日本共産党の堀田文一です。
1990年代後半以降続く、賃金低下や非正規雇用の急増、国や府の社会福祉施策の削減で、府民の暮らしは大変です。その上、消費税増税が追い討ちをかけました。
企業が国際競争力をつければ、経済も良くなるとして、大企業だけを応援する政治は破綻しています。
大阪府においても、高速道路網整備やカジノなどに財源を集中する大阪都構想ではなく、府民の命、暮らしや防災、子育てを応援する府政こそ目指すべきです。
この立場から、知事、教育委員長、教育長に質問します。
1.救命救急対策
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(1)大阪の救命救急の状況
まず救命救急です。
スクリーンをご覧ください。
消防庁の調査によると2012年は、救急搬送された重症以上の患者のうち、医療機関に受け入れ照会を、4回以上行った割合は全国の2倍以上となっています。
次、ご覧ください。
救命救急センターに搬送された方のうち、各医療機関に受入照会を4回以上行ったケースは、全国では3.9%ですが、大阪は19.3%と高くなっています。
くも膜下出血で16回も救命救急センターなどに照会したのに断られ、110分も現場に留め置かれた例、脳血管疾患で32回も照会したが「処置困難」「手術中・患者対応中」などの理由で断られた例など、死に繋がりかねない事態も起きています。
この背景には、大阪の救急医療体制の弱さがあります。
人口10万人あたりの救急自動車数は全国4.7台ですが、大阪は3.2台です。年中24時間、門戸を開いている救急告示病院は、2000年の304から、2012年の233に減少しています。
知事は、この現状をご存じですか。
府の「保健医療計画」では、照会回数4回以上、現場滞在30分以上の割合について、2017年までの目標を「増加抑制」としていますが、少なくとも全国水準以下に下げるべきではありませんか。それぞれ答弁を求めます。
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(2)救命救急センターへの補助金復活と支援強化
次、ご覧ください。
救命救急センターへの搬送のうち、照会回数11回以上の割合は、大阪の2次医療圏でも格差が大きくなっています。中でも大阪市地域の14.7%は、とても気になるところです。
次、ご覧ください。
救急搬送されながら死亡した割合と、救命救急センター搬送件数の割合を、2次医療圏別に見ると、おおむね反比例しています。救命救急センターが府民の命を救っているのです。
ところが大阪府は、2009年には大阪赤十字病院への府単独補助を廃止、2011年には千里救命救急センターへの補助金3億5千万円を廃止、泉州救命救急センターを独法化して「りんくう総合医療センター」に移管、中河内救命救急センターについても運営形態を検討するなど、救命救急医療における府の役割を後退させています。
昨年の2月から3月には、看護師不足で千里救命救急センターの救急病床31床のうち11床が使えない事態も起きました。
大阪府は救命救急センターへの運営費補助を復元させるとともに、医師、看護師などの養成・確保への支援を強化するべきではありませんか。
(3)救命救急センターへの高規格車と救急救命士の配置
三島救命救急センターは、府内で唯一、消防署の分署がおかれ、高規格救急車と常時2名の救急救命士を配置し、救命率を向上させています。ほかの救命救急センターでも配置がすすむよう、府として支援すべきではありませんか。
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2.建設残土に土砂山対策
次は、建設残土による土砂山対策です。
この件では、先ほど知事から、府として、規制条例制定を検討するとの答弁がありました。
私は、2月議会で条例制定を知事に求めていましたが、ようやく知事が条例化の検討を表明されたことに、大歓迎の気持ちを表明します。
大阪府内のどこであっても、建設残土を何の規制も受けずに埋め立てたり、積み上げたりすることは許されることではありません。速やかに、規制条例を制定するよう、強く要望します。
3.教育条件整備
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(1)少人数学級、少人数授業について
次は、教育条件整備です。
スクリーンをご覧下さい。
昨年の全国学力調査によれば、応用問題の無回答率は、大阪が全国より大きく、全国との差は小学校より、中学校の方が広がっています。基礎学力が不十分なため、応用問題が苦手なのが大阪の特徴です。この解決策として、2つ質問します。
