で運営されるギャンブル依存症の予防相談施設だ。
 2013年の場合、9627人がセンターを訪れている。
 10年前は423人、その23倍だ。

 賭博中毒センターは、重症者には病院を紹介するが、重症でない人にはギャンブル中毒の恐ろしさを書いた漫画やパンフレットを提供し、啓発活動を行っている。

 私は、賭博中毒センターの事務局長に、相談に来た人の追跡調査について尋ねたが、「自分を中毒と認めない人が多く、追跡調査は大半が拒否される。地域再生のために新しくカジノを作るのは、慎重さが必要であり、徹底的な準備が必要」と語った。




賭博中毒センターで訪問趣旨を説明する堀田議員




 日本では成人男性の9.6%、成人女性の1.6%が、過去あるいは現在、ギャンブル依存症にかかっているという調査結果が公表されている。
 その大半は、パチンコによるものだが、日本にカジノが開設されたら、それらの人がカジノに殺到し、ギャンブル依存症を深め、崩壊する家庭が増え、日本の富が外国カジノ業者に持ち去られることになると思う。
 今回の韓国カジノ実態見学ツアーで、私はその恐れを深く感じた。















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