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来年度予算を可決/大阪府議会 橋下知事の再議は否決 宮原府議が討論
大阪府議会は16日早朝、橋下徹知事提案の2011年度予算の修正案を可決して閉会しました。また、法律関係者などから「同和特別扱いを温存する」と強い反対が寄せられていた「部落差別規制条例」の「改正」案も可決しました(日本共産党は反対)。
修正されたのは、小学校で国基準の50%カット、中学校で35%カットされた市立学校の運営費補助を、それぞれ現行の25%カットに戻すための11億円増額と、大阪市・森之宮の府立成人病センターの大手前(大阪城前)への移転・建て替え関連約2億円の削除。両修正案とも、反対したのは維新の会だけでした。私学関連の増額は、財政調整基金の活用などで対応します。
本会議で議案に対する討論を行った日本共産党の宮原たけし府議団長は、提出した予算の組み替え動議は「暮らし応援・大型開発優先から安全・安心の公共事業への転換で、家計と中小企業を応援し、大阪経済の振興を図ろうというもの」と強調。知事提案の予算案は、私立高校授業料無償化の拡大や中学校給食など積極的な面をもちつつ、安威川ダム、関西空港関連事業など企業誘致・大規模開発6事業で320億円(一般財源96億円)余りを盛り込み、一方で、千里救命救急センターへの補助金廃止、国民健康保険料の2万円異常値上げにつながる「国保広域化」など、切実で緊急な府民の願いにそむくものだと批判しました。
橋下知事は修正案可決後、再議を求め、増額分は一般施策から捻出し、公私間の競争強化につながる頑張る学校≠ノ回すことを主張しましたが、否決されました(再議の可決は議員の3分の2の賛成が必要)。
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「しんぶん赤旗」2011年3月17日付より |
宮原府議がおこなった討論の大要は以下の通りです。
1 東北地方太平洋沖大地震への救援と防災対策について
まずはじめに、東北地方太平洋沖大地震の被災者のみなさんに心からお見舞い申し上げます。
いまも死亡の確認が次々と報じられています。海で育った私にとって胸の痛む光景が目の前で繰り広げられています。これは同時にいまの日本の国難ともいえる大問題です。こういうときには一人でも多くの命を救う、一刻でも早い被災者への支援が求められると思います。私たち日本共産党に大阪だけでも12日と13日の2日間で1000万円を超す義援金が寄せられました。マスコミや日本赤十字社、社会福祉協議会など、いろいろな団体や政党も募金活動されています。まずは大阪府に対し、東北各県への物心両面の支援を強化することをぜひご検討いただくようお願いしておきたいと思います。
次に、原子力発電所の問題です。正確で迅速な情報公開と、専門家集団の力も借りた放射能被害の拡大防止に全力をあげるときです。
第3に、大阪経済と日本経済への深刻な影響、それに対する対策を見極めることが必要です。電力、原材料の確保などいろいろあります。私ども日本共産党は、いっせい地方選は延期すべきだと主張しています。被災対策、原発の安全、日本と大阪の経済の再建の問題を含めて、国会でも府議会でも集中的に審議すべきだと提案しています。しかし最終的には政権与党やその他によって選挙するかどうかは決定されます。
2 大阪府新年度予算案について
予算案について、私たちは組み替えの動議を出しました。昨年10月から12月にかけての完全失業率は7.1%と全国最悪の水準です。府民の暮らしと大阪経済はこういう落ち込みにもかかわらず、資本金100億円以上の大阪の116の大企業は1年間で9000億円以上の内部留保を増やし、それが大阪の府税収入の増加となって跳ね返ってきています。
政治がいま問われるべきは、極端な貧困と格差の拡大を政治の力でどう是正するかが大阪府政にも求められると思います。暮らし、福祉、子育てなどの社会的支援が急がれています。同時に地震に強い、安全な街づくりが緊急の課題だと思います。一口にいえば、広い意味での暮らしの支援と大型開発優先から安全安心の公共事業に切り替える、この二つによって家計と中小企業を応援し、大阪経済を再生する、それが私どもの提案の基本にあります。
その立場から、大阪府の新年度予算案には一部、中学校給食への債務負担、私学授業料の無償化拡大、児童相談所の児童福祉士の増員や一時保護所の新設など、積極的な面もあります。
しかし一方で、企業立地補助金や安威川ダム事業費、箕面北部丘陵開発繰入金、阪神高速道路建設協力金、本四連絡架橋、関空関連事業の6事業だけで、320億円余りの大型開発や大企業誘致の予算が組まれています。これらの事業は雇用拡大、中小企業の振興に役立たず、シャープの例では正社員の雇用や下請け企業の仕事拡大にあまり役立っていません。大阪府が補助金を出している企業でも大企業の新規正規雇用の割合は中小企業の半分以下に過ぎません。一方で千里救命救急センターへの府独自の補助金カット、新規の福祉作業所への補助打ち切り、まちかどデイハウスへの支援の大幅削減、国民健康保険の2万円値上げにつながる国保広域化、セーフティネット融資制度の預託金廃止、府営住宅の新規建て替え戸数の減少など、切実で緊急な願いにそむくものとなっています。
3 府政のいくつかの重要問題について
この際、予算案と関係していくつかの重要問題について意見を述べておきます。
