2009年9月府議会 がもう健議員の一般質問(概要)

 2009年10月7日におこなったがもう健議員の一般質問の概要を紹介します。

 日本共産党の蒲生健です。知事に質問いたします。

 まず、雇用問題についてです。

 雇用悪化を中心に府民の暮らしが深刻さを増し、総貧困化ともいえる状況が広がっています。府民の窮状に心を寄せ出来る限りの施策をこうじるのが、住民福祉の機関である府の使命であります。

 私は日頃から、「雇用の安定なくして家庭の安定はない、家庭の安定なくして社会の安定はない」と、訴えてきました。雇用、雇用、雇用の確保こそ諸問題解決のカギだと確信いたします。しかし、知事の言動をみる限り、真剣に立ち向かっているとは到底思えません。

 知事は、府民の暮らし、貧困となぜ真剣に向かい合えないのか。知事は毎日忙しくしているようですが、失業であえいでいる現場に足を運んでおらず、リアルに実態をつかんでいないと思います。大阪で雇用問題の深刻さを端的に示しているあいりん地区の視察はまだやられていないと聞いています。ハローワークへの視察はどうか。共に早急に行うよう求めますが、答弁を求めます。

 もう一つに、雇用の実態を示すとされている統計資料への踏み込んだ検討が見られないと思います。

 8月の有効求人倍率は0.44、数だけ見ると2人に1人近くが、求職者側が選り好みしなければ成立したかのような印象を与えます。府も盛んにミスマッチが雇用問題解決の最重点のごとく宣伝するが、そんなものではありません。正社員の有効求人倍率は、0.29しかなく、昨年7月の0.6から急速に下がっています。求人の半分以上は非正規です。求人の多くは、就職をしても食べてはいけない、いつ首を切られるかの不安が解消されないのが実態で、ハローワークでの7月の実際の就職は、有効求職者数は、21万6667人ですが、就職件数は1万884人にすぎません。

 8月の近畿の完全失業率は6.7%です。失業者は100人に7人と言うことになりますが、府民の実感からすれば数倍違うのではないかと言いたいくらいです。

 府民の実感とかけ離れているのは、完全失業率が、7千人分のサンプル調査を行い、先月の最後の1週間に1時間も働いていないと答えた人しかカウントされないという、まるで餓死者でなければ失業者ではないと言うものだからです。極力絞り込んだ、出来るだけ失業者を少なく見せるための統計といえます。数字に隠されている実態の正確な把握が、実効ある対策を立てるためにも欠かせないと考えますがどうですか。答弁を求めます。

 その上で、雇用問題を解決するためにいくつか提案します。

 1つは、今日の雇用悪化をつくりだした要因である労働者派遣法の抜本的改正と大企業に社会的責任を果たさせる問題です。十年前の労働者派遣の原則自由化が今日の事態をつくりだしたことは知事も認めるところだと思います。大企業にとって正社員の3分の1以下の人件費で、しかもいつでも使い捨てできる派遣社員ほどぼろもうけできる制度はありません。これが格差拡大の中心問題になり、選挙後の国会での第1課題にあげられていますが、大企業の派遣切りは今も行われています。わが党議員団はことあるごとに、知事が直接、大企業の経営者や財界のトップに、派遣切りを止めるよう申し入れるべきだと要請してきました。知事は、7月2日のわが党の代表質問に「引き続き機会あるごとに働きかけを行っていきたい」と答弁しています。

 ところが、去る7月25日長野県軽井沢で財界トップの経団連御手洗会長と直接長時間にわたって会談した際に、道州制については大いに意気投合して盛り上がっておきながら、派遣切りについては一言も求めなかったと聞いています。事実ですか。何故しなかったのか。雇用問題で苦しんでいる大阪府の知事として信じられない話なのですがどうですか、答弁を求めます。

