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安全で豊かな中学校給食のために、府と市町村が役割発揮を
−党府議団「学校給食アンケート」から見えるもの−

日本共産党大阪府議会議員団事務局長 大西 哲

 大阪の中学校給食は、実施率12.3% (2010年度末)と、全国の8割以上に比べ際立って遅れています。大阪府は今年度予算で、中学校給食を導入する市町村に今後5年間で246億円まで補助するとしました。
 これにより、「すべての市町村が中学校給食実施を表明もしくは検討している」と府教育委員会は述べています。

 しかし、日本共産党府議団が実施した「学校給食アンケート」(府内市町村の党議員団が対象)では、全中学校での給食実施に向けて多くの課題が浮き彫りになっています。

府の補助の充実を

府内市町村の公立小中学校給食実施状況
  小学校 中学校 備考
単独調理場方式(自校方式) 共同調理場・給食センター方式 “親子”方式(近隣の学校調理場を活用など) 単独調理場方式(自校方式) 共同調理場・給食センター方式 “親子”方式(近隣の学校調理場を活用など) その他
大阪市 300              
堺市 97              
高槻市 41              
東大阪市 31 23            
岸和田市 24              
豊中市 4 37            
吹田市 35           14 中学校は選択制のデリバリー方式。18校中14校で実施
枚方市 28 17            
茨木市 32              
八尾市 29              
寝屋川市 24               
池田市   11            
泉大津市 8              
貝塚市 10              
守口市 18             中学校9校中食堂4校、弁当・パン5校
泉佐野市   13            
富田林市   16   8       中学校は選択制
河内長野市   14            
松原市   15     1     中学校7校中1校のみ実施
大東市 14              
和泉市 21     10        
箕面市 12   2     2   小中一貫校2校で“親子”方式
柏原市   11           学校給食センターを藤井寺市と共同で運営
羽曳野市   14            
門真市 15     7        
摂津市 10             中学校5校のうち1校で、学校施設をPTAが運営し食堂として導入
高石市 7              
藤井寺市   7           学校給食センターを柏原市と共同で運営
泉南市   10            
四條畷市   7     4      
交野市   10     4      
大阪狭山市   7     3      
阪南市   12            
島本町 4              
豊能町 4              
能勢町 6              
忠岡町 2              
熊取町 5     3        
田尻町 1     1        
岬町   3   1        
太子町   2           中学校では牛乳給食実施(就学援助対象)
河南町   4            
千早赤阪村   2            
合計 782 235 2 30 12 2 14  
 府の補助は、調理場整備など初期経費のうち、国の補助を差し引いた額の2分の1を、1校につき1億500万円を上限に補助するものです。
 財政が厳しくなり、校舎耐震化やエアコン設置など財政負担が必要な課題がある下、「財政的に不可能だと当局は考えている」(泉南市)という市町村が少なくありません。
 「府の補助率を2分の1から3分の2に引き上げてほしい」(豊中市)「補助金の上限(1億500万円)の上乗せを」(東大阪市)「期限や上限を決めず補助金を出してほしい」(河内長野市)という要望が数多く出されています。
 国は初期経費の2分の1を補助することになっていますが、初期経費への国の補助は算定基準が極めて低く、実際には1割程度しか補助していません。

 さらに、「毎年のランニングコスト(運営層)・人件費が出ない」(箕面市)「初期費用の補助のみでなく、継続的な運営費補助が必要」(岸和田市)など、多くの市町村で運営費の負担がネックになっています。
 国の補助などが必要です。

 岸和田市・寝屋川市・枚方市・忠岡町などでは、給食調理室を設置するスぺースが各中学校にない、給食センターを設置するとしても土地の確保が困難という問題もあります。

すでに実施している学校にも必要な補助を

 今回の府の補助は、すでに中学校給食を実施しているところは調理場の全面改修などを除いて対象外ですが、「耐用年数をこえて食器などを使用している現状なので、すでに実施しているところも補助対象としてほしい」(和泉市)といった要望があります。
 府は、中学校給食を「12市町がすでに実施中」としていますが、この中には、市内中学校の一部だけで実施(箕面市・松原市)、食べたい日だけ注文する"選択制"で実施(吹田市・富田林市)も含まれています。
 このため「喫食率が2〜3割で食育にならない。子どもが好きなおかずの時だけ注文が増える」(吹田市)など、改善が求められています。
 富田林市・和泉市など6市の教育委員会が、すでに中学校給食を実施している市町も補助が活用できるよう、府教育長に要望書を提出しています。

 "選択制"の場合、「就学援助が適用されない。1食330円の給食費が高くて弁当にするという親も」(富田林市)という問題も起こります。
 「順次体制が整った学校から実施する予定」としている高槻市では、「先行的に実施した学校は全校実施になるまで(就学援助の)対象にならない」ということになります。

 市町村が今回の補助を受ける場合、今年度中に「実施計画」を提出するよう府は求めていますが、「1年以内に態度表明せよというのは急すぎて余裕がなさ過ぎる」(泉大津市)という意見や、「今年度中に検討作業ができる体制にない(調理場等企画できる技術職員の不足)」(島本町)など、この間の"自治体リストラ"が実施を妨げている状況もあります。

「効率」第一ではなく"食育"を

 自治体が給食の運営全体に責任をもつ直営方式は重要な意義をもっていますが、実際は多くの市町村で民間委託が進められています。
 府は今回の補助について「最も効率的・効果的な運営形態を導入すること」と、民間委託が望ましいかのように述べています。
 「府の補助があるとしても、経費の負担が大きいことから、実施するとしても少しでも負担の少ない方向へ行く」(東大阪市)という実状を踏まえ、より良い給食を速やかに実施する積極的な提案が求められています。

 同時に、教育現場の困難化、多忙化が深刻になる中、「小学校では、担任以外に教頭や『にらみ』のきく先生を給食時のみ配置している学校もあるとのこと。給食時間は日ごろの"荒れ"がよりきつく表れる」(高槻市)といった状況があり、中学校での給食指導への不安の声が出ざれています。
 橋下知事は中学校給食実施に当たって「公務員を増やすなんてとんでもない」という態度ですが、栄養教諭・栄養士の配置、教職員の正規雇用や少人数学級を進めるなど、"食育"にふさわしい環境整備が必要です。

「中学生に安全で豊かな給食を」−広がる声と運動

 「朝7時からクラブがある。夏場、冷まして弁当箱に詰めようと思えば、母親は5時ぐらいから弁当を作らなくてはならない。腐らないか心配」(太子町)、「下の子が障害児。上の子のお弁当を作る時に下の子の学校の準備でどうしても作れないこともある。給食があれば」(枚方市)−中学校給食を求める府民・保護者の願いは切実です。
 日本共産党八尾市議団が3月に実施した市民アンケートでは、1,604人の回答のうち72%が「中学校給食は必要」と答えています。

 「8・9月議会に向けて中学校給食実現への請願署名の取り組みが始まっている」(堺市)、「栄養教諭や市の調理員も入った『寝屋川の給食をよくする会』で、自校直営方式の良さをのべて、中学校給食の実施に向けて要望提案している」(寝屋川市)、「3年前にできた『河南町給食を考える会』を中心に中学校給食実施を求める署名行動が行われ、また請願も出され、2009年12月に全会一致で採択された」(河南町)、「小学校PTAでも中学校給食実施へのアンケートを実施し、今年3月に完全給食実施の要望書を提出」(千早赤阪村)といった運動が、各地で急速に広がっています。

 安全で豊かな中学校給食のために、市町村とそれを応援する府が役割を発揮することが求められています。




「大阪民主新報」2011年7月31日付より



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