山本陽子議員の討論(要旨)

2009年10月27日


 日本共産党の山本陽子です。
 今議会に提案されている諸議案について、わが党の見解と態度を表明します。

 今議会は、先の総選挙で、国民が、自民公明政治に決別し、福祉や教育、雇用、営業など生活関連施策の拡充を求める歴史的審判を下したもとで開かれました。いま府政に求められているのは、国民の審判を真摯に受け止め、暮らし、雇用など、全国でも極めて深刻な大阪の状況を打開し、府民福祉の増進に全力を尽くすことです。

 ところが知事は、くらしの応援は、国の経済対策そのままで、府独自施策は、ほとんどなく、あろうことか2月府議会で大差で否決されたWTCへの府庁舎移転案を再提案するという暴挙に出ました。
 
 まず、大阪府の施策について述べます。

 第1は、景気対策です。自動車など一部輸出大企業での景気の底打ちとは裏腹に、中小企業と雇用はいっそう深刻です。国に対して、労働者派遣法の抜本改正や失業給付の拡充、実効ある中小企業支援策の強化を迫ることを求めておきます。

 また、「大阪まるごと大売出しキャンペーン事業」は、施策がクルクル変わり、こうした政治手法が府政に混乱をもたらし、商業関係者の怒りさえかっていることへの深い反省が求められます。

 実施にあたっては、商店街の実態を掌握するとともに、関係者から十分に意見を聞いて、支援策を策定することが大事です。

 また、府営東三国住宅廃止は、道理が通りません。撤回するよう求めます。

 第2に、教育と文化についてです。子どもの貧困の解決は、緊急の課題です。エアコン代を含む公立高校授業料の無償化、私学の保護者負担の抜本的軽減が必要です。

 知的障がい支援学校4分校の開校への必要な条件整備、全日制高校受入れの拡大など、子どもの教育を受ける権利、機会均等を保障する立場に立ち切ることが重要です。

 関係者との協議をおろそかにしたワッハ上方の通天閣への移転・縮小、ピース大阪の機能縮小は、歴史と文化、平和への希望を府民から奪うものです。政策の抜本的見直しを求めるものです。また、国際児童文学館を移転する条例の見直しを求めます。

 第3に、水道事業の府・市統合についてです。コンセッション型指定管理者制度による大阪市への委託は、府の用水供給事業における責任を放棄するものです。府独自に水道料金を値下げしつつ、受水市町村の意見を十分反映させ、大阪府の広域的責任を果たすとともに、大阪府・大阪市が、それぞれ過大な水需要を見直すことを求めます。また、「府・市統合先にありき」の立場は撤回するよう求めます。

 第4に、大手前への移転を前提にした、成人病センター整備基本構想策定費についてです。

 わが党は、成人病センターの一日も早い建て替えには賛成ですが、同センターの建て替え整備にあたっては、現地での建て替え、あるいは移転による建て替えの何れが最良であるか、医療関係者をはじめ、患者・府民の意見を聞き、さまざまな角度からの検証を求めます。1千万円は、そのためにも活用すべきです。

 最後に、府庁舎移転についてです。府民の利便性、府民負担、防災対策、大手前の歴史的文化的価値に磨きをかけるなど、どの観点からも、現府庁耐震改修案がすぐれています。現在の府庁舎を耐震補強すれば、震度6強の上町断層帯地震にも耐えられ、今後、長期に活用することができ、費用も一番安くて済みます。

 1u=97万円という売買実例を無視した高すぎる売却価格の設定、今後30年間での発生確立が87%と言われ、特別法まである東海、東南海・南海地震についての最新の知見を尊重せず、住民の安全に背を向けた知事と大阪市長の姿勢、日本の歴史の原点とも言うべき大手前の乱開発計画や見通しのない咲洲の開発計画など、財界と府市一体にすすめようとする府庁舎移転劇には、いっさい府民が登場しません。ここに、府庁舎移転劇の本質が如実に現れています。

 わが党も賛成できる景気対策予算案とWTC買い取りの債務負担行為は、本来全く異質のものであり、切り離して提案すべきです。一体に提案し、採択を迫る知事の政治姿勢には怒りすら覚えます。

 知事の提案を認めることは、歴史と伝統ある大阪府議会の歴史に汚点を残し、後世からそしりを受けることになるでしょう。

 なお、このあと提案が予定されている「大阪府議会議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例一部改正の件」は、可能な限り、多様な民意を大阪府議会に反映できるようにするためにも、現行定数を維持し、選挙区の定数の逆転現象を解消すべきであり、反対です。

 さらに、府議会定数問題は、「一票の格差の是正」、「民意をより公正に反映できるよう1人区、2人区など、小選挙区の見直し」など、抜本的見直しを行うべきだと考えます。

 以上の立場から、議案第1号に反対、残余の議案および報告、諮問については賛成します。請願3件については、いずれも府民の切実な願いが込められたものであり、採択すべきです。
 以上で、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。