2009年9月定例会 日本共産党 芹生議員の一般質問(大要)
2010年10月5日
日本共産党大阪府議会議員 芹生幸一
1 国民健康保険等について
国民健康保険等についてお聞きします。
国民健康保険法の改悪以降、大阪府でも資格証明書世帯、つまり保険証を取り上げられた無保険世帯が増加し、府内の資格書交付数は本年6月1日現在、2万7484世帯にもなっています。
大阪は、全国より府民の収入の落ち込みがはげしく、受診抑制がすすんでいます。
全日本民医連が昨年行った全国調査によると、2009年の1年間に、無保険もしくは資格証明書の人が受診できず手遅れとなり死亡された方や保険証はあっても経済的な理由で受診できず手遅れとなった人など、合わせて47人が亡くなっていました。
大阪では事業に失敗して多額の保険料を滞納し、保険証がないため受診できず手遅れで死亡されていました。これからも同様の悲惨な事例が起らない保証はありません。知事はこのような状況をどう思われますか?
また、このような事例が起こらないためにどのように取り組んでいくか、お答えください。
国民健康保険は第1条にあるとおり社会保障制度であり、国民は等しく医療を受ける権利が保障されています。保険証の交付は保険者の義務です。保険証の交付と保険料の徴収を連動させてはなりません。資格書の交付は、制裁ともいえるもので、資格書の交付を増やしても保険料の滞納は減っていません。国に対して法律による資格書の交付義務付けの廃止を求めるとともに、保険料の滞納対策としての資格書の交付をやめるよう市町村を指導すべきです。
府は都道府県調整交付金の交付条件に国のガイドラインにない資格書の交付を加えていますが削除すべきです。それぞれお答えください。
また、厚生労働省は通知を出し、すべての資格証明書交付世帯について、再度、保険料を納めることが出来ない特別の事情の把握を徹底し、被保険者の医療の確保に遺憾のないよう適切な運用に努めるよう求めています。どのように対処しているのかお答えください。
大阪社会保障推進協議会の調査では、所得300万円の現役40歳代夫婦と子ども2人の4人世帯の府内平均の保険料は52万1413円にもなります。
1カ月あたりにすると所得25万円、保険料は4万3451円です。
このように、大阪の国保料は被保険者の支払い能力を大きく超え、払いたくても払えないほど高くなっていると知事は思いませか。今、市町村の多くは、一般会計から国保に法定外繰り入れをして保険料を軽減しています。昨日の代表質問で市町村への財政支援を求めたところ、知事は「助成を行うことは考えていない」と答弁しました。到底認められません。再度求めておきます。
次に、一部負担金の減免についてです。国保法第44条は、同法第9条7項に規定する「特別の事情」のある被保険者で医療機関の窓口で支払う一部負担金を払うのが困難な人に対して一部負担金の減免や徴収猶予ができるとしています。
しかし、国による具体的な運用基準や財政支援がないため、減免制度を持たない市町村が全国で半数近くに上り、大阪でも同様の低い実施状況になっています。
昨年6月18日の参院厚生労働委員会でわが党の小池晃前参院議員が「自治体の半数近くで制度がないのは問題だ」と追及し、国の責任で財政支援も行って制度の拡充を図るよう求めたところ、今年の9月13日の通知で新たな基準と減免額の2分の1を国が特別調整交付金で負担する方針を表明しました。
しかし、国が特別調整交付金で負担するといっても国からの交付金が増えるのではありません。府として国に対して財政負担増を求め、府としても財政負担すべきです。そして、本制度の周知を図り、多くの府民が利用できるようにし、まだ実施していない市町村に対して実施を促すべきです。
9月13日の参院厚生労働委員会では厚労省政務次官が、わが党田村智子議員質問に、「国の基準は一つの最低限で、上積みを市町村が自主的に行うのは望ましい」と答弁しています。市町村に周知し、すでに国を上回る基準で実施している自治体が基準を引き下げることがないよう府の対応を求めます。お答えください。
2 企業誘致について
企業誘致について質問します。
大阪府は、先端産業を誘致するとして、立地企業への補助金の限度額を2003年度から10億円に引き上げ、2005年度には「ハイテクベイプラン構想」を打ち出し、限度額を30億円、さらに、2007年度からは全国最高水準の150億円に引き上げました。
そして同年、シャープと関連企業による液晶パネル・太陽電池工場が、堺市に立地決定しました。他にもこの間、三洋電機の太陽電池工場に10億円をつぎ込むなど、旭硝子、パナソニックエナジー社のリチウムイオン電池工場などが立地しました。
