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経済再生への具体的提案 くち原府議が一般質問

 日本共産党のくち原亮大阪府議は4日、本会議で一般質問を行いました。デフレ不況打開や府民生活と大阪経済再生に向けて具体的に提案し、松井一郎知事の姿勢を問いました。
 デフレ不況打開へくち原氏は、消費税大増税や社会保障の連続改悪の中止を国に求めるよう要望。府が関経連など経済団体に労働者の賃上げや単価引き上げを内部留保の数%程度を活用して実現するよう働きかけ、雇用は正社員が当たり前のルールの確立を国に要請せよと求めました。
 最低賃金引き上げや正規雇用拡大へ府独自の補助制度の検討を強く要望。松井知事は、「考えていない」と突っぱねました。
 全国に比べて深刻な府民生活と大阪経済の実態について、くち原氏は「橋下徹前知事、松井知事にも責任がある」と指摘し、関空アクセスのためのインフラ整備やカジノ、大企業誘致など「大阪都構想」の成長戦略に対し、「これまでも呼び込み型開発に巨額を注ぎ込んできたが、暮らしと経済は悪くなり借金が増えただけ」と批判。橋下・松井両知事の5年間で1494億円も削減された府民施策を段階的に復元させ、国の緊急経済対策を生かして河川改修、学校の耐震改修、保育所建設など暮らし密着型公共事業の推進を提案しました。
 子ども医療費助成制度の通院分の就学前までの拡大、太陽光発電設置への補助制度創設などの提案に、松井知事は「全国一律の制度」といって退けました。




「しんぶん赤旗」2013年3月6日付より




くち原議員の一般質問の大要は以下の通りです。

雇用確保と賃上げでデフレ不況打開を

 日本共産党大阪府議会議員団のくち原亮です。
 知事及び教育長に質問します。

 長引くデフレ不況が国民生活と日本経済を脅かしています。
 日本の国内総生産は、1997年以降の14年間で90%に落ち込み、発達した資本主義国の中で、日本だけが経済が縮小する例外的な国になりました。
 1997年の消費税増税が景気を冷え込ませ、その後の異常な賃下げと派遣労働の原則自由化による非正規雇用の拡大により雇用者報酬が10年間で22兆円も落ち込み、社会保障改悪による13兆円もの国民負担増も重なり、GDPの6割を占める家計消費が大きく落ち込んだからです。
 消費税大増税や社会保障の連続改悪が計画されていますがとんでもありません。
 計画中止を国に求めるべきですがどうですか。

 民間労働者の年平均賃金は、1997年の467万円から2011年の409万円へと年間58万円も減りました。
 デフレ不況打開のためには働く人の所得を増やすことが重要です。
 500億円以上の内部留保を持っている約700社、大阪では82社ですが、それぞれの企業の内部留保1%分だけでも、8割の企業で1万円以上の賃上げが可能です。
 2012年度の「労働経済白書」でも、「非正規雇用者の増加は、雇用者所得の低下を通じて消費を押し下げる大きな要因となっている」、「賃金の引き上げは消費の拡大を通じて経済全体にもプラスの影響」と述べ、「正社員を希望する非正規雇用者が・・正社員になれる道を大きくしていく必要もある」としています。
 麻生財務相は「たまった内部留保が賃金や配当、設備投資に回らず、じ〜っとしている状態は異常だ」と、賃金引上げの体力が大企業にあることを認めました。
 最低賃金引き上げのための中小企業への抜本的な支援強化についても、安倍首相が「重要なご指摘があった。我々も研究しなければならない」と、わが党の国会質問にそれぞれ答弁しました。
 国も大阪府も経済成長目標はありますが、所得増の目標はありません。
 大阪府独自に、府民の所得を2%引き上げる目標を持ち、知事が先頭に立って関経連や関西経済同友会などに対して、企業内労働者の雇用確保や賃上げ、下請企業の単価保証に内部留保の数%程度を活用するよう継続的に働きかけるとともに、雇用は正社員が当たり前のルール確立を国に求めるべきです。
 また、最低賃金引上げとそのための中小企業支援を強めるよう国に求めるとともに、大阪商工会議所などと最低賃金引き上げに向けた具体的課題や正規雇用を拡大した際の支援策などについての協議と府独自の補助制度の検討を求めるものです。
 以上、答弁を求めます。

府民生活と大阪経済の再生へ

 次に、府民生活と大阪経済を再生させる提案です。
 府民生活と大阪経済は全国に比べても深刻です。スクリーンをご覧下さい。



 府内総生産は、2001年度の40.1兆円から2010年度には36.4兆円、90.8%と全国の95.7%よりも大きな落ち込みとなっています。
 雇用者報酬でも、大阪は、2001年度には20.7兆円だったものが2010年度には17.5兆円、85.0%と全国の91.8%よりも大きく減少し、家計最終消費は、約21兆円から18.3兆円、87.5%となり、全国の98.3%よりも11%以上落ち込んでいます。
 他にも、昨年の企業倒産件数は、1,711件と全国の6分の1を占め、製造品出荷額は、2007年度の約18兆円から2010年度は15.7兆円へと87.5%に落ち込み、対全国シェアは5%台に留まっています。
 橋下前知事と松井知事が府政を担当して以降の期間に限っても、全国よりもくらしと経済の悪化がひどい原因を知事はどう考えておられるのか。
 橋下前知事や松井知事にも責任の一部はあると考えているのか、全くないと考えておられるのか。
 すでに、6年目を迎えた現時点できちんとお答え下さい。