 知事はよく「企業も仕事がないと言っていますからね」などと、リストラ止むなしの言い方をされますが、大企業は、労働者の大量解雇をすすめる一方、株主配当だけは増額しています。その大企業に、200兆円からの内部留保の一部を使い雇用を守る責任を果たさせることは当然です。新国会でいち早く問題になるであろう、労働者派遣法の抜本改正のために知事として一刻も早い実現を求めるべきだと思いますが見解を問います。

 2つ目は、青年の雇用問題です。来年3月高校を卒業する府内の高校生の就職難が大きな問題になっています。青年の雇用問題の解決は大阪の将来に関わる重要課題です。府に是非とも検討していただきたいのですが、いま沖縄県だけを対象にしている国の助成制度で、35歳未満の青年を継続して雇用する中小企業に2年間に限り、一人月額給与の3分の1、上限月10万円を補助する制度があります。年間20億円で2千人が雇用できることになります。こうした制度こそ大阪で必要だと思いますが、どうですか答弁を求めます。

 府は、日本民主青年同盟との懇談で、国の「緊急雇用創出基金」を活用して青年の雇用の実態調査をすると約束しましたが、どうなっていますかお答えください。

 次に、総事業費4000億円ともいわれているなにわ筋線建設問題です。

 私は郷土史が好きで、大阪中を歩き回って感じることは、街の大きさと深みです。もし大阪にあの空襲がなければ、歴史的景観の面でも決して京都に負けていなかったであろうと思います。今でも大切に保存されている府内一円の史跡の数々、人々も穏やかで優しい働き者、まさに大阪は義と愛の育つ世界に誇れる大都市だと確信します。知事の見解を問います。

 その大阪の人々の暮らしが実に貧しい。私の地元でいえば、戦前からの名門商店街がつぶれ、商店会も解散して5年、その商店街をシャッター通りにしたスーパーが倒産して2年、今度は跡に銀行が入るという、スーパーの自転車整理に行っていた元八百屋さんは又失業し、魚屋さんは長靴が役に立ったと工事現場のガードマンに行っていたが何時の間にか姿を消しました。残ったお菓子屋さんは、お客の顔を見てから電気をつける位節約しています。

 原因はここ10年間で住民の購買力が極端に低下したことにあります。大阪の景気の悪さの、その責任は国にもあるが府にもあります。

 岸知事の時代に民活第1号として関空株式会社がつくられ、りんくうタウン計画を肥大化させたこと、中川知事が箕面森町、太田知事の関空2期工事と次々に競争するがごとく大型開発に乗り出したがことごとく失敗し、赤字と巨額な負債を残し、今も府民を苦しめています。「一点豪華主義と言われても福祉は何も残しませんから」と言う発言もありました。そのしわ寄せとして府民サービスは極端に切りつめられ国の構造改革とあいまって
、みんな物が買えなくされてしまいました。

 今回の総選挙で本当の景気対策は内需拡大であり、それは国民の暮らしの応援にあるということが明らかにされました。この点知事はどう思われるか答弁を求めます。

 しかし、大阪の橋下知事は、一人依然として大型開発で税金のムダ使いに執念を燃やしている。例えば4000億円をかけての地下鉄道なにわ筋線の建設がそうであります。

 計画は、新大阪駅からなにわ筋を地下で南下して、途中で分岐しJRナンバ駅と南海汐見橋線を通じて南海本線につなぎ、関空に直結するもので、JR特急はるかでみれば今の47分を40分に7分短縮するというものです。

 そこでお聞きしますが、7分間縮めるのに4000億円かけてでも事業をやれと一体誰が要求しているのですか。府民は誰も要求していません。要求しているのは財界、ゼネコン、銀行だけではないですか、答弁を求めます。

