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所得と消費を増やすことが経済成長への道筋

 安倍晋三首相は29日、衆参両院で所信表明。
 「額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができるまっとうな社会を築いていこう」と述べました。

 しかし、失業や不安定雇用、まじめに働いても賃金が引き下げられる、いつ首切りされるかわからないような社会をつくってきたのは、他ならない自民党を中心とした政権です。

 安倍首相はまた、「最大かつ喫緊の課題は経済の再生」といい、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」だとして、「これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージを提示」すると言います。

 その中身は過去の自民党政権が行い、破綻が証明されたものばかりでなく、物価だけ上がって賃金が上がらなかったり、財政危機を一層深刻にし、日本経済・財政そのものを危険にするリスクが経済学者からも指摘されているものです。

 長期にわたって働く人の所得が減り続けていることにこそ、デフレ不況の最大の原因があります。
 そして、働く人の所得を増やす政治に転換することにこそ、デフレ不況から抜け出す最大のカギがあります。
 それ抜きに金融緩和や公共事業のばらまきをやっても、経済はよくなりません。


大阪でも賃金、消費、経済は長期低落

 大阪でも1990年代後半から、賃金と消費の減少、経済の低迷が続いています。
 府内総生産の約半分を占める家計消費を温めないと大阪経済は元気になりません。
 そのためには雇用と収入を確保することと社会保障が欠かせません。

 これまでの「オール与党」府政は、企業誘致のための用地造成や巨額の補助金支出、高速道路などのインフラ整備に力をいれるなど、経済対策は大企業応援型が中心でした。

 維新の会の知事のもとで、大企業の国際競争力強化など世界で競える企業の支援をいっそう強めます。
 さらに「大阪都構想」を掲げ、権限と財源の集中で関空リニア構想など、産業インフラ整備を進めようとしています。

 しかし、府民の所得が下がり家計消費が落ち込んでいる時期でも、急激に輸出が増えるなどリーマンショックの落ち込みを除いて、輸出型企業は活発に活動していました。

 大阪労連の調査では、大阪に本社を置く資本金100億円以上の企業の内部留保は、大阪からの本社流出が続くもとでも、2000年度の22兆7827億円から2010年度25兆6587億円へと3兆円近くも増やしています。

 一方で、労働者の賃金は減少し、不安定雇用が増加していったのです。
 完全失業率は2011年で5.1%。
 沖縄県、北海道、青森、東日本大震災被災県などに続いて全国最悪水準。
 しかも失業率は97年、98年の頃と同水準なのに、就業者数は大きく減っているのが特徴です。
 非正規雇用の増加も深刻です。大阪府は全国平均35%に対し43%となっています。

 今、求められているのは、こうした社会をもたらした政治のあり方、構造を転換することです。

 ところが、大阪府・市が打ち出す「大阪の成長戦略」(案)が長期低落の要因として挙げるのは、「グローバル化への対応不足」「経済自由度の低さ」「巨大市場中国への対応の遅れ」「都市機能の更新の遅れ」などです。
 雇用についても「都市の活力低下による雇用悪化」と分析不能をさらけ出しています。
 低賃金や不安定雇用、子育てや介護の環境整備に触れずに「十分に活用できていない潜在労働力」をいうのです。

 安倍政権と同様、維新の会の成長戦略は、長期低落の原因のまともな分析がなく、脱出方向がしめせないでいるのです。
















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