 知事は、大阪の低迷を現行の大都市制度のせいにして「大阪都」構想を掲げていますが「大阪都」でやろうとしていることは、大阪市の財源と権限を吸い上げて、これまで以上の大型開発=関空アクセスのための高速鉄道や高速道路建設、カジノや大企業誘致の推進です。これまでも呼び込み方の開発に巨額をつぎ込みましたが、くらしも経済は悪くなり、借金が増えただけです。
 また、先日の大阪府・大阪市特別区設置協議会で示された協議スケジュールは余りに窮屈です。私どもは、協議会設置そのものに反対しましたが、これでは、府民・市民の意見をよく聞きながら進めることはできません。協議会の一員である知事が改善を求める考えはありませんか。
 私どもは、大阪の活性化のためには、先程申し上げたように、大企業が企業内労働者や下請企業を大切にすることが重要であり、同時に、医療、福祉、教育の充実でくらしを応援し、中小企業支援強化と安心・安全の防災と福祉のまちづくり推進の府政に転換することが必要だと考えています。
 しかし、橋下・松井府政の5年間に1494億円分の府民施策削減などが行われました。
 スクリーンをご覧下さい。


 青少年会館や府民のために必要な施設や府有地の売却も行われました。
 その一部が3つのスクリーンに紹介しているものです。




 医療、福祉、教育、中小商工業予算が大きく削減されたことがわかります。
 これらの施策の多くを段階的に復元させるとともに、防災対策や自然エネルギー普及の充実など、当面、次の事業実施を求めます。
 国の緊急経済対策を有効に活用した安心・安全の防災と福祉のまちづくり=河川改修や橋梁・住宅・学校などの耐震改修や保育所建設など、くらし密着型公共事業の推進で中小建設業者の仕事を増やすとともに、府独自に、子ども医療費通院分の就学前までの引き上げ、高齢者住宅改造助成事業の復活、特養ホーム建設補助拡充、太陽光発電設置への補助創設などです。
 必要な府費は、数十億円程度で、国の元気臨時交付金により生まれる一般財源程度で実現可能です。こうした施策は大阪経済と府税収入への波及効果も期待でき、積極的に推進すべきです。
 以上、答弁を求めます。

「いじめ」対策と教育条件整備

 次に、「いじめ」対策と教育条件整備についてです。
 大津市での「いじめ」による中学生の自殺や大阪市立桜宮高校での体罰を苦にした自殺など、痛ましい、あってはならない事件が相次いでいます。
 学校・教育現場では、子どもたちの命が何よりも大切であり、「いじめ」や体罰によって命が奪われることがあってはなりません。
 大阪は、貧困と格差の拡がりが全国に比べても深刻であり、スクリーンに紹介したように、児童虐待や学校現場での暴力行為も多く、高校中退率も全国1高くなっており「貧困の連鎖」といわれています。

 過度な競争と管理の教育が子どもたちに大きなストレスを与えており、それが「いじめ」や校内暴力などの背景にもなっています。
 また、管理強化と多忙化によって教職員のストレスが増大し、経験の少ない教員の割合も増え、教育現場は深刻です。
 そこで、「いじめ」から子どもの命を守るために次の基本原則を提案します。

 第1に、子どもの命を最優先に対応し、「いじめ」の隠蔽や放置が安全配慮義務違反であることを明確にし、学校・教育行政の基本原則とする。
 第2に、ささいなことに見えても様子見せず、全教職員、全保護者に知らせ、みんなの力で「いじめ」を解決する。
 第3に、子どもの自主的活動の比重を高めるなど、いじめを止める子ども同士の人間関係をつくる。
 第4に、被害者の安全を確保し、加害者には「いじめ」をやめるまでしっかり対応する。
 第5に、被害者、遺族の知る権利を尊重する。
 というものであり、その上で、少人数学級拡充や教員多忙化の解消など教育条件整備と、カウンセラーの増員、「いじめ」問題の研修を進めることなどです。
 また、子ども・保護者と教員との信頼関係を損ない、授業改善に役立たない「授業評価アンケート」はやめるよう求めます。
 教育長の認識をお聞かせ下さい。

住吉病院統廃合問題

 次に、大阪市立住吉市民病院を事実上廃止する計画についてです。
 今回「大阪府市共同住吉母子医療センター(仮称)整備計画・案」が示されていますが、住吉市民病院の一部機能を移転するというものの総合病院である住吉市民病院の他の診療科・機能は廃止されてしまいます。
 住吉市民病院が立地する大阪市南部は、他地域に比べ、内科・外科などすべての診療科が少なく、今後最も高齢化が進むと推測されている地域です。病院がなくなれば小児・周産期医療も受けにくくなり、住民の命と健康に重大な影響を及ぼします。
 この間、7回の住民説明会が開催されていますが、何れも「統廃合」に反対する声が圧倒的です。統合計画は白紙に戻すべきではありませんか。

「原発ゼロ」について

 最後に、「原発ゼロ」についてです。
 府市エネルギー戦略会議がこの程、提言をまとめました。
 新聞では、「『2030年 原発ゼロ』」維新採用見送り」、「府市エネ会議 年限示さず」などと報道されておりましたが、知事は、「2030年代の原発ゼロ」も放棄したのですか。
 お答え下さい。





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