 先の総選挙で情勢も変化しています。この際いさぎよく、なにわ筋線の建設は断念してはどうですか。答弁を求めます。

 事業費約4000億円は国と地方自治体、鉄道会社が3分の1づつを負担するのが通例ですが、どこが負担しても最後に出すのは国民、府民のふところからです。知事は「次の世代に借金は残せない」と、福祉、医療、教育、中小企業対策、文化を重点的に予算削減し、人件費も警察官を含め全国最低ラインまでカットしたのに「大型公共事業費は別だ、必要な借金はいくらしてもよい」という態度ですか、答弁を求めます。

 そして特急ラピートの通過地点とされる汐見橋線沿線の住民としては「その計画ちょっと待て」と言わざるをえません。汐見橋駅から岸里玉出駅間の沿線は木造の老朽住宅が密集しており、各所で家の切戸ぎりぎりに電車が走る市内でも唯一のところで、高齢者の割合も最高です。この区間に通勤・通学・買い物の生活道路が10本もあり、それぞれに自動踏切があります。車も多く往来し、新なにわ筋を線路が横断しています。特に危険なのは津守に大きなカーブがあること、岸里玉出駅で南海本線に合流する際に、上りの2本の線路をまたがなければならないこと、枕木は全て木材、じゃり石の路面も固く、一部にある高架のガード下は1.8bですが、人も車もよく通ります。松虫通りという幹線道路の高架下は2.5b、迷い込んだトラックが時々ガードにぶつけて電車が止まっています。現在1時間に2本の各駅停車が走っているのを、今度は特急ラピートがノンストップ、5分で通過することになり、危険以外に振動や騒音の問題も発生します。

 そもそも、知事は汐見橋線の実態を知っているのですか。地図の上でしか知らないのではありませんか答弁を求めます。

 去る7月14日に関係住民約千人分の「鉄道なにわ筋線建設反対署名」を知事宛に提出しましたが、その前日、南海電鉄は三つ目のルート案として、南海なんばルートを提案してきました。しかし、私はこの案も実現の可能性は低いと見ており、これをもって汐見橋案撤回ありと甘く考えてはいません。

 何となれば、難波地区には地下鉄道が何本も縦横に張り巡らされており、また広大な地下街があり、これ以上地下鉄道を通すとすれば相当深く掘らねばならず、そこから地上の上の高架まで3%の勾配で上がろうとすれば、30bで1`必要であり、南海本線でいえば新今宮あたりで顔を出すことになります。そこにはJRが横断しており地下鉄堺筋線も入ってきており無理です。

 新大阪からの時間が7分早くなるだけで、わざわざ3000円以上もする特急券を買って、乗る人が何人いるか、はなはだ疑問です。現在ラピートの乗車率は34.5%、はるかは前年度の8割ではありませんか。知事は、なにわ筋線の乗車率をどう予測しているのですか、答弁を求めます。

 地下鉄なんば駅構内にはわずか9段の階段にまでエスカレーターがついています。大きなトランクでも運べるようにするためです。私も何回か乗ってみた中で、1点気がついた事は、車内で大きな荷物の置き場に困っている関空に行く人の姿です。そこで私の提案ですが、「地下鉄御堂筋線の全ての列車の各1両を、関空利用者等便利車両にする」ということです。これで関空乗客の居場所も決まります。もちろん一般の乗客が乗るのも自由ですし、特別な料金はいりません。これに伴う費用は貼り紙代の4千円のみ、すぐに実施できます。ぜひ採用して4000億円のムダ使いをやめて頂きたい。大阪市に申し入れるかどうかも含めて答弁を求めます。

 知事は6月19日に梅田と関空を結ぶリニアモーターカー構想で1兆円、9月10日桜島線延伸で1千億円、9月15日に森ノ宮開発と次から次へと発表するが、一体府のどこにそんな金があるのか、府民はみんな疑問に思っています。府民が施策を要望すれば知事はいつも「予算は限られている、あれもせえこれもせえでは一体府はどうすればいいのか、教えてほしい」と反論するではありませんか。この道はいつかきた道。これでは膨大な借金と負の遺産をもたらすだけではありませんか。答弁を求めます。