橋下徹知事が「大阪版市場化テスト」で民間委託を強行した自動車税コールセンターで、受託企業が府との契約に違反して業務を再々委託していたことが、1月に発覚しました。個人情報が漏えいする危険のある重大問題にもかかわらず、府は同じ企業への委託を継続。日本共産党大阪府議会議員団は開会中の2月府議会で徹底迫及しています。
個人情報が民間企業に
府は昨年4月、自動車税の完納照会や問い合わせ業務を、NTT西日本の子会社であるNTTマーケティングアクト(NTTアクト社、大阪市中央区)に委託。8月からは
納税催告(払い忘れている人への電話など)も含めて各府税事務所で行われていた業務が、府庁舎の外にある、同社屋内にある「自動車税コールセンター」で始まりました。
府内の自動車数は230万台以上。税務情報には、自動車の登録・所有状況や、個人の氏名・生年月日・住所・電話番号、納税状況などのデータが含まれています。大阪府が常時監視できない庁舎外に税務情報が持ち出されるのは全国初のこと。
大阪府職労(大阪府関係職員労働組合)は、「自動車にかかわる個人情報を民間企業に提供するもの」として、個人情報漏えいの危険性を指摘し、府当局に委託中止を一貫して要求。委託中止を求める署名は1万人以上から寄せられていました。
ことし1月26日、自動車税コールセンターをめぐる重大問題が発覚しました。NTTアクト社は府との契約書で業務の再委託は禁止されているのに、昨年5月25日、府に無断でNTT西日本にシステム開発・保守業務を再委託しました。
罰金だけで契約は継続
さらにNTT西日本はその2日後に、別のシステム開発会社のディアイスクエア社(東京都)に、再々委託。府民の税務情報が守秘義務のない民間企業にさらされてしまうという異常な事態が実際に生まれていました。
ところが府は2月15日に出した調査結果報告で、「契約違反となっているシステム保守再委託は解除させて、違反状態は解消済み」「税務情報については漏えいがなかったと確認している」などと説明。罰金として、NTTアクト社に契約金額の総額4億1475万円の10分の1を支払わせるだけで、契約は継続することを決めました。
府は問題発覚直後の1月31日、NTTアクト社によるディアイスクエア社への保守業務の再委託契約を解除させながら、「保守管理業務に支障を釆たさないため」として、両社間の再委託契約を結ぶことを認めました。
NTTアクト社には最初から保守業務の能力がなく、「NTT西日本やディアイスクエア社と3社で組むつもりで委託を受けたのではいか」と府議会本会議の一般質問(5日)や総務常任委員会(12日)で指摘したのは、日本共産党の小松久議員。NTTアクト社とディアイスクエア社との新たな再委託契約の承認も、「あり得ないことを認めた」と厳しく批判しました。
知事の責任極めて重大
NTTアク卜社との契約ではことし4月から自動車税だけなく府税すべてが電話による催告業務の対象とされている中で、小松議員は「(税務情報を)外部に漏らしたこともないというが、納税者情報を閲覧できたこと自体が重大問題」と強調し、契約解除と事件の徹底解明とともに、「大阪版市場化テスト」の中止を求めました。
本会議で小松議員が調書の提出を求めたのに対し、橋下知事は「資料があれば出す」と答えましたが、「大阪版市場化テスト」については「民間でできるものはできる限り民間に委ねるべき。今後も推進する」「府庁内でも問題はある。民も官も同じ」などと強弁しました。
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