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大阪府中小企業基本条例を制定 地域経済の根幹なす中小企業
日本共産党府議団 くち原政調会長に聞く


 5月定例府議会が10日閉会し、議員提案された「大阪府中小企業振興基本条例」(条例全文は別項)が全会一致で可決・成立しました。同条例の内容や制定の憲義、今後の課題などについて、日本共産党大阪府議会議員団の政調会長として今回の条例制定に尽力した、くち原亮議員(東大阪市選出)に聞きました。

――条例の制定は、日本共産党として一貫して主張してきたことですね。

くち原 はい。特に太田府政が誕生した00年当時からは、定例府議会の代表質問や委員会質問、毎年度の予算要望などで繰り返し制定を求めてきました。

 制定を求め長年の運動

 大阪府中小企業家同友会や大阪商工団体連合会など中小企業団体の皆さんも、制定を求めて、粘り強く運動してこられました。しかし府は、「中小企業施策は十分行っているので、条例は必要ない」と制定を拒み続けてきました。
 私はものづくり企業が集積する東大阪市選出の議員として、中小企業への支援強化を選挙公約で掲げました。この間、地元の中小企業者の方からも、実情を聞いています。大手自動車会社の下請で、生産ラインの部品を作っている方は、以前は月200万円あった売り上げが8割減り、材料費や家員、水光熱費を引くと、いまは収入が10万円も残りません。仕事がなく家に早く帰ると、小学生の子どもが「お父さん、仕事大丈夫?」と聞くので、外で時間をつぶすこともしばしばだそうです。
 歯を食いしばって頑張っている中小企業者の皆さんを応援するためにも、何としても条例を制定させたいという思いが強くありました。
 本会議の終了後、大阪府中小企業家同友会の皆さんが議員控室に来られ、「万感胸に迫る患い」という礼状をいただきました。

――条例の特徴について聞かせてください。

 中小企業の成長不可欠

くち原 まず前文では「府民生活を豊かにしていくためには、地域経済の根幹を担っている中小企業の成長発展が不可欠」と明記しています。「中小企業の振興を府政の重要課題として位置づけ、施策を総合的に推進するため、この条例を制定する」とうたっています。中小企業を「地域経済の根幹」と規定する点では、各会派とも一致していました。
 「大阪府民の『暮らし』を支え、大阪経済活性化の担い手として重要な役割を果たしている」(前文)のが中小企業ですが、府内の倒産件数の伸び率は、09年度18.3%と、全国平均(5.7%)の3倍以上。それほど大阪の現状は深刻です。
 東大阪市でも、製造業はピーク時1万社を超えていましたが、08年度の調査では6018社と4割以上落ち込み、いまではさらに減っています。
 大阪の魅力・強みである、ものづくりの集積が崩壊しかねない状況です。それだけに各会派の代表が条例案の内容を調整する政務調査委員会で、よりよい条例にしようと、他会派にも働きかけて頑張ってきました。

――具体的にはどんな点を主張されましたか。
 
 府の責任も明確にして

くち原 わが党が提案した内容でほ、「全国に誇る集積を有するものづくり企業」という文言や、「ものづくりの基盤技術の向上に取り組むことのできる環境づくりに努めていかなければ怠らない」という記述が条例に盛り込まれました。
 「府の責務(第3条)」についても、原案にはなかったのですが、わが党の提案で補強された内容があります。「中小企業の振興に関する施策の実施状況を検証した上で、より効果的な施策の実施に努めるものとする(第3項)」という部分です。いま中小企業の仕事が激減しています。業者の皆さんぽ、相見積もりでぎりぎりの単価でなんとか仕事をとっても、そこから5〜10%もの単価引き下げを元請会社から求められるという状況もあります。
 わが党は、中小企業を守る公正な取引ルールをつくるという観点から、「大企業と金融機関の役割」や「大規模小売店舗などの役割」について明記するよう主張しましたが、残念ながら条例には盛り込まれませんでした。

 ――これからは条例の理念を生かし、実際の振興政策をどう異体化するかが課題ですね。

くち原 その通りです。例えば中小企業家同友会の皆さんも「いかに条例を豊かに育て実効性を持たせるかが重要」と強調しています。

 業者参加の検証機関を

 中小企業者の皆さんが求めている具体的な支援策を府として実行していく点では、まず、府民や中小企業者が参加する施策の検証機関を設置することが必要だと思います。
 府の商工労働部だけでなく、府政全体として中小企業の振興を念頭に置いた施策展開を名部門で行うことが重要で、庁内でも横断的な組織が求められます。私たちも業者の皆さんの声をいっそう聞きながら、一緒に力を合わせて具体的な施策実現へ奮闘する決意です。



(大阪民主新報2010年6月20日付より

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