まずは小学校全学年での少人数学級、少人数授業です。
小学校1、2年での35人以下学級で大きな効果が上がっていることは、府教委の調査でも明らかです。それを全学年に広げれば、基礎学力の大きな底上げにつながりませんか。
小学校3年から6年を新たに35人学級にした場合、必要な教員数は府内全体で829人、人件費は約65億円と、昨年5月の児童数をベースに教育委員会は試算しています。未来を担う子どもへの投資と思えば、このぐらいは捻出すべきです。
少人数学級と基礎学力の向上について、教育委員長の見解を求めます。
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(2)公立小中学校での教員不足について
次に、公立小中学校での教員不足についてです。
大阪府公立学校管理職員協議会によるアンケート調査の結果が報道されています。回答した563校は府内全校の38%ですが、昨年度の1か月以上の講師配置遅れは、小学校と中学校を合わせて101校120人です。報道によると、高槻市では産休代替として70代の女性講師、吹田市では定年まで役所に勤めた方が60代で初めて教壇に立って英語を教えています。
そこで教育長にお聞きします。府内の小中学校で昨年、1か月以上の講師の配置遅れは何校、何人、それぞれありましたか。
また、今年5月1日現在、政令市と豊能地域を除いても、54人もの講師不足が出ています。府全体では2倍前後になると思いますが、実態はつかんでいますか。どう改善するのですか。
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4.統合型リゾートとカジノ誘致問題
最後に、カジノです。
この4月以来、外国の6つのカジノ運営会社の経営者が知事と面会しました。カジノ業者は5千億円とか1兆円の投資を語り、知事は統合型リゾートの誘致に意欲を燃やしています。
しかし、府民から疑問が出ています。質問します。
まず、統合型リゾートとカジノの関係です。シンガポールでは、カジノの面積は、統合型リゾートの3%未満だそうです。しかし、収益の75%はカジノです。
カジノの利益が統合型リゾートを支え、統合型リゾートに集まるたくさんの庶民はカジノに誘導され、莫大な利益がカジノに入ります。
つまり統合型リゾートの核心は、カジノです。知事はこの事実を認めますか。
次に、なぜ、大阪が注目されているかです。
12日に府庁を訪れたシカゴ・カジノの運営会社会長は、「日本で大阪のポテンシャルは一番高い。」と、語っています。その理由の一つに、関西圏に2200万人の人口基盤があると述べています。つまり関西人がカジノにたくさん来て、お金をたくさん落とすのを期待しているからです。関西人から莫大なお金を吸い上げるカジノを誘致していいのですか。
しかもカジノには、ギャンブル依存症を増やす致命的な問題があります。
厚生労働省の「第2回依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」で配布された資料によると、日本人成人男性のギャンブル依存に嵌った経験のある人は9.6%です。国際的にも異常な高さです。日本にカジノはありませんが、約1万2千軒のパチンコ店をはじめ、多くのギャンブルの存在が、ギャンブル依存の多さの原因です。
ギャンブル依存症とはどんな病気でしょうか。ギャンブル依存症の集団療法に参加している23名を調査したところ、6割を超える人が500万円以上の借金を作っていました。23名のうち、自己退職7名、離婚5名、自己破産4名、家出・失踪4名など、悲惨な経歴が、同じ厚生労働省の資料に書かれています。
しかもギャンブル依存症は、重大な事故に繋がらないと本人も周りも病気と認識できません。専門治療を受けなければ、病状は悪化の一途をたどります。専門治療を受けても完治は困難という、極めて厄介な病気です。
大阪府は、どのようなギャンブル依存症対策を行っていますか。
カジノの開設でギャンブル依存症が確実に広がります。広がってもいいのですか。
カジノ開設は刑法に触れる犯罪です。それなのに4月22日の府市IR立地準備会議は、夢洲を軸とした大阪市内ベイエリアを候補地とし、1兆円規模の投資を目指すことも確認しています。この1兆円の内容は何ですか。JR、地下鉄、道路など、交通インフラの整備はいくらで、どこから工面するのですか。説明して下さい。
大阪の雇用を増やし、経済を再生するには、デメリットの大きい統合型リゾートではなく、保育所や、特別養護老人ホームを増やして待機を解消、35人学級を広げる、内需振興で大阪経済を成長させることが求められているのではないでしょうか。
それぞれ答弁を求めます。 |