2003年度にできた先端産業補助金による進出企業数、補助金の支出額、今後の支出予定額を明らかにして下さい。
地方自治法232条の2は、「公益上必要ある場合においては寄付又は補助をすることができる」とあります。
シャープと関連企業が、私の地元、堺市に立地するにあたり、府は、雇用や地域経済への波及効果を3兆8千億円と試算し、約330億円の補助金交付枠と224億円の交付を決めました。
4兆円近い「公益」が期待できるから、巨額の税金支出を決めたと考えますが、シャープ堺浜工場の立地決定から約3年、波及効果の実態を検証したのですか。明らかにしてください。
知事はこの間、財政危機を理由に、障害者団体への補助金をカットし、ものづくり支援の予算は5年前の3分の1、商業振興費は8分の1に減額しました。一方で公益の中身を明らかにせず、巨額の税金をつぎ込み続けることはやめるべきです。
ところで、先端産業・ハイテク産業の立地によって、府民の暮らしや地域経済はどう変化したでしょうか。
2001年から2006年の5年間で府内の事業所は11.4%減、従業員数は6.3%減と、全国最悪の落ち込みです。昨年度の企業倒産は、2000年比で全国で約8割ですが、大阪は95%と高止まりです。
2008年度までの8年間の府内経済成長率はマイナス3.5%、雇用者報酬は1割減。昨年の完全失業率は6.6%で、沖縄、青森に次いでワースト3です。
一方、「リーマンショック」などによる落ち込みがあるものの、大阪税関内の輸出額は、2000年度以降の8年間で1.6倍に急増、「シャープ」の売上高は2兆7559億円へと1.3倍に増やし、今年3月期の内部留保である利益剰余金は6497億円にのぼっています。
輸出関連のハイテク大企業が立地し、企業が利益を上げても府民の暮らしや地域経済、財政への波及効果はほとんどなかったというのが実感ではないでしょうか。
また、府の補助金支出企業の新規採用に占める正職員の割合を2008年度から3年間の平均で見ると、中小企業56%に対し、大企業は23%にすぎません。大企業に正規雇用を増やすよう強く迫るよう求めます。
知事は「総合特区提案」で、税減免などの優遇策を検討し、国際競争力のある内外企業の立地で、やがて税収が増えると試算していますが、その明確な根拠をお示しください。
わが党議員団は、企業が地域に立地することに反対するものではありません。しかし、企業誘致やインフラ整備偏重ではなく、暮らしや経済を足元から支える中小商工業の振興にこそ力を入れるべきだといっかんして主張してきました。
暮らしに根ざした経済活動があってこそ、企業立地も可能にします。事実、企業が進出先を選ぶ基準は、政府の調査でも「市場としての魅力」です。
東京都の調査では、8割の企業が、法人税を10%下げても「日本に回帰しない」と答えています。「シャープ」の片山社長も堺市への進出に際し、「自治体の優遇策は判断基準ではなかった」と述べています。立地優遇策は根本的に見直すべきです。
税減免など優遇策による企業誘致は、これまでの失敗の繰り返しになりかねません。「大阪の成長戦略(素案)」は撤回し、暮らしと地域経済の向上と発展を基本にしたものにつくり変えるよう求めます。いかがですか。
3 泉北ニュータウンの再生と泉北高速鉄道の運賃値下げについて
泉北ニュータウンの再生と泉北高速鉄道の運賃値下げについてお聞きします。
泉北ニュータウンは高度経済成長期に、大阪府が開発整備したまちです。昭和42年のまちびらきから40年以上が経過し、緑豊かな住環境を有するまちも社会環境の変化とともに人口の減少、少子高齢化の進展、住宅や施設の老朽化など様々な問題がでてきています。多様な世代が快適に住み続けることのできるまちづくりをすすめることが大事です。その上で、泉北高速鉄道の利便性の向上と運賃値下げは重要な課題です。
厳しい雇用状況の下で、ハローワークの紹介で大阪市内の事業所に面接に行っても交通費の負担が重いため初めから泉北高速鉄道を利用する人は避けられるとか、沿線にある高校や大学には多くの学生がかよっていますが、重い教育費に加えて定期代の負担が大変です。例えば、なんば〜泉ヶ丘間の1カ月の通学定期代は1万320円で、ほぼ同距離のなんば〜金剛間5580円の倍近くになります。府は開発者責任を果たし、住みよいまちづくりをすすめるとともに、運賃値下げを実現すべきです。答弁をもとめます。
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