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安全・福祉の公共事業こそ 堀田議員が主張

 日本共産党の堀田文一大阪府議は5日の本会議で、不要不急の大型開発をやめ、安全・安心・福祉にかかわる公共事業こそ進めるべきだと追及しました。
 橋下徹前知事(現大阪市長)と松井一郎知事は、「財政再建」と称し福祉・教育を削減する一方、高速道路大和川線や安威川ダム、関西空港2期事業など不要不急の大型開発に5年間で1269億円を投入。さらにカジノ(賭博場)誘致や阪神高速道路淀川左岸線延伸部建設、関空リニアや大阪市内から関空まで数分しか短縮しない交通インフラの整備と膨大な構想を描いています。橋下氏はカジノ推進を公言しています。
 カジノ禁止の理由を警察本部長は「国民の射幸心(まぐれ当たりによる利益を願う気持ち)を助長し、勤労の微風を害する」との政府答弁を説明。
 堀田氏は、ラスベガスがあるネバダ州は全米で最悪の失業率だと指摘し、「ギャンブルで大阪の再生はできない」と主張。淀川左岸線延伸部も人口と交通量が減少していくなかで「手をつけてはならない」と迫りました。
 堀田氏は、進めるべきは橋や民間住宅の耐震化など地震への備え、自然再生エネルギーの拡大だ――と主張しました。



「しんぶん赤旗」2013年3月6日付より




堀田議員の一般質問の大要は以下の通りです。

開発行政の見直しについて

 日本共産党の堀田文一です。知事と警察本部長に質問します。
 橋下大阪市長は、府知事に就任した時、財政再建を第一の課題にしました。
 当時、財政危機の大きな原因の一つが、1990年代から引き継がれてきた大型開発でした。そこで、橋下前知事が、不要不急の大型開発をどのように見直すかが注目されました。
 スクリーンをご覧下さい。

 橋下前知事とあなたは、605億円の赤字が予想される箕面森町開発はそのまま継続し、2008年度から2012年度の5年間に121億円を投入。
 高速道路・大和川線も継続し、この5年間に、阪高有料道路事業への出資金と府の街路事業に774億円を投入。
 UR都市機構がばく大な損失を出して進めていた彩都開発は、開発を中部に拡大するため岩坂橋梁の建設に着手し、彩都事業全体でこの5年間に93億円を投入。
 安威川ダムも、この5年間に269億円を投入。今後、本体工事に向け、なお多額の建設費が必要です。
 関空2期事業も、同じく12億円を投入。
 以上、合計は1269億円。橋下前知事とあなたが、ばく大な公費を投入して大型開発を継続してきたことを認めますか。
 その上、橋下前知事とあなたは、グランドデザイン大阪を作成し、沢山の新たな大型開発を進めようとしています。その事業費総額は一体、いくらになりますか。
 そこで、咲洲・夢洲地区への国際観光エンターテイメントの誘致についてです。
 国際観光エンターテイメントは統合リゾートともいわれ、その中にカジノ賭博があります。カジノ賭博は刑法で禁止されています。賭博が犯罪の温床になり、たくさんの人々を破産、家庭不和、カジノ依存症、自殺など不幸に突き落とすからです。
 そこで、賭博が禁止されている理由を警察本部長に質問します。
 ところが橋下市長は、日本維新の会からカジノ合法化法案を今国会会期中に提案すると明言しています。知事あなたもカジノを、大阪で開設しようと考えているのですか。
 次に、淀川左岸線延伸部についてです。淀川左岸線延伸部は小泉自民党政権が計画した高速道路です。しかし、大阪の再生どころか、大阪市を財政困難に追い込むため、平松前大阪市長は「ブレーキを踏み、なおかつハンドブレーキまでかけている」との態度でした。
 スクリーンをご覧下さい。

 昨年の阪神高速の交通量は、ピーク時に比べ、環状線は80%前後に、延伸部と競合する守口線は63%に、減っています。今後、人口と車が減り、阪神高速の交通量も減るのは目に見えており、全く要らない道路です。
 大阪府と大阪市が共同ではじめようとしている、延伸部の環境影響評価は中止すべきではないですか。
 他にも、なにわ筋線、JR桜島線延伸、関空リニアなど、グランドデザイン大阪に書かれた大型開発は、膨大なものです。
 一昨年のダブル選挙で橋下候補は「24区、24色の鮮やかな大阪に変えます」と公約しましたが、今では、大阪市を5つか7つかの特別区に分解し、大阪市の財源の一部を吸い上げる大阪都に移行しようとしています。その財源を大型開発に使うことは止めるべきです。答弁を求めます。

