円高、金融・経済危機、物価・原材料高などから中小企業者と府民を守る緊急要望


大阪府知事 橋 下 徹  様


2008年11月5日

日本共産党大阪府議会議員団
団 長 宮原 威 


 原油価格は、落ち着きを取り戻しつつあるものの、原材料価格の高騰による物価高騰は、引き続き、国民・府民生活に重大な影響を及ぼしている。

 また、この間の国際的な金融危機や円高により、トヨタなどの巨大企業による「派遣切り」がすでに始まり、3大メガバンクが中小企業の貸しはがしの先頭に立つなど、暮らしと雇用、中小企業の経営に深刻な影響を及ぼそうとしている。

 「カジノ経済」のツケを国民・府民に回すことは許されない。外需頼みから内需主導へ切り替えることが必要である。大企業応援から暮らしと雇用を守り、中小企業を応援する施策充実など、経済政策の軸足の転換が求められている。

 とりわけ、中小企業のまち・大阪においては、甚大な影響が懸念される。
 よって、大阪府として、下記の事項を速やかに実行し、府民生活と中小企業の営業を守る実効ある対策を緊急に講じるよう要望する。

国に対し以下の事項を求める

1.投機マネーの国際規制に一刻も早く乗り出し、積極的役割を果たす。

2.金融危機に伴う経済対策は国民、中小企業の暮らしと営業を守り、「働く貧困層」をなくす立場を基本とすること。漁業者、クリーニング業など燃油への依存が高く、価格転嫁の難しい業種への直接補填を拡充し、実効あるものにする。国民への負担のしわ寄せはしない。

3.銀行による貸し渋り、貸しはがしを許さず、セーフティーネット保証制度の全業種への拡大と適用条件の緩和、金利・保証料の引き下げと「部分保証」の撤回、信用保証協会への財政援助など信用保証制度を充実・強化する。

4.大企業・ゼネコンなどによる下請業者への「犠牲転嫁」を許さず、従業員や非正規雇用者の解雇等のリストラをしないよう求める。「下請駆け込み寺」などの相談体制をいっそう強化する。

5.毎年度2200億円の社会保障費抑制路線の転換、国保料引き下げなど、国民生活を守る手立てを尽くす。

府として緊急経済対策本部を設置し、全庁的に取り組む

1.「緊急経済対策本部」(仮称)を設置し、府内経済と中小企業の現状を中小企業訪問も実施して把握、府全体として情報を共有し、機敏な対策を行えるようにする。各部局でも所管事務分野の影響調査を行う。

2.資金繰り、「下請いじめ」を許さないことを含めた総合的な経営相談窓口を設置・拡充、周知する。

金融の円滑化はじめ中小企業者の営業を守り、仕事を増やす

1.現行の「原油・原材料高騰対策特別資金」の取扱期間を延長し、利用条件の緩和や金利引き下げなど、より利用しやすいものにする。円高等により、経営に影響を受けた中小企業者を対象に加える。

2.金利、保証料の引き下げ、貸付枠の拡大、償還期間の延長など、府制度融資をいっそう充実し、府内金融機関にも中小企業に対する金融の円滑化を要請する。

3.府内大企業に対して府内下請業者への優先発注を行うとともに、雇用の非正規化、解雇などは行わず、正規雇用を増やすよう求める。

4.中小企業向け官公需を拡大し、福祉、防災、教育、環境など生活密着型公共事業を増やす。府発注工事における「単品スライド制」を拡充するとともに、下請へのコスト転嫁などの監視を強化し、やめさせる。

5.「下請駆け込み寺」制度の周知につとめ、府としても「下請いじめ」をなくす取り組みを進める。

6.省エネ支援など、農漁業者への燃油・燃料代負担増に伴う支出増への支援を行う。公衆浴場、魚介類販売など水を大量に使用する業種への水道料金負担を軽減する。

府民生活への影響を食い止める

1.生活困窮者への灯油代補助や水道料金負担軽減、福祉施設などへの燃油・燃料代助成、水道料金負担軽減を行う。

2.高校授業料減免制度は、期間途中での申請について、申請した期間を含めて適用されるよう改善する。

3.国保証のない子どもをなくす市町村の取り組みには干渉せず、市町村による国保料減免などへの支援を強め、安心して医療を受けられるよう取り組む。

4.福祉4医療助成制度は堅持する。

以 上

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