まず、東海・東南海地震が切迫しているもとで、地震に強い街づくりが急がれます。長周期地震動の問題では高層建築物の安全性を強めることが第一の課題です。津波の想定高そのものも見直して津波対策をとらねばなりません。原子力発電所の問題も大阪から100キロ余りしかない福井県には、日本で2番目に古い原子力発電所を含む11基の原子力発電所があります。また、コンビナート群の火災も心配されます。こういう災害対策を1日も早く強めなくてはなりません。
第2は財政問題です。収支改善と称する1000億円、昨年度黒字311億円などは、大企業の一人勝ちによる法人税の税収増、府職員の賃金カットなどによるもので、その財源は財政再建だけでなく、府民の暮らし応援に使うべきです。そうしてこそ内需主導の大阪経済成長と大阪府の税収増にもつながります。また、緊急性、必要性に疑問がある先にのべた6つの大型開発事業は、子や孫の将来に、ばく大な借金を残すものであることも指摘しておきます。
第3は、カジノ、阪神高速淀川左岸線延伸部、関空リニアや、なにわ筋線などによって大阪湾岸部や中心都心部に人、モノ、カネを呼び込むという構想はまったく見通しがないということです。私どもは、大阪府がWTCビルを買収した今年度、企業誘致は実績ゼロ、WTCのテナントやオフィスは4分の1も退去するなど、WTCとその周辺は活性化していないことを指摘してきました。また、大阪から関空への時間をたった5分短縮するのに、2000億、4000億も使うなどは論外だと指摘してきました。知事は、行政が需要をつくるなどと答弁されましたが、このセリフはりんくうタウンなどで20年前に行政がよく使ったセリフそのものです。具体的な事実を一つもみずに、行政が需要をつくるといった無責任な姿勢が、りんくうタウン事業で3000億円を超す赤字を府民と府財政にもたらしました。
第4に、大阪府庁問題です。まず、旧WTCへの府職員の転居はいったん中止し、現府庁舎の耐震改修を軸にした大手前に府庁をおく方向に舵を切り替えることが必要です。太古の昔から丘陵部であった大手前は耐震改修さえすればもっとも安全な地域です。旧WTCは震度3でも10分以上揺れ、エレベーターは5時間停止しました。この30倍の大きさの震度6弱が東海・東南海地震によって予想されています。旧WTCビルは府庁としてふさわしくありません。
大手前は難波宮、大阪城など歴史と文化、大阪の中心地で、同時に大阪経済の中心に隣接する土地でもあります。この土地にこそ大阪府庁はあるべきです。咲洲については、住民の利便性と安全性を確保するために、大阪府と大阪市が力を合わせることが必要です。
第5は、成人病センターの建て替えの問題です。府民の利便性、第2に建て替えの経費、そして地元住民の意向、建て替えのスピード、この4つを総合的に考えて審議をすすめることが必要です。大手前先にありきと言う大阪府の矛盾に次ぐ矛盾を覆い隠すやり方は看過できません。
次に、私学助成の問題です。子どもと私学経営にとってこれ以上の私学助成の削減がどういう結果をもたらすか慎重に見極めるべきで、これ以上の削減は行うべきではありません。
4 知事の政治姿勢について
このさい、知事の政治姿勢について2点申し上げておきたい。一つは槇尾川ダムの問題です。この槇尾川ダムは知事自ら本体工事着工に踏み切った事業です。我々は本体工事着工に踏み切るべきではないと申し上げました。それにもかかわらず知事は、本体工事にゴーサインをだしました。その後に知事は中止したというのが客観的な事実です。もし知事が、ほんとにダムによらない治水を前向きに考えるという姿勢なら、安威川ダムについても中止も含めていったん立ち止まって検討するよう強く求めておきたいと思います。
第2に、健康福祉常任委員会では、我が党の国保料の問題に関する質問のなかで、知事は、「一般会計から繰り入れするというのは共産党さんをはじめとする選挙のときに一番やっちゃいけない嘘八百の政治的宣伝をとめるためにも、一般会計の繰り入れを止めて、真正面から税金を投入する」と答えています。こんなごまかしはありません。一般会計は税金です。一般会計から正々堂々と各市町村は府民の窮状を見かねて税金を入れています。府はその24分の1も税金もいれずに、府民の苦難をよそにこういうことを平気でいう知事をかかえていることは府民にとって不幸だと思います。
5 府議会議員の3つの役割について
府議会議員の3つの役割について私どもの立場を述べておきたいと思います。
1つは、いうまでもなく、府民の願いを府政に届けるということです。第2は、ムダな大型開発やかつての同和行政などをチェックするということです。第3は、大阪経済再生などの積極的、建設的な提案をするということです。このことはもちろん、官僚組織をもたない地方議員にとっては、強大な権力をもっている知事と違って、自らの力量を高める努力が日常不断に求められます。私どもは府民の利益を守り、有権者の歴史の審判に耐えうるように、これからもがんばっていきたいと思います。
私の好きな『最後の忠臣蔵』という小説のしまい始めの章に、大石蔵之助が寺坂吉衛門に、「生きがいを尽くして死ね」というくだりがあります。私どもも、府民の審判に応えられるよう、命と生きがいを燃やしつくして今後も府民のために奮闘することを申し上げて討論とします。
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