安全・安心・福祉の公共事業の推進について

 次は、すすめるべき公共事業についてです。
 日本共産党議員団は、安全・安心・福祉などに関わる公共事業は、推進を求めてきました。本日は3点、質問します。

 安全・安心のまちづくり

 第1に地震などへの備えです。
 中央防災会議は、南海トラフで大きな地震が起きた際の被害想定を、近く発表すると伝えられていますが、それを待たずに防潮堤や堤防、トンネルや橋などの点検や補強が必要です。
 橋の耐震化は、主要な393橋梁の耐震化率が今年度で78%になりますが、早期完了とともに、それ以外の橋梁の耐震化も必要です。
 民間住宅の耐震化の遅れも深刻です。2006年に府住宅・建築物耐震10カ年戦略プランが作られ、2015年に耐震化率90%の達成に向け、耐震改修及び建替促進で耐震化を図る必要のある住宅は23万戸の目標です。
 ところが、2007年度から今年度までに実行された耐震改修助成は1930戸、必要な住宅の0.8%に過ぎません。耐震改修助成の改善とテンポの大巾引き上げが必要ではないでしょうか。

 府営住宅の建設

 次に、府営住宅の建設です。
 私が府会議員になった1999年度、総合募集の応募倍率は7.6倍、うち福祉枠は5.0倍でした。ところが昨年度は、平均応募倍率が18.8倍に上昇し、うち福祉枠の応募倍率は25.7倍と、一般枠より狭き門となっています。
 高倍率の原因は、くらしが深刻になり、府民の住宅要求が増えているのに、府営住宅の募集戸数が減っているからです。
 府営住宅は今年度から特別会計になりました。今年度も来年度も、一般会計から府営住宅特別会計への繰り入れはなく、逆に、2年続けて9億円を超えるお金が府営住宅特別会計から一般会計に繰り出されています。
 少なくとも、総合募集応募倍率を10倍以下にするため、府営住宅を増やすべきではないでしょうか。

 自然再生エネルギーの拡大

 3つ目は、自然再生エネルギーの拡大です。
 発電主体は、個人、法人、行政と多様ですが、大事なことは、大阪府が先頭を走ることです。
 ところが、新年度予算案に計上した住宅太陽光の融資件数はわずか500件です。堺市1市の補助金予定件数の1/4にしか過ぎません。せめて10倍以上にすべきではないですか。
 以上、それぞれ答弁を求めます。

文化行政について

 橋下市長が「中之島に図書館は不要。建物は他に利用」するとして、府立中之島図書館の廃止を主張しています。
 そこで私は、中之島図書館の値打ちを紹介します。
 第1は、民間が建てた図書館です。明治37年、第15代住友吉左右衛門友純が建設し、大阪府に寄付したのが中之島図書館です。
 第2は、建物が国の重要文化財に指定され、蔵書も全国的に誇れる図書館です。正平版論語という1364年に堺で印刷された本もあります。
 第3に、大阪産業の振興のためビジネス支援を特色の一つとし、多くの実業家やビジネスマンに愛用されています。約5000の社史や、432の業界新聞、戦後52年間の大阪証券取引所および東京証券取引所上場企業の有価証券報告書などビジネス資料の宝庫です。
 大阪商工会議所内の図書館が2002年に廃止され、今では中之島図書館が貴重な産業図書館となっています。
 第4に、大阪の中心、中之島に立地し、年間30万人を超える来館者がいます。
 歌人・川田順さんは、開館50周年の折りに、難波津のまなかに植ゑし智慧の木は五十年を經て大樹となりぬ、という歌を作られましたが、開館109年を迎えた今、さらに大きな役割を果たしています。
 中之島図書館は、もっと発展させることが、大阪再生に必要です。府は、中之島図書館を維持し、運営予算も増やして収蔵庫なども改善し、発展させるべきです。知事の見解を求めます。

次に、ワッハ上方についてです。
 新年度からレッスンルームが廃止される計画です。若手の芸人や社会人落語家にとって、ワッハのレッスンルームは芸を磨く貴重な施設です。
 上方文化の拠点として作られたワッハ上方をどんどん縮小することは間違いです。
 せめてレッスンルームが維持出来るよう予算の確保を求めます。

府立公衆衛生研究所のあり方について

 最後に、公衆衛生研究所の独立行政法人化についてです。
 公衛研は、日本で初めて病原性大腸菌O−157の分離に成功、2009年には新型インフルエンザの陽性を確認しました。1万人を超す患者が出た大手乳業低脂肪乳中毒事件では、検査方法を開発し原因物質の特定を行いました。全国的にも多い大阪の結核患者のデータを保健所と協力して管理するなどのとりくみも行っています。
 国立感染症研究所・国立医薬品食品衛生研究所やすべての都道府県の衛生研究所などで、独法化されたところは一つもありません。
 厚生労働省も、昨年7月、地方衛生研究所のいっそうの充実・強化を求めています。
 保健・衛生が全国的にも重要な課題となっている今、大阪だけが、衛生研究所を独法化するのは論外です。撤回を求めます。





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